43 / 87
第2部 呪いの館 救出編
13話
しおりを挟む
「じゃあ次は僕らが戻った後の話をするよ」
怜が仕切り直して話し始めた。
怜達3人は、扉から出た後に揃って意識を失った。
その後、最初に勇輝が目覚めると、あの洋館の前に華も含め4人で倒れていたそうだ。
勇輝がみんなに声をかけても全く目覚める様子がなく、勇輝1人で頑張って3人を桃の祖父母宅まで運んだそうだ。
「ひ、ひとりで!?」
「まぁ…勇輝だから出来たんだと思う」
体力&体格自慢の勇輝でなければ、男を含めて3人なんて普通は運べないだろう。
勇ちゃんスゴイ。遠く離れている勇輝に華は賞賛を送った。
その後、当たり前だが桃の祖父母が大騒ぎしたらしい。
夜、友人同士で肝試しに行き、孫を含めた3人が意識が無い状態で帰って来たのだ。桃の祖父母の心労を思うと…。
結局、怜含め3人は意識を取り戻す気配が無かったので、病院に運び込まれた。
その後、しばらくして怜は目を覚ましたが、桃と華は、今も意識なくベッドで横たわった状態らしい。
その後、怜はどうにか華のいる世界に行けないか色々調べて、やっとここに辿りついた。
「怜ちゃんはもう身体大丈夫なの?」
「あぁ、今は大丈夫」
「勇ちゃんはどうしてる?」
「あいつは…。あのアホの事なんか知らない」
急に怜が不機嫌そうに拗ねた。急にどうして?
「どうしたの急に?」
「…保護者に連絡する様にって医師に言われたらしく、あいつ親に連絡したんだよ」
「え?じゃあ私のとこも?」
「ああ」
「でも怜ちゃんとこは海外…」
「そう。心配かけたくなかったのに」
ちょっと不貞腐れる。怜がこんな表情をするのは珍しい。けど…。
「でもそれは…勇ちゃんを責めれないよ。逆の立場でも連絡すると思うし」
「…わかってる。わかってるけど」
怜は哀しそうに顔を伏せた。でも、と続ける。
「勇輝に腹が立ってるのは、それだけじゃないんだ」
気持ちを切り替えて、怜はその後の事を話し始めた。
病院で目覚めた怜は勇輝に状況を聞いて、すぐに心当たりがあった。
ー恨みには恨みを。
今回桃はこの世界で3人に恨みを持った。
村人の皆殺しの礼に、あの祭壇が桃の恨みを晴らしたのだ。
結果、華1人取り残し離れ離れにさせることで3人に絶望を与えた。
そして、勇輝も同じように、ここでの桃の態度で彼女に恨みを持った。それが桃が目覚めない原因だろうと。
「桃ちゃんにも呪いが?そんなのあんまりよ。…だって元々はきっと」
恐らく桃の態度が変わったのは、自分達3人に原因がある。
それに気づいている華は、恨みによる呪いを受けて桃がこのまま目覚めないのはあんまりだと思った。
「僕もそう思ったから勇輝に言ったんだ」
以前、怜に入っていた少年から聞いた3人の桃への態度。
桃が華へひどい態度をとる裏側には、最初に自分達が彼女を傷つけるキッカケがあったに違いないと。
ただ、それを勇輝は否定した。
何度言っても頑なに認めなかったのだ。そこに彼なりの理由はあったが、怜にとっては到底許せる事では無かった。
だから怜は自分だけでどうにかしようと思った。
村の図書館で呪いや祈祷、神道など、とりあえず関係ありそうな資料を漁り、やっと手がかりを見つけてここまで来たのだった。
「勇ちゃん…桃ちゃん」
華が不安げに友人達の名を呟く。
怜が華の手に、そっと自分の手を重ねた。
まずはここから無事に帰ろう、と。華と怜がここの呪いを解けば、勇輝の恨みが消えなくても桃は目覚めるかもしれない、と。
玲の言葉は華へ希望を与えた。
あんなに怖い目にあって折れかけた心に、一本の芯が通った。
