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わたしは見てはいけないものを見てしまった
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怪人物その二であるところのケモミミ美少女。
髪は白く頭から揺らめく陽炎のような狐の耳、腰からは同じく揺らめく陽炎のような尻尾がある。
果たして人間かと問われれば間違いなく人間であろう。先ほどの虫男よりははるかに人間であろう。
だが普通の人間ではない。
もし普通の人間であるならばこれはドッキリということになり、わたしとしては非常に歓迎する展開である。
さあ、今すぐドッキリのプレートをもった某は出てきてネタバラシだ。
しかし、待てど暮らせどそんな都合の良いことはないようす。いつまでたってもネタバラシには出てきてくれない。
「…………」
黙ってわたしを見つめるばかり。
もしやただ獲物を取り合っただけなのかもしれない。その鋭い爪か牙でわたしは食らいつかれてしまうのか。
ああ、もう終わりか、我が人生、悔いばかり。
恥の多い生涯を送ってきましたと今更ながらに告解すべきか。
おお、神よ、一体わたしがなにをしたというのか。
そう聞けば、きっと何もしなかったといわれるかもしれない。
そんなわたしであるが、どうやら神は見捨てなかったようだ。
神は死んだとツァラトゥストラはかくと語ったようであるが、神はまだいるようである。
その時、わたしに垂らされたお釈迦様の蜘蛛の糸、ぐぅ~とそんなアニメの中でしか聞かないような音がわたしの耳朶を打った。
「…………」
「…………」
そう、腹の虫の音である。空腹時、突如として鳴り響く腹減ったの合図だった。
無論、それはわたしのものではない。わたしはつい先ほどラーメンを食べてきた帰りである。
おいしいとんこつラーメンは筆舌に尽くしがたい。
ここでとんこつラーメンのすばらしさについてとうとうと語ることも出来るかそれはまた別の機会にして話を進めるとしよう。
腹の虫を鳴らしたのはもちろん目の前の人物である。
「…………」
ほんのりと紅潮した頬がその証拠。
少し可愛いと思ってしまったものの、危険かもしれない状態を打開していないのだから堪能はできそうにない。
だからこそ逆転の一手、蜘蛛の糸を昇らなければ。
でなければ、わたしが餌として食われるかもしれない。怪人虫男も食うと言っていた。
目の前の人物がわたしを喰わない保証はどこにもないのである。
「い、一緒にラーメンでも食べませんか! 奢りますよ!」
よく言ったわたし。
しかし、よりにもよってラーメンとは。わたしのセンスはまったくもってなっていないようである。
それでも二十年の生涯の中で最も勇気ある行動であろう。初めて月面に一歩を踏み出したニール・アームストロングの如き偉業である。
なにせ目の前の人物は女性である。ケモミミ美少女という属性は、少なくとも女性というカテゴリであろう。
男のわたしとは違う柔らかそうなお胸や体型がまさしく女性そのものである。
彼女いない歴イコール年齢な我が身。もちろん女性と話すことも苦手である超奥手なわたしにとって、女性を食事に誘うだけでも大偉業である。
NASAに行き、わたしが宇宙飛行士になり、宇宙に行くくらいの可能性である。つまり不可能ということだ。
「行きます!」
どうにもならない可能性もあったがわたしは賭けに勝ったようである。
駄目元で言ってみるものだ。
「よ、よし、では行こう」
「あ、少し待ってください、先輩」
「ん、先輩?」
刹那、彼女の姿が変わり果てる。
白く長かった髪は短くなり、非人間の象徴的耳と尻尾は消え失せている。まさしく陽炎のごとしとはこのことだろう。
そこにいたのはわたしが知っている人物であった。
「伊津野さん……?」
「はい、そうですよ。ただ先輩、づではありません、つです」
これが知っているようで知らない後輩との初会話であった。
髪は白く頭から揺らめく陽炎のような狐の耳、腰からは同じく揺らめく陽炎のような尻尾がある。
果たして人間かと問われれば間違いなく人間であろう。先ほどの虫男よりははるかに人間であろう。
だが普通の人間ではない。
もし普通の人間であるならばこれはドッキリということになり、わたしとしては非常に歓迎する展開である。
さあ、今すぐドッキリのプレートをもった某は出てきてネタバラシだ。
しかし、待てど暮らせどそんな都合の良いことはないようす。いつまでたってもネタバラシには出てきてくれない。
「…………」
黙ってわたしを見つめるばかり。
もしやただ獲物を取り合っただけなのかもしれない。その鋭い爪か牙でわたしは食らいつかれてしまうのか。
ああ、もう終わりか、我が人生、悔いばかり。
恥の多い生涯を送ってきましたと今更ながらに告解すべきか。
おお、神よ、一体わたしがなにをしたというのか。
そう聞けば、きっと何もしなかったといわれるかもしれない。
そんなわたしであるが、どうやら神は見捨てなかったようだ。
神は死んだとツァラトゥストラはかくと語ったようであるが、神はまだいるようである。
その時、わたしに垂らされたお釈迦様の蜘蛛の糸、ぐぅ~とそんなアニメの中でしか聞かないような音がわたしの耳朶を打った。
「…………」
「…………」
そう、腹の虫の音である。空腹時、突如として鳴り響く腹減ったの合図だった。
無論、それはわたしのものではない。わたしはつい先ほどラーメンを食べてきた帰りである。
おいしいとんこつラーメンは筆舌に尽くしがたい。
ここでとんこつラーメンのすばらしさについてとうとうと語ることも出来るかそれはまた別の機会にして話を進めるとしよう。
腹の虫を鳴らしたのはもちろん目の前の人物である。
「…………」
ほんのりと紅潮した頬がその証拠。
少し可愛いと思ってしまったものの、危険かもしれない状態を打開していないのだから堪能はできそうにない。
だからこそ逆転の一手、蜘蛛の糸を昇らなければ。
でなければ、わたしが餌として食われるかもしれない。怪人虫男も食うと言っていた。
目の前の人物がわたしを喰わない保証はどこにもないのである。
「い、一緒にラーメンでも食べませんか! 奢りますよ!」
よく言ったわたし。
しかし、よりにもよってラーメンとは。わたしのセンスはまったくもってなっていないようである。
それでも二十年の生涯の中で最も勇気ある行動であろう。初めて月面に一歩を踏み出したニール・アームストロングの如き偉業である。
なにせ目の前の人物は女性である。ケモミミ美少女という属性は、少なくとも女性というカテゴリであろう。
男のわたしとは違う柔らかそうなお胸や体型がまさしく女性そのものである。
彼女いない歴イコール年齢な我が身。もちろん女性と話すことも苦手である超奥手なわたしにとって、女性を食事に誘うだけでも大偉業である。
NASAに行き、わたしが宇宙飛行士になり、宇宙に行くくらいの可能性である。つまり不可能ということだ。
「行きます!」
どうにもならない可能性もあったがわたしは賭けに勝ったようである。
駄目元で言ってみるものだ。
「よ、よし、では行こう」
「あ、少し待ってください、先輩」
「ん、先輩?」
刹那、彼女の姿が変わり果てる。
白く長かった髪は短くなり、非人間の象徴的耳と尻尾は消え失せている。まさしく陽炎のごとしとはこのことだろう。
そこにいたのはわたしが知っている人物であった。
「伊津野さん……?」
「はい、そうですよ。ただ先輩、づではありません、つです」
これが知っているようで知らない後輩との初会話であった。
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