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第一章 フォレスター編
アルカスは非常識の塊 1(sideウィステリア)
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相変わらず枯渇に近い魔力欠乏状態のアルカスがクラビス達と塀外へ魔物を倒しに行く事になったらしい。
レベルアップすれば肉体強化されて、魔力に耐えられるのでは? という考察の元、グラキスが許可を出したようだ。
確かにステータスにはレベルの表示がなかった。
生まれたての赤子が歩けるようになって漸くレベル1になる。
これは生活していくうちに自然とレベルアップしていき、魔物を倒さなくとも年齢に比例して上がっていくので、成人するときには最低でも15前後あるのが通常である。
それまでに魔物を倒したり体を鍛えたりしていればもっと高くなる。
成人を過ぎると、年齢に比例して上がっていたレベルは、徐々に上がりにくくなるので、自己鍛錬や魔物の討伐などで得る経験値が必要になる。
しかし、魔法の存在しない異世界ではこれが当てはまらず、生まれたての赤子のようにレベルが全くない状態。
赤子の体に膨大な魔力を詰め込もうとしても許容量を越えて危険だ。
体が自己防衛で無意識に魔力量を押さえているのだろう。
ーーーというのが、クレインやフェイ、私の導き出した結論だった。
ならば、レベルアップしていけば許容量も戻っていくのでは、と提案すればそれはそれは迅速に防具一式を揃えて、早速とばかりに駆け出し冒険者が行く平原に出かけていったらしい。
らしい、というのも、実は私が伝達魔導具で呼び出されたのが事後で、今しがたフォレスターの邸に着いて説明を受けたところだからだ。
「・・・なるほど。状況は分かったが原因としては憶測の域を出ないね。でも加護が関係している可能性はかなり高い」
「そうですか。やはり加護がどういったモノか調べないことには分かりませんか」
「アルカス待ちだろうね。・・・まあ、加護のせいなら悪いことにはならないと思うよ。心配だろうけど」
そう言ってグラキス達を宥めて、
「どれ、孫(アルカス)の顔でも見てきましょうか」
と笑って言えば、幾分柔らかくなった表情の皆とアルカスの部屋へ向かう。
聞いた話だと痛みに耐えられないように気を失ったそうだが、今は落ち着いて見える。
穏やかな顔だ。これなら心配要らないだろう。
そうして今夜はこのまま泊まる事になった。
だがまあ、暫くは泊まる事になるだろうな。目覚めてから聞く話もあるし、何より私がアルカスの側で様子を見ていたい。
明日には目覚めるとよいな。
そう願いながら部屋で休んだ。
そして次の日の昼前に無事目覚めたようだ。
クラビスと食堂に来るそうだ。
先に席に着いていると元気そうな顔を見せてくれたが・・・。
「ごめんなさい」
と申し訳けなさそうに謝ってきた。
おそらくイグニス達も揃っていたので、心配をかけてしまったと思ったのだろう。
だから、無意識に声に出して呟いた言葉に、そこにいた皆が絶句してしまった。
迷惑ばかりかけている、自分がいなくてもよかったんじゃないかと。
なんということ・・・。
私達はそんなこと一欠片も思ってなどいないのに。
むしろ今までの不幸せの分、思いっきり甘えて我が儘を言って欲しいのに。
笑顔の裏にそんな気持ちを隠していたなど・・・・・・。
私達は誰も気付いていなかった。
・・・・・・いや、1人いるな・・・。
クラビス。お前のソレは『ヤンデレ』と言うんだよ。
前にアルカスが教えてくれたが、『ヤバいヤツ』だと言っていたぞ。
まあ、アルカスが許しているなら外野は何も言うまい、が。
爺様の立場としては些か物申したい・・・が、しかし!
