【オリジナルBL】鳥のように(ノンケ箏職人×陽キャゲイ)

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第4話『最後の願い』

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 4-1


 夜勤明けの休みの日、大空ひろたかは日中眠っていたため、その日は美濃羽製作所に行かなかった。次の休みが土曜日で製作所が休みだからと、大空はわざわざ夕勤の最終日に有休を取ってくれ、作業の続きはその日にすることに決める。
 飛鳥とずっと一緒にはいられないと知って落ち込んでいた大空だったが、一日もするといつもの元気を取り戻し、二人の間にはまた賑やかで楽しい時間が流れるようになっていた。ただ以前にも増して飛鳥に甘えてくるようにはなったが、飛鳥も大空に対する恋慕を自覚してから、自分からも大空に触れるようになっていた。
 まるで恋人みたいだ。男相手にそんなことを思うようになる日が来るなんて、少し前なら自分でも信じられなかった話である。だけど今確かに飛鳥は大空に恋をしている。深い愛情を抱いている。彼のことが誰よりも愛おしくて堪らなかった。
 そうこうしているうちに迎えた大空の休みの日――美濃羽製作所を訪れた二人は作業場に入る前に、玄関の前で立ち止まって建物を見上げていた。

「順調に行けば今日仕上がると思う」
「あ、そうなんだ。まあほとんど形になってたし、もうちょっとだろうとは思ってたけど」

 最初はこんなに順調に進むとは思ってなかった。これも大空の器用さあってのことだ。

「じゃあ今日完成したら明日にでも翼くんとこ持ってく?」
「そうだな。土曜日だから箏教室終わったら家にいるだろうし、ちょうどいい」

 それで飛鳥の一番の心残りは払拭されることになる。そしてそうなったら自分は――その話はあえてしなかった。しても意味がないとわかっているからだ。
 建物に入り、すでに自分の仕事を始めていた鷹に挨拶してから、二階の備品取付け用の作業場に上がる。
 残る工程は龍角、龍尾それぞれの四分六板の埋め込みと甲の取付け、そして糸締めだ。そのうち四分六板の埋め込みと合わせて必要な座金打ちは、細心の注意が必要とされる作業で、ここまで失敗のない器用な大空でさえも、練習用の箏にわずかにヒビを入れてしまう始末だった。本番用では何とか綺麗に打ち終えることができたものの、神経が疲弊したのか少し休ませてくれと頼まれた。
 休憩を挟んでから甲を取付け、あとは糸を取付ければとりあえずは完成である。箏の弦となる糸には絹糸とテトロン糸の二種類があり、一般的に絹糸のほうがいい音色であると言われているが、翼は激しい曲を好んで弾くことが多いので、耐久性の優れたテトロン糸を用いた。

「こればっかりはさすがに鷹さんに手本見せてもらわねえと難しいだろうな……」

 棚から取り出したテトロン糸を手に取りながら、飛鳥はそう呟いた。糸締めはかなり複雑で、一回や二回で覚えられるようなものじゃない。

「あれ!? あっちゃん糸に触れてるじゃん!」
「何言ってんだよ? そんなの当たり前……ってうわマジだ!?」

 ごく当たり前のように糸を手に取ったが、そういえば自分は物に触れられないはずだ。大空に指摘されて改めて手元に目を落とすが、確かに今飛鳥の手には糸が握られており、その感触もちゃんと感じ取れている。

「ってことは糸はあっちゃんが付けれるんじゃね!?」
「だな!」

 この箏作りにおいて飛鳥は原木を選ぶことと大空に指示を与える以外に何もできないものだと諦めていたが、最後の最後で自分にもできる仕事が舞い降りてきた。少しでも実作業に手を出せることができるとわかって嬉しくなる。
 箏本体には触れられないから少しやりにくかったけれど、大空の協力を得ながら糸締めは無事に完了した。これで一応は完成だが、最後に琴柱を立てて音を確かめなければならない。
 扱いに慣れていない大空にやらせて本体に傷が入っては大変だから、琴柱を立てるのは鷹にやってもらった。音を鳴らすのも鷹に頼み、糸を微調整して今度こそ完成となる。

「大空くんがいくら器用って言ってもそう上手くはいかないんじゃないかって最初は心配してたけど、いい箏ができたね」

 鷹が手放しで大空を褒める。

「いや~、あっちゃんの指導の賜物っすよ」
「謙遜すんなよ。大の器用さがなけりゃさすがにこんなに上手くいかなかった。ホントすげえよ、お前」

 正直、商品として出しても問題のないクオリティーだと思う。飛鳥が逐一指導したとは言え、ここまで完成度の高いものを作るにはやはり作り手の腕も重要だった。

「マジでありがとな、大。感謝してもしきれねえ」
「あっちゃんの役に立てたんなら俺は嬉しいよ。あとは翼くんに渡すだけだね」
「ああ。あいつもきっと気に入ってくれると思う」

 どうせならこの箏での演奏も聴いてみたい。渡すときにそれも大空に頼んでもらおうかと考えながら、ここまで頑張ってくれた大空の頭を撫でてやる。

「箏作るの大変だったけど、すげえ楽しかったな~。今度自分用の箏とか作って弾いてみよっかな?」
「お前箏弾けんの?」
「授業で習った範囲ならまあなんとか。どうせなら教室とかに通ってちゃんと弾けるようになりたいよ」
「弾くのもいいけど、作るの楽しかったんならうちに転職することも考えてよ」

 鷹が真面目な顔でそう言った。

「この間も言ったけど、大空くんなら即戦力になるから大歓迎だよ。給料はまあ、今勤めてるところほどはあげられないかもしれないけど、俺としては大空くんが来てくれたらすごく助かるな~」
「箏職人か~……真面目に考えてみようかな」

 大空のこの器用さは、野放しにしておくにはあまりにももったいなさすぎる。今勤めている化学工場のことを特別気に入っているみたいでもないし、ここに転職するのには賛成だ。
 その日は箏完成の打ち上げとして、鷹も含めた三人で近くのお好み焼き屋で食事をした。といっても飛鳥は例によって美味そうなお好み焼きにも手を付けられなかったが、大空を通しての鷹とのコミュニケーションにもすっかり慣れていたので、楽しく会話することができた。
何となく鷹と会うのはこれが最後な気がしたから、大空を通してではあるがたくさん話をした。あとになってもっと話しておけばよかったと後悔したくなかった。



「――なんか緊張するな~」

 アパートに帰り、壁に立てかけた箏を見ながら大空が言う。

「翼に箏を渡して、演奏を頼むだけだろ? どこに緊張する要素があるんだよ?」
「あっちゃんの家族に会うんだもん。緊張しないわけないじゃん」
「別に結婚の挨拶とかするわけじゃねえんだし、緊張する意味がわかんねえよ」
「あっちゃん昔付き合ってた彼女の親に会ったことってねえの?」

