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4章・真意と挑戦篇
25話・頂きを目指して~復讐のプロジェクト始動(Act1)
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優夜の納骨された寺では元カノの浅羽美歩と復讐のターゲットである杉川莉乃がいた。
「私に何の用があるの?」
「またまた惚けちゃって、今日ね、白城東の理事長からパパに連絡があってね。私の可愛いペットがまた一人退学届けを出したの。陽菜に続いて冴優がね」
「何のことかさっぱろ分からないわ」
強気に言い返す美歩に対して、杉川が笑いながら美歩を突き飛ばした。
「あんた、あまり調子乗るんじゃないわよ。最近、うちの財閥の脅かすような動きしてるのは知ってんのよ」
「私は正しいことの為にお金を使う。その家の教えを守ってるだけよ」
「やっぱり、学年TOP5に入る秀才で美人で物腰も柔らかい女子ってモテるのね」
「あら、あなたもTOP10には入る頭脳と財閥令嬢の肩書でモテてるとは思うけど」
その言葉に莉乃はピクっとして美歩の首を掴んで絞める。
美歩は首を絞められて呼吸が出来ない。
「ぐっ、うっ」
「いっそのことここで殺しても良いのよ」
その光景を見た瞬間、黒夜はその場を飛び出した。
「こんなところで何をしているんですか? ここは喧嘩をするような場所じゃないですよ」
当然の黒夜が表れて莉乃は慌てて美歩の首を絞めている腕を退かした。
「げほっ、げほっ」
「運が良かったわね」
そう言うと莉乃は納骨堂を去った。
黒夜は美歩に近づき、呼吸が楽になるように背中をさすってあげた。
「大丈夫ですか?」
「ええ」
「この納骨堂に毎日のように来られているのを見てましたのでつい余計なことを」
「大丈夫です。私も本来は彼に顔向け出来る立場ではないので……」
「失礼ですが、彼氏さんの……」
「私が彼を自殺に追い込んでしまいました。彼を信じてあげることができませんでした」
「そう自分を責めないでください。少し外の風にあたりませんか。私でよければ話を聞きますよ」
そういうと美歩と黒夜は歩きながら話をした。
「実は彼、自殺前に色々と噂が流れていたんです。同級生に対する痴漢行為や泥棒行為など学校内での彼の行為が問題になった時期がありました。私はいつもみんなに愛されてると言われていても褒められるのは実業家の父の娘としてや日本舞踊に秀でた母の遺伝からの美しさで誰も私としての個性は見てくれませんでした」
「その個性を彼は?」
「君は星のように輝く笑顔と太陽のように暖かい優しい心を持っているように思う。初めて話した相手に言う言葉としては衝撃的でした。でも可愛いからという誉め言葉を使わずに私を褒めてくれたのは後にも先にも彼だけでした」
その言葉を聞いて黒夜は美歩がなぜ自分を選んでくれたのかが合点がいった。
彼女も悩みを抱えていた。
完璧というレッテルの中でしか存在を見られない窮屈さがあったのだと……
黒夜は特別彼女を意識したつもりはないが、彼女の持つ雰囲気に引き込まれたのは事実であった。
でも、その魅力に遠慮して自分の言葉を伝えきれていなかったことが彼女との信頼を得られずに彼女を逆に傷つけてしまったのかもしれないと黒夜は自殺した自分の弱さを感じていた。
今度こそ、彼女の為になりたい……
「あなたは死んだ彼を大切にしているし、自分の素を隠さずに伝えれている。死んだ彼もあなたをきっと許してくれていると思います。後ろ向きのあなたを彼は臨んでいないと思います」
「そうでしょうか」
「私はある理由から過去に捨てることにしましたが、あなたはまだ過去を振り返ることが出来る。どうか、彼の死を無駄にしないでください」
