パライソ~楽園に迷い込んだ華~

エウラ

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44 生産品の売買について 2

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数日後、ちょうど騎士団のお父さん達全員が公休日ということで、朝から俺の生産品の品定めをすることになった。

サロンも広いけど色々と出すと狭くなるだろうということで、公爵家でパーティーなんか開くときに使われるというホールで行うそうだ。ホールといっても小ホールと言って、およそ百人ほど入れるだけの小さい方だって。
じゃあ大ホールはどれだけ広いんだって聞いたら、五百人は入れるかなってアルトに言われて気が遠くなった。

「大ホールは敷地内に建っている別館にあって、めったに使わないけど二階と三階が招待客が宿泊できる部屋になっているよ」
「いやいや、規模が違う。何なの、もはや迎賓館じゃん、それ」

そういうのは国のトップである王宮にあるもんだろ。ただの(と言っていいのか分からないが)公爵家に必要なのか?

「公爵家だからそれくらいの物が必要になるんだよ。外国の賓客を招くこともあるし、色々と付き合いが面倒だけど。維持費もそこそこかかるけど、仕方ないんだ」
「はあ……大変なんだな、お貴族様って。俺はそういうのは無理だからな。お付き合いとか腹の探り合いとかできないからな」

アルト達にはハッキリ言っておかないと。無理強いはしないとわかってるけど、俺には未知の世界だ。

「分かってる。カムイは一切、表に出なくていいからね」
「お、おう」

何かその台詞、ちょっとヤンデレっぽいぞ。アルトからチラッとそういう感情が見えた気がするけど、まあ俺は引き篭もる気満々だからちょうどいいか。

気を取り直して、小ホールの長いテーブルの上に製品を並べていく。事前に需要のありそうなポーション類とか教えてもらったので、それを中心に出す。

傷を治す回復ポーションを下級から最上級の品質まで出す。薄桃色でピチの味がする。原材料に桃を使ったからなのかな。

あとは魔力回復ポーション、状態異常を治す解毒薬。
魔力回復ポーションと解毒薬は品質のランクはなくて最上級扱いのものだけ作ってる。

他の人の製品を知らないから比べられないけど、これは俺が独自に作った魔力回復ポーションと解毒薬で『大は小を兼ねる』という言葉通りに作ったもの。

べっ、別にランク分けするのが面倒臭かったわけじゃなくてだな。

怪我は大小様々なものがあるから程度によって使い分けた方がいいけど、いろんな種類の薬を持ち歩くのって面倒だし間違えそうだし、それなら回復ポーション以外のヤツは全部解毒できたり魔力全回復できるヤツ一個の方が、手間もコスパもいいじゃんって思ったんだよ。

ということを力説しながら、例の土留め色の解毒薬を並べる。魔力回復ポーションは水色で味は何故か最初からラムネ味でちょっと微炭酸なんだよね。美味いからいいけど。
解毒薬を皆が嫌そうな目で見ているけど、仕方ないじゃん。こっちはまだ改良していないんだから。

激マズだけど即効性もあって効果も素晴らしい……はず。うん、二日酔い以外で使ったことないから知らんけど。

「とりあえず並べてみた。皆、遠慮はいらないから好き勝手に開封して飲むなりつけるなりして試してね。在庫はいくらでもあるから」

俺がそう言うと、お父さん達は恐る恐るといった感じで容器を持ち、鑑定魔法を使ったりして確認したあと実際に開封して舐めたりし始めた。

俺は声をかけられたらそれに応える感じで、その様子をのんびりと見守るのだった。


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