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1 理性
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オレの理性の話をしよう。
オレは元々わんぱく坊主だったから、子供の頃は本能で生きてた。
中学になった頃、ある出来事から、どちらかと言えば冷静な性格になった。
だから高校卒業した今となっては、かなり理性的な方だと思ってる。
なのに、今、オレはその理性を試されていた。
「コウちゃん、待って、今日はもう休もう」
「どうして?僕、今夜はたっくんと一緒にいたい」
オレは今、ホテルのベッドの上で、コウちゃんに迫られていた。
明日から2人でルームシェアをする予定で。
準備の為1日早く移動して来ていた。
ビジネスホテルに部屋はちゃんと2部屋取ってたし、さっき夕飯を一緒にとって、また明日って別れた筈なのに。
なのに。
コウちゃんが夜中に、部屋に遊びに来た。
オレもコウちゃんも風呂上がりで。あ、なんかヤバいかもって思ったら、案の定コウちゃんが迫って来たんだ。
「たっくん、僕、今夜ここで寝ていい?」
「ベッドが狭いから」
「でも、くっつけば一緒に寝れるよ?」
ダメ? 眉尻を下げて、見上げてくるコウちゃんは物凄く可愛かった。それはもう理性が吹き飛びそうな位に。
オレだって。2人で住む様になったら、そういう事もあるかもって、思ってたさ。でも、こんないきなりなんて、こ、心の準備が!
無言で焦ってるオレに、コウちゃんがちょっと照れながら聞いてきた。
「もしかして、たっくん、そういう経験ない?」
「それはー…」
ある。しかも、多分豊富な方だと思う。
彼女が途切れた事は無いし。オレも健康男子だし。相手が望めば、そういう事だってしてきた。
でも恋人にそんな事を言うのは憚れて、どう言っていいのか分からず、視線を彷徨わせてしまう。
オレの様子を見て何かを悟ったコウちゃんは、シュンと落ち込んだ。
「…たっくん経験あるんだ」
「…アリマス」
嘘は言えない。
「なのに僕とは…ダメなの?」
「いや、そういう事じゃなくて」
「やっぱり男同士だから?」
もうコウちゃんは泣きそうだった。
あぁ、もう!違うのに!
たまらず、オレは目の前のコウちゃんを抱きしめた。
◆◆◆
僕の理性の話をしよう。
僕は人見知りで臆病だ。怖がりだし、なかなか勇気を出す事なんてない。だから比較的理性的だと思う。
でも、たっくんとの事とは別!
長年の想いが叶って、やっと恋人同士になれたのに。どうした訳か、付き合って1年は経つのに、たっくんは僕に手を出さない。
キスさえした事ないんだ!信じられない!
だから今夜、僕はすごい一大決心をして臨んだんだ。なのに、なかなか煮え切らないたっくんに、もしかして?って聞いてみた。
「もしかして、たっくん、そういう経験ない?」
こんなにカッコよくて、モテモテのたっくんがまさか?
でも、やっぱりまさか、だった。無言で視線を彷徨わせていたたっくんは、とうとう白状した。
「…アリマス」
やっぱり。なら、もう考えられるのは1つしかない。泣きそう。
「やっぱり男同士だから?」
思わず声が震えてしまった僕を、たっくんがギュッて抱きしめてきた。
「それは違う!」
結構大きな声だったから、僕はビックリして涙が引っ込んでしまった。
「コウちゃんに無理させるのが怖いから…!」
元々ひ弱な僕がそういうのに耐えられないんじゃないかって心配で、ずっと我慢してたらしい。
何それ?ひどい。
「たっくん、僕の気持ち全然分かってない」
「…コウちゃん」
「そんな風に大事にされても、嬉しくないよ。僕だって大好きな人に触れたり、キスしたり、そういう事、たっくんとしたいのにっ」
気持ちが溢れて、今度こそ涙が出てきた。
パパもママもたっくんも。いつまでも僕をひ弱扱いして、色んな事を我慢させる。僕はもう元気なのに。
「ごめん」
たっくんが謝りながら、僕を胸に引き寄せた。
あれもダメ、これもダメ、そうやって沢山の事を規制されて生きてきた。入院もして、手術もして、リハビリもして、やっと、やっと、普通の生活をしていいって言われたのに。
これまで押し込めていた不満がドッと溢れてきたみたいに、涙が止まらなかった。
どの位そうしていたか、わからない。
僕の涙が止まるまで、たっくんはずっと僕を優しく抱きしめてくれていた。おかげで、たっくんの上着はびしょ濡れだった。
「たっくん、ごめんね、服が濡れちゃった」
自分の服の袖で顔をゴシゴシ拭きながら、たっくんに謝った。そんな僕の頬に、たっくんがそっと手を添えた。
「…たっくん?」
どうしたのかな?って、顔を上げた僕に。
たっくんが、チュッと口付けた。
ーーー
作者の勝手なイメージは。
オオカミたっくんと、ウサギのコウちゃんです。
という訳で、次話閲覧注意です。
オレは元々わんぱく坊主だったから、子供の頃は本能で生きてた。
中学になった頃、ある出来事から、どちらかと言えば冷静な性格になった。
だから高校卒業した今となっては、かなり理性的な方だと思ってる。
なのに、今、オレはその理性を試されていた。
「コウちゃん、待って、今日はもう休もう」
「どうして?僕、今夜はたっくんと一緒にいたい」
オレは今、ホテルのベッドの上で、コウちゃんに迫られていた。
明日から2人でルームシェアをする予定で。
準備の為1日早く移動して来ていた。
ビジネスホテルに部屋はちゃんと2部屋取ってたし、さっき夕飯を一緒にとって、また明日って別れた筈なのに。
なのに。
コウちゃんが夜中に、部屋に遊びに来た。
オレもコウちゃんも風呂上がりで。あ、なんかヤバいかもって思ったら、案の定コウちゃんが迫って来たんだ。
「たっくん、僕、今夜ここで寝ていい?」
「ベッドが狭いから」
「でも、くっつけば一緒に寝れるよ?」
ダメ? 眉尻を下げて、見上げてくるコウちゃんは物凄く可愛かった。それはもう理性が吹き飛びそうな位に。
オレだって。2人で住む様になったら、そういう事もあるかもって、思ってたさ。でも、こんないきなりなんて、こ、心の準備が!
