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いろは

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イチャモメ編

いいこわるいこ ※R18

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 枕元のスマートフォンが奏でるアラーム音で、大河は目を覚ました。
 重いまぶたをしぱしぱ瞬かせながら、音の鳴る方へ手を伸ばす。
 隣で背を向けて眠っていたルカもその音に起こされたようで、ごそごそと体が動いていた。
 大河はアラームを止め、ルカの背中を抱きすくめる。
 ブロンド越しのうなじに唇を寄せながら、ルカの手を捕まえて指を絡めた。
 昨夜、大河が仕事を終えて洋館の寝室に到着したとき、すでにルカはベッドで眠っていた。
 時刻は午前一時過ぎ。そうだろうなと予想はしていた。
 翌日も互いに午前中から仕事だとスケジュールは確認済みだ。
 短時間の同衾だけでもと屋敷に来たのだが、欲を言えば肌を重ねて抱き合いたい。
 なんとかそのための時間を作れないものかと画策した結果、いつもルカが愛犬の散歩に出るための起床時刻より、少し早めにアラームをセットしたのだった。
 眠いと文句を言われるのならすぐに手を引っ込めるつもりで、寝着を捲って素肌の腹に触れる。
「起きたか?」
「……ぅん」
 耳元で囁くと、ルカはまだ半分夢の中というような声で、だけど覚醒はしているのだと意思表示をしてみせた。
 それを許可と受け取り、大河は肌を弄る手に明確な意図を含んで突起を探った。
 片方の指先で乳首を摘み、もう片方の手は腹を撫でおりて、寝着の中に差し入れる。
 睡眠時の生理現象で膨らんだものを下着越しに擽ると、ルカは性感に身を任せていっそうそこに熱を溜めていった。
 素直な反応を見せるからだに触れているだけで、大河のものも興奮して嵩を増す。
 時間が限られていると、つい、性急になってしまう手がもどかしい。
 けれど欲を吐き出せずに終わってしまうことは避けたくて、焦りには勝てず大河の指先は尻の谷間へ伸びるのだった。
「ぁ……」
 気を逸らせすぎないように気をつけて、ゆっくりと尻穴に指を埋めると、吐息と共にルカの微かな喘ぎが漏れる。
 寝起きの少し掠れた声に漂う色香で、大河はぞくぞくと欲情を煽られた。
 次に余裕を持って抱き合えるときは、丁寧にひとつずつ、じっくり追い詰めてやりたいと切実に願う。
 ルカの反応も、声も表情も、全部だいじに愉しみたい。
 時間に追われてでも触れたいのだから、今日のところは仕方がないと割り切るしかなかった。
 布団の中でごそごそとルカの下衣を下着ごと脱がし、露出した尻に自分のものを押しつける。
「ゴム取って」
「いやだ」
「仕事あんだろ」
 ベッドサイドのチェストはルカ側にあった。
 頼みを即座に断るルカがいっそ清々しいけれど、毎度その言葉に甘えるわけにもいかずにたしなめる。
 不服そうに膨れてチェストの引き出しに手を伸ばしたルカは、個包装された避妊具を振り向きもせず大河に手渡した。
「ん、いいこだ」
 ちゅ、とルカのこめかみにキスを落とすが、それでもまだ不本意だと言いたげに眉を顰めている。
 手間取れば余計に機嫌を損ねてしまいかねない。
 ルカのからだが冷めないうちに、背中へ口づけながら熱を整えた。
 横向きになって突き出された尻を掴み、ぐいと親指で開かせた窄みに性器を押し込む。
 先端が侵入するだけで、入口の締めつけと中のぬくもりに劣情はますます硬度を上げた。
 指で満足に慣らしてやれなかったそこは、ぎちぎちと大河を無理に飲み込んでいく。
 快感と同時に疚しさも沸き立つのに、奥へ奥へと進むのを止めてやれない。
