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しおりを挟む一方、勘違いしていた幼なじみの兄のレオニードはというと自分の勘違いをすっかり忘れて、そもそも婚約者が居ないスカーレットのことを苔下ろして馬鹿にし続けていた。それにはスカーレットより、もっと怒り狂ったのは実の弟のセオドールの方だった。
セオドールが、そんなに怒るところをスカーレットは見たことがなかったが、レオニードもそうだったようだ。何も言い返せずに怯えたように退散したのを見て、スカーレットは内心で大喜びしていたくらいだ。
「兄貴のデリカシーのなさには、こっちが恥ずかしくなる。本当にごめんな。あんなこと毎回言われてたんだよな」
「あなたが、私の代わりに怒ってくれたからスッキリしたわ。ありがとう」
そこから、お互いの両親たちがスカーレットとセオドールの婚約話を進めてもいいかと聞いて来て、二人はお互いを見て頷いた。
スカーレットの姉のジャネットも、お似合いだわと自分のことのように喜んでくれたのだが、レオニードだけが罵詈雑言を浴びせかけて来て、その態度の悪さと口の悪さに彼の両親が跡取りを兄から弟に替えるきっかけとなったようだ。前々からセオドールが両親に話していたようだが、そこまでだとは思っていなかったらしく、目のあたりにして酷さが目に余ったようだ。
それがレオニードのさらなる不満を爆発させることになり見返そうとしたようだが、ものの見事に大失敗して勘当されることになるまで、半年も掛からなかった。
(ざまぁみろ! 私にしか当たり散らせなかった小者のくせにセオドールと張り合えるわけがないじゃない)
言い返したくとも言い返さなかったのは、姉を標的にされては大変だと思ってのことだ。レオニードが怖かったからでは決してない。
それを証明するように最後だと思って、スカーレットはレオニードに今までの不満をぶちまけてやったら、何も言えずに驚いた表情とともに怯えた顔をしていたから、よほど怖かったのだろう。
それこそ、自分より弱い者にしか好き勝手なことを言えないような男だったようだ。
(はぁ~、スッキリした)
セオドールは、そんなスカーレットに苦笑しながらも、もういいのか?と言ったのに怯えたのは、レオニードだけだった。
ジャネットの新しい婚約者も決まり、スカーレットとセオドールは胸を撫で下ろして、自分たちのことのように喜んだのはレオニードが勘当されて、すぐのことだった。
こうして、スカーレットは幼なじみに溺愛され、仲睦まじく過ごしながら、笑顔溢れる温かで幸せな家庭を姉妹揃って築くことが出来たのだった。
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