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イチャモメ編
with you again ※R15
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このところ毎年の恒例となっているレーベル主催のカウントダウンライブに、今年も大河は結斗や望と共に出演した。
グループのメンバーとしてルカも少しだけトークコーナーに登壇したが、後半はほとんど関係者席でステージを眺めていた。
年が明け、ライブの終了後にはステージ裏で共演者やスタッフらと、本番の成功と新年に乾杯、と大河は缶ビールを軽くあおる。
例年はそのまま仲間たちと打ち上げになだれ込み、うまい酒と飯で腹を膨らませ、大河と同じくよく飲む結斗と、ときには真音など後輩を含めて、二次会、三次会と朝まで飲み続けることも毎年のお決まりだった。
今年は大規模な打ち上げは行われず、けれどこのまま解散というには物足りない。
ライブで高揚した気分も持て余していたところに、大河は結斗から内輪だけで飲まないか、と誘いを受けた。
結斗が声をかけたのは、大河とルカ、それから真音ともうひとりの後輩アーティスト、同じレーベルに所属する茅根朔也だ。
朔也は真音が審査員特別賞を受賞したオーディションの優勝者で、ふたりは同期デビューの仲間であり、良きライバル、それから恋人同士という関係でもある。
そして結斗にとって朔也は、かつて同じ児童劇団に所属していた頃からの後輩で、旧知の仲だという。
再会を果たしてからというもの馴れ馴れしく喧しい結斗に、朔也は少々迷惑そうな顔を隠していないけれど。
気心の知れたメンバーを集めたい結斗は望も誘いはしたが、酒の席なら遠慮しておくと断られたらしい。
タダ酒に釣られた大河とそれを見張るように同行したルカ、ふたりの後輩を自宅に招いた結斗は、ささやかながら打ち上げを楽しもうね、と改めて乾杯の音頭を取った。
結斗の自宅は単身者が暮らすには十分すぎるほど広いリビングで、ルカは早々にソファへ横になって眠ってしまった。
ライブで年を越し、そこからなんだかんだと会場を出るまでに小一時間。
すでに夜も深く、朝の早い習慣のあるルカには仕方のないことだ。
それでも帰らずに着いてきたのだから、ルカが目の届く範囲にいるだけで大河は安心してしまう。
大河は眠るルカのそばで床に座り、後輩たちと共にローテーブルを囲んで、結斗が用意した酒のボトルを景気よく空けていった。
明け方近くになってルカが目を覚まし、のろのろと起き上がる姿にすっかり酒の回った大河は、むら、と欲情を覚えた。
寝起きの目つきは悪く、いつも以上に顔を顰めているルカの頬をくすぐって酒を置く。
「そろそろ帰るか」
「ええっ、とらちゃんもう帰っちゃうの!? やだやだもっと飲もうよお」
大河と同じペースで酒を流し込み、こちらもすっかりできあがっている結斗が駄々っ子の真似事をした。
立ち上がった大河の足元に縋りつきそうな勢いの先輩に、朔也が呆れて頭を痛めている。
酒飲みたちに合わせてほどほどにアルコールを摂取していた真音が、結斗の手を掴んで止めた。
「結斗くん、だめだよ邪魔しちゃ! オレたちが付き合うからさ~」
最近ではこうして複数人で集まる機会も減り、結斗は寂しいのだとさめざめと泣く。
本音なのだろうけれど、朔也は酔っ払いの戯言だと聞き流しながら、結斗の背中をぽんぽんと叩いてぞんざいにあやしていた。
「ここは俺たちが食い止めます」
「今のうちに早く行って、大河くん!」
「わりぃな。おまえらもてきとーなところで切り上げろよ、こいつに付き合ってるとキリがねぇぞ」
