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竜の逆鱗
ヴァルツさんに僕の今の気持ちを知ってもらって、まだ同じだけの想いは返せないけど、番いになる事を承諾した。
とりあえず、番いの第一歩としてヴァルツさんの逆鱗を飲むことになった。
「逆鱗て、なんです?」
「竜人が誰でも持っている、一枚だけある特別な鱗でね。番う相手に飲ませるんだけど、ほら、俺達のように相手が違う種族の場合があって、そうすると寿命とか体質とか色々違って番えないから竜人と同じになるように変化させる事が出来るモノなんだ」
「・・・ああ、確かに僕は男の体だし、そもそも妖精族は孕めないですしね」
なるほど。
ん?
じゃあ、僕は女性体になるってこと?
「あの、僕は女の子の体になるって事です?」
「ああ、いや。姿はそのままで、体の中に子が出来る器官が作られるんだよ。後は俺と同じ寿命になる・・・死ぬときも一緒だ。いいかい?」
ちょっと不安げに揺れた蜂蜜色の瞳が僕を捉えた。
「もちろんですよ。独りぼっちじゃないなんて、こんなに嬉しいことはないです」
そう言うとぱあっと笑って嬉しそうに言った。
「リノ、愛してる!」
「嬉しいです、ヴァルツさん」
「逆鱗を飲むと、体を造り変える間、暫く眠るんだ。その間は俺がずっと世話をするから心配ないからね」
「はい」
そうして、ヴァルツさんは喉の下辺りにあった鱗をプチッと取り浄化すると、僕に差し出す。
「コレが逆鱗だ。・・・・・・飲んでくれる?」
「ふふ。あーん」
ヴァルツさんは顔を真っ赤にして口元を押さえてぷるぷるしていた。
僕が口を開けると、赤い顔のまま舌の上にそっと乗せてくれる。
それをなんのためらいもなくコクンと飲み込んだ。
喉を通っていくのが分かった。
でもその後はふわっと溶けたようで・・・。
甘いような爽やかなような、何とも言えないかぐわしい香りがして、、僕の意識はストンと落ちた。
リノが逆鱗を飲んでくれた。
俺と死ぬまで一緒と言ったら、、嬉しいと、ためらいもなく飲んでくれた。
飲み込んですぐに逆鱗は溶け、、体中に染み渡った。これから体を造り変えるための副反応で当分の間、眠りにつく。
その期間は相手によってまちまちで、、早い者は数週間、長い者だと1年近くかかるという。
リノは果たしてどれくらいか・・・。
今まで妖精族と番った竜人はいない。
そもそも妖精族は自然発生するため生殖機能をもっていないのだ。
だからか、番いが出ることが無かった。
それが今回初めて俺の番いとして現れた。
リノ。
君が出来損ないと言われていた事が関係するのか?
