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83 邸の探検という名のお散歩 3
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「そういう訳で、午後は三階の探検に行きます」
ちなみに二階は客室がいっぱいあった。
お客様が泊まるときに使われるんだって。
ちょっと覗いただけだったけど、どの部屋も品のいい家具やら趣味のよさそうなカーテンやらで豪華だけどギラギラしてないっていうの? 落ち着いた装飾だった。
・・・・・・きっとお値段も凄いんでしょうね。僕は間違っても一人では入らないぞ!
壊しちゃったら弁償出来ないもん。
それと南側に大きなバルコニーがあって、ちょうどいいからとそこでお昼ご飯を食べた。
アハト兄様とミアにも同席して貰った。
皆で食べれば楽しいよね、って言って。
ミアもアハト兄様の膝の上で給餌して貰っていちゃいちゃしてたから、僕も恥ずかしくなかったよ。
・・・・・・うんごめん、嘘。
ちょっとは恥ずかしかった。
食事のあとに別れて、再びシュルツと探検開始。
「三階は俺達家族の私室があるんだ」
「そういえばシュルツの部屋も三階だった。じゃあアハト兄様とミアも?」
「ああ。それに父上達の部屋もな」
ほうほう、ということはさすがにお部屋に突撃訪問は無理だね。
「部屋に着いたらノックをしてごらん」
「うーん、分かった」
シュルツがそういうので、まずはアハト兄様達の部屋をノックする。
「やあ、どうぞイツキ」
「おっ、お邪魔します?」
どうやら入ってもいいらしい。そっと中を覗くと、お腹が膨れてうとうとするミアが見えた。
これは、さすがにちょっと・・・・・・。
「ミアが眠たそうだよ。僕達、入るのは遠慮するね」
「そうか? すまないな」
僕は空気の読める男。
ミアはまだまだ子供なんだからいっぱい食べていっぱい寝なくちゃだよね。
「ううん、僕の方こそごめんね、お邪魔虫だったね。あの、チェックだけお願いします」
「ふふ、了解。あと、コレはギルがイツキにって用意してたものだよ。はいどうぞ」
そう言って手渡されたのは、両手の平に収まる小さな植木鉢に植わった可愛らしい花。
「公爵家の庭園に咲いているものなんだけど、色が珍しいんだ。よかったらあの森で育ててあげてくれるかい?」
その花は花弁が翡翠色で根元にいくにつれて黒みがかっている、鈴蘭みたいな花だった。
その色はまるで・・・・・・。
「ギルのオッドアイの瞳の色に似ているだろう? ギルがイツキの側に置いて欲しいって選んだんだ」
「ミアが・・・・・・? 嬉しい。これなら中々会えなくても、見ただけでミアを思い出せそう」
それにミアに似た精霊がくっ付いてる。
「ふふっ、可愛い。大切に育てるね。ありがとう、アハト兄様、ミア」
そおっと扉を閉めて部屋を離れると、植木鉢はいつの間にかやって来たヌルが『お預かりします』と持っていった。
凄いな。気配が全然分からなかったよ!
そのあとはゼクス父様の部屋にいたノイン母様とハグをしてチェックを貰い、更に母様からデフォルメされたシュルツの竜体のときの顔のリュックを貰ったので、早速、背負った。
『んああああ───可愛い───!!』
黒い竜の、三白眼の目がシュルツっぽいなあ、とにこにこしていたら、いつものようにノイン母様が荒ぶって大変だった。
父様は一階の奥の方にある執務室にいるらしく、三階から一階に逆戻り。
「そういえばさっき父様の執務室には行かなかったね」
「一応、重要な書類などがあるから、許可がないと入れないようになっているんだ。さっきは不在だったから、部屋の前で済ませてしまった」
「なるほど、確かに勝手に出入りしちゃいけない場所だった」
「今は部屋にいるが、そっと見てすぐに移動しよう」
「うん、お仕事の邪魔しちゃいけないもんね」
僕は空気の読める・・・・・・以下略。
父様は公爵家の仕事をしていたらしく、僕とハグをしてチェックをしたあと、黒くて透かし彫りの細工の小箱をくれた。
「あんまりキラキラしていない、自然な素材のものがいいかと思ってな。黒檀だから丈夫でシュルツっぽいだろう?」
「黒檀の香りは気分を落ち着かせてくれるそうだ。よかったな、イツキ」
「うん、ありがとう、父様。大好き!」
嬉しくてそう言って父様に抱きついたら、シュルツにベリッと引き剥がされて、父様は大笑いしていた。
こうしておおむね、邸の中の探検は終わり、チェックシートの印も全部埋まったのだった。
「これで邸は制覇した!」
「いやイツキ、実はもう一つあるんだよ」
僕がやり切った感満載でそう言ったら、シュルツが意味ありげに笑って言った。
・・・・・・もう一つ、とは何だろう?
