悪魔と契約した僕は伝説の『ブルオーガ』を右手に宿し、やがて世界最強。

葉月

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第16話 僕のハーレム村

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「ふっ、ふざけるなぁぁあああッ!!」

 と、言う大声を響かせているのはレイン・ディープスカイ。

「ふざけるなもナニも、ワタシはパーティーを抜ける……そう言ってるだけね」
「お前がいなくなったら誰がタンカーを務めるんだ! 冒険者パーティーは連携……チームプレイが命綱なんだぞ!」
「まったくもっってその通りね。だからチームプレイのできるまともなパーティーに移籍するね」
「はぁ……?」

 大都市カルプスから馬車で小一時間ほど走った辺りにコムギ村はある。
 僕たちはオークロードを討伐し、村のお姉さんたちを無事にコムギ村へと届けた。

 その翌日、脳震盪を起こして丸一日気を失っていたレインがようやく目を覚ましたと思ったら……第一声目がこれだ。

 レインは親の仇でも見るような目で僕を見やり、例のごとく詰め寄ってくる。

「貴様ッ! ランランに何を吹き込んだ!」

 まるで僕がランランを無理やりレインたちのパーティーから引き剥がしたような言い草に、呆れて溜息が漏れてしまった。

「僕はランランに何も言ってませんよ。ただ、今朝になって突然ランランが僕のパーティーに入りたいと言って来たので、断る理由もなかったので承諾したまでです」
「嘘をつくなッ! 俺とランランは冒険者になりたての頃から常に共にパーティーを組んできた、謂わば同士だ! そんなランランが俺の元から離れたいなど言い出すはずがない。あっ、わかったぞ! オーク共を眠らせた時のように奇妙な術でランランの精神を犯しているんだな、そうだ! 絶対にそうに違いない。……目を覚ますんだランラン!!」
「離すね! 鬱陶しいよ!」

 レインがランランの肩に両手を置いた瞬間、ランランはゴキブリでも見るような目を向けてその腕を払い除けた。

「なぜだッ!? どうしてなんだランラン!」
「そんなに知りたければ教えてあげるね。ワタシ昨夜圧倒的テクニシャンに抱かれたアルよ」
「…………えっ!?」

 ランランの言葉を聞いたレインは我が耳を疑うと言った様子で、瞼をパチパチと鳴らしては錆びついて鈍くなった歯車のように『ギギギッ』と音を立てながらこちらに顔を向けた。

 その顔からは情けない鼻水が垂れ下がっている。

 ランランはレインを傍目に僕の背後に回り、その豊かなお胸をむにゅっと押し当てて抱きついてきた。

「アイヤー、ワタシの体は圧倒的テクニシャンじゃないともう満たされないよ。昨夜は5回も……それも初めて『ピー』中に気絶させられてしまったよ。お前の独りよがりのとは訳が違ったアルよ」
「………………」

 一発芸的な顔芸で笑わせようとするレインに、僕は最高にイヤらしい笑みを見せつけた。
 すると、レインの顔は見る見るトマト見たく真っ赤になっていき、逆上して僕に襲いかかって来るんだ。

「なっ、よせ、何をするんだ!? 俺は未来の勇者第一候補なんだぞ!」

 レインが僕に襲いかかってくると、僕の後方に待機していた村のお姉さんたち20数名が鍋やらフライパンを投げつけてしまった。

 そう、ここはコムギ村あらため、僕の〝ハーレム村〟として生まれ変わったんだ。
 村長の孫娘だけでなく、村のお姉さんたちは皆僕の虜になっている。

 まぁ当然だ。
 魔物に拐われて『ピー』なことをされた挙句、もう助からないと諦めかけていたところに颯爽と僕という男の中の男が現れたんだ。
 惚れない訳が無い。

 レインは逃げるように村長宅から飛び出した。

「おっ、覚えていろよ! こんな糞村滅んじまえぇぇえええええ!」
「「待って下さい、レインさまー!!」
「実に哀れですね」

 『やれやれ』と頭を振りながらゆっくりとソファに腰掛けると、ランランが僕の膝に大胆にまたがり濃厚な口付けをくれた。
 その姿に発情したお姉さんたちが僕の周囲に群がり、皆で僕を取り合い始める。

