悪魔と契約した僕は伝説の『ブルオーガ』を右手に宿し、やがて世界最強。

葉月

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第12話 探知

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「こんな森の中に本当にオークの群れなんて居るんじゃろうな?」
「村長がここだと言っていたんですから、間違いありませんよ」

 僕たちはギルドを飛び出してすぐに東の森――通称豚の森へとやって来ていた。

 鬱蒼と草木が生い茂る森の中を進む僕のすぐ隣で、露出度の多い衣服に身を包んでいるリリスは蚊に刺されないか心配している。
 心配するだけならまだいいのだが……。

 ――シュゥゥウウウッ!

「蚊除けスプレーを吹るのは構いませんが……ゴホッゴホッ。……もうッ! こっちに向けないで下さいよ。人に向けて使用しないで下さいって書いてるのが読めないんですかッ! まったく!」
「仕方ないじゃろ! 妾のスベスベのお肌が蚊に刺されるよりはマシじゃ。少しは我慢せんか」

 なんて理不尽な物言いだ。
 リリスはどこに隠し持っていたのか、蚊除けスプレーを辺り構わず手当たり次第吹きつけている。

 別に構わないと言ったものの、嗅覚が異常発達しているオークに臭いで確実に気づかれるだろうな。

「あっ!? このッ!」

 ――バンッ!

「お前さまがごちゃごちゃとうるさいせいで刺されてしまったではないか。ほれ!」

 たかが一箇所蚊に刺されたくらいで、リリスはもの凄い剣幕で詰め寄り、胸を指差して〝ここを見ろ〟とマシュマロおっぱいを見せつけてくる。

 呆れながらもその見事な谷間を覗き込んでみると……。

「ん? 確かに見事に刺さっれていますね」
「どうしてくれるんじゃ。痒い上に自慢の美乳が赤くなっているではないか」
「……じゃあ掻いてあげますよ」
「あっ!? やめんかッ! あっぁん……んんっ……これぇっ」

 あまりにうるさいから少し掻いてあげただけだというのに……どんだけ敏感なんだ。

 リリスが森の中でスケベな声を響かせるから、たまらずおっきしてしまったじゃないか。
 お陰でムラムラする。

 我慢できなくなった僕はリリスのスカートに顔を突っ込み、ペロペロキャンディを舐め回すようにペロペロした。

「リ、リリスがエッチな声を出すのがイケないんですからね」
「んんっ……ああぁっん。ダメッ……したくなるっ……じゃろ、っん」

 スカートの中から顔を出してリリスを見上げると、頬を染めて体をクネクネさせていた。
 そんなエッチな表情をするリリスがとてもセクシーで可愛くて、僕は興奮してついブルブルくんのスイッチをフルパワー、レベル3の強で押してしまう。

「あっ、ぁぁあああああああっん――」

 内股のリリスがガクガクと痙攣しながら尻餅をつくと、その場でパンティを見せつけるように『M』字開脚をしながら一人で腰を振り始めた。

 なんてスケベな動作なんだッ!?
 いくらなんでもエアエッチはないよ。
 ド変態じゃないか……街中じゃなくて良かった。

 さすがの僕もこんなところを誰かに見られれば恥ずかしくて街に居られない。

 跳ねた息遣いに揺れる胸、完全に僕を誘っているとしか思えないのだが……ハッ!?

 こんなことをしている場合じゃなかった。
 現地妻獲得と美少女お姉さんランランがかかっている。

 目前の欲求より後のハーレムプレイの方が大切だ。

「ほら、いつまでやっているんですか……お姉さんたちを救出しに行きますよ」
「…………そっちからしてきた癖に、なんと言う言い草じゃ」

 今は仕事を優先しようと正論を述べると、リリスはあからさまな態度でムッとする。

 どうせ中途半端に終わったからまた不機嫌になってしまったんだろ。
 本当にドスケベなんだから。

 まぁ可愛いから許すけど……。

「しかしお前さまよ、この森は広大なようじゃが……一体どうやってオーク共の根城を見つけ出すのじゃ」

 立ち上がったリリスが周囲を見渡しながら、不機嫌そうな口調で最らしいことを口にしている。

 つい今しがたまでエアエッチを決め込んでいた変態とは思えない変わりように、少し戸惑ってしまうじゃないか。

 切り替えの速さだけは天下一品だな。

「確かにオークの根城を見つけ出すのは大変ですね」

 と言うのも、オークは穴を掘り地底に巣を作る習性がある。
 この広い森の中を歩き回り、オークの棲家に通じる穴を探すのは一苦労だ。

「でも問題ありませんよ」
「ん? こんな時に折り紙なんかで遊んでおる場合か? まっ、お前さまもまだ12のお子ちゃまだと言うことじゃな」

 僕が腰袋から真っ白な紙を取り出して鶴を織る姿を見て、リリスがほっこりしている。
 ニコニコ微笑みながら鶴を織る僕の髪を優しく撫でてくれるのは嬉しいが、リリスはとんだ勘違いをしているようだ。

