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第7話 頼寿と会長と怒涛の夜
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「そちらも順調ですよ。玉雪には会長の言った通り素質があります。会長が大事にしてくれていたお陰で、体の方も申し分なく美しい」
頼寿が小さく笑いながら会長に言って、俺はロールキャベツを咀嚼しながら身を縮こまらせた。
「それは楽しみだ。俺の玉雪がステージで輝く日を待っているぞ。──頼寿、ワインを頼む」
「あ、あの会長──」
これ以上「その話」はされたくない。今夜だけは会長と楽しく過ごしたい。
焦った俺は会長の膝に手を置き、話題を変えるための質問をした。
「頼寿とは前から知り合いだったんですか?」
「ああ。まだ玉雪と出会う前は、よく頼寿のショーを楽しませてもらっていた。冷静沈着な冷めたサディストを演じる姿も、鞭をふるいながら獣の如く吠える姿も、頼寿のショーはその全てが美しく芸術的だった」
へえ、と正面の頼寿を盗み見るが、頼寿はしれっと聞こえないふりでグラスにワインを注いでいる。
「SMと聞くといかがわしいイメージが沸くものかもしれないが、頼寿はアーティストだよ、玉雪」
「………」
その言葉に俺は、ロッソ君の店で見た二人のパフォーマーを思い出した。
ゾッとするほどの美しさ。妖艶な肉体の動き、触れ合う唇、視線──確かにあの二人は芸術だった。
俺もいつかあんな風にステージに立つのだろうか。
大勢の前で裸になって、頼寿と……芸術的なセックスをするなんて。
全然想像できない。
*
会長とのお喋りに美味しい食事。初めての手作りポテトチップ。お腹も膨れたし、会長とも楽しい時間を過ごせたし、もう大満足だ。
──あれ?
そこまで考えて、俺はハタと気付いた。
──俺、会長とイチャつかなくても満足してる。
「………」
「どうした、タマ」
「う、ううん。何でも……」
下げた食器を食洗機にぶち込んでいる頼寿に向かってかぶりを振ったその時、トイレに行っていた会長がリビングに戻ってきた。会長も満足そうに膨れた腹を撫でている。
そして俺の顔を見てニコリと笑い、ソファに座りながら言った。
「さて、今夜のデザートを頂こうか」
「デザートですか? それなら俺、ティラミスのアイスがいいです! よろしく頼寿!」
「了解です、会長」
俺のリクエストには答えず、頼寿がネクタイを緩めながら不敵な笑みを浮かべた。
そして。
「タマ、出番だぞ」
「……へ?」
唐突に頼寿の手が伸びてきて、呆然と立ち尽くしていた俺の腰を絡め取る。
一瞬にして距離が縮まり、同時に息が止まった。
「っ──!」
塞がれた唇。
会長の目の前で、俺は頼寿と──。
頼寿が小さく笑いながら会長に言って、俺はロールキャベツを咀嚼しながら身を縮こまらせた。
「それは楽しみだ。俺の玉雪がステージで輝く日を待っているぞ。──頼寿、ワインを頼む」
「あ、あの会長──」
これ以上「その話」はされたくない。今夜だけは会長と楽しく過ごしたい。
焦った俺は会長の膝に手を置き、話題を変えるための質問をした。
「頼寿とは前から知り合いだったんですか?」
「ああ。まだ玉雪と出会う前は、よく頼寿のショーを楽しませてもらっていた。冷静沈着な冷めたサディストを演じる姿も、鞭をふるいながら獣の如く吠える姿も、頼寿のショーはその全てが美しく芸術的だった」
へえ、と正面の頼寿を盗み見るが、頼寿はしれっと聞こえないふりでグラスにワインを注いでいる。
「SMと聞くといかがわしいイメージが沸くものかもしれないが、頼寿はアーティストだよ、玉雪」
「………」
その言葉に俺は、ロッソ君の店で見た二人のパフォーマーを思い出した。
ゾッとするほどの美しさ。妖艶な肉体の動き、触れ合う唇、視線──確かにあの二人は芸術だった。
俺もいつかあんな風にステージに立つのだろうか。
大勢の前で裸になって、頼寿と……芸術的なセックスをするなんて。
全然想像できない。
*
会長とのお喋りに美味しい食事。初めての手作りポテトチップ。お腹も膨れたし、会長とも楽しい時間を過ごせたし、もう大満足だ。
──あれ?
そこまで考えて、俺はハタと気付いた。
──俺、会長とイチャつかなくても満足してる。
「………」
「どうした、タマ」
「う、ううん。何でも……」
下げた食器を食洗機にぶち込んでいる頼寿に向かってかぶりを振ったその時、トイレに行っていた会長がリビングに戻ってきた。会長も満足そうに膨れた腹を撫でている。
そして俺の顔を見てニコリと笑い、ソファに座りながら言った。
「さて、今夜のデザートを頂こうか」
「デザートですか? それなら俺、ティラミスのアイスがいいです! よろしく頼寿!」
「了解です、会長」
俺のリクエストには答えず、頼寿がネクタイを緩めながら不敵な笑みを浮かべた。
そして。
「タマ、出番だぞ」
「……へ?」
唐突に頼寿の手が伸びてきて、呆然と立ち尽くしていた俺の腰を絡め取る。
一瞬にして距離が縮まり、同時に息が止まった。
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塞がれた唇。
会長の目の前で、俺は頼寿と──。
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