「私は、あの人が……優夜を追い詰めた杉川さんたちが許せなかった。何より自分を慕っている仲間すら切り捨てるあの女を許すことはできない」
その言葉に黒夜は耳傾けた。
美歩の気持ちは理解している。
彼女は思ったら、すぐに行動に帰る女の子だ。
うちの高校は財閥の御曹司や令嬢の集まりだ。
つまりは企業や財閥のバックアップを学校が受けていることは珍しくない。
今までは杉川財閥が学校を牛耳っていたが、優夜の死をきっかけに美歩が父親を動かしたのであろう。
美歩の父親は杉川財閥に対抗できる資金力と名声を持つ世界に名高い実業家であり、清廉潔白さでも有名な父親であった。そのもとで育った彼女に杉川の行動は美歩の大事なものを貶されたと言っても過言ではなかった。
自分が彼女に最後に出来ることは杉川財閥を頂点から引きずり下ろすこと、そして学園や経済界の未来を美歩に託すことだと心に誓った。
「すいません。先ほどあの女性との話で学校に対して支援をしていると聞いたのですが?」
「あ、私は特に何もただ父に私の彼氏がいじめを苦に自殺したと正直に伝えたら、学校生活の環境改善を訴え出てくれただけです。有名なカウンセラーの手配や在宅授業の推進などもホテル業に協力している関連企業を通じて父が斡旋してくれているんです」
「だけど、その学校改革の一翼を担うことをあの女性とその財閥は良く思っていない」
「親子から代々通っているみたいですから、杉川さんは」
「なら、私にも力を貸してください」
黒夜はメモに自分のプライベートをアドレスを書いて渡した。
「今度、お時間がある時にお父様の推進している事業についてお話を聞かせていただけますか。興味があるので」
「あ、でも父に直接取り次いだ方が?」
「お父様も年頃の娘さんがいきなり見ず知らずの男が現れたら良い気はしないでしょう。私にも少し時間をください」
(次回)
最後の大きな戦いが動き出す。
(筆者より)
いよいよ最終決戦です。
かなりの長期連載になるかと思います。
いままでは一方的に騙す、勝つで簡単に屈服させましたが、今回は女の欲や権力の争いも要素に含んでおります。
「私に何の用があるの?」
「またまた惚けちゃって、今日ね、白城東の理事長からパパに連絡があってね。私の可愛いペットがまた一人退学届けを出したの。陽菜に続いて冴優がね」
「何のことかさっぱろ分からないわ」
強気に言い返す美歩に対して、杉川が笑いながら美歩を突き飛ばした。
「あんた、あまり調子乗るんじゃないわよ。最近、うちの財閥の脅かすような動きしてるのは知ってんのよ」
「私は正しいことの為にお金を使う。その家の教えを守ってるだけよ」
「やっぱり、学年TOP5に入る秀才で美人で物腰も柔らかい女子ってモテるのね」
「あら、あなたもTOP10には入る頭脳と財閥令嬢の肩書でモテてるとは思うけど」
その言葉に莉乃はピクっとして美歩の首を掴んで絞める。
美歩は首を絞められて呼吸が出来ない。
「ぐっ、うっ」
「いっそのことここで殺しても良いのよ」
その光景を見た瞬間、黒夜はその場を飛び出した。
「こんなところで何をしているんですか? ここは喧嘩をするような場所じゃないですよ」
当然の黒夜が表れて莉乃は慌てて美歩の首を絞めている腕を退かした。
「げほっ、げほっ」
「運が良かったわね」
そう言うと莉乃は納骨堂を去った。
黒夜は美歩に近づき、呼吸が楽になるように背中をさすってあげた。
「大丈夫ですか?」
「ええ」
「この納骨堂に毎日のように来られているのを見てましたのでつい余計なことを」
「大丈夫です。私も本来は彼に顔向け出来る立場ではないので……」
「失礼ですが、彼氏さんの……」
「私が彼を自殺に追い込んでしまいました。彼を信じてあげることができませんでした」
「そう自分を責めないでください。少し外の風にあたりませんか。私でよければ話を聞きますよ」
そういうと美歩と黒夜は歩きながら話をした。
