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第一章 結婚なんてしたくない
三話 十八歳の誕生日
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「っていうことがあったのだけれど、リンはどう思うかしら?」
「お二人共殺そうと思いました」
にっこりと微笑む姿は我が従者ながらも恐ろしい。はぁ……と紅茶を飲み、一息つく。
「私、確かにルーク様の事好きじゃないけれど、好きになれと強制されて?それで悪者扱いされて?もう、嫌よ……」
「あちらから婚約破棄してくれればいいんですけどね」
「そうね、でも王家もそんな不利な事しないでしょう。今の政治は明らかに私が中心となって動いて働いている、私が未来の王妃だからという理由で私に政治の関与を縛り付けている」
「そこでアリス様がいなくなったら、この国の政治は……」
「壊れるでしょうね、だから王家も私をあくまでも王妃という立場に立たせなくちゃいけない」
さっすが王族、やることが違う。彼らにとって私は捨て駒なのだというようにリンに伝えた。
リンは少し納得がいかなそうだったが、途中で何かを思いついたかのようにあっ、と口にした。
「あれ、でも、そうやってアリス様が政治をしてる事をルーク様は知ってるのですか?」
「…………もしかして、知らない?」
天才か?というようにリンを見つめる。政治関係なぜだか婚約者に全振りしてるあのルークの事だ。
確かに知らないという可能性も否めなかった。
「内密にされてる情報なのでしょう?なら、知らないのでは」
「………まぁ、流石にないでしょ!」
「ですよね!流石に王家の人間なんですからーーー」
あははっと二人して笑いながら、こんな胸糞悪い話はやめて、明日の事を話し出す。明日は私の誕生日パーティーが開かれる日。
十八歳の誕生日。私は両親に無理を言って、エルノ様にも最後にお誘いの言葉を送った。
癪だが、有名な貴族は勝手に来るし、婚約者も来る。だからこそ、嫌な予感がする。
けれど自分に大丈夫だと言い聞かせて、その日を終えたーーー
☆ ☆
「誰がアリス様の誕生日なんて祝うのかしらね」
「本当よ、あぁ怖い」
「アリス様の誕生日は呪いの日ね」
祝いの日でもこんな事を言われるのかと心底溜息をついた。私が歩くたびに周りはひそひそとわざとなのかなんなのか嫌味を言ってくる。
エルノ様が来ないのはなんとなくわかっている。けど、それでも期待してしまうのだ。だから私はその言葉を振り切ってエルノ様を探した。
一通り探したがやはりいなくて、ひんやりとした壁に寄りかかった。耳に響く音楽が心地よい、そんな感情に浸っていると嫌な予感は的中した。
「こんなクソみたいな茶番を終わらせろ」
そんな心地よい音楽を止めたのはルークだった。ルークの横にはべったりとジュル様がいて、一気に周りがざわつく。
「お前らも知ってる通り、俺の婚約者がジュルに悪質なイジメをした。俺の婚約者が申し訳ないことをした……っ、だから俺はここに宣言しようと思う」
ジュルはまた嘘泣きをし、顔を背け雫を零す。それを見たルークはジュルを宥めながら、私の方へと顔を向けた。
「アリス・リリックレースに婚約破棄をさせてもらう!!!」
「え?」
ーーー凄い、嬉しい!
「アリス、俺はお前なんかと一緒なんて耐えられない……っ!」
「う……っ…ごめんなさい。アリスさん、私の方が可愛いから……」
周りがざわつき、二人して馬鹿な戯言を言っていたが、私はそれよりも嬉しさで一杯だった。
やっとこの呪いから解き放たれる。私はこの現実が信じられず、もう一度聞き返す。
「ルーク様、それは本当ですか?」
「は?そうに決まってるだろ」
「ここにいる皆様!ルーク様が婚約破棄をしたという言葉を聞きましたね?」
満面の笑みでそういうと、辺りが騒然とした。悔しがったり、泣いたり、そんな対応を求めていたのだろう。
けど、確かに悔しかったけど、何よりも自由という事が嬉しくてたまらなかった。
「それでは、さようなら。また学園で」
ひらひらと手を振り、唖然とする皆を置いて馬車に乗り込もうとした。
ーーー最高の誕生日だわ!
