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中編②
しおりを挟む田舎へと向かう汽車。
ゴトンゴトンと小刻みに揺れる車内で、マリーは、窓から見える喉かな景色を眺めながらあの後、さらに母が明かした事を回想していた。
マリーは物心ついた時には既に父が居なかった。
「貴方が生まれてくる前に病気でお父さんは亡くなってしまったと言ったけど、アレは嘘なの。本当は……」
母親はそこで唇を噛み、目をギュッと瞑り、言うか言わないべきかまだ悩んでいる様子だったが、すぐに続きを言う事を決心した。
「まだ生きているの。でもお父さんに、アースに合わせる顔はお母さんにはないわ。私はあの人にとんでもない事をしてしまったから。償いきれない事を」
「お父さんが生きている? 何を言ってるの? その話って今関係あるの? 私……私…」
ロマンティックな恋に憧れを抱いていたマリー。
それをたった今完膚なきまでに打ち砕かれた彼女に、それ以上母の話に耳を傾ける余裕など無かったが。
「聞きなさい! これは貴方にとって今後大事な話になるわ!」
「――!?」
滅多なことで声を荒げたりしない母が、大声を出した。
おかげで、マリーは冷静さを取り戻し、母親はそこから自分と父との関係を話し出し、その内容とは――。
母親が今のマリーと同い年ぐらいの時、自分の能力に気がついた母は、魅了の能力に悲観するマリーとは違い、天からの授かりものだと考え、喜んだ。
「私は、貴女と違って、そんなに容姿に恵まれていなかったからね。直ぐにあの能力を思う存分利用したわ」
母は悪用した。
密かに好意を寄せていた同世代で一二の人気を争っていたハンサムなアースに魅了を掛けて、彼の心を掴み取り、交際を始めた。
「あの時の私の行動は許されるものじゃないわ」
アースには恋人がいたのだ。
恋人は、自分に急に見向きもしなくなったアースの異変を察知し、その原因が母であると確信し、母に詰め寄った。
「頬をぶたれたわ。アースを返して、って何度も何度も泣きつかれて。でも、私は」
母は父を返さなかった。
「あの時の私は本当にどうかしていたわ。心のどこかで彼女の容姿に嫉妬していたの。容姿っていうのは天性の物でしょ? なら、私が授かった魅了の力も天性のものだ。私の魅了が彼女の容姿を上回ったからのだから、アースは私のモノだって……。そんなの……屁理屈なのにね。本当に愚かな事をしたわ」
そう言う母はまるで懺悔しているで、目元を少し腫らしていた。
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