「実は彼、自殺前に色々と噂が流れていたんです。同級生に対する痴漢行為や泥棒行為など学校内での彼の行為が問題になった時期がありました。私はいつもみんなに愛されてると言われていても褒められるのは実業家の父の娘としてや日本舞踊に秀でた母の遺伝からの美しさで誰も私としての個性は見てくれませんでした」
「その個性を彼は?」
「君は星のように輝く笑顔と太陽のように暖かい優しい心を持っているように思う。初めて話した相手に言う言葉としては衝撃的でした。でも可愛いからという誉め言葉を使わずに私を褒めてくれたのは後にも先にも彼だけでした」
その言葉を聞いて黒夜は美歩がなぜ自分を選んでくれたのかが合点がいった。
彼女も悩みを抱えていた。
完璧というレッテルの中でしか存在を見られない窮屈さがあったのだと……
黒夜は特別彼女を意識したつもりはないが、彼女の持つ雰囲気に引き込まれたのは事実であった。
でも、その魅力に遠慮して自分の言葉を伝えきれていなかったことが彼女との信頼を得られずに彼女を逆に傷つけてしまったのかもしれないと黒夜は自殺した自分の弱さを感じていた。
今度こそ、彼女の為になりたい……
「あなたは死んだ彼を大切にしているし、自分の素を隠さずに伝えれている。死んだ彼もあなたをきっと許してくれていると思います。後ろ向きのあなたを彼は臨んでいないと思います」
「そうでしょうか」
「私はある理由から過去に捨てることにしましたが、あなたはまだ過去を振り返ることが出来る。どうか、彼の死を無駄にしないでください」
「私は、あの人が……優夜を追い詰めた杉川さんたちが許せなかった。何より自分を慕っている仲間すら切り捨てるあの女を許すことはできない」
その言葉に黒夜は耳傾けた。
美歩の気持ちは理解している。
彼女は思ったら、すぐに行動に帰る女の子だ。
うちの高校は財閥の御曹司や令嬢の集まりだ。
つまりは企業や財閥のバックアップを学校が受けていることは珍しくない。
今までは杉川財閥が学校を牛耳っていたが、優夜の死をきっかけに美歩が父親を動かしたのであろう。
美歩の父親は杉川財閥に対抗できる資金力と名声を持つ世界に名高い実業家であり、清廉潔白さでも有名な父親であった。そのもとで育った彼女に杉川の行動は美歩の大事なものを貶されたと言っても過言ではなかった。
自分が彼女に最後に出来ることは杉川財閥を頂点から引きずり下ろすこと、そして学園や経済界の未来を美歩に託すことだと心に誓った。
「すいません。先ほどあの女性との話で学校に対して支援をしていると聞いたのですが?」
「あ、私は特に何もただ父に私の彼氏がいじめを苦に自殺したと正直に伝えたら、学校生活の環境改善を訴え出てくれただけです。有名なカウンセラーの手配や在宅授業の推進などもホテル業に協力している関連企業を通じて父が斡旋してくれているんです」
「だけど、その学校改革の一翼を担うことをあの女性とその財閥は良く思っていない」
「親子から代々通っているみたいですから、杉川さんは」
「なら、私にも力を貸してください」
黒夜はメモに自分のプライベートをアドレスを書いて渡した。
「今度、お時間がある時にお父様の推進している事業についてお話を聞かせていただけますか。興味があるので」
「あ、でも父に直接取り次いだ方が?」
「お父様も年頃の娘さんがいきなり見ず知らずの男が現れたら良い気はしないでしょう。私にも少し時間をください」
(次回)
最後の大きな戦いが動き出す。
(筆者より)
いよいよ最終決戦です。
かなりの長期連載になるかと思います。
いままでは一方的に騙す、勝つで簡単に屈服させましたが、今回は女の欲や権力の争いも要素に含んでおります。
応援ありがとうございます!
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