「お二人共殺そうと思いました」
にっこりと微笑む姿は我が従者ながらも恐ろしい。はぁ……と紅茶を飲み、一息つく。
「私、確かにルーク様の事好きじゃないけれど、好きになれと強制されて?それで悪者扱いされて?もう、嫌よ……」
「あちらから婚約破棄してくれればいいんですけどね」
「そうね、でも王家もそんな不利な事しないでしょう。今の政治は明らかに私が中心となって動いて働いている、私が未来の王妃だからという理由で私に政治の関与を縛り付けている」
「そこでアリス様がいなくなったら、この国の政治は……」
「壊れるでしょうね、だから王家も私をあくまでも王妃という立場に立たせなくちゃいけない」
さっすが王族、やることが違う。彼らにとって私は捨て駒なのだというようにリンに伝えた。
リンは少し納得がいかなそうだったが、途中で何かを思いついたかのようにあっ、と口にした。
「あれ、でも、そうやってアリス様が政治をしてる事をルーク様は知ってるのですか?」
「…………もしかして、知らない?」
天才か?というようにリンを見つめる。政治関係なぜだか婚約者に全振りしてるあのルークの事だ。
確かに知らないという可能性も否めなかった。
「内密にされてる情報なのでしょう?なら、知らないのでは」
「………まぁ、流石にないでしょ!」
「ですよね!流石に王家の人間なんですからーーー」
あははっと二人して笑いながら、こんな胸糞悪い話はやめて、明日の事を話し出す。明日は私の誕生日パーティーが開かれる日。
十八歳の誕生日。私は両親に無理を言って、エルノ様にも最後にお誘いの言葉を送った。
癪だが、有名な貴族は勝手に来るし、婚約者も来る。だからこそ、嫌な予感がする。
けれど自分に大丈夫だと言い聞かせて、その日を終えたーーー
☆ ☆
「誰がアリス様の誕生日なんて祝うのかしらね」
「本当よ、あぁ怖い」
「アリス様の誕生日は呪いの日ね」
祝いの日でもこんな事を言われるのかと心底溜息をついた。私が歩くたびに周りはひそひそとわざとなのかなんなのか嫌味を言ってくる。
エルノ様が来ないのはなんとなくわかっている。けど、それでも期待してしまうのだ。だから私はその言葉を振り切ってエルノ様を探した。
一通り探したがやはりいなくて、ひんやりとした壁に寄りかかった。耳に響く音楽が心地よい、そんな感情に浸っていると嫌な予感は的中した。
「こんなクソみたいな茶番を終わらせろ」
そんな心地よい音楽を止めたのはルークだった。ルークの横にはべったりとジュル様がいて、一気に周りがざわつく。
「お前らも知ってる通り、俺の婚約者がジュルに悪質なイジメをした。俺の婚約者が申し訳ないことをした……っ、だから俺はここに宣言しようと思う」
ジュルはまた嘘泣きをし、顔を背け雫を零す。それを見たルークはジュルを宥めながら、私の方へと顔を向けた。
「アリス・リリックレースに婚約破棄をさせてもらう!!!」
「え?」
ーーー凄い、嬉しい!
「アリス、俺はお前なんかと一緒なんて耐えられない……っ!」
「う……っ…ごめんなさい。アリスさん、私の方が可愛いから……」
周りがざわつき、二人して馬鹿な戯言を言っていたが、私はそれよりも嬉しさで一杯だった。
やっとこの呪いから解き放たれる。私はこの現実が信じられず、もう一度聞き返す。
「ルーク様、それは本当ですか?」
「は?そうに決まってるだろ」
「ここにいる皆様!ルーク様が婚約破棄をしたという言葉を聞きましたね?」
満面の笑みでそういうと、辺りが騒然とした。悔しがったり、泣いたり、そんな対応を求めていたのだろう。
けど、確かに悔しかったけど、何よりも自由という事が嬉しくてたまらなかった。
「それでは、さようなら。また学園で」
ひらひらと手を振り、唖然とする皆を置いて馬車に乗り込もうとした。
ーーー最高の誕生日だわ!
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