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第4話 ハードル高すぎ
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しかも、その静嵐はイケメンでちょっと浮世離れした感じの、声の掛けにくいタイプだ。図書館ではなく教室やキャンパス内を普通に歩いていれば、女子にきゃあきゃあ言われるタイプだ。そんな相手に、親しく呼びかけろと。しかも下の名前で。
「いやいや、寺本先生。ハードル高すぎるでしょ」
せめて名字と思いながらも、こそっといつもいる辺りを覗いてみる。やはり、静嵐青年は今日も窓辺の閲覧場所で本を読んでいる。今日は何を読んでいるのか。読んでいる本をダシに声を掛けてみようか。そう思うが
「めちゃくちゃ緊張するじゃん」
声を掛けるって、難しい。それもしんと静かな図書館でだ。無理無理と、愛佳は溜め息を吐く。
そりゃあ気になるし、向こうも気にしてくれているらしいし、どうやら友達になりたいだけみたいだしと、声を掛けてもいいかなとは思う。思うけど、だ。
「と、取り敢えず本を探してからにしよう」
問題を棚上げし、愛佳はいつものように歴史関係の本が並ぶ棚に向かった。ともかく、気持ちを落ち着ける必要がある。まだ声を掛けてすらいないのに、心臓がばくばくと音を立てていた。
「はあ。静嵐か」
意外な形で青年の名前を知ることになり、愛佳はつい考えてしまう。しかも憧れの寺本から話し掛けられ、持ち掛けられた話だ。
「ん? ということは、寺本先生の知り合いってことよね。それも親しい。親子ってはずはなさそうだから、親戚とか?」
顔のタイプが違うから、親子ではなさそうだ。しかし、心配してお節介を焼いたのは確実。静嵐のことを奥手だと評価していたし。
ということは、叔父さんあたりだろうと思う。なるほど、甥っ子がずっと図書館にいて友達を作れないことに業を煮やして、それでお節介を焼くことにしたのか。
「ううん。でも、どうして私なのよ。そりゃあ、近くをちょろちょろしてたかもしれないけど。いや、してたけど」
愛佳はぶつぶつと小さく文句を言いつつ、本棚の書名を忙しく目で追い掛ける。
「あ、これ」
そうしていると、気になっていた本を発見した。すぐにそれを手に取り、中身を確認する。そうそう、ここが知りたかったのよと、愛佳はすぐに本に夢中になっていた。
そんな愛佳の背中を、静嵐がじっと見ていたことなど、当然ながら気付かなかったのだった。
そうして声が掛けられないまま、愛佳は一応気にしつつも、無理無理と思い続けて一週間後。
たまたま、本に没頭してしまって帰るのが遅くなった日のことだった。顔を上げると、図書館の中には本当に数人しかいない。ほとんどの人が帰った後だった、夜の7時頃のこと。
「あっ」
まだ、静嵐が同じ場所で本を読んでいた。向こうはまだ読み終わっていないのか、真剣に本を読んでいる。
「いやいや、寺本先生。ハードル高すぎるでしょ」
せめて名字と思いながらも、こそっといつもいる辺りを覗いてみる。やはり、静嵐青年は今日も窓辺の閲覧場所で本を読んでいる。今日は何を読んでいるのか。読んでいる本をダシに声を掛けてみようか。そう思うが
「めちゃくちゃ緊張するじゃん」
声を掛けるって、難しい。それもしんと静かな図書館でだ。無理無理と、愛佳は溜め息を吐く。
そりゃあ気になるし、向こうも気にしてくれているらしいし、どうやら友達になりたいだけみたいだしと、声を掛けてもいいかなとは思う。思うけど、だ。
「と、取り敢えず本を探してからにしよう」
問題を棚上げし、愛佳はいつものように歴史関係の本が並ぶ棚に向かった。ともかく、気持ちを落ち着ける必要がある。まだ声を掛けてすらいないのに、心臓がばくばくと音を立てていた。
「はあ。静嵐か」
意外な形で青年の名前を知ることになり、愛佳はつい考えてしまう。しかも憧れの寺本から話し掛けられ、持ち掛けられた話だ。
「ん? ということは、寺本先生の知り合いってことよね。それも親しい。親子ってはずはなさそうだから、親戚とか?」
顔のタイプが違うから、親子ではなさそうだ。しかし、心配してお節介を焼いたのは確実。静嵐のことを奥手だと評価していたし。
ということは、叔父さんあたりだろうと思う。なるほど、甥っ子がずっと図書館にいて友達を作れないことに業を煮やして、それでお節介を焼くことにしたのか。
「ううん。でも、どうして私なのよ。そりゃあ、近くをちょろちょろしてたかもしれないけど。いや、してたけど」
愛佳はぶつぶつと小さく文句を言いつつ、本棚の書名を忙しく目で追い掛ける。
「あ、これ」
そうしていると、気になっていた本を発見した。すぐにそれを手に取り、中身を確認する。そうそう、ここが知りたかったのよと、愛佳はすぐに本に夢中になっていた。
そんな愛佳の背中を、静嵐がじっと見ていたことなど、当然ながら気付かなかったのだった。
そうして声が掛けられないまま、愛佳は一応気にしつつも、無理無理と思い続けて一週間後。
たまたま、本に没頭してしまって帰るのが遅くなった日のことだった。顔を上げると、図書館の中には本当に数人しかいない。ほとんどの人が帰った後だった、夜の7時頃のこと。
「あっ」
まだ、静嵐が同じ場所で本を読んでいた。向こうはまだ読み終わっていないのか、真剣に本を読んでいる。
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