「できた!」
「おおっ! 上手じゃの~、そういう愛らしい一面を見ると子宮の辺りがキュンキュンするの」

 まるで幼児をあやす母親のように、出来上がった鶴を見てパチパチ手を叩いている。

 訳のわからないことを呟いているリリスのことは放って置いて、僕はサッと右手を振るい魔法陣を形成する。
 喚び出した死霊はイヌワシだ。

 上空くから地上のすべてを見渡すことができるイヌワシ――それを可能にしているのが眼のよさだ。

 秘密は網膜に存在するたくさんの視細胞。網膜には視力に大きく関係する中心窩ちゅうしんかという組織がある。

 人は、中心窩に1平方mm当たり約20万個の視細胞を持っているのに対し、イヌワシはおおよそ7.5倍の約150万個の視細胞を持つといわれている。また、この網膜の感度の高さに加えて、イヌワシは同時に2つのものをはっきりと見ることが可能。

 人は視線が一点に集中すると、それ以外の周りが見えにくくなってしまうが、イヌワシは前を見て飛んでいるにもかかわらず、地上の小動物を見ることができる。

 また、イヌワシの見る世界は色彩も豊かだ。網膜のもう1つのはたらきは色を判断することだが、特に網膜にある、錐体すいたい細胞が色覚に大きく関係している。

 人は赤、緑、青、それぞれの光に反応する3種類の錐体細胞しか持っていない。だから、人は赤、緑、青の3つの色を組み合わせることで、すべての色を作り上げている。

 鳥類はこれら3種類の錐体細胞に加えて、紫の光(紫外線)を感じることができる4番目の錐体細胞を有している。

 このように、人より多い4種類の色の光を感じることのできる鳥類は……って、こんなことはどうでもいい。

 すべて村のじいさまたちからの受け売りだ。
 早い話し、空からオークの巣穴を探し出すということ。

「憑依具現……《イヌワシ》……ッ!」

 憑依具現とは死霊憑依の技の一つ。
 似た形をした物を媒介に死霊を実体化させて召喚することを可能とした技だ。

 リリスの藁人形に施した肉体憑依との違いは一点。
 具現憑依で召喚したモノの能力の一部を術者とリンクさせることが可能ということだ。

「よし、視神経は繋がった」
「おおっ! お前さまの宝石のように緑がかった瞳が、鋭い鷹の眼に変わっておる」
「イヌワシさんとリンクしましたからね。それじゃ、お願いしますよ」

 僕は傍らのイヌワシを大空へと飛び立たせた。
 現在僕の視界はイヌワシとリンクしている。

 どんな些細なことも、今の僕なら見落とさない。
 この森のすべてを短時間で把握するためには、これが一番手っ取り早い。

 するとすぐに……森の中に直径5メートルほどの穴を発見した。

「見つけました」
「うむ、お前さまのシャーマンとしての腕前はかなりのものじゃな」
「ん……?」
「どうかしたのか?」
「不味いですね、レインたちが穴に入って行っています」
「向こうにも探知能力に優れた者がいるようじゃな」
「そんな呑気なことを言っている場合じゃありませんよ。先を越されたら2人のお姉さんが手に入らないだけではなく、リリスを一晩中好き放題されてしまうんです。こうしちゃ居られない、急ぎますよ」

 そう言うと、リリスは頬を赤らめてもじもじし出した。

「あんっ、お前さまはそれほどまでに妾を他の者に触らせたくないのじゃな。なんといじらしい!」
「くっ、苦しいですよ、リリス」

 抱きついてきたリリスのマシュマロに顔が埋もれて息ができない。
 それにそんなことをされたら……またおっきしちゃったじゃないか!

「お前さまは妾の体ですぐに成長するの。そういうところも実に愛らしいの。さっさと片付けてお前さまを静めるとするかの」
「お、お願いするですよ」


 僕たちは森を駆けながら素早く移動した。
 移動中――他の魔物に遭遇しないようにイヌワシを使い、上空から確認した安全なルートを選んだお陰ですぐに穴の手前までやって来ることができた。
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