今日初対面の令嬢に嫌がらせをしていた事を理由に婚約破棄を宣言されましたが、そちらがその気なら好きにさせていただいても良いですよね?

弥生

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婚約破棄編

第十九話

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 クロエ様のその後について話をしていた日の夜、お父様宛に第一王子と第三王子からの書簡が届いた事をライアンお兄様から知らされた
 「どちらもお前に対する求婚?の手紙だな」
 何で私に対する求婚を当事者の私が父と兄より後に知らされる、百歩譲って父宛に手紙が先に届いたとしても、何故その次に読んでいるのが私ではなく兄なのだ …そして求婚の後のクエスチョンマークは何だ?

「王族も大変ですね、弟や兄の尻拭いで政略結婚とか…」
「それはどうだろう、内容を見た限りではお前自身に興味を持っているようにも見えるのだが…読んでみるか?」
 そうは言ってもこういう手紙はお世辞や美辞麗句が並べられているものだ

『親愛なるアリシア嬢へ

 君の言霊使いとしての才能と術中そして敵と見なした相手に対する容赦の無さ、感服したよ。
 正直弟には勿体無く思う婚約が白紙になったのなら私はどうだろうか?
 共にこの国から身の程知らずの痴れものを根絶しようではないか、きっと素晴らしい国になるぞ、考えてみてくれ。

 第一王子 ブラック・キャンベル』

『麗しのアリシア様へ

 舞踏会の夜に僕は恋に落ちました…アリシア様は本当に素敵な御令嬢です、どうか僕にも言霊をかけては下さらないでしょうか?
 アリシア様に豚野郎と呼ばれたい…アリシア様に生ゴミを見るような目で見られたい…アリシア様の椅子になりたい…
 グレイ兄上との婚約が破談になったのならどうか僕との結婚を考えて頂けないでしょうか?

 第三王子 ホワイト・キャンベル』

「…この国の行く末は暗いですね」
「…そうだな」
 あのヘタレ第二王子が一番まともな性癖だったとは…と言うより誰もこの手紙を検閲しなかったのだろうか?
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