子役時代からの付き合いとは言え、朔也は面倒な先輩の相手をしてやるよくできた後輩だ。
またねー! と手を振り送り出してくれる真音に、おー、と腕を上げた大河は、完全に酒で上機嫌になっていた。
結斗のマンションを出ると、外はまだ真っ暗な寒空で、近くにひと気はない。
酔っ払いたちの寸劇を横目に、ルカは抜かりなくスマートフォンでタクシーを手配していた。
「おい、馬鹿犬、己の足で歩けるか」
「なめんな、あるけるに決まってんだろーが」
自信満々に答えておきながら、一歩踏み出せば千鳥足。
「無様だな」
揺れる大河の体を正面から片手で抱き止め、白い息をつきながら、人目がないことに安堵する。
タクシーが到着すると、ルカは大河を雑に詰めこんでから自身も乗り込み、車は走り出した。
運転手に目的地を告げるルカの声が大河の耳に届いたけれど、右から左に流れて消える。
十分ほど走ってタクシーは停車した。
大河は自分がどこで降ろされたのかわかっていなかったし、疑問を抱けるほど思考回路は動作していない。
ルカの肩に腕を回し、腰を支えられてたどり着いた部屋で、大河はベッドに倒れ込んだ。
やけに広くて、きれいに整えられた白いシーツの上で大の字に転がる。
目を閉じれば酒で高揚したままの気分は、ライブの余韻も思い起こさせた。
「るか」
ベッドの脇でコートを脱いでいたルカに手を伸ばし、あまく呼び寄せる。
ルカはその手を取り、大河へ体をすり寄せた。
上に乗せた体をぎゅっと抱きしめ、大河は頬や首筋に唇を寄せてちゅっちゅと口づける。
背中に回した手は自然とシャツの裾をスラックスから引っ張り出して、素肌を撫で回した。
手のひらから伝わるいとしい体温は心地よく、べたべたと好きにまさぐるうちに、大河のまぶたは重くなる。
ルカの肌を撫ぜる手がゆっくりと止まり、大河はすよすよと穏やかな顔で寝入ってしまった。
服も体も半端に乱されただけでひとり残されたルカは、無言で能天気な寝顔を見下ろすしかない。
一度眠ってしまえば、どうせ何をしても起きない男なのだ。
最初から諦めながら、それでも酔っ払いの身勝手さに不満を込めて、ぺしんと頭をはたきベッドを降りた。
しばらくの後、大河が目を覚ますと、見覚えのない天井が視界いっぱいに広がる。
そこにはオリエンタルな雰囲気を醸し出す大きな円形の照明があった。
一般家庭ではもちろん、ルカの住まう洋館でも見られないようなデザインに、まだアルコールでふわふわとしている頭の中が疑問符で埋め尽くされる。
どこだここ。
上半身を起こして部屋を見回すと、広々とした部屋でキングサイズのベッドがメインに置かれた内装が目に映る。
それが何を意味するのか、思考の鈍る頭でも大河は正解を導き出した。
何を目的に訪れるための施設か。ブティックホテルやらファッションホテルなどと洒落た名で呼ばれることがあっても、結局は所謂ラブホテルというやつだ。
さりとてそれがわかったところで、なぜ自分がそんなところにいるのか理解が追いつかずにいると、ベッドルームに併設された浴室からバスローブ姿のルカが現れた。
「なんだ、もう起きたのか」
大河が半時間ほどで目を覚ましたからか、案外早かったなとルカは意外そうに目を冷たく細めて視線を寄越す。
大河は酔いの回った頭でなんとか状況を把握しようとしたが、ここにルカといるということは、そういうことなのだろう、としか考えられない。
体を重ねるための場所で、ルカとふたりきり。
触れていた最中に寝入ってしまったことを辛うじて思い出すと、不甲斐なさに冷や汗をかく。
けれどそのおかげで多少は酔いが醒めたのだから良かったのでは、と安直に思い直したので、やはり大河にはまだ酒が多分に残っていた。