無言で焦ってるオレに、コウちゃんがちょっと照れながら聞いてきた。
「もしかして、たっくん、そういう経験ない?」
「それはー…」
ある。しかも、多分豊富な方だと思う。
彼女が途切れた事は無いし。オレも健康男子だし。相手が望めば、そういう事だってしてきた。
でも恋人にそんな事を言うのは憚れて、どう言っていいのか分からず、視線を彷徨わせてしまう。
オレの様子を見て何かを悟ったコウちゃんは、シュンと落ち込んだ。
「…たっくん経験あるんだ」
「…アリマス」
嘘は言えない。
「なのに僕とは…ダメなの?」
「いや、そういう事じゃなくて」
「やっぱり男同士だから?」
もうコウちゃんは泣きそうだった。
あぁ、もう!違うのに!
たまらず、オレは目の前のコウちゃんを抱きしめた。
◆◆◆
僕の理性の話をしよう。
僕は人見知りで臆病だ。怖がりだし、なかなか勇気を出す事なんてない。だから比較的理性的だと思う。
でも、たっくんとの事とは別!
長年の想いが叶って、やっと恋人同士になれたのに。どうした訳か、付き合って1年は経つのに、たっくんは僕に手を出さない。
キスさえした事ないんだ!信じられない!
だから今夜、僕はすごい一大決心をして臨んだんだ。なのに、なかなか煮え切らないたっくんに、もしかして?って聞いてみた。
「もしかして、たっくん、そういう経験ない?」
こんなにカッコよくて、モテモテのたっくんがまさか?
でも、やっぱりまさか、だった。無言で視線を彷徨わせていたたっくんは、とうとう白状した。
「…アリマス」
やっぱり。なら、もう考えられるのは1つしかない。泣きそう。
「やっぱり男同士だから?」
思わず声が震えてしまった僕を、たっくんがギュッて抱きしめてきた。
「それは違う!」
結構大きな声だったから、僕はビックリして涙が引っ込んでしまった。
「コウちゃんに無理させるのが怖いから…!」
元々ひ弱な僕がそういうのに耐えられないんじゃないかって心配で、ずっと我慢してたらしい。
何それ?ひどい。
「たっくん、僕の気持ち全然分かってない」
「…コウちゃん」
「そんな風に大事にされても、嬉しくないよ。僕だって大好きな人に触れたり、キスしたり、そういう事、たっくんとしたいのにっ」
気持ちが溢れて、今度こそ涙が出てきた。
パパもママもたっくんも。いつまでも僕をひ弱扱いして、色んな事を我慢させる。僕はもう元気なのに。
「ごめん」
たっくんが謝りながら、僕を胸に引き寄せた。
あれもダメ、これもダメ、そうやって沢山の事を規制されて生きてきた。入院もして、手術もして、リハビリもして、やっと、やっと、普通の生活をしていいって言われたのに。
これまで押し込めていた不満がドッと溢れてきたみたいに、涙が止まらなかった。
どの位そうしていたか、わからない。
僕の涙が止まるまで、たっくんはずっと僕を優しく抱きしめてくれていた。おかげで、たっくんの上着はびしょ濡れだった。
「たっくん、ごめんね、服が濡れちゃった」
自分の服の袖で顔をゴシゴシ拭きながら、たっくんに謝った。そんな僕の頬に、たっくんがそっと手を添えた。
「…たっくん?」
どうしたのかな?って、顔を上げた僕に。
たっくんが、チュッと口付けた。
ーーー
作者の勝手なイメージは。
オオカミたっくんと、ウサギのコウちゃんです。
という訳で、次話閲覧注意です。
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