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第一章 神の子
十話 神の子の約束(1)
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「父上、あの少女は……」
「神の子、で間違いないはずだ」
やはり…と、シリウスは声を零す。赤くルビーのような瞳が揺れていた。
「ではなぜあのような格好を。神の子は大切にされるべきでしょう」
「……私と当代の神の子が仲良かったのは知ってるな?」
「はい、聞き及んでおります」
「当代の神の子、セロはこうなるのを知っていた。『数百年後、正真正銘の神の子が産まれてくる。だから、守ってほしい。その子はきっと愛など知らぬだろうから、光の世界を見せてあげてくれない?』そう、言われたんだ」
「…では、どうするのですか?」
変わらずの無表情で話すシリウスに対して、ゼクスは笑っていた。にやりと口角を上げながら、その姿は魔王のようだった。
「決まっている。私の娘にする」
「は???ちょっ、ちょっと待って下さい!ゼクス様!流石に無理ですよ!」
その一言に呆気を取られた使用人ナイジェルは急いで止めに入った。
冗談じゃない、公爵家から公爵家の子を養子にするなんて…という考えが顔に出ている。
「何言ってる、俺は父上の案に賛成だ」
「で、ですが、どうするのですか?あそこの四代公爵家の一人ですよ?」
「ナイジェル、そもそも大切にされてたらあんな扱いは受けてないはずだ」
「あぁ、私達に近づいてきたのは金目当てだった。それにあの子の存在は公にはされていない、簡単だ」
「まさかですけど…?」
恐る恐るナイジェルがその続きを聞いてみる。次の言葉がわかっているのか、冷や汗を垂らしながら震えた声で。
ゼクスはナイジェルの方へ向き、その続きを言ってやった。
「金など惜しくはない」
「ですからぁぁ!!!」
ナイジェルの発狂が屋敷内に反響した。
「よし、済ませてくる」
「父上、人は殺さないようにしてください」
「わかっている」
「話を聞いてください!!!」
「「うるさい」」
二人して、ナイジェルに向かって反抗期かのようにそう言う。声が揃っているところを見て、彼らが本当に親子なんだと少し実感する。
「相変わらずそういうところは揃うんですね!!」
☆ ☆
「奥様!大変でございます!!奥様ッ!!」
「何よ、騒がしいわね…」
「マキナシュ家が当主と奥様に話があると……!!」
慌てふためき、恐怖を露わにする使用人。確かに屋敷内が賑やかなのはそのせいだろう。
アネリーは途端に笑顔になり、アルネに話しかけた。
「……あら、もしかして謝りにきてくれたんじゃないかしら!お母様!」
「きっとそうね、全く、あんな失礼な態度を取られるなんて恥だったもの。高い宝石でも貰わなきゃ割に合わないわ」
ふふっ行きましょ、と微笑みながら客室へと向かっていった。
「そ、それで……話というのは」
目の前には黒の髪に真っ赤な瞳の男性が座って待っていた。明らかに機嫌が悪そうに眉が眉間に寄せている。
「簡単だ、お前にはエンリルという娘がいるな?」
「なぜエンリルのことを…!!!」
「やっぱりエンリルは捨てたほうが良かったのよ!」
すかさずにアネリーがそういった途端に、ゼクスの機嫌は一層悪くなった。
それを見かけた当主のシュライはすぐさま礼をする。
「す、すみません。エンリルがご無礼を致したしました。帰ってきたら、相応の躾けを致しますので…!」
「貴方、エンリルを娼婦へ売るのはどうかしら?」
「おぉ!それがいいな!!」
そう話していると、どんっ!!!と勢いよく机を叩く音が聞こえ、恐る恐る客人の方へ向いた。目は刃物のように鋭く、殺気だけで殺されてしまいそうな気がした。
「ここに一千万ルピーがある。いらないのなら、私達が貰う」
机に出してきた大きな袋を受け取ると、本当に一千万ルピーが入っていた。
それを見るなり、目の色が変わり、無様に縋り付いていた。
「一千万!一千万よ!お母様!!!」
「あぁ…っ!これがあれば欲しかった宝石を沢山買えるわ」
「わかりました!あんな子、家では役立たずです!!どうか有効活用してください!」
当主までもが、たった一千万ルピーで娘を売った。むしろ、心のなかにはもうお金しか考えていないようだった。
