食の使徒 素人だけど使徒に選ばれちゃいました。癒しの食事を貴方に 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝

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ドワーフ国での晩餐会 その1

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 晩餐会はドワーフ王を筆頭に、同盟の各国の代表、ドワーフ国の有力貴族も参加して行われた。 
 
 料理は八戸樹の説明の元コース料理として進められていく。 
 
 「まずはアミューズとして砂ウニとサンドフッシュの卵、白銀自然薯を合わせたカクテルをどうぞ」 
 
 「砂ウニにサンドフィッシュ、白銀自然薯・・・どれも普通には食えん代物だな。どれモニュ、もぐもぐ・・・・これは美味い!!!」 
 
 「ほ・・ほんとうですか?グランバッハ王!」 
 
 「王!わしは嘘はつかん!驚くほど美味いぞ!」 
 
 グランバッハの一言でそれぞれが動き出す。 
 
 「こいつはいい!さくさくの自然薯にねばり!サンドフィッシュのぷちぷちとした卵!砂ウニのまろやかで濃厚な味!濃い!凄いうま味だ!!!」 
 
 「ばかな!?どれもそう簡単に美味く調理できん物ばかりだぞ!超一流の料理人が努力して美味く作っても顔をしかめる味に仕上がるものばかりなはずだ!・・・なんだこれは!なんだこの美味さは!」 
 
 「驚愕とはまさにこのこと!前菜とのことだが、もっと食べたいぞ!」 
 
 ドワーフの貴族たちは驚愕する。 
 
 そして体に変化が起こり始めた。 
 
 「おお・・!傷!古傷が消えていく!!!」 
 
 「火傷も!失った指も!再生されていく!!」 
 
 「わしもじゃ!足が!足がはえてきちょる!」 
 
 「これが再生の力!視力が腰痛も!どんどん治っていく!」 
 
 貴族たちの体が治っていく。 
 
 「僕たち同盟組はもう完全に完治済みだからねぇ、驚くのも無理ないよ」 
 
 「それよりも驚くべきはやはり料理よ!ドワーフの国の食材でこれだけのものを作るのだから!」 
 
 「リリム様、ガルディア様、料理は始まったばかりですよ。これからどれだけの物がでてくるか楽しみです!」 
 
 二人の間に入ったのはエルフの女王ミリアだった。 
 
 同盟国の代表たちも何が出てくるか、わくわくしてる様子だ。 
 
 「次にスープ、砂亀のスープになります」 
 
 「砂亀!あの背中に果実の木を実らせている砂亀か!普通は果実の方に目が行くはずだ!」 
 
 「そうだ!果実に栄養を貯めるから、果実は極上だが、亀の肉は最悪なはずだ!」 
 
 「だがこのスープはなんだ!?漲るようなうまさだ!!」 
 
 「胃が広がっていくのか!?腹が減ってしかたがない!」 
 
 「肉も柔らかく、食べ応えがある!こんなに美味いもんが砂亀とは・・・」 
 
 動揺は続く。 
 
 「次はサンドフィッシュの青竹蒸になります」 
  
 「む、サンドフィッシュか、最初のころは食える食材として期待したが、どろどろで酷く臭くって身も食えたもんじゃなかったはずだ。」 
 
 「皮も身も内臓も大丈夫です。どうぞお試しください」 
 
 「皮もだと!?どれ・・ん!サックサクの皮!身はほくほくして美味い!内臓もほろ苦く美味く様々な触感と味が混然一体となっている!酒だ!酒はあるか!」 
 
 「儂にもだ!」 
 
 「わしもだ!」 
 
 「酒だ!酒をくれ!」 
 
 「お酒は岩石芋で作った。アクアビットをご用意いたしました。度数は高めの60度です。ご一緒に炭酸水もご用意いたしましたのでご自分で調整してのんでみてください」 
 
 「岩石芋で酒だと!?ふむ?どうにも水みたいに透き通っているな。まずはそのままんぐんぐんぐう!たはぁ~!!!これは強い!ドワーフの火酒より強く!美味い!美味いぞ!美味すぎる酒じゃ!!!」 
 
 「なんじゃ!いままでわしらは何を作っていたんじゃ!?天と地ほど差があるぞ!こんな極上の酒初めてじゃ!」 
 
 「美味い!焼ける様じゃ!それなのにすっきりとして流水の様!凄い!こいつはすごいぞ!!!」 
 
 「おい!炭酸とやらで割ってみろ!これはこれで美味いぞ!」 
 
 「炭酸と砂亀の実の七色レモンの果汁で割って飲むのも、おすすめですよ」 
 
 「なぬ!?七色レモンの果汁だと、どれ!んごんごんごんご、たっは~すっきり爽やかで美味い!味が変わる変わる!のど越しまでで何度も変わる!美味い!」 
 
 「最高だ!美味すぎる!」 
 
 「サンドフィッシュと合うぞ!美味い!なんつう美味い飯!美味い魚!美味い酒じゃ!」 
 
 今のところはドワーフ貴族から文句は一つもない。 
 
 同盟側は・・・。 
 
 「美味い!ドワーフ王国の食材でこれだけ高度な料理を作れるなら、きっと魔国の材料でも大丈夫なはずだ!私の国にいつき殿を連れて行くのが楽しみでならない!」 
 
 「獣王国にもぜひ来てほしいものだ!」 
 
 「私の国にもです!エルフにもついに美食文化が到来するかもしれない瀬戸際です!」 
 
 「長命種は食を蔑ろにするというか、飽きる人間が多いからのぅ、なんならまたドラゴニアに来てほしいのぅ」 
 
 「次は肉料理ですね。今回はフェニックスのフライドチキンを用意しました」 
 
 「フェニックスだと!?どうやって調理したんじゃ!最高級の食材も何も!フェニックスをまともに食った人間などおらん!それくらい貴重じゃ!」 
 
 「フェニックスはとどめを刺した瞬間から灰になる。それを料理にとは・・・」 
  
 「狩り方、調理の紹介はのちほど、まずはお愉しみください」 
 
 「ここはやはり我らが王グランバッハから・・」 
 
 「お?おう!フェニックスなぞ初めて食うぞ、どれ、うん!口にいれた瞬間に美味い!そしてすぐ飲み込んでしまう!あまりの美味さに!のどまで我慢できん!お前らも食ってみろ!」 
 
 全員が動き出す。 
 
 「あががががあ、う・・美味すぎで顎が!」 
 
 「とろける!これを他の鶏肉と同じくしてよいのか!?もはや完全に別物じゃぞ!!」 
 
 「美味い!ひたすら美味い!」 
 
 「同盟国のどの国でも、これだけのものは食えん!我が混成国家ですら、こんな美味いもの食ったことがない!」
 
 「妖精は甘いものが一番だとおもってたけど、リリムはこのお肉ならお菓子より美味しいかも~、さいっこう!」 
 
 晩餐会はまだまだ続く。
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