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中華の日 麻婆と餃子とかに玉と春巻き、そしてゴマ団子

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 中華の日 再び 
 
 八百万の料理の中でも、一、二の人気を誇る日、中華料理の日。 
 
 世界三大料理に数えられる中国の料理、日本では中華料理と一つにまとめられているが、実際は山東、江蘇、浙江、安徽、福建、広東、湖南、四川とわかれていて、その中でも山東料理、江蘇料理、広東料理、四川料理は四大采系と言われ、広く伝わっている他に、日本風中華、アメリカ風中華、インド風中華と様々な国の人間達にあわせて変化し、そして愛されている。 
 
 見た目の美しさはもちろん、食べる食材を最大限に生かし食べるという考えは素晴らしく、昨今では中々日本では食べないで廃棄されるような部位などを調理する動画もみられ、また調理技術も各国の調理技術より、頭一つ二つ抜き出ているのが特徴的でもある。 
 
 また日本の様に、水や新鮮な生食にこだわった考え方とは違く、水よりも油に焦点を置き、またどのように火入れをすればどのように仕上がり美味になるか考えつくされている。 
 
 日本だととろける様な肉と言えば、チャーシューやトウロンポウを思いつくが、どちらも中国が始まりであり。 
 
 またチャーシューやトウロンポウに限らず、赤身の繊維をしっかり感じまた脂身はしっかりとろける食感をたもって煮る事は、中国ではあたりまえなのか?様々な肉が動画上では非常に美味しそうに見える。 
 
 ラーメンなども日本流に自分達の好みに仕上げてはいるが、やはり麺の起源は中国と日本に与えた影響は巨大で、まさに世界三大料理の一角を担う不動の位置に存在している。 
 
 また最近では日本人好みの中華料理とは別に、ガチ中華と言う、中国本場の中国人の為の中華料理が日本では流行の兆しを見せている。 
 
 日本風中華、アメリカ風中華、インド風中華、他にも国によっての顔があり、それでいて本国特有のガチ中華まである、難攻不落の料理の城なのである。 
 
 そんな中華料理、八百万で異世界人に出されるのはもちろん日本風中華料理である。 
 
 本日は、麻婆豆腐、餃子、春巻き、かに玉、スープにデザートのゴマ団子がついてくる。 
 
 中華の日は女性客が多く、その理由の一つにデザートのゴマ団子がついてくる事が理由の一つでもある。 
 
 もちろん男性でも、甘い物が大好きな人間は多い、しかも八百万の様に提供してくれる店は少ない、女性が多いカフェなどには入りずらいと避ける男性も多い。 
 
 アルフレッド商会の娘、ティナ 
 
 仕事がどれだけ忙しくても、それこそ商会にどれだけ大事な商談が来ても、中華の日だけは絶対に絶対にぜええええええええったいに並ばずにはいられない。 
 
 彼女は冒険者ではなく、身体能力も魔力も一般的なのだが、八百万で食事を堪能する為だけに魔術を熱心に勉強し、魔力と身体能力向上の能力を使い積極的にカロリーを消費し、胃にスペースを開け、万全の状態で中華の日に挑んでいた。 
 
 列はもちろん最前列!一番最初に入って、料理を堪能するのだ! 
 
 運ばれてきたのは、中皿の麻婆豆腐、餃子が六個、春巻きが三個、卵をたっぷりつかった大きなかに玉スープ。 
 
 まずは麻婆にとりかかる。 
 
 ピリリと辛く、ひき肉の旨味を強く感じつつもネギと餡の滑らかさと味に酔いしれ、そしてまた豆腐の大豆感が際立ち満足度が高い!日本人以外の国の人が、え?って思うかもしれないが、この麻婆に米を合わせる。 
 
 辛い餡と濃い味が米にあう!斗真さんがいっていた麻婆丼!確かに麻婆を米にかけて食べれば、忙しい人向けのどんぶりになる、もしかしたら麺にかけてもいいかもしれない! 
 
 そして餃子、餃子やシュウマイ、なんかは点心ってまた違う部類らしいけど、斗真さんの国では餃子もご飯のお供に当たり前に出されると言う。 
 
 パリパリに焼かれた餃子、野菜だけがギュウギュウに詰まっている餃子がまた美味しい!もう半分の三個は肉やニンニクがみっちり!本場の中国では水餃子が主流でまた米は食べないと言う。 
 
 餃子がメインなので、米は食べないとか?餃子だけを腹いっぱい食べる・・・・・・それはまた贅沢だなと思いながらも、餃子と米を食べる。 
 
 八百万でも餃子だけ!只管餃子だけを望むがままに出す日なんかがこないかな?そんな事を考えながら、皮に肉や野菜を包んでしまうなんて、なんて豊かな発想なんだと感心しながらも味に酔いしれる。 
 
 春巻き、なんで春巻き?聞けば春の食材を巻いたからだとか?これが凄い!外はサックサクなのに、もっちりした部分もあり、そして中の案が最後に駄目押しと言わんばかりに出て来る。 
 
 美味しい!美味しい!美味しいのはもちろんなんだけど、どの料理も食べてて楽しい!餃子や春巻きなんかは一見似た料理に見えて全然違う。 
 
 それらの料理が食卓に並ぶ、これこそが豊かな食事なのだと思わせられる。 
 
 そして卵!出汁まきや目玉焼きとも違う、シザーの身がたっぷり入っている卵、しかもこれも麻婆の様にとろとろなんだけど、これもまた全然ちがくってダイナミックで美味い!どうしてもやはり米が食べたくなる!!!。 
 
 スープもいつもの味噌汁とはまた違って、濃厚なのにさっぱりと爽やかなスープ、これがついつい何度も飲みたくなる様な味でたまらない! 
 
 中華!思うがまま、皿の料理を食べる。 
 
 まだお昼なのに、ちょっとした宴の様であれも食べて、これも食べて、ああっ私達はなんて贅沢な生き物になった事か。 
 
 世界広しと言えど、中華料理が食べれるのはここ!八百万亭だけなのである! 
 
 よくよく考えると、ウェールズの街は贅沢も贅沢な街なのではないか?だって広い世界でこの味を知っているのは、この街の住人か訪れた旅行客などだけなのである。 
 
 私達には当たり前になった、八百万の流儀、これをまったく知らない人たちが5万どころか何十億人?もっと?百億とか?もしかしてそれいじょう?いるのかもしれない。 
 
 そう考えると、まざに八百万と言う店、そして斗真さんがこっちの世界に顔をだした事はまさに神からの恩恵!我々の大陸は神に愛されている! 
 
 黒ウーロン茶でさっぱりと流して、ゴマ団子にかぶりつく。 
 
 しししししししし!!!!!!!!幸せ!今幸せの絶頂だよ!サックサクのもっちもち!香ばしいゴマからあま~い餡がたっぷり入ってる! 
 
 贅沢だよ!これは贅沢だよ!こんなの忘れらんないよ!本当に忘れられない!この街の住人でよかった。 
 
 旅行先でこの味を知ってみなよ!絶対その国から離れられないよ!どうにかして再現しようとおもうだろうけど、この脳内に焼き付いた味はもうここだけのものなんだよ! 
 
 周りをみれば、冒険者や商業ギルドの受付嬢達もいる。

 あれ?いつもは休みに間に合わないから、八百万に並べない子達なんかも今日は、ゴマ団子にだらしない顔して陶酔してる。 
 
 星座団の子達もいるし、有名どころの人たちも多い、きっとみんな職場の人を説得してこの日の為に備えてたんだな。 
 
 ゴマ団子・・・・・・これだけでもうちの商会で再現できないかな?でもなぁ・・・・・似て非なるものは作れても、八百万に勝てないとか根強い八百万絶対主義のお客や常連がおおいからなぁ、ただの負け戦ならいいけど、そのままズルズルと失敗し続けると生活が危なくなる。 
 
 危険を犯してでも手に入れたい、果実、ゴマ団子、個人的に作るのは大丈夫でも商売となると、致命傷を負うかもしれない。 
 
 ゴマ団子を食べて、ため息が出る。 
 
 今日の八百万は、はぁ~んと艶めかしい声が響いているのだった。
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