【完結】水と夢の中の太陽

エウラ

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第三章 辺境編

その話 kwsk !

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ギルマスの部屋に案内してくれた職員さんにお礼を言って、クラビスがノックをすると、応えが返ってきたので、お邪魔しまーす!

「ようこそいらっしゃいました、アルカス様。ウィステリア様もこの間ぶりですね」
「そうだの、ダルク」
「ギルマス、じゃなかった。ダルク叔父さん! もう俺の叔父さんなんだから、普通にアルカスって呼んでさ、敬語もなしで、ね?」

クラビスにお伺いを立てる。
にっこり笑って言った。

「そうですよ、ダルク叔父さん。アルカスは俺の嫁になったんだから、叔父さんの義理の甥です。家族ですよ」
「そうそう、この間、クラビスのお父さんにもちゃんと『息子さんを俺に下さい』って言ってオッケー貰ったんだよ! だからお義父さん呼びしてきたし、俺も呼び捨てにして貰った」

「ぶほっ!」

叔父さんが吹いた。何故?

「・・・それは、兄さん・・・撃沈したのでは・・・?」
「うん。してたしてた。でもクラビスの方がダメージ食らってなかった?」
「・・・言うな。アルカス」

ちょっと顔が赤いけど、大丈夫?
突っ込むな?
らじゃ!

「ふーん。その話、詳しく聞きたいなあ」

フェイが意地悪い笑みを浮かべる。
ダメダメ!
俺が知ってればいいの!
教えないよ!

「それより、依頼の話しでしょ!」
「そうだったな。向こうで軽く聞いたと思うが辺境伯領の近くでのグリフォンの目撃情報があった」

仕事モードになったギルマスが顔を引き締めて話す。
地図を広げている。

「目撃情報は複数人。場所は多少違えどおおよそはこの辺り」
「・・・果ての森か」
「厄介だな」

フェイが呟く。

「そうなの? 果ての森って何?」

それにウィステリアが応える。

「果ての森とは隣国とここの国境付近一帯の森で、辺境伯領に面した深い森の事でな、どの国の領土にもなっていない手つかずの森なのだ」
「どうして?」
「魔素が濃すぎて只人には住めぬ森なのだ。それに度々スタンピードが起こる。どの国も他所からの侵略ではなく果ての森からのスタンピードを警戒して軍事力強化をしているようなものさね」
「え、じゃあスタンピードが起こったら父さんも討伐に出るってこと?」
「将軍様はもちろん、クレイン様もここフォレスター家も総出でやりますよ。もちろんギルドもね」

そう言ってギルマスがニカッと笑った。
慣れてる感じでちょっとビックリ。

「えーと、割と頻繁に起きてる感じ?」
「最近だと15年ほど前かの」
「俺が10歳の時なので14年前ですね」
「・・・もしかしてクラビスも・・・?」
「討伐に加わったよ。まだ冒険者登録は出来ないからフォルター家としてね」
「え、その話kwsk!」
「何だその言葉?」
「詳しく」
「異世界は面白いのぉ」
「その時の話はまた後でな。ひとまずこっちだ」
「はーい」

大人しく聞いていよう。
しかし異世界の不思議だな。
魔素が濃いから魔物が生まれるっていうことかな?
じゃあ魔素を薄く出来たらいいじゃんて思うけど、出来たらそれはそれで今度は人同士の侵略とかありそう。

バランス良くなってるんだろうな。
素材とかも手に入るし?

魔王とか居なさそうだし、共通の敵として魔物が居る感じかな。

「ーーース、アルカス」
「んえ? あ、何?」
「いや、ぼーっとしてるから具合悪いのかと思って・・・大丈夫そう?」
「ああごめん。果ての森のこと考えてて」
「何か気になった?」
「うーん、魔素を薄くしたら人同士の争いになるから、あの森はそのまんまがいいなって考えてた」
「・・・何故?」

フェイが怪訝な顔で聞いてきた。

「大抵さ、目的がないと暇になって、結果、悪いこと考えちゃうじゃん? どこそこのヤツら虐めちゃえみたいな。だから神様はわざとヤバいモノを創って、皆で協力しないと自分達も滅んじゃうよって仕組んだんじゃないかな」
「・・・なるほど。今まで、森をどうにか出来ないかって考えてたけど、どうにかしちゃいけないのか」
「ま、俺の考えだけどね」
「いや、参考になった。ギルドも考えをあらためないとな」
「でも被害が大きくならないようにするのはいいんじゃない?」
「そうだな」

そんな話で少し脱線しちゃったけど、グリフォンの話を続けて下さいな!

「でだ、そんな果ての森だから、住民はおろか、冒険者さえ浅いところにしか入らないのに、その浅いところで目撃されてるのがなあ」
「何か森に異変があったとしか思えないな」
「・・・深くまで潜ってみないと分からないか」
「ふむ。それなりに装備や食料、ポーション類などを準備しないといかんな」
「とりあえず依頼は受ける。というか、他には任せられない。それでいいか、皆」
「おう」
「いいぜ」
「我も異存はない」
「俺はクラビスと一緒ならどこへでも」

にっこり笑って言った。

「へいへい。ゴチソーサマ」

フェイが棒読みで言って笑いを誘った。

「準備が出来次第、辺境伯領へ向かう」
「転移すればちょちょいだけどね」
「・・・・・・その手があった!」
「たぶん果ての森も行けるよー!」
「なんて非常識・・・!!」

はっはっは!!
崇め奉っていいんだぜ!






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