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第一章 神の子
十四話 夢の中、願い
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「何なのよ……!みんなして私を馬鹿にしてくるのよ!???なに?あんたも私の事をそう思っているのね?!あぁ…!卑しい子」
「そんな…思ってません」
ここは、どこだろうか。目の前には薄汚い今よりは大きくなっている私がいた。
目の前にいる私は姉に怒鳴られていて、その光景には見覚えがあった。
ーーーそう、ここは過去に戻る前の…
「誰が話していいといったのよ!」
「すみません、ごめんなさい…」
必死で地べたに這いつくばりながら許しを請う昔の自分。それを見てるだけで、胸が締め付けられて苦しくなる。
今日のアネリーは確か、服のセンスが悪いと他のご令嬢に言われ物凄く機嫌が悪かった。
「……ねぇ、これわかるかしら」
「…っ!」
姉がだしてきたのは、中身が入っている注射器。あの毒だ。当主様のグラスに塗られていたあの毒。
「これ、飲むのも大分ヤバいらしいのよね。でも、注射で体内に取り入れたら一体どうなるのかしら…?」
「お許しください!!!」
「大丈夫よ、死んでも誰もあんたのことなんか気にかけないもの。早く死んでちょうだい」
その笑みに光はなかった。咄嗟にアネリーの手を掴んで阻止しようとするも、するんと抜けていってしまう。
これは、夢だ。過去のものだ。変えられなどしないのだと現実を直視する羽目になった。
「実はこれ、大量に手に入れられることになったの!毎日二本…いや、三本は打ってあげるわ!感謝なさい」
逃げようと後ずさった過去の私。けれど、後ろにはアネリーのメイドがいて、私は四肢の身動きがとれない状態にされる。
暴れるも、注射の針は体内に刺さっていく。いつの間にか注射の針は私の体から離れていたが、唐突な痛みが過去の私を襲った。
いたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたい。
痛い!!!!!
発狂し、ただ単に叫んでいた。もがき、血反吐を吐く。
「お、お母、様……」
「お母様なんて呼ばないで頂戴…ッ!貴方がお腹を痛めて産んだ子なんて信じられないわ……」
「…ッすけて……」
助けて。冷たい視線で見下ろされてもなお、その言葉を続けた。
姉は楽しそうに微笑むだけ。
ーーー今考えると、人間じゃないわ。
可哀想に。過去の私、貴方のためにも私は復讐をしてあげる。
「いいじゃない、勝手に野垂れ死になさい。卑しい子の最期にふさわしいわ」
「おか…さま……」
「いたい…いたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいッ!!!」
また一本、毒を体内に入れられていた。私はそれを眺めることしかできなかった。
正確にはやられていたから、苦しみはわかる。息ができない、助けて、それしか脳内に浮かび上がらなかった。
「お母様、そういえばね私欲しいドレスがあったの!」
「あら、いいじゃない。エンリル、娼婦になりなさい、そしてお金を稼いでくるのよ」
「い、たい……たいの…」
「そんな毒でやられるなんて情けないっ!お金を早く稼いでくるのよ!!!」
無慈悲なまでの現実。
ーーーいつ、目覚めるのかしら
叶わないのに、愛されることを望んだ日々。
途端に気絶する前の記憶が蘇ってきた。当主様に言ってしまったことを思い出して、とんでもなく恥ずかしく思った。
ーーーあんな、幼子みたいなことを言ってしまうだなんて…
はぁ…と目の前の光景を忘れてため息をつく。
「た、す……て」
「私…?」
目の前にはもう憎らしい母と姉はいなかった。ただ、過去の私が辛そうに地べたに這いつくばりながら私の服の裾を掴んできた。
「おっ…ねが…い。……されたいの…」
「何をされたいの?」
過去の私のお願い事でも聞いておこうと、屈んで、耳を澄ます。
「あ……され…の」
