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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

バイト面接

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あれからフェアリーガーデンの経営は軌道に乗り客足が途絶える事無く忙しく稼働していた。
心配していたもふもふも慣れてきたのかくつろぐ様子が増えてきた。

「はい、1泊ですねー。前払いとなってます………はい確かに、お預かりしますね!」

今日の受付はスイだった。
大人しくを条件にもふもふはカウンターの中の椅子にひざ掛けを敷いて丸くなっている。
今日のお客が5人目、お宿の方も繁盛していた。

なんと言ってもあの豪華な部屋にクリスティーナの食事が付いて、まだ安価な金額。
手が出せない客も1度は泊まるためにと金策に走っている人もいるようだ。
1泊限定のスイートルームも毎日埋まっている状態にクラメン達はにんまりと笑っていた。

そして今日はバイト面接の日、その面接が今日午後から始まるのだ。
5人採用、落ちた場合はまた募集を掛けるらしい。

「どんな人たちでしょうかね。」

リィンがカウンターの外から聞いて来た。
ニコニコニコニコ。
スイも釣られてニコニコニコニコ。

「動物好きなら嬉しいです!」

「もふちゃん本当に好きですもんね」

「そりゃ、もう!見てくださいクリクリおめめ!手もふにふにです!お尻もすぐフリフリしてまん丸がまたいいんですよねー!」

えいえい!と寝てるもふもふのお尻を触ったらびっくりして起き上がりスイを見た。
スイだとわかったもふもふは、向きを変えて頭を撫でろと主張。
撫でる。
もふもふもふもふもふもふもふもふ………………

「‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼あぁぁぁぁ!」

可愛さに崩れ落ちた。
最近はこれが普通になり、クラメンは生暖かく見守っている。
その証拠に少し遠くにいるデオドールがあらあら、と頬に手を当てて笑っていた。




さぁ!バイトの面接だ!!

面接に来たのは男性6人、女性4人の計10人だった。
採用は5人、面接人数は10名までの募集である。

1階のスイたちが使う部屋の並びに有る空き部屋へと1人ずつ呼び面接が開始。
面接官はカガリとセラニーチェ、ナズナとタクである。
カガリとセラニーチェは適性を、ナズナとタクがフェアリーロードに馴染めるかの確認だ。
スイは受け付けの為いません、残念!

ちなみに、バイト内容はお宿に3人、食堂に2人。
クリーン必須で臨機応変に動ける人だ。
色々あるから、フェアリーロード。



「初めまして、よろしく」

1人目、爽やか男性。

「よろしく、どっち希望か聞いていいか?」

「どちらでもいいです。あ、クリーン使えますよ。」

ここでバイトしたくて取りました、と笑って言った男性はキラキラと笑っている。
ちなみに、接客は元々リアルでの仕事の為慣れてると言いカガリとセラニーチェが目を付けた。
ポイント高い。

色々話を聞いたが終始爽やかな男性が地で行くような感じだ。

「うん、じゃナズナ、タクからは何かある?」

セラニーチェが聞くとタクは真っ先に聞いた。

「奏者スイをどう思う?」

真剣な様子に、男性も表情を引き締めた。
これは………ためされてる!

「……………正直驚きました、奏者の動きでないし完全支援が高火力をだしたので。」


「……………スイを見た第一印象は?」

「…………………綺麗で可愛い子だな、と。」

「さいっよう!!!」

タクが立ち上がり声高らかに行った瞬間、ナズナの高速ハイキックがタクの謂れもしれぬあの場所へと繰り出された。

「アッーーーー!!!!」

悶絶するタク。
それを見て青ざめる男性。
ナズナがチラッと見て足をシュッシュッシュッとしている。

「反応見た。ナズナからは何も無い。」

「よし、じゃあ面接終わり。外で待ってて。あ、はいこれ」

前屈みに立つ男性にセラニーチェが渡したのは小さな白い箱だった。
ケーキが一人分入っている。
クリスティーナお手製絶品チーズケーキだ。
軽く震える男性にセラニーチェは目もくれず外へと誘導、鬼畜である。
扉を開けて外に送り出した男性は青ざめていて、待機していた面接待ちの人達がギョッとしている。

「次どうぞー」

呼ばれたのは女性だった。
青ざめている男性をチラチラ見ながら不安げに入室。

椅子に座った女性は4人を見て気を引き締めた。
聞かれたことは大体男性と同じである為、返事はスムーズ。
そして、運命の時が来た。

「奏者スイをどう思う?」

「………………………チーター並の強さだと。どうやったらあんなに強くなれるのかわからないけど私もミドリチームでバフの恩恵をうけました。凄かった……!高ランカーフェアリーロードの宿だからって言うのも有るけど、あの人と話をしてみたいと思います。」

なかなかの好印象。
4人もちょっと嬉しそうにしている。
いきなりナズナが立ち上がり女性の前に立つ。
そして……………………

むにゅり…………
あはぁぁぁぁぁああん♡

「っきゃぁぁぁああ!!!??」

胸、鷲掴み。
むにゅむにゅ。
フェアリーロード、誰一人として動揺なし。
そして外にいる面接待や客たちは突然の悲鳴に飛び上がる。

「………………………なかなか。」

「満足したぁ?ナズナ」

「……………うん。」

セクハラである。
胸元を隠してナズナを見る女性、ナズナは首を傾げ「ごめんね?」と言うと小さな少女特有の可愛さに顔を赤らめながらも苦笑して頷いた。

退出を促された女性は立ち上がった時に振り返りカガリを見る。

「あの、採用されたら私も犬を連れてきていいですか?1人になっちゃうので…」

その言葉にカガリとセラニーチェの目が光る

「ペット取ったのか?」

「はい、動物が好きなんです!ここペット居るのも決め手でした!」

「連れてくるのは大丈夫よ。広場も作ったしね」

嬉しそうに笑った女性に、セラニーチェは同じくケーキを渡し外に出るよう促した。
そんな女性を見てナズナが一言。

「反応、対応、臨機応変なかなか。」

「そんな確認の仕方あるかよ。GMコールないだけラッキーだぞ?」

呆れて言うカガリにタクが頷くと、タクの一点をじっと見る。
慌てて手で隠すタクに素振りを始めるナズナ。

「………………まぁ、これも慣れてもらう1つだよなぁ」

コミュニケーションと締め括るカガリは面接した2人を思い出していた。

次々と呼ばれて入っていくプレイヤー達。
何かしらの激しい反応を見せる様子に全員が不安を煽られていく。
悲鳴は勿論大事なアソコを抑え悶絶しながら出てきたプレイヤーもいたのだ。
全て大魔王、ナズナ様の仕業である。
そして外ではクリスティーナやスイ、イズナといったホールでお仕事中のクラメンが待機中どんな行動を取っているか見ていた。
もふもふ広場へと足を向ける人は好印象である。
バイトを含め全員で今後ペットのお世話をする為動物好き歓迎なのだ。









「うぅーん、論外もいたけどなかなかね。」

明らかにフェアリーロードの恩恵を受けたい人やスイに嫌悪感を表す人もいた。
そんな時は大なり小なり大魔王、ナズナ様が降臨していたが今回の面接は結構良かったと4人で話す。

「じゃあ、この5人で。」

選ばれた5人の詳細が書かれた紙に決定の判子を押した。
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