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番外編
春、う・ら・ら? その7
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どきどきどき。
「議論は以上か。では、採決を」
陛下の声に、宰相のトーマス様が頷く。
本日は、月に二回の閣議の日。毎回、数件の大きな案件の審議、採決が行われているそう。だが今回は魔道具の輸出法案で大事なので、それ一件のために開かれた。そしてたった今、その決議が下されようとしている。
どきどきどき。
さらになんと、ミルもその場にいたりする。
さすがにぺーぺーなので、思いっ切り辞退したのだが、エトルが「発案者なんだから」と言って、笑顔固定で引いてくれなかったのだ。
(そりゃ、いずれは慣れないといけない面々ではあるのだけれど……)
さすがのミルも、威厳たっぷりの紳士淑女に囲まれるのは緊張する。
けれど草案への熱意は誰よりもある。エトルも隣にいてくれたし、質疑応答は頑張れた!と思う。
「では採決を。この規制案に反対の方は挙手を願います。……おりませんね、では、こちらの法案は可決致します」
い、やったー!!!と叫びたい気持ちを押さえて、ミルは膝の上でぐっと手を握る。そして一呼吸置いて立ち上がり、笑顔で議場を見渡し「ありがとう存じます」と頭を下げた。周りの方々も、拍手をしてくれた。
「本日は以上です。解散してください」
トーマス様が皆様に告げる。それぞれ立ち上がり、談笑したりしながら部屋を出ていく。
そして陛下を筆頭に、トーマス様、ダリシアパパと共に、規制案の出来を一声褒めてくれてから帰る人たちもたくさんいて、ミルはその一人一人に丁寧にお礼を言い、最後の人まで見送る形になった。
「お疲れ様。頑張ったな」
「エトル様」
エトルも一緒に最後までいてくれて、そう労いの言葉をかけてくれた。ほっとした時にこの何気ない一言と笑顔は、涙腺を緩ませる。
「はい、本当に本当に、ありがとうございました!」
すごい顔になっているだろうけれど、仕方がないと開き直り、ミルは精一杯の笑顔でエトルにもお礼を言う。本当に本当に感謝だ。
エトルはそんなミルを、嬉しそうに、眩しそうに見つめて、ポンポンと頭に手を置く。
「何度も言うけれど、ミル嬢の力だよ」
「いえ、私だけでは。このような満場一致は得られなかったと思います。エトル様のお力が大きいです。そうだ、何かお礼!って、これ、賄賂とかになります?」
「ははは!賄賂って。何をくれる気なの。しかも終わった後!……まあ、なくはないのか?ふ、ふふ」
またエトルのツボに入ってしまった。
「まあ、礼なんていらないしね。立派な国益になる法案なんだし。でもせっかくだから、お疲れ様会を兼ねて打ち上げに行かないか?賄賂心配なら、割り勘で!」
「はい!ぜひ!」
「じゃ、決定!今日この後行ける?」
「大丈夫です。けど、この格好で構いませんか?」
今日のミルの装いは、閣議に出席のため質のいい仕事用のドレススーツだが、お出かけを考えるとシンプルだ。
「全然!俺の行きつけの……って、ごめん、洒落たとこ行きたいよな?」
「それこそ全然!エトル様の行きつけ、行きたいです」
「ミルはいい子だな~。じゃ、決定。うちの馬車を回すから、30分後くらいに省庁用馬車停め集合でいい?」
「了解です!では、片付けとカリンへの結果伝言を頼んだりしますので!お先に出ますね」
「うん、また後で」
パタパタと小走りでミルが議場を出る。法案が通って安心したのか、普段のシャンとした動きより幼く見えて、エトルは頬を緩める。
そして、やけに浮かれている自分に心の中で苦笑しながら、議場を出たのだった。
「議論は以上か。では、採決を」
陛下の声に、宰相のトーマス様が頷く。
本日は、月に二回の閣議の日。毎回、数件の大きな案件の審議、採決が行われているそう。だが今回は魔道具の輸出法案で大事なので、それ一件のために開かれた。そしてたった今、その決議が下されようとしている。
どきどきどき。
さらになんと、ミルもその場にいたりする。
さすがにぺーぺーなので、思いっ切り辞退したのだが、エトルが「発案者なんだから」と言って、笑顔固定で引いてくれなかったのだ。
(そりゃ、いずれは慣れないといけない面々ではあるのだけれど……)
さすがのミルも、威厳たっぷりの紳士淑女に囲まれるのは緊張する。
けれど草案への熱意は誰よりもある。エトルも隣にいてくれたし、質疑応答は頑張れた!と思う。
「では採決を。この規制案に反対の方は挙手を願います。……おりませんね、では、こちらの法案は可決致します」
い、やったー!!!と叫びたい気持ちを押さえて、ミルは膝の上でぐっと手を握る。そして一呼吸置いて立ち上がり、笑顔で議場を見渡し「ありがとう存じます」と頭を下げた。周りの方々も、拍手をしてくれた。
「本日は以上です。解散してください」
トーマス様が皆様に告げる。それぞれ立ち上がり、談笑したりしながら部屋を出ていく。
そして陛下を筆頭に、トーマス様、ダリシアパパと共に、規制案の出来を一声褒めてくれてから帰る人たちもたくさんいて、ミルはその一人一人に丁寧にお礼を言い、最後の人まで見送る形になった。
「お疲れ様。頑張ったな」
「エトル様」
エトルも一緒に最後までいてくれて、そう労いの言葉をかけてくれた。ほっとした時にこの何気ない一言と笑顔は、涙腺を緩ませる。
「はい、本当に本当に、ありがとうございました!」
すごい顔になっているだろうけれど、仕方がないと開き直り、ミルは精一杯の笑顔でエトルにもお礼を言う。本当に本当に感謝だ。
エトルはそんなミルを、嬉しそうに、眩しそうに見つめて、ポンポンと頭に手を置く。
「何度も言うけれど、ミル嬢の力だよ」
「いえ、私だけでは。このような満場一致は得られなかったと思います。エトル様のお力が大きいです。そうだ、何かお礼!って、これ、賄賂とかになります?」
「ははは!賄賂って。何をくれる気なの。しかも終わった後!……まあ、なくはないのか?ふ、ふふ」
またエトルのツボに入ってしまった。
「まあ、礼なんていらないしね。立派な国益になる法案なんだし。でもせっかくだから、お疲れ様会を兼ねて打ち上げに行かないか?賄賂心配なら、割り勘で!」
「はい!ぜひ!」
「じゃ、決定!今日この後行ける?」
「大丈夫です。けど、この格好で構いませんか?」
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「全然!俺の行きつけの……って、ごめん、洒落たとこ行きたいよな?」
「それこそ全然!エトル様の行きつけ、行きたいです」
「ミルはいい子だな~。じゃ、決定。うちの馬車を回すから、30分後くらいに省庁用馬車停め集合でいい?」
「了解です!では、片付けとカリンへの結果伝言を頼んだりしますので!お先に出ますね」
「うん、また後で」
パタパタと小走りでミルが議場を出る。法案が通って安心したのか、普段のシャンとした動きより幼く見えて、エトルは頬を緩める。
そして、やけに浮かれている自分に心の中で苦笑しながら、議場を出たのだった。
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