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ブレイズ、悪に立ち向かう!
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しおりを挟む「皆、ちょっと聞いてー。あの例のドラマ、DVDの特典映像になるんだって。ドラマをDVD化するんじゃなくて、ただの特典だって」
翌日になって山野さんから種明かしを受けた獅琉が、がっくりと肩を落としながら会議室で俺達にそれを報告した。
「ま、まぁそうですよね。あの出来じゃあ……特典にするのも申し訳ないというか……」
「つくづく、俺達にドラマは無理だと烙印を押された感じだったもんな」
苦笑する竜介の肩に大雅が後頭部を寄りかからせ、「結局、校長先生が一番演技上手かったね」と呟いた。
潤歩が下唇を突き出して腕組みをする。
「それからよ、何で有栖が亜利馬の兄貴役で出たのか聞いたか? 俺らは全然その辺知らされてねえけど」
「俺も詳しくは教えて貰えなかったけど、多分これからバッドアリスがメインのスポンサーになるんじゃないかな? 『フリーズ』のVにも有栖くんが少し出るかもって言ってたし。特別出演っていう扱いで」
フリーズというのは、俺達ブレイズのライバルとして結成された三人組のグループだ。今は海外での撮影中で、三人揃ってグアムまで遠征している。まさかそっちにまで有栖が出るなんて……別にいいけど、何だか嫌な予感がした。
「……有栖が俺の身内だって、バレないようにしてもらわないと……」
「あはは。バレたら絶対に亜利馬と絡ませろって声が出るもんね」
「笑い事じゃないですよ、獅琉さん……。あいつもしかしたらスポンサーなのを理由に、これからもちょいちょい俺に嫌がらせしてきそうだし……あああ、不安です!」
頭を抱えてテーブルに伏せると、獅琉が「大丈夫、大丈夫」と肩を撫でてくれた。
そして気付いたのだ。
「………」
──もしかしてあの脚本も、有栖が自分で書いたんじゃ。
「どうしたの、亜利馬?」
「な、何でもないです……」
もしかしてドラマの話が出た時には既にバッドアリスとのコラボが決まっていて、あの陳腐な内容のドラマも、自分が最後に涙はらはら助け出されるというシナリオも、俺の絡みが多かったのも、俺に女装させたのも、全部有栖の目論見だったんじゃないだろうか。
「……まさかね。他社の人間がブレイズの名前で変なことする訳ないか」
自分の考えを慌てて打ち消し、俺は大きく溜息をついた。
椅子の背もたれにかけていた上着のポケットの中で、スマホが振動する。
『亜利馬! 先日は撮影お疲れ様~! 亜利馬の完璧な女装姿を見て、新しいグッズ開発のインスピレーションが沸いたよ! また近いうちに会おうね! 獅琉様によろしく~!』
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