ちなみに二階は客室がいっぱいあった。
お客様が泊まるときに使われるんだって。
ちょっと覗いただけだったけど、どの部屋も品のいい家具やら趣味のよさそうなカーテンやらで豪華だけどギラギラしてないっていうの? 落ち着いた装飾だった。
・・・・・・きっとお値段も凄いんでしょうね。僕は間違っても一人では入らないぞ!
壊しちゃったら弁償出来ないもん。
それと南側に大きなバルコニーがあって、ちょうどいいからとそこでお昼ご飯を食べた。
アハト兄様とミアにも同席して貰った。
皆で食べれば楽しいよね、って言って。
ミアもアハト兄様の膝の上で給餌して貰っていちゃいちゃしてたから、僕も恥ずかしくなかったよ。
・・・・・・うんごめん、嘘。
ちょっとは恥ずかしかった。
食事のあとに別れて、再びシュルツと探検開始。
「三階は俺達家族の私室があるんだ」
「そういえばシュルツの部屋も三階だった。じゃあアハト兄様とミアも?」
「ああ。それに父上達の部屋もな」
ほうほう、ということはさすがにお部屋に突撃訪問は無理だね。
「部屋に着いたらノックをしてごらん」
「うーん、分かった」
シュルツがそういうので、まずはアハト兄様達の部屋をノックする。
「やあ、どうぞイツキ」
「おっ、お邪魔します?」
どうやら入ってもいいらしい。そっと中を覗くと、お腹が膨れてうとうとするミアが見えた。
これは、さすがにちょっと・・・・・・。
「ミアが眠たそうだよ。僕達、入るのは遠慮するね」
「そうか? すまないな」
僕は空気の読める男。
ミアはまだまだ子供なんだからいっぱい食べていっぱい寝なくちゃだよね。
「ううん、僕の方こそごめんね、お邪魔虫だったね。あの、チェックだけお願いします」
「ふふ、了解。あと、コレはギルがイツキにって用意してたものだよ。はいどうぞ」
そう言って手渡されたのは、両手の平に収まる小さな植木鉢に植わった可愛らしい花。
「公爵家の庭園に咲いているものなんだけど、色が珍しいんだ。よかったらあの森で育ててあげてくれるかい?」
その花は花弁が翡翠色で根元にいくにつれて黒みがかっている、鈴蘭みたいな花だった。
その色はまるで・・・・・・。
「ギルのオッドアイの瞳の色に似ているだろう? ギルがイツキの側に置いて欲しいって選んだんだ」
「ミアが・・・・・・? 嬉しい。これなら中々会えなくても、見ただけでミアを思い出せそう」
それにミアに似た精霊がくっ付いてる。
「ふふっ、可愛い。大切に育てるね。ありがとう、アハト兄様、ミア」
そおっと扉を閉めて部屋を離れると、植木鉢はいつの間にかやって来たヌルが『お預かりします』と持っていった。
凄いな。気配が全然分からなかったよ!
そのあとはゼクス父様の部屋にいたノイン母様とハグをしてチェックを貰い、更に母様からデフォルメされたシュルツの竜体のときの顔のリュックを貰ったので、早速、背負った。
『んああああ───可愛い───!!』
黒い竜の、三白眼の目がシュルツっぽいなあ、とにこにこしていたら、いつものようにノイン母様が荒ぶって大変だった。
父様は一階の奥の方にある執務室にいるらしく、三階から一階に逆戻り。
「そういえばさっき父様の執務室には行かなかったね」
「一応、重要な書類などがあるから、許可がないと入れないようになっているんだ。さっきは不在だったから、部屋の前で済ませてしまった」
「なるほど、確かに勝手に出入りしちゃいけない場所だった」
「今は部屋にいるが、そっと見てすぐに移動しよう」
「うん、お仕事の邪魔しちゃいけないもんね」
僕は空気の読める・・・・・・以下略。
父様は公爵家の仕事をしていたらしく、僕とハグをしてチェックをしたあと、黒くて透かし彫りの細工の小箱をくれた。
「あんまりキラキラしていない、自然な素材のものがいいかと思ってな。黒檀だから丈夫でシュルツっぽいだろう?」
「黒檀の香りは気分を落ち着かせてくれるそうだ。よかったな、イツキ」
「うん、ありがとう、父様。大好き!」
嬉しくてそう言って父様に抱きついたら、シュルツにベリッと引き剥がされて、父様は大笑いしていた。
こうしておおむね、邸の中の探検は終わり、チェックシートの印も全部埋まったのだった。
「これで邸は制覇した!」
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・・・・・・もう一つ、とは何だろう?
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