 訊かれて少しの間過去を振り返る。

「高校生の頃付き合ってた女の親とは会った憶えがある」
「そんとき緊張しなかったの?」
「……緊張っつーか、ちょっと気まずい思いはしたな、確か」
「俺もそれと同じだよ。俺ら同棲してるわけだし、抜き合いとかもしちゃったから何か翼くんにも申し訳ない気持ちがする」
「同棲って言うんじゃねえ。俺らそもそも恋人じゃねえじゃん」
「恋人みたいなもんだろ? あっちゃんだって俺のこと『大好き♡』って言ってくれたじゃん」
「そんな少女漫画の主人公みたいな言い方してねえだろうが!」

 大空を好きなのは本当のことだ。付き合おうとか、恋人になろうという台詞は口にしなかったけれど、お互いの気持ちを知りながら一緒に暮らしているのだから、それはもう恋人同士で同棲しているのと変わらないような気がしてくる。

「あっちゃんと出逢って今日で約二週間になるんだな」
「そうだっけか? もっと長く一緒にいたような気がしてたけど」
「だな。あっという間の二週間だったけど、数年分の時間が詰め込まれてた気がする」

 隣に座った大空が頭を飛鳥の肩にもたれさせてくる。

「最初はあっちゃんのこと重い中二病だって思ったんだっけな」
「滅茶苦茶失礼だったよな」
「幽霊ですなんて言われて、すぐに信じられるやつはそうそういねえよ」
「全裸で公園一周して来てもなお信じてくれなかったよな。ポニタリングの撮影じゃないんかとか言い出して」
「そうだった、そうだった」

 あの日のことを思い出して、二人で笑い合う。あれからまだ二週間しか経ってないはずなのに、もうずいぶんと昔のことのように思えた。

「どうせならあっちゃんが生きてる頃に出逢いたかったよ」
「前にも言ったが、たぶん生きてる頃に出逢ってたらここまで親しくならなかったと思うぞ? ましてや俺が男に惚れるなんてこと、絶対なかったと思う」

 これまで自覚がなかっただけで、飛鳥自身にゲイの素質は元々あったのかもしれない。けれど今こうして大空のことを愛するようになったのは、彼としかコミュニケーションが取れないという特殊な状況も少なからず影響していたのだと思う。

「俺は生きてる頃に出逢ってたとしても、あっちゃんのこと好きになってたと思うよ」

 優しい声で大空は語る。

「こんなに魅力に溢れてる男、俺が惚れずにいられるとは思えねえもん」
「……俺のどこか魅力的なのか俺にはよくわからん。鷹さんのほうがよっぽどカッコいいと思うけどな」
「じゃあ今から鷹さんに乗り換えていい?」
「今は駄目だっ」

 つい声に力が入ってしまう。

「今は俺もちゃんとここにいて、お前のこと好きだって言ってんだから駄目だ。いくら尊敬してる鷹さんにだって譲らねえ。けど……俺がいなくなったら好きにしろよ。この先の大の人生に口出しする権利なんか俺にはない」
「いなくなったら、とか言うなよ。寂しいじゃんか」
「……すまん」

 今のこの時間が永遠に続けばいいのに。心の中で誰ともなく飛鳥はそう願った。だけどきっと、飛鳥の意思に関係なくこの幸せな時間はもう少しで終わってしまうのだろう。この泣きたくなるくらいの安らぎと温かさを与えてくれる男から、離れなければならないときが近づいている。それは明日なのかもしれないし、もう少しだけ先なのかもしれない。いずれにしても決して遠い未来の話じゃないことを、飛鳥はひっそりと自覚していた。


 4-2


 約二週間ぶりに帰って来た我が家を外から眺めながら、飛鳥は複雑な思いがしていた。生まれてから二十三年の月日をこの家で過ごしたはずなのに、懐かしさを感じる反面でなぜだか帰って来てはいけなかった、という感覚にさっきから囚われている。自分の部屋で、幽霊状態で目覚めたばかりの頃はそんなもの少しも感じなかったのに、どうして今日はそんなふうに感じるのだろう?

「――あっちゃん大丈夫?」

 隣に立っていた大空が飛鳥の顔を覗き込んでくる。

「いや、なんかちょっと落ち着かない感じがしてな。大の部屋のほうがもう自分の家って感じがしてる」
「たった二週間で自分の家みたいに思ってもらえるなんて光栄だな~。あ、もしかして俺がいるおかげ?」
「そうだな。大のおかげで居心地よかったんだと思う」

 素直に思っていることを口にすれば、大空はまるで幽霊にでも出くわしたように瞠目した。……いや、確かに目の前に幽霊はいるが。

「認めるのかよ!? あっちゃんお互いの気持ち言い合ってから結構積極的になったよな。あっちゃんのほうから俺に触ってくるようになったし」
「好きな相手なんだから別に遠慮する必要もねえだろ?」
「女にもそうだったのか?」
「……いや。今思えばそんなに相手のこと好きじゃなかったのかもしれん。告られたから付き合ってみた、みたいな」
「微妙に最低だな……セックスまでやっといてよくそんな冷たいことが言えるよ」
「まあそこは俺も男だし……。つーかこんな騒いでる場合かよ。翼に箏渡さねえと」

 飛鳥は大空の肩に掛けられた箏に目をやる。いよいよこれを弟に渡すときが来た。本当なら飛鳥が一からすべて作るはずだった、自分史上最高の箏。死んでしまったことで望みどおりの形で、というわけにはいかなかったが、それでも大空の助けを借りて何とか質のいいものを作り上げることができた。
 大空がインターホンを押す。少しの間を置いて玄関のドアが開き、最愛の弟が顔を覗かせる。
 翼のまだあどけなさの残る顔を見た瞬間に、飛鳥は胸の奥から切ない気持ちがぶわっと湧き出してくるのを感じた。瞳がじんと熱くなり、涙が出そうになるのを目に力を入れることで懸命に抑える。
 この二週間翼に会わないようにしていたのは、こうして寂しさと切なさに打ちのめされるとわかっていたからだ。誰よりも、何よりも大事だった弟にもう二度と触れられないことへのショックと、彼を独りぼっちにしてしまった罪悪感に、押しつぶされて自分がどうにかなってしまいそうで恐かった。
 けれど今はそこまで重い感情に見舞われていない。それはきっと隣に大空がいてくれるからだ。支えになってくれる存在がいてくれるというだけで、飛鳥はどんなことでも乗り越えられるような気がしていた。

「こんにちは。えっと、翼くんだよね?」

 大空が訊ねると、翼は怪訝そうな顔で頷いた。

「俺、美濃羽製作所に勤めてる鳶川大空っていうんだけど、今日はあっちゃん……翼くんのお兄さんからの預かり物を届けに来たんだ」

 美濃羽製作所に勤めているという言葉が効いたのか、翼の顔から警戒する気配がすぐに消えた。大空が差し出した、キルト布製のケースに入った箏を受け取ると、不思議そうにそれを見ている。

「それ、あっちゃんの遺作……って言っていいのかわかんねえけど、あっちゃんが翼くんのために作ってた箏なんだ。つっても作ってる途中であんなことになっちゃって……だから仕上げは俺がやったんだけど、ほとんどあっちゃんの手で作られてる」

 本当は、飛鳥が直接手を加えたところと言えば糸締めだけである。けれど本当のことを言えば翼は喜ばないからと、ほとんど飛鳥が作ったことにしようと言ったのは大空だ。

「あっちゃん、翼くんにすげえいい箏を作ろうって張り切ってたんだ。木を選ぶところからいつもの何倍も慎重になってて……。ちょっと俺の手も入っちゃってるけど、翼くんに受け取ってほしい」
「そうだったんですね……ありがとうございます。けど本当に、俺がもらっていいんでしょうか?」
「もちろん。翼くんのために作ってたものなんだから当然だよ。あっちゃんもきっとそれを望んでいると思う」

 翼は受け取った箏をケースの上から抱き締め、泣きそうに目を細める。

「本当に、ありがとうございます……大事にしますっ」

 涙を堪える翼を見て、飛鳥もまた泣いてしまいそうだった。大空頼みだったとはいえ、この箏を作ることができて本当によかったと改めて思う。

「あっちゃんさ、この箏で翼くんに弾いてほしい曲があるって言ってたよ。“鳥のように”ってわかる?」
「あ、はい。兄ちゃんがすごく好きだった曲です」

 飛鳥はその曲がCDを買って聴くほど好きで、自分でも一通り弾くことができる。翼もそれを真似て弾くようになり、今では飛鳥よりも上手く弾きこなしていた。

「あのさ、厚かましいお願いだってことはわかってるんだけど、今からそれ弾いてもらってもいい?」
「今からですか?」
「うん。ごめんね、アポなしで来たあげくこんなこと言い出して。でもどうしても今日、それを弾いてほしいんだ。あっちゃんへの弔いの意味も込めて」
「わかりました」

 翼は迷うような仕草も見せず、大空の頼みを快諾してくれた。

「俺も兄ちゃんが作ってくれた箏早く弾きたいし、やっぱり最初に弾くなら兄ちゃんの好きな曲がいいです。仏壇の前で弾こうと思うので、どうぞ上ってください」

 案内された和室には仏壇があり、飛鳥たちの両親の遺影と飛鳥自身のそれが飾られている。自分で自分の遺影を眺めるのはやはりなんとも言えない気分がしたが、それはもうどうしようもない。
 翼が箏の準備をしている間に、大空は仏壇に線香をあげていた。本人を前にしてあげるのかよと思わず突っ込んだが、大空は小声で「ご両親にだよ」と囁いた。

「わあ、すごくカッコいい」

 ケースから取り出した箏を眺めながら、翼が心底感服したような声でそれを褒める。

「この龍頭のとこの模様とか、すごく好きです」
「あ、それあっちゃんのオリジナルだよ。世界に一つしかないって言ってた」

 大空の言うとおり、龍頭に入れた模様は飛鳥のオリジナルであり、生きているときに試しにと思って作ったものをそのまま利用している。本来、龍頭には模様などなく他の部分と同じように木目であることがほとんどだ。代わりに龍頭を保護するための口前袋に模様を入れ、煌びやかに見せる場合がほとんどだが、飛鳥はどうしても本体に模様を入れたくて専用のパーツを作っていたのである。
菊花紋を少しアレンジしたそれは、我ながらなかなかの出来栄えであると自画自賛できた。翼も気に入ってくれたようで、職人冥利に尽きるばかりである。

「――準備できました」

 弦に箏柱を立て、音の調整も終わった翼が大空に声をかける。

「じゃあよろしくお願いします」
「はい」

 翼が姿勢を正し、弦に指を触れさせる。飛鳥も俄かに緊張を覚え、無意識のうちに姿勢を正していた。そして――数拍の間があったあとに、鋭い音が部屋に響き始めた。
 鳥のように――筝曲の中でも屈指の難易度を誇る曲の一つである。箏は、一般的には箏爪を付けた右手で主旋律を弾き、左手は音を上げるための押し手やビブラートをかけるための揺すり、あるいは伴奏として時々弦を弾く、というのがほとんどである。しかしこの曲においては、どちらかというと左手が主旋律、右手で常に伴奏を弾き、時折左右の役割が入れ替わる、という複雑な構成となっている。おまけにテンポが速く、熟練の奏者でも完璧に弾きこなすのにかなりの時間を要すると言われていた。
 そんな難曲を翼は滑らかに、まるで何てことないように弾いていた。指が曲を知り尽くしている。曲に込められた作者の思い、伝えたかったこと、こういうふうに弾いてほしいという願い――そのすべてを忠実に、あるいは求められている以上の完成度を持って聴く者を虜にする。そんな演奏だ。
 箏の音を聴きながら、飛鳥はふと翼が生まれたばかりの頃のことを思い出していた。触れれば壊れてしまうのではないかと思うほど小さく、けれど力強い声で泣く赤ん坊を見て、飛鳥は七歳の子どもながら使命感のようなものを覚えた。この子を大事に守り抜かなければならない、と。それが兄である自分の役目であり、生きる意味の半分くらいを占めるものなのだと、漠然と感じ取ったのを今でもはっきりと思い出せる。
 そしてその使命感に従い、飛鳥は弟を大事に可愛がってきた。多少過保護なところはあったかもしれないし、ブラコンと揶揄されたことも多々あったけれど、それでも絶対にその使命を投げ出さなかったし、投げ出したくなかった。
 本当はもっとそばにいたい。近くで彼が大人になっていくのを最後まで見守っていきたかった。だけど――ここまでだ。翼を見守られるのも、こうして飛鳥の好きな曲を演奏してもらうのも、これで最後になる。
 曲の終盤、テンポが速く連続した伴奏と左で弦を弾く音が徐々に大きくなってきたかと思うと、フッとそれが止む。そして一瞬の間があったあとに、最後のハーモニクスが切なげに響き渡った。


 4-3


 大空のアパートに辿り着くまで車の中は静かだった。それは決して気まずい沈黙じゃなくて、素晴らしい演奏の余韻に長く浸るために必要な時間だ。

「――翼くんすげえ上手かったな」

 リビングのソファーに座ってから初めて、大空が演奏の感想を口にする。

「俺箏のことはあんま詳しくねえけど、あれがすげえ難しい曲だってのはわかったよ。どっちの手もすげえ忙しそうに動いてたし」
「まあ翼くらいの歳であそこまで弾きこなせるやつはなかなかいないと思う。俺もちゃんと弾けるようになったのって高校生の頃だったしな」

 翼には演奏者としての才能がある。将来はプロの箏奏者になりたいと本人も言っていたし、きっとそれはいつか叶うだろうと飛鳥は信じている。

「大空」

 すべてが無事に終わった今、大空にちゃんと言わなければならないことがある。飛鳥はソファーから立ち上がり、大空に向かって深く頭を下げた。

「箏作るの手伝ってくれてありがとな。大のおかげで俺の夢の一つを叶えることができた。翼も喜んでくれたみたいだし、演奏も聴けて本当に満足だ」
「そんな改めてお礼なんか言わなくていいって。俺も箏作るの楽しかったし、貴重な体験できてよかったよ。ちょっと寂しい気もするけど、無事に翼くんに渡すことができてホッとしてる」

 座りなよ、と促されて飛鳥はもう一度大空の隣に腰かける。

「今度は大の願いを叶える番だな」

 箏作りへの協力を頼んだときに、その見返りにと大空から要求されたものがある。そのことを飛鳥は忘れたことなどなかったし、ちゃんと約束を守るつもりでもいた。

「あっちゃん、俺のこと抱いてくれるの?」
「約束したからな。でももしそういう約束がなかったとしても、大のことを抱きたいって思ってた。好きだから」

 たった二週間のうちに、飛鳥の気持ちは大きく変わった。男なんて恋愛対象になり得ないと思っていたのに、自分でも驚くくらいあっという間に大空に恋をしてしまっていた。

「俺もあっちゃんのこと好きだよ。つーか俺んが好きになるの早かったし」
「そうだな……大が俺を好きでいてくれたからこそ、大のそばにいることに居心地のよさみたいなの感じてたんだと思う。それに大と一緒にいると何してても楽しかった。映画観るのも、水族館に行くのも、ただくっついて寝てるのさえ、楽しくて、安心できて……そんで温かかった」

 こんなに安心できる場所を飛鳥は他に知らない。最愛の弟でさえ飛鳥をこんなにも優しく、けれど情熱的な気持ちにさせることはなかった。大空はやっぱり特別だ。他の何物にも代えがたい、飛鳥にとっての唯一無二の存在。

「大……」

 飛鳥は大空の両頬にそっと触れる。少し垂れた目とわずかに見つめ合ったあと、何も告げずにキスをした。一瞬だけ触れてすぐに離れると、大空の顔がぱあっと赤くなっていくのが見て取れた。

「なんでそんな初めてみたいな反応してんだ?」
「いや、だってあっちゃんとは初めてじゃんっ」
「人のチンポ勝手に咥えたり、兜合わせ? とか言うのしたくせに、キス程度で照れるとか意味わからん」
「あのときは俺から一方的にしてる感じだったじゃん! なんかあっちゃんのほうから積極的に迫られるとドキドキして心臓壊れそうになる」

 可愛い顔をして可愛いことを言う大空に、飛鳥はどうしようもないくらいに愛おしさが溢れてくるのを感じた。背中を抱き締めれば素直に縋り付いてきて、飛鳥の頬に頬を摺り寄せる。

「もうさ、すげえ勃っちゃってるよ俺」
「俺もだ」

 お互いの股間にテントができているの目で見て確認して、そろって噴出した。

「なあ、ベッド行こうぜ?」
「だな」

 隣の寝室に移ると、ベッドに上がる前に二人とも着ているものをすべて脱いだ。早く素肌で触れ合いたかったからだ。
 誘うように仰向けで寝転がった大空の上に重なり、もう一度キスをする。さっきの触れるだけのキスじゃなくて、しっかりと性欲の匂いを漂わせた深いそれだ。飛鳥の口内に押し入ってきた大空の舌に自分の舌を絡ませ、生温かい粘膜を押し付け合う。
 一瞬舌が引っ込んだ隙を見て飛鳥も大空の口内の舌を忍ばせた。すると先端の辺りを甘噛みされ、それが気持ちよくて下肢を揺らすと大空の硬くなったそれと擦れ合う。

「お前、やっぱ慣れてるな……」
「そりゃそれなりに経験してきたから。あっちゃんだって意外と上手くてちょっとびっくりしてるんだけど」
「俺だってそれなりに経験してる。お前ほどじゃないかもしれねえけど」

 大空の身体に触れたことのある、顔も名前も知らない男たちに嫉妬していないと言えば嘘になる。だけど今この瞬間、大空の頭は飛鳥でいっぱいのはずだ。さっきから顔がそう言っている。だけど飛鳥の頭の中も同じくらいか、あるいはそれ以上に、大空でいっぱいになっていた。
 キスの続きをしながら、指を大空の乳首に触れさせる。ここが敏感だということは、いつかのラブホテルでの触れ合いで学習済である。案の定、組み敷いた身体がびくっと跳ね、唇の隙間から吐息とともに甘い声を零した。
 ツン尖った乳頭の周辺は相変わらず綺麗な桃色をしている。まるで誰にも触れられたことがないみたいなそれに改めて興奮しながら、チュッと音を立てて吸い付いた。

「あっ……あんっ」

 身体が強張るくらい感じる大空に飛鳥は気をよくしながら、懸命にそこを愛撫する。舌で転がし、時々甘く噛み、今度は強く吸い付いて宥めるようにまた舐める。そうしているうちに薄桃色だったそこは赤く色付き、どんどん敏感になっていく。

「あっちゃんっ、そこばっかやだっ」
「嫌じゃなくていいんだろ? こんなに硬くしやがって、どんだけいやらしい身体してんだよ」

 他の誰かに、それも一人や二人じゃなくて、両手でも足りないほどの男たちにすでに触れさせてきたのだと思うと嫉妬でどうにかなりそうだったが、今この瞬間は心も含めて飛鳥のものだ。それを形に残しておこうと、大空の肌に強く吸い付いて痕を残した。胸の辺りだけじゃなくて、首筋や脇腹、腹や太腿にまで飛鳥が愛撫した痕跡を刻み込み、最後に乱暴に口付ける。

