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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

お茶会

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無事バイト採用、インができる日やバイトできる日等は事前連絡。
シフトを組むわけにはいかないため、連絡してね。ただし、あまり来なかったらその時点で採用取り消して新しい人募集するよ。
と、伝えられ5人はその場で解散となった。
次の日から2人出勤、お宿と食堂に1人ずつ。
仕事は順調らしく少ない人数で捌いている。


「クリスティーナ、なんかクッキーとかあるかな?」

「あるわよー、食べる?」

中華フライパンをザッザッ!と振り青椒肉絲を作るクリスティーナは振り返り言う。

「食べるー!リィンさんとお茶会するの」

「あら、ずるぅーい!後で行っていい?」

「勿論いいよー」

お皿に青椒肉絲を入れてセット完了。
トレーにはアンティーク調の食器で揃えられチャーハンに青椒肉絲、餃子にスープが置いてある。
日替わりデザートに杏仁豆腐も添えられていた。

「はい、おねがーい!」

「はい!」

あの時ペット連れてきていい?と聞いた女性である。
パッ!とトレーを持ちそのままカウンターへと持っていく。
番号を打ち込み電光掲示板に表示された番号の半券を持つプレイヤーが颯爽と現れトレーを持って行った。

流れは覚えしっかりと仕事をこなしているその様子をクラメン全員が満足そうに見ていた。

ちなみに、連れてきたペットはまさかの真っ白ペキニーズだった。
まったりとした大きめペキニーズは他の犬に人気でそのペキニーズ、わたあめに付いていく子が後を絶たない。
残念ながら、もふもふと茶太郎は別だが。
それでも仲良く寄り添って遊んでいる様子にほっこりとする。

ペキニーズ万歳!!

「はい、焼き菓子1式だよー」

大皿に盛られた各種クッキーにマドレーヌやフィナンシェ。
バター特有の香ばしい匂いにスイは顔を蕩けさせた。
それに大きなポットに入っている紅茶に温められたカップ。
そして小さなお皿にもこれまたクッキーが置かれている。

「これはモフちゃん用だよ。添加物無しの犬用クッキー作ってみたから食べさせてみてー。まだペットショップ始まってないから無理はさせないでねー」

「わぁ、いっぱいだ!ありがとう!」

「いってらっしゃい」

あ、モフちゃん用水!と浅めの皿に水を並々、他にも小さめケースにおかわりの水と氷を入れてわたされた。至れり尽くせりである。
フリフリとクリスティーナが手を振ってお見送り、また後でね!と分かれてリィンと合流した。




「リィンさん、おまたせしました」

「あ、スイさん!わわ!凄い量ですね!…あら?これは?」

小皿と水を指さし言うと、もふもふ用に準備してくれた事を伝えた。

「そうなんですね!じゃあ、私トレー持ちます!」

受け取りニッコリ笑うリィンにスイは頷きもふもふを呼びに行った。
ここにはペットを預けてご飯を食べる人や食べ終わりペットと触れ合いたくて手を伸ばす人もいる。
チワワやポメラニアンはやはり人気だ。

「もふー」

茶太郎とまったりしていたもふは呼ばれて反応、すぐに振り向いた。
しゃがんで手を伸ばすスイに喜んで走りより腕に擦り付く。
それを見たプレイヤー達はもふもふに手を伸ばすがちょっと威嚇している様子だ。
人見知りするのである。

「すいません」

ペコっと頭を下げて抱き上げると、プレイヤー達は羨ましそうに見ていた。
実はこのペット、飼い主以外本当に懐くまで他人に抱っこはさせないのだ。
懐き度で頭やお腹足やお尻など触らせる範囲が変わる。

「茶太郎、もふ見ててくれてありがとうね」

茶太郎と一緒にいた為声を掛けると、茶太郎はこっちを向きわふっ!とないた。
尻尾がパタパタと揺れている。

……………………かわいい、いつかあの全身をもふってやる

「お待たせしました」

「行きましょうか」

リィンがもふを見てからニッコリと笑った。
触りたいけどトレーをもってるので我慢。
そんなもふもふはトレーをガン見していた。









「どうぞ」

ガチャと扉を開けてリィンを部屋へと入れる。
綺麗に整頓されているソファへと促し、テーブルにトレーを置いてもらった。
対面に座ったスイはもふもふを隣に下ろす。
体をぺったりとくっ付けて座るもふもふをひとなでしてから紅茶を入れた。

「あれから何かあったりしました?」

「んー……クエストにいきなり誘われたりクランに入れって言われたりはありました。」

急に前に立たれたり呼ばれて一方的に言われたりが多かったと、お砂糖を混ぜながら言った。

「大丈夫でした?」

「はい!あんまりしつこかったら言われた通りに1発いれたりGMコールしました。」

私、小心者なんでGMコールした後暫くなんだか怖くて震えが止まりませんでした。と苦笑しながら言った。

でも、

「でも、もふを盗られそうになった時は遠慮なく吹っ飛ばしてGMコールしました!」

「……………え?もふちゃんが、盗られそう?に?」

「はい!許せません!」

もふもふを持ち上げギューッと抱きしめるともふもふは嫌そうな顔をしたが離れたりはしなかった。

実はペット(愛玩用)を手に出来たのは報酬のためミドリチームの半数くらいなのである。
その為ゲーム人口からはかなりの少数であり、ペットを欲しがる人が盗難をしようとする人が続出している。
フェアリーガーデンはセキュリティがしっかりしている為盗難はないが、外では実際に盗難が頻繁になってきていた。

「…………そうだったんですね」

「モフっ子動物は偉大ですからわかりますが、盗難はダメです、断固反対」

なにか対策されるんでしょうか…とクッキーを食べながらリィンは考え込んだ。
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