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ガンヴィルは、将来を約束された出世街道まっしぐらの道を選んだはずだったが、選ぶ道を間違えた時には何もかもを失っていた。

それどころか。家にまで迷惑をかけまくることとなったガンヴィルの家は、しばらく本当に大変だったろう。

もっとも、そんな子息を好き勝手にさせていたのだ。早く対処していれば、回避できたであろうことを何一つしてなかったのだから、自業自得でしかない。そう思われて、親戚たちからも距離を置かれたようだ。






ガンヴィルと婚約破棄した格上の令嬢のミルトニアは、別に好きな人がいたらしい。だけど、家のためにならないからとそれを隠し、ガンヴィルを婚約者に仕立てあげただけだったのだ。もっとも、ミルトニアは好きな相手以外の男なら誰でもよかったようだが。


(ガンヴィルが、即座に反応して鞍替えしたから婚約したなんてね)


クレメンティナは、その話を後から知って、お似合いな二人だと思ってしまったほどだ。

更には、ガンヴィルにわがままを言っても、何でも聞いてくれるとわかり、利用しまくっていたようだ。

それがバレて破棄することになり、ミルトニアもしばらくして勘当されることになったようだが、それで彼女はようやく好きな相手と添い遂げられると喜んだのも、つかの間のことだった。現実はそんなに甘くはなかったのだ。

あちらの子息は平民になったミルトニアに何の価値もないとばかりに彼女から去ってしまったのだ。向こうは、ミルトニアのことを本命だとは全く思っていなかったのだ。都合のいい女。そう思われていたことにミルトニアは気づいたのは、何もかもを失った後だったのだ。







(結局、自分のことしか考えてなかった人たちが自滅していっただけってことになるのかしら? 私も気をつけなくてはならないわね)


クレメンティナは、そう思いつつ王太子の横に立ち続けるに相応しい王太子妃となるべく、勉強を頑張り続け努力を惜しむことをしなかった。

そんなクレメンティナのことを王太子は溺愛し続け、いつ見かけても幸せそうで、仲睦まじい二人に世の令嬢たちは羨ましがった。

こうして、幸せいっぱいの笑顔溢れる人生を歩み続けることが出来たのだった。

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