龍の逆鱗は最愛の為にある
転生と聞くと奇跡のようなイメージを浮かべるかもしれないが、この世界では当たり前のように行われていた。
地球から異世界へ、異世界から地球へ。望んだものが自由に転生の出来る世界で、永藤逸瑠は生きている。生きて、転生を望んで、そうして今は、元の世界で死んだ人間として生きていた。
公にされていない事実として、転生に失敗する場合もある。もしも失敗してしまった場合、元の生活に戻ることは出来ない。戸籍を消されてしまった者たちは、脱落者として息を潜めて生活することを余儀なくされた。
そんな中、逸瑠は一人の転生者と知り合う。水が溶けたような水色とも、陽かりを浴びて輝く銀色ともとれる長髪。凪いだ水面を連想させる瞳には様々な色が滲んでいて、その人とは呼べない美しさに誰もが息を飲んでしまう。
龍の国から転生してきたアイラ・セグウィーン。彼は転生に関する研究に協力するという名目で、逸瑠の暮らす寮にたびたび足を運ぶようになった。少しずつ話すうちにアイラがいかに優しく、穏やかな気性を持っているのかを知る。
逸瑠は純粋に懐いてくるアイラに、転生したいと思ったきっかけを話す。きっと気持ち悪がられると思っていた逸瑠の話に、アイラは自分もそうだと同意を示してくれた。
否定されないことが嬉しくて、逸瑠はアイラを信用するようになる。ころころと変わる表情に可愛いという感想を抱くようになるが、仲睦まじく育んでいた関係も、アイラのたった一言で崩壊を迎えてしまった。
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