婚約破棄されたので国家に反旗を翻す ~許してください? そんな事よりもお前の国を明け渡せ~

かざはなよぞら

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第四十三話

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 ――レオン

 レオンは王都の市街地で、市民たちを避難誘導をしながら王城の方を見ていた。

「どうなってやがる……アリシア」

 王城から突然、鉄の塊が飛んで来たと思ったら、民家を破壊してしまった。
 兵士たちの調査によるとそれが、鉄の弾であることは分かったが……それくらいしか分からない。
 理屈としてはマスケット銃と同じ類いのモノを投石器と同じ想定で作られた兵器なのだろう。問題はよりにもよって狙いの矛先が……軍に向けられていない。
 むしろ……。

「連中の狙い、王国民たちか」

 レオンは唾を吐き捨てる。
 くだらない! あまりにも、卑劣だ!

「これじゃあ、どっちが国民のために戦ってるのか分かりゃァしねェ!」

 レオンはグッと手を握りしめた。
 アリシアは、国の未来を考えて総合的に行動していたのに対し、王国側は今をどうにかするために守るべき国民たちを犠牲にしようとしている。
 貴族、並びに王族は、領民達が戦から守るために税金を徴収し、法を決めている。
 だからこそ、戦に負けて、領民が犠牲になることは、何よりも重い重罪なのだ。
 だというのにもかかわらず、その禁じ手タブーを犯した。

「初めっから王都に向けて、武器を向けてたってことは初めっからどいつもこいつも、周り巻き込んで脅す気満々だってオチかよ! くっだらねェ!」

 レオンは知っている。
 王国の貴族たちや王族たちの腐敗っぷりを。
 だが、ここまでとは思わなかった。

「……いや待てよ。考えろ、俺。なんでアイツら一発だけ鉄の弾を撃ってきたんだ?」

 レオンたちを一網打尽にしたければ、もっと大量の謎の新兵器を使って攻撃すればいい。
 だが一発だけだ。
 アリシアが止めたのか?
 それとも、まだ戦は終わっていない?
 ……ならば。

「アリシアへの見せしめかッッッ!!!」

 クソッ! レオンは頭を屋台の柱に向かって叩き付けた。
 これが。
 よりにもよってこれが王国軍の切り札なのか……!
 考えるに、アリシア一人を躊躇させるために、この武器を見せ付けたのだろう。
 レオンが怒りをぶつけている最中、ユリゼンが一人、走ってくる。

「フォルカード公子様!」
「ユリゼン! どうした!?」

 汗を拭い、呼吸を整えるユリゼンは、アリシアと同行していたハズである。
 しかし、なぜ彼が別行動を取っているのか。

「野砲なる新兵器をこっちに向けているっす……! アリシアは国民たちを人質に取られながら、戦ってるっす!」
「読み通りかよ。最悪だな……!」

 レオンは頭を捻る。
 ここは敵の意に沿わせては駄目だ。
 全ての民を、王都から退避させる?
 いや、王都内にはどれだけの人間が暮らしていると思っている。
 新兵器とやらを総出で止める?
 いや、詳しい内容は分からないが、王城内でも兵士たちが必死に探しているだろうし、王都内にも忍ばせてある可能性がある。
 どう、策を取れば……。

「クソ……ここまで来て手詰まりかよ!」

 あまりの悔しさのあまり、レオンは壁を殴りつけた。
 ここまで来て。
 アリシアの野望が頓挫するというのか!
 悔しさのあまり歯噛みしているレオンに――ユリゼンは胸ぐらを掴んできた。

「おい! バカ公子!」
「ユリゼン……?」
「いいか!? あの鬼畜お嬢様はお前のために頑張ってるんだぞ! 女のクセに戦ってるんだぞ!」
「俺の……ためだァ?」
「そうだよ! てめえに当たるかもしれないって! 被害が及ぶかもしれないって! 命張って戦ってんだよ!」

 命を……張って。
 暴言はさておき、ユリゼンはらしくない態度でレオンに突っかかってきた。

「手詰まりかどうか、ちゃんと最後まで考えろよ! てめえらが始めた戦争だろうが!」

 そう。
 レオンはアリシアが面白いことを始めたから、付いてきた。
 つまらなくて、空虚な毎日を抜け出す新鮮な毎日を与えてくれる光……それがアリシアだった。
 だから、レオンはその影として、おかしい話には飛びつくと決めたのだ。

 レオンはゆっくりとユリゼンの手を掴む。

「策なら、ある」

 ユリゼンはその言葉を待っていたと言わんばかりに、頷いた。

「なら、何するっすか。オレ、なんでもやるっすよ」
「そりゃ、良い。なら王城内に国民たちを避難させる!」
「! それなら王都から離れるよりも近いですし、さすがに野砲を向けていない……!」

 ならば話は早い。
 すぐに行動して、アリシアが少しでも有利になるように動かねば。

「総員! 全力で王城へ避難誘導しろ!」
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