今日初対面の令嬢に嫌がらせをしていた事を理由に婚約破棄を宣言されましたが、そちらがその気なら好きにさせていただいても良いですよね?

弥生

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婚約破棄編

第十八話

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 婚約破棄宣言舞踏会から1週間経過した頃、アリシアの通う学校の中庭で昼食を取る4人の姿があった

「それにしてもお前はえげつない事するよな、ハニートラップ名人の美貌を奪うとか最も残酷な方法だろ?」
 舞踏会の招待客の1人で一部始終を目撃していた侯爵令息のイーサン・ライト様が口を開く

「そう言えばクロエ様は舞踏会の日以降学校に来ていないようですが、ショックで閉じ籠っているのでしょうか?」
 そう言ったのは伯爵令嬢のエリー・コールマン様
「いや、それもあるかも知れないがクロエ・カーター嬢はそれどころでは無いだろう」
「どう言う事ですか?」
「舞踏会でアリシア嬢から受けていたとでっち上げた嫌がらせの内容だが、調査の結果そのままクロエ嬢が気に入らない生徒に行っていた事と一致したんだよ」
 そう答えたのは公爵令息のレオン・テイラー様

 「叩けば埃がいくらでも出る状態で事実確認だけでも時間がかかっているようですよ」
 私も補足をする、お兄様からこの話を聞いた時は本当に呆れた、階段落としとかそんな大立ち回りを演じて今までバレなかった方が不思議だ

「そうだったのですか、そのような事があったのなら例え退学にならなくてももう戻って来れないでしょうね…」
 エリー様はそう言うが、あれだけ面の皮が厚い令嬢だったら学校が許せば戻って来る可能性があるのではないだろうか?

「校則違反とは訳が違う、学校側も処分をしない訳にはいかないだろう」
 レオン様の言うように良くて傷害罪、下手をすれば殺人未遂だ…しかもイジメを受けていた生徒の中に多額の寄付金を学校に入れている貿易商の娘さんがいた、クロエ様も終わったのではないだろうか…

「クロエ様もされる事が雑ですよね、一般科と特進科は敷地が違うから行くだけでも休み時間が終わってしまいます、私が彼女に嫌がらせをする事など不可能ですよ」
 私は皆勤賞が狙える位には授業に真面目に出席しているし遅刻や早退も無い、調べればすぐに分かる事だ

「昼休みは大概この4人で昼食を取っているしな、しかも階段から落とされたとか言った日はエリー嬢と一緒に次の授業の準備をしていたのだろう?」
 本当に理解が出来ないと言いたげなレオン様
「はい、その日は化学で使用する器材の準備をする当番でしたわ、化学準備室にいた担当教師のマイセン先生も証言して下さりました」
「あの遅刻や欠席に厳しい先生が言うのだから説得力あるよな」
 少し青ざめた顔をしたイーサン様、彼は30秒遅れただけで欠席扱いされた事があるから無理も無い

「でもクロエ嬢のあれ…元に戻す方法を知らないと言うのはウソだろう?」
「当然ですよ、解除する方法も無い術をかけるなんて危険な事しませんから…」
 ニヤニヤしながらそう聞いて来るイーサン様に私は答える

「美しい心を持ち自分の過ちを悔い改めれば元に戻る、とかですか?」
 エリー様は穢れていない、詐欺師男爵令嬢とは大違いだ
「それだと戻す方法が無いに等しいだろう」
 レオン様の指摘も尤もだ、そのような条件だったら老衰で死ぬ方が早いかも知れない
「もっと簡単な方法ですよ、私が術を取り消すとクロエ様に言霊をかければ良いのです…つまり私の気が済むまでです」
「それが一番望みが薄いだろ」
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