「あっちゃん、何か思ってたよりも上手くてちょっとびっくりしてんだけど」

 唇が離れた隙に、大空がそんなことを言った。

「女相手のときは正直、ここまでしつこくなかったと思う。けど大はわかりやすいし、反応が可愛いからしつこくしたくなるんだ」
「可愛いかな~俺。あんま言われたことねえんだけど……」
「俺にとっちゃすげえ可愛いし、全部余すことなく触りたくなる。ほら、ここだって」

 さっきからずっと飛鳥の腹の辺りに擦れていたモノを握ると、大空の身体がピクリと震える。

「チンポなんてお前のじゃなきゃ触ったりできねえよ」
「って言いながら翼くんのも普通に触ってそうだよね、あっちゃんって」
「それはまた別枠ということで……」
「このブラコンめ!」
「褒めるんじゃねえ。けど俺、前ほど翼のこと考えなくなった。それに今は大のことしか考えてないし、大のことしか見えてない」

 正直な気持ちを吐露すれば、大空は面食らったような、あるいは少し恥ずかしそうな顔をして目を逸らした。

「今日のあっちゃんデレ全開でやりにくいな~」
「セックスのときまでツンケンしてたら嫌だろ? それともお前はツンケンしててほしいのか?」
「いや……このままのあっちゃんがいい」

 そう言って大空は両手を飛鳥の頬に触れさせる。

「優しいあっちゃんのほうが好きだもん」
「だろ? 俺だって好きなやつには優しくしたいって思う」

 だけどたぶん、セックスの最中にこんなに優しい気持ちになるのは初めてだ。もちろん興奮もしているけれど、それ以上に自分のすべてで相手を包み込んでやりたいと思った相手は大空が初めてかもしれない。

「よし、大のチンポしゃぶってみる」

 少し前なら同じ男のそこを口に含むなんて考えただけでもぞっとしていたが、今は積極的に愛撫してやりたいと思う。

「俺もあっちゃんのしゃぶりたいから、シックスナインでしよ?」
「わかった」

 飛鳥が身体の向きを変えて横になると、大空は待ちきれないと言わんばかりの勢いで飛鳥のそこに手を伸ばし、そして何の躊躇いもなさそうに咥えた。与えられる愛撫に感じながら、飛鳥もカチカチのままの大空のそれに舌を這わせる。
 少ししょっぱいような味がしたが、別に不快じゃない。先端が唾液でぐっしょり濡れると口に含み、大空がしているみたいに上下に扱くみたいにしてみる。すると大空はたちまち息を乱し、飛鳥のを咥えながら時々喘いだ。
 フェラチオをする側に関しては未知の領域だったが、大空と同時にしていると実地でレクチャーを受けているみたいでコツを掴みやすかった。それに大空はわかりやすく反応してくれる。なるほど、こうするのがいいのかと学習しながら責め立て、そうするとしょっぱい味が更に広がった。
 大空のをしゃぶりながら、ふと飛鳥の視界に彼の後ろの秘部ともいうべき場所が飛び込んでくる。男同士でするときにそこを使うというのは、ゲイじゃない飛鳥でも知識として知っていた。今日もこれからそこに挿入することをおぼろげに考えていたし、大空だってその気だろう。

(ってことはそこもちゃんとほぐしとかなきゃ、だよな……)

 咥えたものを解放し、頭をそちらに寄せて少し観察してみる。思っていたほどえげつないようなものじゃない。むしろ綺麗なもので、時々呼吸するみたいに開いたり閉じたりする様子に、飛鳥は強い興奮を覚える。そこに舌を這わせる行為に、躊躇いや抵抗は一切なかった。

「あっ……ちゃんっ、何してっ……!?」

 大空がひどく驚いたような声を上げたが、無視して表面を舐め回し、唾液でぐっしょり濡らしていく。

「あんっ……あっちゃんっ、そんなとこっ、舐めなくていいのにっ」
「なんでだよ? ここ使うんなら解さなきゃ駄目だろ?」
「でもさすがに舐める人そんないないよっ」
「あ、そう」

 だから何なんだと思いながら、飛鳥は愛撫を続ける。邪魔な脚を開かせ、グッと舌を押し付ければ入口が柔らかくなり、まるで中に招いているかのように口が開いた。

「あっちゃんっ……あっ!」

 ここが感じるというのがどういうものなのか飛鳥にはよくわからないが、愛撫を受ける大空は際限なく喘いでいる。それこそ性器をしゃぶっていたときよりも反応がいいくらいだ。けれど指を押し当てるとそこは急に硬く締まり、まるで拒絶するみたいに尻の谷間も閉じてしまう。

「指はさすがにローションないときついよっ」
「そ、そうか……」

 男同士だとそういうものも必要なのか。何も考えずにそこをこじ開けようとしたことを反省しながら、大空が棚からローションを取って来てくれるのを待った。
 当然ながら飛鳥はローションの入ったボトルに触れることができず、ローション自体も身体をすり抜けていってしまう。けれど一度大空の身体に垂らせば触れられることにすぐに気がついて、大空自身にそこに直接垂らしてもらった。上から垂れてくるそれを指の腹ですくい、そしてゆっくりと中に押し込んでいく。
 初めて触れたそこは思っていたほど硬くなかったが、いつも熱いと感じていた大空の地肌よりも更に熱い気がした。指が根元まで入ると嬉しそうに収縮し、締め付けてくる。

「挿れられただけでも気持ちいいもんなのか?」
「うん……けど、上側指の腹で擦るみたいにして動かしたらもっと気持ちいいっ」

 言われたとおりに指を動かしてみれば、関係ないはずの性器がビクビクと反応するのが見て取れた。その動きを繰り返せば収縮が更に強くなり、大空の口から艶っぽい声が零れる。

「あっ、あっ、あぅ……っ」

 喋っているときの声は普通なのに、感じているときの大空のそれは何か腰に来るものがあった。もっと鳴かせたくて指を揺さぶると、甘ったるい声を上げながら太腿をひくひくと震わせる。

「あっ、んっ、あんっ、あっ……」

 少し焦らせばもっとしてくれと目で訴えてくるから、感じるところだけを執拗に愛撫する。恥ずかしそうに感じて、堪らないと言いたげにぴくぴくと反応する様が可愛くて、乱暴に犯してしまいたくなる。だけど我慢だ。このセックスはうんと優しくすると飛鳥は決めていた。
 ある程度そこが拡がると指を一本ずつ増やしていき、最終的に親指を除いた四本の指が狭い穴に納まった。これならもう大丈夫だろうかと大空に問えば、彼は上気した顔でうんと頷いた。

「コンドームとか着けたほうがいいのか?」
「いや、あっちゃんどっちにしろ着けれないだろ」
「そういえばそうだったな……」
「それに着けれたとしても、俺は生で挿れてほしかったよ。あっちゃんのチンポ生で感じて、最後中に出されたい」