リノをベッドに寝かせてそっと真っ白な髪をとく。白い睫毛に縁取られた瞼はしっかりと閉じられ、さっきまで俺を見つめていた虹色の瞳を隠してしまっている。
「リノ。早くその瞳を見せて。綺麗な虹色の瞳に俺を映しておくれ」
そう言って瞼にキスを贈った。
それからはリノの部屋に執務室を設けて目の届く所で仕事をする。
俺は竜人族の王族の一人で第3王子なのだ。
それなりに仕事があり忙しい。
まあ、俺に番いが出来た事もあって最近は仕事量をセーブしてくれているようだが。
時折、兄や父が様子見と称して突撃してくる回数が多いが、リノを誰にも見せたくないのですんでのところで追い返している。
リノが眠ってひと月ほど経った頃、リノの胸の真ん中辺りに薄らと鱗が現れてきた。
竜人に体質が変わってくると、体のどこかに相手と同じ鱗が現れる。
完全に硬くハッキリと出れば体が造り変わった合図だ。
もう少しで目を覚ますだろう。
・・・夢を見ていた。
綺麗な空の下、僕はふわふわと漂っていた。
懐かしい感じ。
ああ、僕は生まれる前に消えてしまった竜人の卵だった。
思い出した。
何故か育ちきれなくて、うんと小さいうちに卵の中で死んでしまった。
僕の魂はふよふよ飛んで流されて、妖精族の土地でまだ形になっていない魔力の塊にくっついた。
その拍子に、僕の死ぬまでの竜人としての、うんと小さい体が妖精族の体となって形作られたんだ。
竜人は翼が2枚。
だから無意識に2枚の羽になった。
魔力が少ないのも当然。
僕がくっついたせいでただの魔力の塊に僕の意識が宿り、急に形が出来てしまったから。
本当ならもっともっと魔力が集まって形になるのに、ただの魔力だったから僕の魂に吸収されちゃったんだ。
そしてあの泉は聖域近くで魔力が豊富だった。
偶然が重なって、少しずつ魔力を取り込んでいった僕はあの日、睡魔に耐えきれずに眠りについた。今のように・・・。
僕の体が魔力に耐えられる器に造り変えられたんだ。
だから成長してた。
じゃあ、もしかして飛べるようになったのかな?
試してないから分からないな。
目が覚めたら試してみよう。
飛べたらいいな。
ヴァルツさんと一緒に空を飛んでみたい。
ヴァルツさん。
・・・・・・逢いたいな。
あなたのその蜂蜜色の綺麗な瞳に映りたい。
大好きだ。
僕も『一目惚れ』だったみたい。
思い出したから。
竜人の魂だったから分かる。
『番い』
あなたの相手が僕で良かった。
魂だけになっても生きようとしていたんだ。
番いであるあなたに逢うために、きっと・・・。
「ーーーおはよう、リノ。おかえり」
目を開けたら蜂蜜色の綺麗な瞳に僕が映って。
僕の瞳にはヴァルツさんが映っている。
「ーーーおはようございます、ヴァルツさん。・・・・・・ただいま」
こんな挨拶が出来る今が、とっても幸せだ。
とりあえず、番いの第一歩としてヴァルツさんの逆鱗を飲むことになった。
「逆鱗て、なんです?」
「竜人が誰でも持っている、一枚だけある特別な鱗でね。番う相手に飲ませるんだけど、ほら、俺達のように相手が違う種族の場合があって、そうすると寿命とか体質とか色々違って番えないから竜人と同じになるように変化させる事が出来るモノなんだ」
「・・・ああ、確かに僕は男の体だし、そもそも妖精族は孕めないですしね」
なるほど。
ん?
じゃあ、僕は女性体になるってこと?
「あの、僕は女の子の体になるって事です?」
「ああ、いや。姿はそのままで、体の中に子が出来る器官が作られるんだよ。後は俺と同じ寿命になる・・・死ぬときも一緒だ。いいかい?」
ちょっと不安げに揺れた蜂蜜色の瞳が僕を捉えた。
「もちろんですよ。独りぼっちじゃないなんて、こんなに嬉しいことはないです」
そう言うとぱあっと笑って嬉しそうに言った。
「リノ、愛してる!」
「嬉しいです、ヴァルツさん」
「逆鱗を飲むと、体を造り変える間、暫く眠るんだ。その間は俺がずっと世話をするから心配ないからね」
「はい」
そうして、ヴァルツさんは喉の下辺りにあった鱗をプチッと取り浄化すると、僕に差し出す。
「コレが逆鱗だ。・・・・・・飲んでくれる?」
「ふふ。あーん」
ヴァルツさんは顔を真っ赤にして口元を押さえてぷるぷるしていた。
僕が口を開けると、赤い顔のまま舌の上にそっと乗せてくれる。
それをなんのためらいもなくコクンと飲み込んだ。
喉を通っていくのが分かった。
でもその後はふわっと溶けたようで・・・。
甘いような爽やかなような、何とも言えないかぐわしい香りがして、、僕の意識はストンと落ちた。
リノが逆鱗を飲んでくれた。
俺と死ぬまで一緒と言ったら、、嬉しいと、ためらいもなく飲んでくれた。
飲み込んですぐに逆鱗は溶け、、体中に染み渡った。これから体を造り変えるための副反応で当分の間、眠りにつく。
その期間は相手によってまちまちで、、早い者は数週間、長い者だと1年近くかかるという。
リノは果たしてどれくらいか・・・。
今まで妖精族と番った竜人はいない。
そもそも妖精族は自然発生するため生殖機能をもっていないのだ。
だからか、番いが出ることが無かった。
それが今回初めて俺の番いとして現れた。
リノ。
君が出来損ないと言われていた事が関係するのか?
リノをベッドに寝かせてそっと真っ白な髪をとく。白い睫毛に縁取られた瞼はしっかりと閉じられ、さっきまで俺を見つめていた虹色の瞳を隠してしまっている。
「リノ。早くその瞳を見せて。綺麗な虹色の瞳に俺を映しておくれ」
そう言って瞼にキスを贈った。
それからはリノの部屋に執務室を設けて目の届く所で仕事をする。
俺は竜人族の王族の一人で第3王子なのだ。
それなりに仕事があり忙しい。
まあ、俺に番いが出来た事もあって最近は仕事量をセーブしてくれているようだが。
時折、兄や父が様子見と称して突撃してくる回数が多いが、リノを誰にも見せたくないのですんでのところで追い返している。
リノが眠ってひと月ほど経った頃、リノの胸の真ん中辺りに薄らと鱗が現れてきた。
竜人に体質が変わってくると、体のどこかに相手と同じ鱗が現れる。
完全に硬くハッキリと出れば体が造り変わった合図だ。
もう少しで目を覚ますだろう。
・・・夢を見ていた。
綺麗な空の下、僕はふわふわと漂っていた。
懐かしい感じ。
ああ、僕は生まれる前に消えてしまった竜人の卵だった。
思い出した。
何故か育ちきれなくて、うんと小さいうちに卵の中で死んでしまった。
僕の魂はふよふよ飛んで流されて、妖精族の土地でまだ形になっていない魔力の塊にくっついた。
その拍子に、僕の死ぬまでの竜人としての、うんと小さい体が妖精族の体となって形作られたんだ。
竜人は翼が2枚。
だから無意識に2枚の羽になった。
魔力が少ないのも当然。
僕がくっついたせいでただの魔力の塊に僕の意識が宿り、急に形が出来てしまったから。
本当ならもっともっと魔力が集まって形になるのに、ただの魔力だったから僕の魂に吸収されちゃったんだ。
そしてあの泉は聖域近くで魔力が豊富だった。
偶然が重なって、少しずつ魔力を取り込んでいった僕はあの日、睡魔に耐えきれずに眠りについた。今のように・・・。
僕の体が魔力に耐えられる器に造り変えられたんだ。
だから成長してた。
じゃあ、もしかして飛べるようになったのかな?
試してないから分からないな。
目が覚めたら試してみよう。
飛べたらいいな。
ヴァルツさんと一緒に空を飛んでみたい。
ヴァルツさん。
・・・・・・逢いたいな。
あなたのその蜂蜜色の綺麗な瞳に映りたい。
大好きだ。
僕も『一目惚れ』だったみたい。
思い出したから。
竜人の魂だったから分かる。
『番い』
あなたの相手が僕で良かった。
魂だけになっても生きようとしていたんだ。
番いであるあなたに逢うために、きっと・・・。
「ーーーおはよう、リノ。おかえり」
目を開けたら蜂蜜色の綺麗な瞳に僕が映って。
僕の瞳にはヴァルツさんが映っている。
「ーーーおはようございます、ヴァルツさん。・・・・・・ただいま」
こんな挨拶が出来る今が、とっても幸せだ。
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