「あ、あの~」
「何ですか?」

 話しかけてきたのはこの家の主人、村長だ。
 村長は頭を掻きながら愛想笑いを浮かべて、言いにくそうにこう言った。

「娘たちの中には世帯を持つものもございます……その、助けて頂いた手前……非常に言いにくいのですが、出て行ってはもらえないでしょうか?」
「なぜですか?」
「その……村の男たちが……このままでは暴動に発展致しかねます!」
「そのときは僕が退治してあげますよ」
「…………はぁ~」

 こうして僕は夢のハーレム村を手に入れた。
 この村のお姉さんたちはみんな僕のモノになったんだ。



 ◆



 コムギ村に滞在して既に一ヶ月が過ぎようとしていた。
 村は相変わらずとても賑やかだ。

「今日こそぶち殺してやるぅぅううう!」
「オラの嫁さ返すだぁぁあああ!」
「この悪魔小僧がぁぁあああああ!」

 ――ボコボコッ、ドンドンッ!!

「くっ……くそ……」
「なっ、なんであんな小さな子に勝てないんだ」
「全部……悪魔を連れてきた……村長のせいだッ」

 見上げるとどこまでも吹き抜ける青空がとても綺麗。
 見渡す限りの稲穂が風に揺れ、僕の鼻腔を微かに刺激する。

「リリスは今日も〝あそこ〟でしょうか?」

 日向ぼっこをしながらお外でお昼寝する村の男たちを無視して、僕は村の中でも一際大きな住居、村長宅に足を運んだ。

 村長の家は大きな石垣に囲まれた立派な家。

 その一番の特徴はお庭に作られた石造りの露天風呂だ。
 綺麗好きのリリスは村に来てからほぼ毎日のように、村長宅の露天風呂に入りっぱなし。

 もはや露天風呂がリリスの家だと言っても過言ではない。
 なので僕も脱ぎ脱ぎしてお風呂に入る。

「リリス、僕の背中を流して下さい」
「相変わらず甘えん坊さんじゃの」
「ワタシも一緒にゴシゴシシコシコするアルよ」

 リリスだけではなくランランも一緒にいたようだ。
 この一ヶ月でリリスとランランはとても仲良しになっていた。

 冒険者パーティーにとって何よりも重要なのは信頼関係とチームプレイ。
 自分の役割をしっかり把握した上で、個々の才能を生かさなければならない。

 リリスのマシュマロは推定Gマショマロなのに対し、ランランのマショマロは推定Eマシュマロ。
 身長もリリスの方が高い。

 リリスの身長は165センチほどで、対するランランの身長は160センチほど。
 僕の身長は150センチ以下なので、2人の方が断然大きい。

 それぞれがそれそれの役割をしっかり理解しているからこそ、リリスは泡まみれのマシュマロで背中をぷにゅぷにゅと洗ってくれるし、ランランはランランでリリスから伝授してもらった手○キ48っての一つ、ジャグリングなる技でマッサージしてくれる。

 体を洗い、マッサージでリラックスした僕は湯船に浸かりながらこれからのことを考えていた。

 この一ヶ月村に滞在していたせいで、冒険者としての仕事は一切していない。
 村長から報酬の金貨5枚を得ていたからお金には少し余裕があるけど……気がかりはジャミコだ。

 あの化物が今どの辺りまで追ってきているかがわからない。
 いつまでも同じ場所に留まり続けていたら……何れは遭遇してしまうだろう。
 一度カルプスに戻り、商人などから〝ホブゴブリン〟の情報を集める必要があるな。

「そろそろ一度カルプスに戻りますか?」
「うむ……この風呂を捨てるのは非常に惜しいが、一度戻るのもよかろう」
「ワタシもそろそろ戦わないと腕が鈍るね」

 両サイドの2人も僕の意見に賛同してくれているようだ。

「それにしても……いい湯ですね~」
「まったくじゃな」
「アイヤー、圧倒的極楽ね」


 僕たちは晴れ渡る空を見上げた。
 そして夜はいつものように村のお姉さんたちの中から2人程ピックアップして、ハーレムプレイを心置きなく楽しむのだった。
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