 中に出されたいという言葉に、飛鳥は強い興奮を覚えてクラクラしそうになる。

「……ひょっとして他のやつらにも生でやらせてんのか?」
「そんなわけないじゃん。俺だって病気恐いし……。あっちゃんだからいいんだよ? あっちゃんのことすげえ好きだから、生チンポで犯されて種付けされたい」
「……種付けされたいとか言うんじゃねえ」
「こういう明け透けなの嫌だった?」
「ちげえよ。そんなの言われたら、壊れるくらいに滅茶苦茶に犯したくなる」

 怒張したそれが早く大空の中で暴れたいと言っている。大空の中を好き勝手に蹂躙し、最後には溢れるくらいの精を注ぎたいと訴えている。

「あっちゃんになら俺、壊されてもいいよ」

 大空は本当にそう思っていそうな純粋な目を向けてくる。けれど飛鳥は首を横に振った。

「そんなの駄目だ。一緒に気持ちよくならねえと何の意味もねえ。大事なやつに痛い思いなんかさせたくねえよ」
「あっちゃん……」

 嬉しそうにしがみついてくる大空を飛鳥は抱き締め、舌を絡ませるキスをする。

「じゃあ挿れるぞ?」
「うん」

 尻を割り開き、己をそっとあてがえば、ローションに濡れたそこがまるで誘うように口を開いた。じっくり解した甲斐あってか、凶暴な熱を突き立ててもそれほど抵抗感はなく、あっという間に根元まで中に納まってしまう。
 指を挿れたときにも思ったが、そこはやはり大空の身体のどこよりも熱い。その熱を生で感じ取りながら、筋肉質な身体をもう一度抱き締め、完全に拡がり切るのを大人しく待った。

「あっちゃんのって結構でけえよな~」
「体格的にこんなもんじゃないのか?」

 飛鳥は身長百八十二センチ。確かに風俗嬢にも大ぶりだと褒められたことはあったが、それは身体のサイズに比例するものだと思っていた。

「背高くてもチンポは普通ってやつ結構いたけどな」
「ひょっとしてきついのか?」
「いや、あっちゃんがゆっくりじっくり解してくれたから大丈夫だよ。たぶんもう動いても平気だと思う」
「わかった」

 そうして緩やかに、まずは具合を確かめるようにゆっくりと腰を動かし始める。隔てるものがないせいかひどく粘ついた感触がして、飛鳥はぞくぞくと震えた。

「あっ……ふっ」

 飛鳥が動くたびに中が収縮し、その程よい締付けに気を抜くとあっという間に達してしまいそうな気がした。全身にグッと力を入れてそれを堪えながら、引いて、押してを繰り返す。
 鍛えられた腹に触れると、腹筋の硬い感触がした。その手を更に下に滑らせ、硬くなったまま萎える気配のない性器に触れると大空は全身を震わせた。

「挿れてるときにあんまそこ触っちゃ駄目だよっ」
「なんで?」
「すぐイっちゃうからっ」
「……可愛いこと言ってんじゃねえ」

 大空の髪の毛をぐしゃぐしゃに撫で回し、飛鳥は律動を少しずつ速めていく。
 コンドームを着けない挿入は初めてだ。着けてするときはもっと途中でつっかえるような感じだったのに、隔てるものがないとこんなにも滑らかになるのか。あるいは男女で受け入れる器官の構造に違いがあるからだろうか?

(まあもう、どっちでもいいけど……)

 信じられないくらい奥まで行く。大空の身体で知らなかった場所をどんどん暴いていく。それは愉悦にも似た気持ちを飛鳥に抱かせ、激しい興奮を血液に乗せて全身に巡らせるような感覚がした。

「あっちゃんっ……」

 喘ぎながら、大空は時々うわ言のように飛鳥を呼んだ。余程感じるのか綺麗なアーモンド形の目は虚ろになり、堪らないと言いたげに腰を捩る。

「あんっ、あっ、あっ……ああっ」

 もうちょっとゆっくり味わいたいと思っていたのに、大空のいやらしい顔に煽られて自然と腰の動きが激しくなってしまう。気づけばパンパンと音が鳴るくらいに腰を打ち付けていて、飛鳥を受け入れて放さないそこを貪っていた。

「あっ、あぁっ……あっちゃんっ」

 名前を呼ぶ唇に自分の唇を重ね、繋がった下半身を模するように舌を絡め合う。身体を激しく揺らせば大空は必死に飛鳥の首にしがみつき、肩口に軽く噛み付いてくる。

「あっちゃん、そのまま俺の身体起こしてっ……俺上になりたいっ」
「わかった」

 望みどおりに大空の身体ごと起き上がり、そのまま飛鳥は仰向けに寝転がる。
 深く繋がったまま、今度は大空が自ら腰を動かし始めた。先端が抜けかけるくらいまで引き抜いたかと思うと、またストンと腰を落として根元までしっかりと飲み込む。その動きを繰り返しながら、そこに左右や前後の動きも加えて飛鳥を気持ちよくしてくれる。

「あっちゃんっ……俺ん中、気持ちいいっ……?」

 恍惚とした表情の中に少し笑みを浮かべた顔を、色っぽいな、と割と真剣に思いながら眺める。

「すげえいいっ……そういう大はどうなんだよ?」
「俺もすげえ気持ちいいよっ。あっちゃんのが気持ちいいとこすげえ当たってきて、身体がずっとぞくぞくってしてる」

 開ききった脚の間で、腰の動きに合わせて大空の勃起した性器も揺れている。大空に出逢うまで男のそこに欲情を覚えることなんてなかったけど、今目にしたそれはまさに卑猥だ。

「あっ、ホントすげえ気持ちいいよっ……あっちゃんのチンポっ、マジ最高っ……あっ」

 プロ顔負けの腰使いに変な関心を覚えながら、だけど飛鳥は少しもどかしいような気持ちがしている。もっと激しいのがいい。もっと激しくかき混ぜてやりたい。大空の腰使いも十分気持ちいいけれど、もっと激しくぶつかり合うセックスが飛鳥はしたかった。
 自分を跨いだ大空の太腿を両手で押さえると、飛鳥は腰をグッと突き上げる。いきなりのことに大空は驚いたように声を上げたが、無視して突き上げる動きを激しくしていく。

