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どうやら、彼女と浮気していた子息に婚約の話が舞い込んで来ていて、その相手が隣国の王女だったようで、出世を目論む彼の選ぶ方は、浮気相手を捨てて、王女を選ぶ一択しかなかったようだ。


(まぁ、この令嬢と婚約するより、将来を考えたら、そっちを選びたくなるわよね。でも、だからって、ここで話すことでもないわよね。いくら、すっとぼけても、彼女が全部ぶちまけちゃってるんだけど)


ブチギレた状態のジェネラスと婚約破棄までして、あちらが浮気しているように思わせてまで、自分の浮気を隠していた令嬢は、形振り構わずに怒鳴り散らしているのだ。

それを集まった面々は聞いていて、浮気していたのは、どうやらこの二人だったとわかるのも早かった。


(こうなるってわかってたから、敢えて何も言わなかったのね)


ルドゥーテは、未だに周りのことなど気にする余裕を完全になくしている令嬢と浮気相手よりも、玉の輿を狙うことにして目の前の令嬢のことなど、知らないかのように取り繕う子息を最後まで見ることなく、その場から離れてジェネラスを探すことにした。








ジェネラスは、騒ぎを耳にしていたはずが、野次馬をすることなく、図書館で本を読み耽っていた。


「ここにいたのね」
「ん? あぁ、ルドゥーテか。そっちは珍しいな」
「本を読みに来たんじゃなくて、ジェネラスを探してたのよ」
「だろうな」


(この男は、本当に)


ジェネラスは、本を読むのをやめて、借りたい本をチョイスして借りるなり、図書館を後にした。


「……良かったの?」
「借りたい本を借りれたから帰る」


そう言って歩いているとギャーギャーと騒ぐ声が聞こえて来た。


(まだ、やってるみたいね)


人だかりは、ルドゥーテが抜けてから増えたようだ。

ジェネラスは、面倒に巻き込まれたくないとばかりの遠回りして教室に戻り帰宅することにしたが、ルドゥーテはジェネラスに色々と聞くことはなかった。


(嘘をついてまでジェネラスのせいにして婚約破棄までしたのに本命にはあっさりと捨てられて、必死になってるのだろうけど、あれじゃ、ジェネラスがほっといたのもわかるわ)


ジェネラスは、何もせずとも元婚約者が全部を話してくれたことで、浮気していたのが令嬢の方だと知れ渡ることになったのも早かった。


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