悪魔と契約した僕は伝説の『ブルオーガ』を右手に宿し、やがて世界最強。

葉月

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第9話 スケベの使者。必殺の48って!?

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 スケベなお姉さん3人を引き連れて、僕は宿場街で一番高級な宿に来ていた。

 清潔感のある綺麗な内装、受付にはオールバック風のタキシードを着用した男性が立っている。

 宿場街で一番の高級宿ということもあり、出入りしている宿泊客は皆高そうな装備を身につけていた。

「お前さまよ! なにもこんなに高そうな宿に泊まることはないじゃろ!」
「リリスはなにを言っているんですか。お姉さんたちは生前純潔を守って散った乙女なんですよ。初めてのスケベ体験に胸をときめかせているんです。それなのに初めてがボロ宿だったら可哀想じゃないですか」
「…………ッ」

 リリスは納得いかないとふくれっ面をぶら下げている。
 まぁ……無理もない。

 この一ヶ月間、リリスとこんなに高級な宿に宿泊することなどなかったのだから。

 宿どころか、ときには馬小屋や豚小屋で……なんてこともあった。
 自分のときとは違う僕の対応にご機嫌斜めなのだろう。

 だけど仕方ないじゃないか!
 これから人生初のハーレムプレイを楽しもうっていうのに、小さいシングルベッドじゃ楽しめない。

 僕は大きなキングサイズのベッドでハーレムプレイを満喫したいんだ。

「ご宿泊ですね。お部屋のサイズは……」
「ハーレムプレイをするのに一番いい部屋をお願いします」
「ハ、ハッ…………か、かしこまりました。で、では、スィートルームをご用意致します。金貨2枚になります。……確かに」

 カウンターのお兄さんが言い終わる前に、僕はドヤ顔で言ってやった。
 お兄さんは一瞬ギョッと固まって眼球が飛び出そうなくらいひん剥くと、僕とお姉さんたちを見たあと羨ましそうに肩を落とした。

 僕はそんなお兄さんに男ならハーレムプレイくらい当然だと、勝ち誇ったように頷く。

「ちょっと待つのじゃ! いくらなんでも金貨2枚高すぎる!」

 支払いを済ませたというのに、突然リリスが割って入ってきて僕に物申してくる。

 リリスは悪魔の癖にたまに謙虚な一面を見せてくるな。
 ギャップ萌えでも狙ってるのか……?

「ケチくさいですね。悪魔なんだからもっと気前よくして下さいよ」
「…………ッ! じゃがな、ここで金貨2枚も使ってしまえば残金は銅貨3枚になってしまう。明日からどうやって生活する気じゃ!」
「人生なるようにしかなりません。それに今から僕を快楽死させれば明日の心配なんていらないじゃないですか。僕は黄泉の国へと旅立ち、リリスは悪魔界に還れるんですから……違いますか? それともハーレムプレイでも自信がないんですか……? 情けないスケベ悪魔ですね」
「ぬッ!? 上等じゃッ!! 今からお前さまに本物の快楽を味あわせてくれるわ!」

 本当にリリスは単純だな。
 でも、これでリリスのやる気にも火がついた。
 僕の計算通りだ。

 しかし……確かに金貨2枚はかなり痛い出費だな。
 金貨2枚と言えば一般的な4人家族が一ヶ月生活できる額だ。
 それをたった一晩で使う僕はワイルドな男の中の男だと言える。

 まっ、楽しければいいか。

 僕たちはボーイさんの案内でとても豪華な部屋へとやって来た。
 部屋に入ってすぐ、お姉さん3人は瞳を輝かせてキングサイズのベッドを見つめている。
 これからするスペシャルな体験のことを考えているのか、その鼻息は荒い。

 リリスは僕を一瞥してベッドへと歩みを進める。
 その眼は野うさぎを追い詰めたハイエナのようだ。

「やる気満々のようですね、リリス」
「どうやらお前さまは妾を本気にさせたようじゃな」
「へぇ~、ではこれまでは本気ではなかったということですか。負け惜しみにしか聞こえませんね」
「フフフ、それはどうかな? これを見よッ!!」
「ん……? そ、それは……」

 僕に背を向けてベッドの前で振り返るリリスが、胸の谷間からアイテムを取り出して突き出している。
 僕は腕にまとわりつく3人を振り払い、一歩、また一歩リリスに近づきそれを間近で確認する。

「ヌルッ……ヌルヌルローションパウダー!?」

 こ、これは間違いない!
 スケベな本で見たことがある。

 粉末状のそれを素肌にすり込むように優しく撫でると……あら不思議。
 ヌルヌルしたスライムのような液体状に早変わりするというアイテム!?

「ゴクリッ。ど、どうやら……本気のようですね」
「ふんッ! 当然じゃ。お前さまに妾の手技、手○◯48ってを見せるときが来たようじゃな」
「手○◯48ッ!?」

 バカなッ!?
 確かに48ってという技があるということはスケベな本で確認済みだ!
 だが……手○◯48ってなる技は聞いたことがない!?

 僕がスケベ本で得た知識の遥か斜め上を行くリリス。
 さすがスケベ悪魔!
 たが、一体……どんな技なんだ……。

 困惑に目を見張る僕に、リリスは勝ち誇ったように口にする。

「その一つ……乙女の祈りは……そうじゃな、アイリスにでも伝授するとするかの」
「乙女の祈りだと!?」

 リリスは神に祈りを捧げる乙女のように手を合わせながら……イヤらしい目つきと手つきで上下に動かしている。
 はっ、挟むということか……。

「リリスお姉さま! 感激です。生前神に仕えていた私に相応しい技です。是非伝授して下さい!」

 本物の聖職者に乙女の祈りなる技を伝授させて……僕を快楽死へと導くつもりか!?

「腕力のありそうなオルマには……」
「僕にもあるのかい!?」
「もちろんじゃ」
「ッ!?」

 不味い! したり顔のリリスは女戦士オルマにもスケベな技を伝授する気だ!

「そうじゃな、真空パックを伝授するとするかの」
「真空パックだとッ!?」

 想像もつかない……一体どんな強力な技なんだ。

 リリスは左手でナニカを握り締める素振りを見せ、右掌をそこに覆いかぶせるよにかざすと……目にも留まらぬ速度で右手をサササッと振っている。

 なんて恐ろしい技なんだ。
 あんなことされたら……僕の戦闘時間が大幅に短縮されること間違いない。

「わっ、私にもあるのでしょうか、リリスお姉さま!」

 2人だけズルいッ!
 私にも技を伝授して欲しいとクラリスが前のめりになりながら声を上げている。

「もちろんじゃクラリス。優雅なクラリスにはそれに相応しい技……鯉の滝のぼりを伝授しよう」
「鯉の……滝のぼり……だと!?」

 リリスは僕に見下すような視線を向けながら、ナニカを両手で握る素振りを見せて、まるで鯉が滝をのぼるかの勢いで動かしている。

「素敵ですわ、リリスお姉さま!」

 やられた。
 形勢逆転だ。

 3人は僕がマスターだということを完全に忘れてしまったのか、リリスの傍らへと移動してしまった。

「さて……死を前に言い残しておくことはあるかの? お前さまよ」

 悪魔が笑う。
 その声につられたように3人も僕に顔を向けて微笑んでいる。
 異なる4人のスケベの使者と……僕は対峙していた。

 堪らず喉を鳴らし、顎先から流れるそれを甲で拭い瞑想する。
 僕は勝てるのだろうか。
 ひょっとしたら……本当に快楽死させられてしまうかもしれない。

 いや……僕は一度自ら命を断とうとした身。
 恐れることなど何もない。
 むしろそれは幸せな〝死〟じゃないかッ!

「望むところですよ、リリス、アイリス、オルマ、クラリス! 4人まとめてベッドに沈めて上げるですよ」

 僕は不敵に微笑む4人に中指を突き立てて宣戦布告をした。


 さぁ……性と死を懸けた壮絶なバトルの開始ですよ!
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