「あっ! あっちゃんっ……駄目っ、あっ! やばっ」

 大空は背をのけぞらせ、気持ちよさそうに顔を歪ませた。

「あんっ! あっ! ああっ!」

 やっぱりこうされるのがいいんじゃないか。激しく突かれて悦ぶ身体をいやらしいなと思いながら、だけどそんな身体に飛鳥はすっかり夢中になっている。

「あっちゃんっ……駄目っ、それしたら俺っ……」
「したらなんなんだっ……?」

 大空は返事をしなかったが、答えはすぐにわかった。突き入れたそこにグッと力が入ったかと思うと、大空の股の間で揺れていた性器から白濁が迸ったのだ。

「だから駄目って言ったじゃんよっ」

 律動を止めてやると、大空は泣きそうな顔をしながら飛鳥の乳首を抓ってきた。

「ケツだけでもイけるんだな、お前」
「悪いかよ!」
「いや、いいことなんじゃねえの? 少なくとも俺はイかせられてすげえ嬉しかったんだが……そんなに俺のがよかったのか?」
「……そうだよ。あっちゃんのチンポなんかすげえガツガツ当たってきて、さっきからイクの我慢してたけど最後は駄目だった」

 可愛いことを口走る大空に、彼の中に入ったままにしていたそこが更に漲るのを感じた。大空にもそれが伝わったのか、少し驚いたような顔で結合部を確かめている。

「えっ、あっちゃんなんかまた一段階デカくなった気が……」
「お前が可愛いこと言うからだろ? ガツガツ当たってくるとかイクの我慢してたとか……ひょっとして俺を煽ってんのか?」
「別にそういうつもりじゃ……あっ、待って!」

 軽くピストンすれば、大空が本当に嫌がるように身体を捩ったから飛鳥もすぐに止める。

「イったばっかできついから、せめて正常位に戻して?」
「しゃーねえな」

 飛鳥としても大空に負担を強いたくはなかったから、言われたとおりに最初の体位に戻した。すぐにでも腰を動かしたい衝動を堪えながら、繋がったままキスをして大空の身体が落ち着くのを待つ。

「ケツ痛くねえの?」
「今んとこ大丈夫だよ」

 さっきみたいに激しくすると女には痛がられた。だけど大空のそこは飛鳥の形に上手く馴染んでいる感じがして、確かに大丈夫そうだと飛鳥も感触でわかる。身体の相性がいいというのはこういうことなのかもしれない。あるいは大空のそこがタフなのだろうか?

「次激しくしたら俺もたぶんイっちまうと思う」
「イってもいいよ」
「本当に中に出してもいいのか?」
「うん。さっきも言ったけど、俺はむしろあっちゃんに中出しされたいから」

 男同士だから中に出したところで妊娠のリスクはないが、禁忌を犯すような感覚は少しあった。だけどその禁忌を犯すことに、ものすごい快感が伴うだろうことは想像がつく。

「一回だけじゃなくて、何回もしたい」
「あっちゃん意外と性欲強いんだな~。まあ俺もだけど」
「大のケツが気持ちよすぎるのが悪い」
「人のせいにするんじゃねえ」

 他愛もないことを言いながら、何度も軽いキスをする。そうしているうちに一度達して萎えていた大空のそこが元気を取り戻し、飛鳥の腹に擦れていた。

「復活早いな」
「そりゃ、あっちゃんのチンポ受け入れたままだし。ホントさ、すっげえ気持ちよくて堪んねえんだ」
「エロいケツだな~」

 もちろんそうであったほうが飛鳥にとってはいいのだが。

「じゃあ続きするぞ?」
「うん、いいよ。滅茶苦茶に犯して」

 一度抜いてローションを足してもらい、再び大空の中に入り込む。出し入れする動きに今度は遠慮などしない。そこはもう完全に飛鳥の形に拡がりきっていて、どんな激しいピストンにも耐えられそうだった。むしろ激しいほうが大空も感じるのだとわかっている。このいやらしい身体は生温いセックスじゃきっと満足してくれない。

「あっ! ああっ、あんっ、あっ、あっ……!」

 引き締まった身体が一突きごとに乱れて震える。絶え間ない律動に合わせて大空も絶え間なく嬌声を零しながら、時々飛鳥を濡れた瞳で見上げた。目が合うたびにぞくりとして、飛鳥も絶頂が近くなっていく。

「くそっ……箏が完成するまで待つんじゃなくて、最初からこうしておけばよかったっ」

 大空の中がこんなに気持ちいいと知っていたら――大空と身体を重ねることがこんなにも幸福感に満ち溢れているものだと知っていたら、もっと早くに手を出していたのに。

「こんなに気持ちいいケツしてるならもっと早く言えよ、大っ」
「あんっ……俺に当たんなよっ……全然興味なさそうにしてたのあっちゃんじゃんかっ……あっ!」
「しゃーねえだろっ……男とセックスなんて考えたこともなかっただからなっ……ましてやこんなに好きになるなんてっ……思わねえだろっ」

 元々そういう素質を自覚していたならまだしも、飛鳥は大空と出逢うまで男と恋愛をすることなんて一ミクロンだって考えたことがなかった。今だってまだ少し信じられない気持ちがしている。だけどそれは確かに恋慕の気持ちで、そして深い愛情でもあった。

「もっと言ってっ……好きってもっと言って、あっちゃんっ」
「好きだよ、大っ……こんなに誰かを好きになったの、お前が初めてだからなっ」
「ああっ……嬉しいっ、俺っ、嬉しすぎて死ぬっ」
「お前も言えよっ……散々聞かされたけどっ、もう一回聞かせろっ」
「あっ……あっちゃん、好きっ……大好きっ」
「俺もお前が大好きだっ……大空っ」

 身体を前に倒し、大空をギュッと抱き締めながらキスをする。このままもう二度と離したくない。腕の中に閉じ込めたままどこかへ連れ去っていきたいと、強い独占欲が胸の奥のほうから溢れ出てくる。
 力強い律動を繰り返しているうちに、絶頂が近いことを飛鳥は自覚した。達してしまうのがもったいないような気もしたが、この一回で終わるわけじゃないからとりあえず一発出しておこうかと更に激しく腰を叩きつける。

「あっ! あっ、あっ……激しいっ」
「激しいのがいいんだろ? さっきも激しくしたらチンポ触ってねえのにイったもんな?」
「だってあっちゃんのが気持ちいいんだもんっ……いいとこいっぱい突いて、俺ん中掻き回してっ……すげえ堪んねえっ」

 堪らないのはこっちのほうだと思いながら、抜けないぎりぎりのところまで戻ってまた一気に貫く。その動きを何度も激しく繰り返した。

「マジで中に出すからなっ……子どもできても知らねえぞ?」
「あっ! あっ、あんっ……あっちゃんの子どもならっ、俺できてもいいよっ」
「誰にでもそういうこと言って、中に出させてるんじゃねえだろうな?」
「言ってねえし、中に出させたりしねえもんっ……あっちゃんだけだよっ……こんなに好きなのあっちゃんだけだもんっ」