「ん……ッ、ん、は、ァ……、」
 くるしそうに全部を受け入れるルカがいとおしく、中に埋めた熱を引き抜き、また奥へと何度も腰を打ち付けて抽送を繰り返した。
「るか、おまえも、きもちい?」
「……いい、から、すきに……しろ、」
 身勝手な行為が不安になって、荒ぐ息の合間に尋ねてしまう。
 上擦った声に安堵して、大河はぎゅっとルカのこわばるからだを抱きしめた。
「あ、や、アッ、ァ、ん……っ」
 激しい律動で内壁を擦ると艶かしい嬌声は一際甲高くなり、びくんとルカの腰が跳ねて全身が震える。
 きゅうきゅうと痙攣しながら性器を締めつける感覚に、中が達したと知れた。
 絶頂で力の抜けたからだはいやらしく、大河は一気に射精感を煽られる。
 一番奥に性器をぐりぐりと擦りつけて、薄い膜ごしに欲望を注ぎ込んだ。
 互いにはあはあと空気を貪り、快楽の波が落ち着くと、大河は息を整えてルカの肩に唇を寄せる。
「つけてもイケるようになったじゃねぇか」
 自分のもので悦ぶ中が嬉しくて、褒めるみたいに指摘してやると、ルカはかあっと頬を赤くした。
 からだの具合に言及され、羞恥で眉を顰める。
「己の手柄と自惚れるな!」
 大河だって自分の手並みが向上したのだと誇るつもりはないが、はっきりと否定してくれるのだから手厳しい。
 男としては行為や肉体を認められれば自信がつくものだ。
 言葉では突き放すルカだが、大河に抱かれて愉悦を享受する姿を見ていれば、どれほど溺れているのかなんて、わかりやすくて良いのだけれど。
 早くに起こして付き合わせた詫びに、もう少し寝てろといたわって、大河はアシュリーを散歩に連れ出した。
 ルカの日課を代わりにこなし、屋敷に戻るとダイニングにもリビングにもルカの姿はない。
 まだ寝ているらしいルカを気遣ってそろりと寝室に上がると、ベッドに横たわる肢体が視界に映る。
 上半身は行為の際も脱がさずそのままだった寝着。
 そして下着だけはいた尻をこちらに向けて、ルカはすうすうと寝息を立てていた。
 思わず心の内で、いい眺め、と呟くほどには魅惑の光景だった。
 太ももに挟まれた柔らかそうな膨らみに目が奪われる。
 いそいそとベッドに上がって、大河は誘われるままそこに触れた。
 ふに、と優しく指先で感触を愉しむ。
「ルカ」
 布越しにふにふにと陰嚢を柔く転がし、会陰を擽るとこそばゆさで目を覚ましたルカが、ゆっくりとまぶたを持ち上げた。
「んなカッコしてっとまた襲っちまうぞ」
 とろんと緩んだ瞳が大河を見つめる。
 ルカは微かに口角を上げ、構わないと言いたげにいやらしく目を細めた。
 求められるなら応えるのが男というものだろう。
 大河は時間を気にしながらも、かわいい誘惑を振りほどけない。
 下着を脱がせて覆いかぶさり、一度目よりもさらに慌ただしくなる行為を自省しながら、次こそ必ず好きなだけ全身を弄り倒してやろうと誓った。
 大河は自らのボトムに手をかけて緩く勃ち上がったものを引っ張り出すと、ルカの手がそこに伸びる。
 きゅっと性器を握られ、緩急をつけて扱かれるとあっという間に海綿体が血で膨張した。
 しなやかな白い指は、硬くなったそれをそのまま自身の中に導こうと尻穴に当てがう。
 直接に粘膜が接触する快感に、くらりと理性が揺らいだ。
「こら」
 それでもなんとか大河はぎりぎりのところで腰を止めるのに、ルカはわがままにむうっと眉を寄せる。
 首に腕が回され、熱をねだる瞳が大河を見上げた。
「わるいこでいい」
 甘く淫らな誘いに、ぐっと胸が鷲掴みにされてしまう。
 拒めない自分が悪い男だなと呆れながら、キスで唇を奪い、求められるままに熱を繋げた。
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