ジャズバー『シャドウ』に集う面々《1》…子供でも良いかもしれない

YUKI

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寂しい心を隠して

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つけられていると感じたが、何も起こらない日々が続いた。
バイトでも、カウンターで見学をしていた俺は、普通業務に戻っていた。
その頃には、抜糸も済み、消毒がてら診察をしたくらいだった。
だが、今度で最後だなと朝陽さんが言った日、祐介さんと病院の外に出た俺たちが出会ったのは、車に凭れて待つ亮さんだった。
冷や汗がどっと溢れてくる。
「亮さん、何でここに?」
「むかえに来た。来い!」
「それじゃ、僕は先に帰るね。ご愁傷様。」
祐介さんは、亮さんの雰囲気に呑まれ、そそくさと帰って行った。何がご愁傷様だよ!
これから何が起こるのか俺は怖くて考えられない。
亮さんの車の助手席、俺が何かに巻き込まれる度に乗る場所。
そして、いつもより怒っているような気がする。
いつもなら直ぐに叱られるのに、今日は無表情で前を向いて俺を見てもくれない。

亮さんのマンションに着くまで一言もなかった。
「着いてこい。」
「はい。」
怖い、凄く。きっとバイトも首になる。もう、亮さんに会えなくなる。
俺は、気づいたら泣いていた。
部屋に通されてやっと俺を見てくれた亮さんは、呆れたと溜息を着いている。
「何故、お前は毎回俺に隠す。バレた時の方が辛いだろうが。泣くな。」
「ごめんなさい。」
「今回は何だ?何度も病院で治療しないといけないぐらい酷いのか?前の背中の傷もかなり治るのに時間がかかったが、どうなんだ。」
「ナイフで脇腹を刺された。」
溜息をつき、頭を抱える亮さん。
「服を脱げ。見せてみろ。」
大人しく服を脱ぐ俺に全て脱ぐように言われる。
「亮さん、怪我したの脇腹だから全部は・・・。」
「何だ、脱げない事でもあるのか?」
何もないけど、恥ずかしくて躊躇するが諦めて脱ぐ。
脇腹の傷を亮さんの指がなぞる。反対の手は傷とは反対の脇腹を過ぎ腰から下へと滑っていく。
何をされているの?前に立つ亮さんの足は俺の足を広げるように動く。足まで降りた手は内側へと周り俺の中心へと、そして捉えた物を痛ぶるように愛撫する。
「亮さん・・・ごめんなさい。」
「何を謝っているんだ?こんなに反応してこれがして欲しくて俺を怒らせてるのか?前回の事が忘れられない?」
「そんなつもりはない。ただ、心配をかけたくなくて。」
「巻き込まれないように気をつけろって言ったよな。危機感を持てと、何故守れない。」
「ごめんなさい。」
「背中の傷を負った時、俺がどれだけ心配したか忘れたか?今度は、もう忘れられない様にしてやる。喜べ!」
亮さんの声や手の動きだけで感じてしまってる俺の体を亮さんはあっさりと担ぎ上げ、ベッドに放り投げた。
俺は、ベッド脇で服を脱ぐ亮さんをぼんやりと眺めていた。
それからは、あんまりよく覚えていない。
亮さんに好き勝手抱かれ、もう許してと泣き、気を失うまで許して貰えなかった。
目を覚ましたのは翌日の夕方だった。

目が覚めた俺に食事を食べさせ、バイトを休む様に言い、本人はさっさと店に行ってしまった。
一人取り残された俺は、自分の家に帰った方がいいのか、このまま帰りを待った方がいいのか悩み続けてるうちに亮さんは帰ってきてしまった。
結局、二日間亮さんの家にいてしまった。
何もされないまま同じベッドで寝た夜は、一睡も出来ず、バイト中にミスばかりを繰り返してしまった。
「亮さん、今日は自分家に帰りますね。」
恐々言った俺に片手を上げただけの返事が返ってきた。
寂しく感じる気持ちを隠して笑顔を貼り付け、皆んなに挨拶をして店を後にした。

ひと月あまり過ぎあの日の事も忘れようとしていた。
祐介さんと真一さんには何度か会う事があり、心配されたが大丈夫だったと誤魔化した。
それなのに、休みの日、祐介さんと久しぶりに二人で食事を楽しんでいた時、亮さんから直ぐ店に来る様に連絡がきて、食事を中断して向かった。
「亮さん、何かありましたか?」
慌てて入った静かな店内では、グラスを傾ける亮さんだけが残っていた。
「えっと、亮さん?」
「何してたんだ?今日の休みは?誰といた?」

亮さんが何を言っているのか解っているけど、何故?と疑問が頭をもたげて黙ってしまった。
「言えない相手と言えない事をしていたのか?」
亮さんを怒らせてしまっている?何故?
「友達と食事をしていました。」
「あの時の男だろ、食事だけ?ふん、嘘をつくなよ。他にも楽しんだんだろ?」
えっ!祐介さんとの事誤解している?
「あの、祐介さんとはそんな関係じゃないです。いつもは、彼の恋人と3人で会ってますから。」
「ふ~ん、そうか。まぁいい、今日は俺の所に行く。」
カタンとグラスをカウンターに置いた音がやけに大きく聞こえた。
その日、訳のわからない俺は、亮さんに引きずられらる様に連れて行かれた。
ベッドに押し倒されてからは亮さんに翻弄され、射精出来なくなるまで抱かれた。
亮さんに何があったのかわからない。
でも、俺は憂さ晴らしに使われた様な気がして寂しく感じた。
何故、あの時、俺を抱いたのかわからない。
亮さんには特別がいるのに何故なの?
誰でも良かったのかもしれない、一番近くにいたのが俺だったから・・・。
亮さんに抱かれた次の日、耐えられず他の人に温もりを求めてしまっていた。
そんな俺が段々と闇に沈みかけていたのだろう。
祐介さんたちと会っても上の空だったりして、心配させていた。
「弘樹くん、僕達では慰めにもならないかもしれないですけど、辛い気持ちを吐き出してください。聞いてあげますから何度でも。泣いてもいいんです。弱音を吐いてもいいんですよ。」
嬉しい言葉に薄っすらと笑みが溢れた。
でも、涙は溢れなかった。
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