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しおりを挟む幼なじみといっても付き合あいが、学年が上がるたびに薄くなっていけば、そこまで気を使うこともなかった。彼本人に気を遣っていたわけではないが、そこから小中高校と同じところに通うことになったのだ。
千沙都は、一希と同じところをわざわざ選んだわけではない。小中学までは仕方ないとしても、高校は別々になることを期待していたが、高校をどこにしたと前々から話してはいなかったが、合格してから同じところに行くとなって、千沙都は……。
(最悪すぎる)
まず、最初にそう思ってしまった。でも、その次にこうも思った。
(……これは、丁度いいと思うべきかな)
深く考えても、別の高校に行く気がない千沙都は幼なじみと高校も同じことを諦めることにしたのが早かった。
小中学とずっと同じクラスだったこともあり、家族ぐるみで仲良くなったのは、極々自然なことだった。そう、仲良くはしていた。非常に仲良くはしていなくとも、幼なじみの親同士として、それなりの付き合いはしていた。
何せ、幼なじみなだけでなくて、この2人がずっと同じクラスとなったことで、運動会や文化祭でお互いの家族がタイミングよく出会ってしまうのが原因だった。それなりに会うのだから、仲良くしていた方がいいと思ってのことに過ぎなかった。
子供たちが同じクラスになり続けているのにお互いの家族が険悪だったりしたら、千沙都たちの仲も同じく距離を取らずにはいられなくなっていただろうが、そんなことにはならなかった。
途中で、千沙都は幼なじみのことを愛称呼びから、名字呼びになった。あちらも、名字呼びで偉そうに呼ぶことも増えたが関係性は幼なじみのままだ。
そんな2人は幼稚園からの腐れ縁で、どちらかが相手に片思いしているとか。両思いで付き合っているとか。これから、そういう方向に向かうような恋愛感情が、双方にあるわけではない。少なくとも、千沙都には欠片もない。持つ気もない。
2人の関係性をしっくりくる言葉で表現するなら、血の繋がりのない姉弟みたいな感じだ。誕生日からしたら、一希の方が早く生まれているのだから、あちらが兄なのかも知れないが、千沙都としては日々が姉の気分だった。それか、従姉弟同士のような感覚で接していた。幼なじみというより、身内感覚が強かった。
でも、そうなると血の繋がりがあるのだから、姉弟とか従姉弟とかと思うより、近所のお姉さんとかの方がいいのかも知れない。血の繋がりがあるような位置づけだと精神的にキツイところがある。
昔からよく知っているだけの幼なじみ。一希にカノジョができるなら、彼のことや彼の家族のことやらをそちらに任せるだけのことだ。
(今日は、忘れずに散歩したみたいね)
平日の日は、朝に家族から連絡が来るのをスマホで確認するのが、千沙都は日課となっている。これは、小学生の頃からの日課だ。
一希の家族は、みんな犬好きな人たちなのだが、どんなに犬好きでもちょっと問題がある人たちなのだ。犬を抜きにしても、問題が多いところがある人たちだから、わざわざ仲良くしたいと思う者は稀だろうが、仲良くしたいわけではなくて、ただ、飼われている犬のことが気になって仕方がないだけなのだ。
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