ここは堪えて余裕を見せよう。
アルカスが幸せならいいのだ。
かくして、賑やかな昼餉の後のお茶の時間。
アルカスから告げられた内容に、皆、顔には出さないがかなりの衝撃を受けた。
そもそも、神が夢渡りされたことも有り得ないが、教会で詳しく話すということは、神託を下すということで。
だが、異世界から連れ戻した神のことだから、アルカスは加護もあるし、有り得るのか。
などなど考えているうちに、アルカスがレベルの話をした流れでステータスを見ることになり・・・・・・。
レベルは確かに10と表記されていて、ホッとしたのも束の間。
称号に何故か『クラビスの嫁』
もう一度言う。『クラビスの嫁』
・・・・・・。
皆の気持ちは一つだった。
エストレラ神、何故に称号に・・・?!
教会へと連絡を出し、ひとまずお開きとなった。
アルカスが例によって寝落ちしたからだ。
レベルが上がってもまだまだということか?
この辺りも教会へおもむけばおのずと知れよう。
取りあえず、アルカスよ。
クラビスの重い愛に潰されぬよう。
称号の『クラビスの嫁』で暴走しなければよいが・・・。
爺様は心配なのだ。
翌日、教会から何時でもどうぞという返事が来たので、明日、皆で行こうということになった。
そして当日。お忍びということで皆ラフな格好だったが、徒歩で向かううえに顔バレしているため、やたらと視線が飛んでくるが慣れたもので一向に気にしない。
アルカスだけはキョロキョロと周りを伺っている。
こちらは来たことがないようだ。
教会の所在地を不思議に思ったアルカスに返答すれば、800万の神がいるという衝撃の話に一同唖然。
全く想像もつかない。
そうこうしているうちに教会へと辿り着き、司祭と挨拶を交わして奥の神託の間へと案内された。
神聖な空気を感じたらしいアルカスは、司祭の言葉に頷くと。
「おーい。エストレラ神、来たよー!」
全員、ギョッとした。さすがのクラビスも目を瞠った。
そして一瞬にして神域へと移動していた。
しばらくの後、元の部屋へと戻されたがたいした時間経過もなく、皆、しばし呆然としたが、アルカスがクラビスに横抱きにされて眠っているのだ。
取りあえず護衛達がいる部屋へと移動する。
戻ったら戻ったで驚きと感嘆を口々に言い、護衛達もギョッとしていたが、取りあえずひと安心と、教会を後にした。
それからアルカスが目覚めるまでおよそ1週間。
クラビスの『ヤンデレ』具合は推して知るべし。
レベルアップすれば肉体強化されて、魔力に耐えられるのでは? という考察の元、グラキスが許可を出したようだ。
確かにステータスにはレベルの表示がなかった。
生まれたての赤子が歩けるようになって漸くレベル1になる。
これは生活していくうちに自然とレベルアップしていき、魔物を倒さなくとも年齢に比例して上がっていくので、成人するときには最低でも15前後あるのが通常である。
それまでに魔物を倒したり体を鍛えたりしていればもっと高くなる。
成人を過ぎると、年齢に比例して上がっていたレベルは、徐々に上がりにくくなるので、自己鍛錬や魔物の討伐などで得る経験値が必要になる。
しかし、魔法の存在しない異世界ではこれが当てはまらず、生まれたての赤子のようにレベルが全くない状態。
赤子の体に膨大な魔力を詰め込もうとしても許容量を越えて危険だ。
体が自己防衛で無意識に魔力量を押さえているのだろう。
ーーーというのが、クレインやフェイ、私の導き出した結論だった。
ならば、レベルアップしていけば許容量も戻っていくのでは、と提案すればそれはそれは迅速に防具一式を揃えて、早速とばかりに駆け出し冒険者が行く平原に出かけていったらしい。
らしい、というのも、実は私が伝達魔導具で呼び出されたのが事後で、今しがたフォレスターの邸に着いて説明を受けたところだからだ。
「・・・なるほど。状況は分かったが原因としては憶測の域を出ないね。でも加護が関係している可能性はかなり高い」
「そうですか。やはり加護がどういったモノか調べないことには分かりませんか」
「アルカス待ちだろうね。・・・まあ、加護のせいなら悪いことにはならないと思うよ。心配だろうけど」
そう言ってグラキス達を宥めて、