ルカにしてみれば、足取りの覚束ない男を玄関までのアプローチが距離のあるルカの住む屋敷、もしくは階段を上がらねばならないアパートである大河の自宅まで連れ帰るのが面倒で、近場のホテルに部屋を取っただけなのだが。
明け方に飛び込みでとなると、選ぶホテルの種類が限られていた。
それでもルカ自身、期待が何もなかったと言えば嘘になる。
触れる手を途中で放置されたことを責める権利はあるはずだと、ルカはむすっと唇を結び、わかりやすく不機嫌をあらわにして見せた。
「悪かったって、機嫌直せよ」
「お前の酒癖こそ治すがいい」
大河がベッドに腰掛けたルカを抱き寄せる。
冷たく遇らうくせに、バスローブに差し入れる手は振り払われない。
ぐい、とそのまま押し倒し、大河はルカを組み敷いた。
「新年一発目だってのに、んなつまんねぇ顔したまますんのかよ」
「日付けが変わっただけではないか」
特段はしゃぐことでもないと言うように取りつく島もなく、つんと顔を背けられると大河は傷ついて、わかりやすくしゅんと肩を落とす。
酔っ払いは思考も言動も何もかも、素面のとき以上に単純だ。
「正月は特別な日じゃねぇのか」
いつもなら働く理性も、アルコールのせいで跡形もない。
悪気の薄れた大河の口からその言葉を聞くと、ルカの武装も一瞬でほどけてしまった。
酔っ払いの言葉を期待通りに受け取って良いものかと少々戸惑いながらも、胸の内はどきりと弾む。
ルカは眉を寄せながら、自身に覆いかぶさる大河を上目遣いに見つめた。
「……特別」
「だよな、よかった」
ルカの答えに、酒で箍が外れた大河は、下心を微塵も隠さず嬉しそうに唇を重ねる。
肌と肌を直接に繋げたいと求める素直な欲望が、特別な日だけ、という免罪符で許されるのだ。
そんなものなどなくたって、ルカはいつでも許しているというのに。
酒が抜ければ失態に苦悶する大河の姿が目に浮かんで、それもまた一興、と内心で愉しみながら、ルカは口づけに応えてからだを委ねる。
まっしろなシーツにふたりで沈み、新たな年の始まりを刻むように熱を交わした。
グループのメンバーとしてルカも少しだけトークコーナーに登壇したが、後半はほとんど関係者席でステージを眺めていた。
年が明け、ライブの終了後にはステージ裏で共演者やスタッフらと、本番の成功と新年に乾杯、と大河は缶ビールを軽くあおる。
例年はそのまま仲間たちと打ち上げになだれ込み、うまい酒と飯で腹を膨らませ、大河と同じくよく飲む結斗と、ときには真音など後輩を含めて、二次会、三次会と朝まで飲み続けることも毎年のお決まりだった。
今年は大規模な打ち上げは行われず、けれどこのまま解散というには物足りない。
ライブで高揚した気分も持て余していたところに、大河は結斗から内輪だけで飲まないか、と誘いを受けた。
結斗が声をかけたのは、大河とルカ、それから真音ともうひとりの後輩アーティスト、同じレーベルに所属する茅根朔也だ。
朔也は真音が審査員特別賞を受賞したオーディションの優勝者で、ふたりは同期デビューの仲間であり、良きライバル、それから恋人同士という関係でもある。
そして結斗にとって朔也は、かつて同じ児童劇団に所属していた頃からの後輩で、旧知の仲だという。
再会を果たしてからというもの馴れ馴れしく喧しい結斗に、朔也は少々迷惑そうな顔を隠していないけれど。
気心の知れたメンバーを集めたい結斗は望も誘いはしたが、酒の席なら遠慮しておくと断られたらしい。
タダ酒に釣られた大河とそれを見張るように同行したルカ、ふたりの後輩を自宅に招いた結斗は、ささやかながら打ち上げを楽しもうね、と改めて乾杯の音頭を取った。
結斗の自宅は単身者が暮らすには十分すぎるほど広いリビングで、ルカは早々にソファへ横になって眠ってしまった。
ライブで年を越し、そこからなんだかんだと会場を出るまでに小一時間。
すでに夜も深く、朝の早い習慣のあるルカには仕方のないことだ。
それでも帰らずに着いてきたのだから、ルカが目の届く範囲にいるだけで大河は安心してしまう。
大河は眠るルカのそばで床に座り、後輩たちと共にローテーブルを囲んで、結斗が用意した酒のボトルを景気よく空けていった。
明け方近くになってルカが目を覚まし、のろのろと起き上がる姿にすっかり酒の回った大河は、むら、と欲情を覚えた。
寝起きの目つきは悪く、いつも以上に顔を顰めているルカの頬をくすぐって酒を置く。
「そろそろ帰るか」
「ええっ、とらちゃんもう帰っちゃうの!? やだやだもっと飲もうよお」
大河と同じペースで酒を流し込み、こちらもすっかりできあがっている結斗が駄々っ子の真似事をした。
立ち上がった大河の足元に縋りつきそうな勢いの先輩に、朔也が呆れて頭を痛めている。
酒飲みたちに合わせてほどほどにアルコールを摂取していた真音が、結斗の手を掴んで止めた。
「結斗くん、だめだよ邪魔しちゃ! オレたちが付き合うからさ~」
最近ではこうして複数人で集まる機会も減り、結斗は寂しいのだとさめざめと泣く。
本音なのだろうけれど、朔也は酔っ払いの戯言だと聞き流しながら、結斗の背中をぽんぽんと叩いてぞんざいにあやしていた。
「ここは俺たちが食い止めます」
「今のうちに早く行って、大河くん!」
「わりぃな。おまえらもてきとーなところで切り上げろよ、こいつに付き合ってるとキリがねぇぞ」
子役時代からの付き合いとは言え、朔也は面倒な先輩の相手をしてやるよくできた後輩だ。
またねー! と手を振り送り出してくれる真音に、おー、と腕を上げた大河は、完全に酒で上機嫌になっていた。
結斗のマンションを出ると、外はまだ真っ暗な寒空で、近くにひと気はない。
酔っ払いたちの寸劇を横目に、ルカは抜かりなくスマートフォンでタクシーを手配していた。
「おい、馬鹿犬、己の足で歩けるか」
「なめんな、あるけるに決まってんだろーが」
自信満々に答えておきながら、一歩踏み出せば千鳥足。
「無様だな」
揺れる大河の体を正面から片手で抱き止め、白い息をつきながら、人目がないことに安堵する。
タクシーが到着すると、ルカは大河を雑に詰めこんでから自身も乗り込み、車は走り出した。
運転手に目的地を告げるルカの声が大河の耳に届いたけれど、右から左に流れて消える。
十分ほど走ってタクシーは停車した。
大河は自分がどこで降ろされたのかわかっていなかったし、疑問を抱けるほど思考回路は動作していない。
ルカの肩に腕を回し、腰を支えられてたどり着いた部屋で、大河はベッドに倒れ込んだ。
やけに広くて、きれいに整えられた白いシーツの上で大の字に転がる。
目を閉じれば酒で高揚したままの気分は、ライブの余韻も思い起こさせた。
「るか」
ベッドの脇でコートを脱いでいたルカに手を伸ばし、あまく呼び寄せる。
ルカはその手を取り、大河へ体をすり寄せた。
上に乗せた体をぎゅっと抱きしめ、大河は頬や首筋に唇を寄せてちゅっちゅと口づける。
背中に回した手は自然とシャツの裾をスラックスから引っ張り出して、素肌を撫で回した。
手のひらから伝わるいとしい体温は心地よく、べたべたと好きにまさぐるうちに、大河のまぶたは重くなる。
ルカの肌を撫ぜる手がゆっくりと止まり、大河はすよすよと穏やかな顔で寝入ってしまった。
服も体も半端に乱されただけでひとり残されたルカは、無言で能天気な寝顔を見下ろすしかない。
一度眠ってしまえば、どうせ何をしても起きない男なのだ。
最初から諦めながら、それでも酔っ払いの身勝手さに不満を込めて、ぺしんと頭をはたきベッドを降りた。
