初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

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第11章 それぞれの思い編

第66話 初恋の人と俺の理解者

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 トゥルルルー トゥルルルー

 ガチャッ


「隆~っ!! 山本さんって人から電話よ~っ!!」

 えっ? や、山本さんだって!?

 『つねちゃん』達とバーベキューをしてから二日後の夜、まだゴールデンウイーク期間中である夜に山本さんから電話があった。

 俺が少し不安な声で電話に出ると山本さんは俺とは真逆で凄く興奮した声で話し出した。

「たっ、隆君、聞いてくれっ!! お、俺……志保ちゃんと……『結婚を前提』としたお付き合いをする事になったよ!! これも隆君のお陰だ!! 本当に有難う!!」

 この後、引き続き山本さんは終始、興奮状態で俺にお礼を何回も言っていた。
 彼の話をまとめると、こうである。

 志保姉ちゃんも山本さんの事が学生時代からずっと好きだったということ。

 でも志保姉ちゃんも山本さんと同じで自分から告白はした事が無く、フラれるのが怖くて躊躇していたこと……

 俺からすれば何て羨ましい……いや、ふざけた奴等なんだ。と思ってしまうが……

 そして志保姉ちゃんがこれまであまり恋愛に対して積極的になれなかった最大の理由は自分が姉妹の長女であるという事だった。

 簡単に言えばご両親が昔ながらの人なのでどうしても『鎌田家』を絶やしたく無いという思いが強く、その思いは二人の娘にも浸透しており、自分が結婚する時は『婿養子』をとらなくてはいけないと思っていた。それと妹の美保姉ちゃんに押し付けるのも姉として申し訳ないという思いもあったらしい。

 しかし、今の時代、そんな事を言ってもなかなか理解してもらえる人など現れないだろうと半ば諦めて恋愛に対して積極的になれずにいたそうだ。

 でも今回、山本さんがその部分を突いたのだ。

「俺は三男だし、別に『山本』の姓にもこだわっていない。俺は『婿養子』でも全然構わない!! だからもし志保ちゃんさえよければ俺と『結婚前提』で付き合って欲しい!!」

 山本さんのその言葉に志保姉ちゃんは顔をぐしゃぐしゃにしながら大泣きしたそうだ。勿論、うれし泣きだが……


 俺は電話を切ると直ぐに『つねちゃん』に電話をした。

「もしもし、常谷ですが……」

 久しぶりに『つねちゃん』が一番に電話に出てくれて俺はホッとした。

 そして直ぐに山本さんからの電話の内容を説明すると、『つねちゃん』が言うには、ついさっきまで、その件について志保姉ちゃんと電話で話をしていたそうだ。

「志保ちゃん、本当に喜んでいたわ。まさか昔から好きだった人が自分の一番の悩みを解決してくれるとは思っていなかったって。これは『奇跡』としか思えないって……」

「そ、そうなんだ……それは本当に良かったよ……」

「隆君が『奇跡』を起こしてくれたって言ってたわ……」

「えっ? お、俺が!?」

 山本さんは志保姉ちゃんにどこまで話をしたんだろうかと少し不安にはなったが小さい頃からお世話になっている志保姉ちゃんの幸せに少しでも役に立てた事は俺も素直に嬉しかった。

 
 あと志保姉ちゃんは『つねちゃん』との電話での会話で最後にこう言ったらしい。

「香織先輩、申し訳ないですが私の方が先に『幸せ』にならせて頂きますね!!」

 なんというストレートな言い方だ……
 まぁ、志保姉ちゃんらしいと言えばそれまでなんだが……

 でも『つねちゃん』だって……あと四年……
 俺が十八歳になるまで、あと四年……


 俺は『つねちゃん』との電話を終え受話器を置いた瞬間にまた電話のベルが鳴り出した。

 勿論、俺が受話器を取ったのだが、受話器の向こうの声はまたしても山本さんの声であった。俺が『もしもし』と言った瞬間に山本さんは自分を名乗らず、電話に出た俺を隆だという事も確認せずに話し出す。

「隆君ゴメン!! 一つ大事な事を言い忘れていたよ!!」

「えっ、何ですか?」

「君も頑張れって言いたかったんだ!!」

「な、何の事ですか!?」

「ハッハッハッハ!! 俺と君との間で『隠し事』なんてしなくて良いじゃないか!?」

 先日、初めて会った人に言われる様なセリフでは無いけどなと心の中で突っ込んでしまったが、俺はそのまま山本さんの話を聞いている。

「俺は『お似合い』だと思っているから!! 愛さえ有れば歳の差なんて関係無いからさ!! だから君には頑張って欲しいんだ。どうか香織先輩を幸せにしてあげて欲しい!! 俺は君の『味方』だから。ずっと応援しているから!!」

「・・・・・・」

 俺は心の中が熱くなった。

 『この世界』に来てからの俺はずっと一人で……
 『つねちゃん』と結婚する為だけにずっと頑張って来た。
 
 ある意味、俺は孤独だった……

 でも今、俺は山本さんから『応援の言葉』を貰えた。
 初めて『理解者』を得られたのだ。

 それも俺が『別の世界』から来た『中身は大人』だという事も知らずにだ。

 今までの俺の心を色で表せば、どちらかといえば『灰色』に近い少し暗い目の色だったと思う。
 
 しかし山本さんの『応援の言葉』を聞いた瞬間、俺の心の中に『赤色』や『黄色』、そして『青色』などの色々な色が入り、少し明るい色になった様に思えた。

 本当に……俺はなんて『幸せ者』なんだろう……

 『この世界』に来てからの俺は『前の世界』では感じた事の無い気持ちが溢れ出しそうなくらいにある。

 これも全て『つねちゃん』のお陰……『つねちゃん』と出会えたからだと思う。
 
『つねちゃん』がいるから、『つねちゃん』と何が何でも結婚したいから……
俺はその為なら何でも頑張れる。

 その頑張りの過程で素敵な人達との出会いも生み、そして今日みたいな事に繋がっているのだと俺は思う。

 俺は初めて他人に『本心』を言う。


「お、俺……頑張ります!! 絶対に『つねちゃん』を幸せにしてみせます!!」

「うん……君なら絶対に幸せに出来るよ……」

「あ……有難う……ございます……」


 電話を切り、受話器を置いた左手の甲の上に冷たいものがポタっと落ちる。

 ほんと俺は最近、涙もろくなったよなぁ……
 歳のせいなんだろうか……?


―――――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

これでこの章は最終です。
次回から新章開始!!

どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
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