「どれ、孫(アルカス)の顔でも見てきましょうか」
と笑って言えば、幾分柔らかくなった表情の皆とアルカスの部屋へ向かう。
聞いた話だと痛みに耐えられないように気を失ったそうだが、今は落ち着いて見える。
穏やかな顔だ。これなら心配要らないだろう。
そうして今夜はこのまま泊まる事になった。
だがまあ、暫くは泊まる事になるだろうな。目覚めてから聞く話もあるし、何より私がアルカスの側で様子を見ていたい。
明日には目覚めるとよいな。
そう願いながら部屋で休んだ。
そして次の日の昼前に無事目覚めたようだ。
クラビスと食堂に来るそうだ。
先に席に着いていると元気そうな顔を見せてくれたが・・・。
「ごめんなさい」
と申し訳けなさそうに謝ってきた。
おそらくイグニス達も揃っていたので、心配をかけてしまったと思ったのだろう。
だから、無意識に声に出して呟いた言葉に、そこにいた皆が絶句してしまった。
迷惑ばかりかけている、自分がいなくてもよかったんじゃないかと。
なんということ・・・。
私達はそんなこと一欠片も思ってなどいないのに。
むしろ今までの不幸せの分、思いっきり甘えて我が儘を言って欲しいのに。
笑顔の裏にそんな気持ちを隠していたなど・・・・・・。
私達は誰も気付いていなかった。
・・・・・・いや、1人いるな・・・。
クラビス。お前のソレは『ヤンデレ』と言うんだよ。
前にアルカスが教えてくれたが、『ヤバいヤツ』だと言っていたぞ。
まあ、アルカスが許しているなら外野は何も言うまい、が。
爺様の立場としては些か物申したい・・・が、しかし!
ここは堪えて余裕を見せよう。
アルカスが幸せならいいのだ。
かくして、賑やかな昼餉の後のお茶の時間。
アルカスから告げられた内容に、皆、顔には出さないがかなりの衝撃を受けた。
そもそも、神が夢渡りされたことも有り得ないが、教会で詳しく話すということは、神託を下すということで。
だが、異世界から連れ戻した神のことだから、アルカスは加護もあるし、有り得るのか。
などなど考えているうちに、アルカスがレベルの話をした流れでステータスを見ることになり・・・・・・。
レベルは確かに10と表記されていて、ホッとしたのも束の間。
称号に何故か『クラビスの嫁』
もう一度言う。『クラビスの嫁』
・・・・・・。
皆の気持ちは一つだった。
エストレラ神、何故に称号に・・・?!
教会へと連絡を出し、ひとまずお開きとなった。
アルカスが例によって寝落ちしたからだ。
レベルが上がってもまだまだということか?
この辺りも教会へおもむけばおのずと知れよう。
取りあえず、アルカスよ。
クラビスの重い愛に潰されぬよう。
称号の『クラビスの嫁』で暴走しなければよいが・・・。
爺様は心配なのだ。
翌日、教会から何時でもどうぞという返事が来たので、明日、皆で行こうということになった。
そして当日。お忍びということで皆ラフな格好だったが、徒歩で向かううえに顔バレしているため、やたらと視線が飛んでくるが慣れたもので一向に気にしない。
アルカスだけはキョロキョロと周りを伺っている。
こちらは来たことがないようだ。
教会の所在地を不思議に思ったアルカスに返答すれば、800万の神がいるという衝撃の話に一同唖然。
全く想像もつかない。
そうこうしているうちに教会へと辿り着き、司祭と挨拶を交わして奥の神託の間へと案内された。
神聖な空気を感じたらしいアルカスは、司祭の言葉に頷くと。
「おーい。エストレラ神、来たよー!」
全員、ギョッとした。さすがのクラビスも目を瞠った。
そして一瞬にして神域へと移動していた。
しばらくの後、元の部屋へと戻されたがたいした時間経過もなく、皆、しばし呆然としたが、アルカスがクラビスに横抱きにされて眠っているのだ。
取りあえず護衛達がいる部屋へと移動する。
戻ったら戻ったで驚きと感嘆を口々に言い、護衛達もギョッとしていたが、取りあえずひと安心と、教会を後にした。
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クラビスの『ヤンデレ』具合は推して知るべし。
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