 自分だけが特別だと言われたことに、飛鳥は強い愉悦を覚える。一途に愛されることに、こんなにも心が満たされる。だけどたぶん、それは相手が大空だからなのだろう。心が満たされるのは、飛鳥もまた大空のことを一途に愛しているからだ。

「あっちゃんっ……あっちゃんの精子っ、俺ん中出してっ……俺ん中あっちゃんの精子でいっぱいにしてっ」
「わかったっ……今出してやるからなっ……ちゃんと全部受け取れよ?」
「うんっ、出してっ……あっちゃんの精子っ、いっぱいっ」

 あとはもう、互いに言葉はなかった。飛鳥はただひたすらに腰を振り、そして大空はただただ艶めいた声を零し続けた。その声とエロい顔に煽られながら、飛鳥は下半身が重くなり、こめかみの辺りがぞわぞわしてくるのを感じる。

「大っ……イクぞっ……中に全部出しやるっ」
「出してっ……あっちゃんの、俺の中に全部っ」

 もう我慢は利かなかった。締め付けがひと際きつくなったそこを飛鳥も最後の力で激しく貫く。

「イクっ、イクっ――あっ!」

 そして最奥まで達すると同時に、欲望のすべてを熱い身体の中に放った。ドクドクと、自分のが激しく脈打っているのがわかる。本当にこれで大空を妊娠させられたらいいのにと思いながら、最後の一滴まで余さず中に注ぎ込んだ。
 射精の余韻が落ち着くと、飛鳥は大空の上に倒れ込んでその身体を抱き締める。大空もまた同じように飛鳥の背中に腕を回し、思っていたよりも強い力でしがみついてきた。

「あっちゃんっ……」

 すすり泣くような声が耳元で聞こえた。慌てて顔を覗き込めば、大空はその男らしさの滲む顔を涙に歪めている。

「す、すまん大っ、痛くしちまったか?」

 最後のほうは本当に遠慮なかった。大空も感じているようだったから大丈夫だと思っていたが、ひょっとしたら無理をさせてしまったのかもしれない。
 けれど大空は首を横に振った。飛鳥の背中を掴む腕に力が入る。

「どこにも行くなよっ……」

 そう言った声は、涙に震えていた。

「ずっとここにいろよっ……俺を置いて行くなよっ。生きてるやつみたいな、普通の付き合いとかできなくていいからっ……そばにいてくれよっ」

 懇願する声に、飛鳥もまた泣いてしまいそうになる。飛鳥だってできることならそうしたい。ずっと大空のそばにいて、楽しくて幸せな時間を過ごしていたい。
いろんな思いが込み上げてきて目の奥がじんと熱くなったが、懸命に堪えた。ここで自分まで泣いてしまったら収集がつかなくなる。代わりに細かく震える身体をギュッと抱き締め、慰めるように頭を撫でてやった。



 あれから休憩を挟みながら、結局五回もした。最後は互いに力尽きて泥のように眠り、飛鳥がふと目覚めるとカーテンの外が俄かに明るくなり始めていた。
 隣で眠る大空の額にキスをして、ベッドを降りて狭いベランダに出る。早朝とあってアパートの前の道路に人通りはない。辺りの家もそのほとんどが明かりを落としていて、この時間独特の雰囲気にどこか新鮮なものを感じる。

(この景色を見られるのもきっとあと少しなんだろうな……)

 確かな根拠があるわけじゃないが、現世に留まれるのももうそれほど長くはないのだという予感が飛鳥に中にあった。どういうふうにその瞬間を迎えるのかは想像もつかない。それに成仏したあとはどうなってしまうのだろう? 別の世界で生きることになるのだろうか? それとも無になり、この身体も感情も消えてなくなってしまうのだろうか?

(できれば後者のほうが俺はいいな……)

 無になってしまえば余計なことを考えなくて済む。この世に残してきたもののことを恋しく思わなくて済むはずだ。手の届かないところから静かに見守るなんて、もどかしさや寂しさに打ちのめされそうで嫌だ。
 自分がいなくなったら大空はどうするのだろう? 後追いなんてされても嬉しくはないが、他の男を見つけてそいつと幸せになっていくのもなんだかおもしろくない。
 ひょっとしたら、次の相手は美濃羽製作所の鷹かもしれない。大空は鷹のことをタイプだと言っていたし、鷹もまた同じゲイで大空のことを気に入っているようだった。可能性はなくもない。

(まあどこぞの馬の骨とも知れねえやつよりは、鷹さんのほうがいいけど……)

 鷹は頼りになるし、優しいからきっと大空を幸せにしてやれるだろう。嫉妬をしないわけじゃないが、それでもまだ鷹なら許せるような気がする。
 ――そんなことを考えていると、ふいに涙が零れた。一旦零れ始めるとそれは歯止めが利かなくなり、次々と飛鳥の頬を滑り落ちていく。せめて嗚咽が聞こえないようにと、慌てて口元を手で覆った。中で眠っている大空に泣いているのを知られたくない。だけど歯の隙間からどうしても抑えきれなかったそれが、情けないような音になって狭いベランダに響き渡る。
 本当は鷹にだって――この世の誰にも大空を渡したくない。彼を幸せにするのなら、その相手は飛鳥自身がよかったし、自分もまた彼に幸せにしてもらいたかった。大空の隣は飛鳥の場所だ。その居場所を誰にも譲りたくない。
 もう一度、大空と一緒に映画や水族館に行きたい。それだけじゃなくて、以前は弟と行きたいと思っていた遊園地や観光地も、今は大空と一緒に行きたかった。一緒にいろんなものを観て、いろんなものを共有して、楽しくて幸せな時間を二人で過ごしたかった。一緒に歳を重ね、いつの日かお互い爺になったな、なんて言い合って――だけどきっと、どれだけ歳を重ねても好きだと想う気持ちは変わらない。相手を愛おしいと、大事だと想う気持ちはきっと変わらないはずだ。自分たちは人生の最後まで歩幅を合わせて歩いて行ける。
 そんな幸せな未来予想図を、もう絶対に叶えることができないのだと改めて思い知らされ、飛鳥は絶望する。だって自分はもう死んでいる。触れられるほど近くにいるのに、実はものすごく遠く離れているのだと改めて気づかされる。

(大っ……)

 離れたくない。大空を独りにしたくない。独りになりたくない。そんな必死な想いが涙になって溢れ出る。それは太陽が山の上から顔を覗かせ、町を明るく照らし出すまで止まることはなかった。
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