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Side:陽斗
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その夜、陽斗はバーで一人、酒をあおっていた。
結局収録の間中、伊織のことが陽斗の頭を離れることは無かったのである。必然的に、受け答えは間の抜けたものになった。司会者は白けたムードになり、事務所の社長からは、こっぴどく叱られた。村上は、何かあったのかと心配してくれた。
隣の客たちが、陽斗を見て何やら囁き始めた。変装はしているが、正体がバレたらしい。すぐに去るべきとわかっていたが、どうにも腰が上がらなかった。
(飲み過ぎたか……?)
泥酔して醜態なんかさらしたら、収録の失敗どころの騒ぎではない。そう思うのに、陽斗はもう目を開けていることすらできなかった。
ぐらりと、体が傾くのがわかる。そんな陽斗の腕を、がっしりとつかむ者がいた。
(村上さんかな。迎えに来てくれた……?)
うっすら瞳を開けて、陽斗は目を疑った。現れるはずの無い幻が、そこにいた。
結局収録の間中、伊織のことが陽斗の頭を離れることは無かったのである。必然的に、受け答えは間の抜けたものになった。司会者は白けたムードになり、事務所の社長からは、こっぴどく叱られた。村上は、何かあったのかと心配してくれた。
隣の客たちが、陽斗を見て何やら囁き始めた。変装はしているが、正体がバレたらしい。すぐに去るべきとわかっていたが、どうにも腰が上がらなかった。
(飲み過ぎたか……?)
泥酔して醜態なんかさらしたら、収録の失敗どころの騒ぎではない。そう思うのに、陽斗はもう目を開けていることすらできなかった。
ぐらりと、体が傾くのがわかる。そんな陽斗の腕を、がっしりとつかむ者がいた。
(村上さんかな。迎えに来てくれた……?)
うっすら瞳を開けて、陽斗は目を疑った。現れるはずの無い幻が、そこにいた。
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