怜が仕切り直して話し始めた。
怜達3人は、扉から出た後に揃って意識を失った。
その後、最初に勇輝が目覚めると、あの洋館の前に華も含め4人で倒れていたそうだ。
勇輝がみんなに声をかけても全く目覚める様子がなく、勇輝1人で頑張って3人を桃の祖父母宅まで運んだそうだ。
「ひ、ひとりで!?」
「まぁ…勇輝だから出来たんだと思う」
体力&体格自慢の勇輝でなければ、男を含めて3人なんて普通は運べないだろう。
勇ちゃんスゴイ。遠く離れている勇輝に華は賞賛を送った。
その後、当たり前だが桃の祖父母が大騒ぎしたらしい。
夜、友人同士で肝試しに行き、孫を含めた3人が意識が無い状態で帰って来たのだ。桃の祖父母の心労を思うと…。
結局、怜含め3人は意識を取り戻す気配が無かったので、病院に運び込まれた。
その後、しばらくして怜は目を覚ましたが、桃と華は、今も意識なくベッドで横たわった状態らしい。
その後、怜はどうにか華のいる世界に行けないか色々調べて、やっとここに辿りついた。
「怜ちゃんはもう身体大丈夫なの?」
「あぁ、今は大丈夫」
「勇ちゃんはどうしてる?」
「あいつは…。あのアホの事なんか知らない」
急に怜が不機嫌そうに拗ねた。急にどうして?
「どうしたの急に?」
「…保護者に連絡する様にって医師に言われたらしく、あいつ親に連絡したんだよ」
「え?じゃあ私のとこも?」
「ああ」
「でも怜ちゃんとこは海外…」
「そう。心配かけたくなかったのに」
ちょっと不貞腐れる。怜がこんな表情をするのは珍しい。けど…。
「でもそれは…勇ちゃんを責めれないよ。逆の立場でも連絡すると思うし」
「…わかってる。わかってるけど」
怜は哀しそうに顔を伏せた。でも、と続ける。
「勇輝に腹が立ってるのは、それだけじゃないんだ」
気持ちを切り替えて、怜はその後の事を話し始めた。
病院で目覚めた怜は勇輝に状況を聞いて、すぐに心当たりがあった。
ー恨みには恨みを。
今回桃はこの世界で3人に恨みを持った。
村人の皆殺しの礼に、あの祭壇が桃の恨みを晴らしたのだ。
結果、華1人取り残し離れ離れにさせることで3人に絶望を与えた。
そして、勇輝も同じように、ここでの桃の態度で彼女に恨みを持った。それが桃が目覚めない原因だろうと。
「桃ちゃんにも呪いが?そんなのあんまりよ。…だって元々はきっと」
恐らく桃の態度が変わったのは、自分達3人に原因がある。
それに気づいている華は、恨みによる呪いを受けて桃がこのまま目覚めないのはあんまりだと思った。
「僕もそう思ったから勇輝に言ったんだ」
以前、怜に入っていた少年から聞いた3人の桃への態度。
桃が華へひどい態度をとる裏側には、最初に自分達が彼女を傷つけるキッカケがあったに違いないと。
ただ、それを勇輝は否定した。
何度言っても頑なに認めなかったのだ。そこに彼なりの理由はあったが、怜にとっては到底許せる事では無かった。
だから怜は自分だけでどうにかしようと思った。
村の図書館で呪いや祈祷、神道など、とりあえず関係ありそうな資料を漁り、やっと手がかりを見つけてここまで来たのだった。
「勇ちゃん…桃ちゃん」
華が不安げに友人達の名を呟く。
怜が華の手に、そっと自分の手を重ねた。
まずはここから無事に帰ろう、と。華と怜がここの呪いを解けば、勇輝の恨みが消えなくても桃は目覚めるかもしれない、と。
玲の言葉は華へ希望を与えた。
あんなに怖い目にあって折れかけた心に、一本の芯が通った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる