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十二天とルーファウス そして子龍アリス

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 中津国、ミルドヴァース 国境付近では中津国の守護十二天と我がダンジョン国家ブリタニアの従者部隊序列1位の無敵のルーファウスと星詠みの図書館マーリン・アンブローズとのにらみあいが続いた。 
 
 十二天 帝釈天のインドラ 
 
 「こっちは正式な入国の手順を踏んでの入国だぞ!?何故邪魔をする!ルーファウス!」 
 
 「失礼な!邪魔をしているつもりはない!しかし十二天揃って我が国に何用かな?問題はそこよ、インドラ」 
 
 「知れた事!稀人様を我が国に招待するためだ。別に無理やり攫ったりなどはせんとずっと言っているだろう!?星詠みにいってこの無限牢獄解いてくれ」 
 
 「初動が怪しかっただけあって、進軍かと思ったぞ」 
 
 「このままなら本当に戦闘になるぞ」 
 
 「ふんっ抜かせ、初めから戦闘ありきの入国だったろうに、稀人を攫うつもりで上から投入されたのだろ?」 
 
 「そうだ」 
 
 「随分と素直だな」 
 
 「我らが仕える王は攫ってでも連れてこいと、我ら十二天に命令したが、命令を遂行するかは我々自身が決める。稀人は人類の希望たる存在だ。神から使わされた者といっても問題ないだろう。我ら十二天の称号も古くは遥か昔に我が国に降りた女神の化身たる稀人様が十二天の称号を下さったのだ。それなのに・・・・我が国の王はこともあろうか我らに稀人様を攫ってこいなどと命令を下した!!私はこらえたが、多くの十二天が王の発言に激怒してな。まぁ何はともあれ、命令遂行の振りをしてとりあえず入国しようとしたら、星詠みの罠にかかってバラバラに飛ばされた挙句、お前と今一対一で面談している訳だが?」 
 
 「ふむ、他の十二天と証言はあってるな、いくらマーリンの無限牢獄でも本気になったお前らならば抜け出す事くらい可能だろう。全員が私が現れるまで武力行使しなかったのはいい判断だ」 
 
 「稀人様のいる国だからな、無礼があってはいかん」 
 
 「うむうむなるほどな、お前らの入国を認めよう」 
 
 「いいのか?そんな簡単に信じて?」 
 
 「さっきも言った通り、馬鹿正直に何日かもこの牢獄で素直に過ごした事を高く評価した。私がお前ならこんな牢獄直ぐに抜けて、相手を倒して話を聞かせるだろう。だがお前たちは我が国を尊重して粘り強く滞在した。ミルドヴァースの傲慢な輩の考えとはとても思えん。だがそれでも少し制限させてもらうぞ、十二天全員での固まっての行動は控える事だ。3人単位で活動し、稀人様に会いにいくのも全員揃っていけば迷惑になることだろうからな、何せ稀人様は普通の食堂を営む方だ。ぞろぞろとあいに行けば迷惑になる」 
 
 「食堂ねぇ」 
 
 「お前たちの相手で私もマーリンもまだ挨拶が出来ておらんのだ。いい迷惑だ」 
 
 「先にブリタニアの王に入国の許可をくれた感謝を伝えにいかなければな」 
 
 こうして十二天は無事入国を許され、ウェールズに現れる事になる。 
 
 一方その頃、八百万では 
 
 「かわいいなぁ~、目がおおきくて、コモドドラゴンとかとかげって大きくなったら怖いと思ったんだけど、君はかわいいなぁ」 
 
 大人のネコほどの大きさの子龍を抱っこして眺めている斗真、周りに人はいなく、子龍に話しかける。 
 
 「どこの子なのかなぁ?これだけかわいいと確かにペット目的で攫う人が出るのもわかるわ、うちもそう思われても困るしなぁ」 
 
 「きゅ~!きゅ~!きゅ~!」 
 
 「お腹すいたのかな?飲み物かな?人間と同じものたべさせてもいいのかな?塩分とか?糖分とか?魚の刺身系なら大丈夫かな?醬油ぬらなければ」 
 
 刺身を軽くたたいて細かくしてあげて、隣に水もおいて出してあげると、生である事に気が付いてるのか?きゅ~きゅ~と何か抗議してくる。 
 
 「凄いね、言葉がわかるのかな?一生懸命なにかいってる?生なのが気に入らないのかな?お刺身は生でも大丈夫だよ~」 
 
 「きゅきゅ?もぐもぐもぐきゅわん!きゅ~~~!!」 
 
 「ああ、よかった美味しかったみたいだね。人間は醬油ってこれを足すんだけど、動物には塩分高くなっちゃうんだよなぁ、美味しいけど」 
 
 「きゅ!きゅ!」 
 
 ぺしんぺしんと両手で醬油を叩く、一生懸命体で表現するかの様に、かけろ!かけろ!って言ってるみたいだ。 
 
 「う~ん、本当は駄目なんだけど少しだけね?後でちゃんと調べてからの方が本当はいいんだろうけど、本人が望むなら、本当に少しだよ?」 
 
 ちょっとだけ醬油をかけてあげると、また両手を使ってもぐもぐと刺身を手に握りしめ食べ始めた。 
 
 「きゅわわ~ん!きゅきゅきゅ~ん!!」 
 
 お気に召したのだろう、両手や片足をあげて、小躍りでもするかのようにピコピコと踊り喜んでいる 
 
 「かわいいなぁ!しかも言葉がわかるなんて、なんて賢いんだ。意思疎通できれば食べたい物もわかるし、でもどこの子なんだろう?ニーアさんの知り合いかな?」 
 
 ねこ程の大きさだけど、流石は子龍、魚でヒラマサや小型のブリくらいならペロリという感じで食べてしまった。 
 
 ケプっと言う可愛らしいげっぷと共に口から炎がごぉ~っと飛び出て来る、流石小さいとはいっても龍なんだなぁ。 
 
 きゅ~きゅ~と鳴いて俺の手に絡んできたり、体をよじ登って頭や肩に居座ったり、もっと重いかとも思ったが意外と軽いので驚いた。 
 
 俺がかたずけやなにやらで動きまわっても、両手でぎゅっと体を握りしめてしっかり俺にしがみついて体を固定してる。 
 
 自分に気にせず自由に動けと言ってるみたいだった。 
 
 正面においでといって正面から抱っこすると、胸や腹回りにがっしりしがみついて離れない子龍、俺的には撫でやすいので正面で抱っこさせてくれると嬉しい。 
 
 撫でると気持ちいいのかきゅ~と鳴いて喜んでくれる上に、頭や体をすりすりとしてくる。 
 
 大抵の人間はこの時点でも可愛くて駄目になるだろうな、でもきっと親が探しているだろうと思うと、あまり可愛がってあげるのも憚られる。 
 
 「お兄ちゃん~、何!?その子!?」 
 
 「どこからきたんだろうねぇ、気が付いた時にはいたんだよね」 
 
 「かわいい~!抱っこさせて!?」 
 
 俺は背中をとんとんと軽くたたきながら、ねねは妹なんだ、抱っこさせてほしいっていってるけどと言うと、がっちりつかんでいて手が緩んで、ねねを見る。 
 
 するとやはり言葉がわかるのか、自分からねねの方にさっと移動した。 
 
 「くぁわいい~!うちの子!?新しい家族なの!?」 
 
 「流石に親御さんが探してるんじゃないかな?」 
 
 「えぇ~こんなに可愛いのに・・・」 
  
 そんなやりとりをしていると、リリとニーアも居間にやってくる。 
 
 「何してるの?」 
 
 「なんだぁ?子龍?ってよく見りゃアリスじゃないか!お前こんな所にきて何やってんの?」 
 
 「きゅ~きゅ~きゅきゅきゅん!きゅ~」 
 
 「はぁ、家出ねぇ、いくあてはあんのか?」 
 
 「きゅいん!きゅ~」 
 
 何やら鳴き声をあげながら俺に頭をすりすりしてくる 
 
 「ここに住む!?聞いてないぞ!ここはあたしの縄張りだぞ!?斗真からはなれろ~~~」 
 
 「ぎゅぎゅぎゅん!きゅ~ん!きゅ~ん!」 
 
 ニーアが両手で子龍を引きはがそうとするけど、子龍はがっちりつかんで離れない。 
 
 「まぁまぁニーア、いいんじゃない?うちにいたいならいさせても、むしろ外にほっぽり出す方が怖いよ、攫われそうだし」 
 
 「だぁ!騙されるな!そいつが攫われるって玉かよ!あたしらなら攫った人間を心配するわ!?」 
 
 「でも行く当てないんでしょ?」 
 
 「そうだよ、こんなに可愛いんだよニーアお姉ちゃん!!」 
 
 「みんな騙されるな!そいつは強い!下手な弱体化魔法やアイテムなんかも効かないし毒なんてものともしない!子龍とは言え、龍族なんだから」 
 
 「ニーア知り合いみたいだし、いいじゃないか。親御さんとも知り合いなんなら下手に家出されるより、家にはニーアもいるから安心なんじゃないかな?」 
 
 「そうだけどさぁ・・・・・あんまり甘やかすなよ。調子に乗るんだから」 
 
 こうして子龍のアリスが家族に加わる事になる。
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