「復讐?」
その問いにううんと首を横に振った。
私の胸元を引っ張てきて、過去の私の顔面が急接近する。
笑いながら、泣いていた。
「愛されたいの」
「そんな…思ってません」
ここは、どこだろうか。目の前には薄汚い今よりは大きくなっている私がいた。
目の前にいる私は姉に怒鳴られていて、その光景には見覚えがあった。
ーーーそう、ここは過去に戻る前の…
「誰が話していいといったのよ!」
「すみません、ごめんなさい…」
必死で地べたに這いつくばりながら許しを請う昔の自分。それを見てるだけで、胸が締め付けられて苦しくなる。
今日のアネリーは確か、服のセンスが悪いと他のご令嬢に言われ物凄く機嫌が悪かった。
「……ねぇ、これわかるかしら」
「…っ!」
姉がだしてきたのは、中身が入っている注射器。あの毒だ。当主様のグラスに塗られていたあの毒。
「これ、飲むのも大分ヤバいらしいのよね。でも、注射で体内に取り入れたら一体どうなるのかしら…?」
「お許しください!!!」
「大丈夫よ、死んでも誰もあんたのことなんか気にかけないもの。早く死んでちょうだい」
その笑みに光はなかった。咄嗟にアネリーの手を掴んで阻止しようとするも、するんと抜けていってしまう。
これは、夢だ。過去のものだ。変えられなどしないのだと現実を直視する羽目になった。
「実はこれ、大量に手に入れられることになったの!毎日二本…いや、三本は打ってあげるわ!感謝なさい」
逃げようと後ずさった過去の私。けれど、後ろにはアネリーのメイドがいて、私は四肢の身動きがとれない状態にされる。
暴れるも、注射の針は体内に刺さっていく。いつの間にか注射の針は私の体から離れていたが、唐突な痛みが過去の私を襲った。
いたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいいたいいたいたいたいたいたいたいたいいたい。
痛い!!!!!
発狂し、ただ単に叫んでいた。もがき、血反吐を吐く。
「お、お母、様……」
「お母様なんて呼ばないで頂戴…ッ!貴方がお腹を痛めて産んだ子なんて信じられないわ……」
「…ッすけて……」
助けて。冷たい視線で見下ろされてもなお、その言葉を続けた。
姉は楽しそうに微笑むだけ。
ーーー今考えると、人間じゃないわ。
可哀想に。過去の私、貴方のためにも私は復讐をしてあげる。
「いいじゃない、勝手に野垂れ死になさい。卑しい子の最期にふさわしいわ」
「おか…さま……」
「いたい…いたいいたいたいたいたいたいたいたいいたいッ!!!」
また一本、毒を体内に入れられていた。私はそれを眺めることしかできなかった。
正確にはやられていたから、苦しみはわかる。息ができない、助けて、それしか脳内に浮かび上がらなかった。
「お母様、そういえばね私欲しいドレスがあったの!」
「あら、いいじゃない。エンリル、娼婦になりなさい、そしてお金を稼いでくるのよ」
「い、たい……たいの…」
「そんな毒でやられるなんて情けないっ!お金を早く稼いでくるのよ!!!」
無慈悲なまでの現実。
ーーーいつ、目覚めるのかしら
叶わないのに、愛されることを望んだ日々。
途端に気絶する前の記憶が蘇ってきた。当主様に言ってしまったことを思い出して、とんでもなく恥ずかしく思った。
ーーーあんな、幼子みたいなことを言ってしまうだなんて…
はぁ…と目の前の光景を忘れてため息をつく。
「た、す……て」
「私…?」
目の前にはもう憎らしい母と姉はいなかった。ただ、過去の私が辛そうに地べたに這いつくばりながら私の服の裾を掴んできた。
「おっ…ねが…い。……されたいの…」
「何をされたいの?」
過去の私のお願い事でも聞いておこうと、屈んで、耳を澄ます。
「あ……され…の」
「復讐?」
その問いにううんと首を横に振った。
私の胸元を引っ張てきて、過去の私の顔面が急接近する。
笑いながら、泣いていた。
「愛されたいの」
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