しばらくの後、大河が目を覚ますと、見覚えのない天井が視界いっぱいに広がる。
そこにはオリエンタルな雰囲気を醸し出す大きな円形の照明があった。
一般家庭ではもちろん、ルカの住まう洋館でも見られないようなデザインに、まだアルコールでふわふわとしている頭の中が疑問符で埋め尽くされる。
どこだここ。
上半身を起こして部屋を見回すと、広々とした部屋でキングサイズのベッドがメインに置かれた内装が目に映る。
それが何を意味するのか、思考の鈍る頭でも大河は正解を導き出した。
何を目的に訪れるための施設か。ブティックホテルやらファッションホテルなどと洒落た名で呼ばれることがあっても、結局は所謂ラブホテルというやつだ。
さりとてそれがわかったところで、なぜ自分がそんなところにいるのか理解が追いつかずにいると、ベッドルームに併設された浴室からバスローブ姿のルカが現れた。
「なんだ、もう起きたのか」
大河が半時間ほどで目を覚ましたからか、案外早かったなとルカは意外そうに目を冷たく細めて視線を寄越す。
大河は酔いの回った頭でなんとか状況を把握しようとしたが、ここにルカといるということは、そういうことなのだろう、としか考えられない。
体を重ねるための場所で、ルカとふたりきり。
触れていた最中に寝入ってしまったことを辛うじて思い出すと、不甲斐なさに冷や汗をかく。
けれどそのおかげで多少は酔いが醒めたのだから良かったのでは、と安直に思い直したので、やはり大河にはまだ酒が多分に残っていた。
ルカにしてみれば、足取りの覚束ない男を玄関までのアプローチが距離のあるルカの住む屋敷、もしくは階段を上がらねばならないアパートである大河の自宅まで連れ帰るのが面倒で、近場のホテルに部屋を取っただけなのだが。
明け方に飛び込みでとなると、選ぶホテルの種類が限られていた。
それでもルカ自身、期待が何もなかったと言えば嘘になる。
触れる手を途中で放置されたことを責める権利はあるはずだと、ルカはむすっと唇を結び、わかりやすく不機嫌をあらわにして見せた。
「悪かったって、機嫌直せよ」
「お前の酒癖こそ治すがいい」
大河がベッドに腰掛けたルカを抱き寄せる。
冷たく遇らうくせに、バスローブに差し入れる手は振り払われない。
ぐい、とそのまま押し倒し、大河はルカを組み敷いた。
「新年一発目だってのに、んなつまんねぇ顔したまますんのかよ」
「日付けが変わっただけではないか」
特段はしゃぐことでもないと言うように取りつく島もなく、つんと顔を背けられると大河は傷ついて、わかりやすくしゅんと肩を落とす。
酔っ払いは思考も言動も何もかも、素面のとき以上に単純だ。
「正月は特別な日じゃねぇのか」
いつもなら働く理性も、アルコールのせいで跡形もない。
悪気の薄れた大河の口からその言葉を聞くと、ルカの武装も一瞬でほどけてしまった。
酔っ払いの言葉を期待通りに受け取って良いものかと少々戸惑いながらも、胸の内はどきりと弾む。
ルカは眉を寄せながら、自身に覆いかぶさる大河を上目遣いに見つめた。
「……特別」
「だよな、よかった」
ルカの答えに、酒で箍が外れた大河は、下心を微塵も隠さず嬉しそうに唇を重ねる。
肌と肌を直接に繋げたいと求める素直な欲望が、特別な日だけ、という免罪符で許されるのだ。
そんなものなどなくたって、ルカはいつでも許しているというのに。
酒が抜ければ失態に苦悶する大河の姿が目に浮かんで、それもまた一興、と内心で愉しみながら、ルカは口づけに応えてからだを委ねる。
まっしろなシーツにふたりで沈み、新たな年の始まりを刻むように熱を交わした。
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