「ここにサインしろ」
「はい!!」
ゼクスは最後まで胸くそが悪かった。
「神の子、で間違いないはずだ」
やはり…と、シリウスは声を零す。赤くルビーのような瞳が揺れていた。
「ではなぜあのような格好を。神の子は大切にされるべきでしょう」
「……私と当代の神の子が仲良かったのは知ってるな?」
「はい、聞き及んでおります」
「当代の神の子、セロはこうなるのを知っていた。『数百年後、正真正銘の神の子が産まれてくる。だから、守ってほしい。その子はきっと愛など知らぬだろうから、光の世界を見せてあげてくれない?』そう、言われたんだ」
「…では、どうするのですか?」
変わらずの無表情で話すシリウスに対して、ゼクスは笑っていた。にやりと口角を上げながら、その姿は魔王のようだった。
「決まっている。私の娘にする」
「は???ちょっ、ちょっと待って下さい!ゼクス様!流石に無理ですよ!」
その一言に呆気を取られた使用人ナイジェルは急いで止めに入った。
冗談じゃない、公爵家から公爵家の子を養子にするなんて…という考えが顔に出ている。
「何言ってる、俺は父上の案に賛成だ」
「で、ですが、どうするのですか?あそこの四代公爵家の一人ですよ?」
「ナイジェル、そもそも大切にされてたらあんな扱いは受けてないはずだ」
「あぁ、私達に近づいてきたのは金目当てだった。それにあの子の存在は公にはされていない、簡単だ」
「まさかですけど…?」
恐る恐るナイジェルがその続きを聞いてみる。次の言葉がわかっているのか、冷や汗を垂らしながら震えた声で。
ゼクスはナイジェルの方へ向き、その続きを言ってやった。
「金など惜しくはない」
「ですからぁぁ!!!」
ナイジェルの発狂が屋敷内に反響した。
「よし、済ませてくる」
「父上、人は殺さないようにしてください」
「わかっている」
「話を聞いてください!!!」
「「うるさい」」
二人して、ナイジェルに向かって反抗期かのようにそう言う。声が揃っているところを見て、彼らが本当に親子なんだと少し実感する。
「相変わらずそういうところは揃うんですね!!」
☆ ☆
「奥様!大変でございます!!奥様ッ!!」
「何よ、騒がしいわね…」
「マキナシュ家が当主と奥様に話があると……!!」
慌てふためき、恐怖を露わにする使用人。確かに屋敷内が賑やかなのはそのせいだろう。
アネリーは途端に笑顔になり、アルネに話しかけた。
「……あら、もしかして謝りにきてくれたんじゃないかしら!お母様!」
「きっとそうね、全く、あんな失礼な態度を取られるなんて恥だったもの。高い宝石でも貰わなきゃ割に合わないわ」
ふふっ行きましょ、と微笑みながら客室へと向かっていった。
「そ、それで……話というのは」
目の前には黒の髪に真っ赤な瞳の男性が座って待っていた。明らかに機嫌が悪そうに眉が眉間に寄せている。
「簡単だ、お前にはエンリルという娘がいるな?」
「なぜエンリルのことを…!!!」
「やっぱりエンリルは捨てたほうが良かったのよ!」
すかさずにアネリーがそういった途端に、ゼクスの機嫌は一層悪くなった。
それを見かけた当主のシュライはすぐさま礼をする。
「す、すみません。エンリルがご無礼を致したしました。帰ってきたら、相応の躾けを致しますので…!」
「貴方、エンリルを娼婦へ売るのはどうかしら?」
「おぉ!それがいいな!!」
そう話していると、どんっ!!!と勢いよく机を叩く音が聞こえ、恐る恐る客人の方へ向いた。目は刃物のように鋭く、殺気だけで殺されてしまいそうな気がした。
「ここに一千万ルピーがある。いらないのなら、私達が貰う」
机に出してきた大きな袋を受け取ると、本当に一千万ルピーが入っていた。
それを見るなり、目の色が変わり、無様に縋り付いていた。
「一千万!一千万よ!お母様!!!」
「あぁ…っ!これがあれば欲しかった宝石を沢山買えるわ」
「わかりました!あんな子、家では役立たずです!!どうか有効活用してください!」
当主までもが、たった一千万ルピーで娘を売った。むしろ、心のなかにはもうお金しか考えていないようだった。
「ここにサインしろ」
「はい!!」
ゼクスは最後まで胸くそが悪かった。
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