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「密会じゃないわ‼︎」 「じゃあ、不貞」

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もういく日で私の結婚式でした。
父が病で身罷みまかり、喪が明けたのは先週のこと。
そう、一年遅れでの結婚に私は間違いなく浮かれていました。

裏切りの足音が近付いていることも知らずに……


「エーメ様、ブレイド様がお見えになられました」
「え? 今日はお約束していましたか?」
「いいえ、先触れもございません」

これは……心当たりがひとつしかございません。
貴族で一番のタブー『爵位の乗っ取り』。

「やはりきましたか」
「はい、では手筈どおりに」
「お願いするわ」

そう言って、今はまだ婚約者のブレイドが待つ応接室へ戦闘体制を整えてから向かうことにした。


「お待たせしました。あら、お母様とお姉様もご一緒でしたの?」

1時間後に応接室に入った私の前には、母ルベッカと姉のフェスタがと共に寛いでいた。

「今日は何の御用事で?」
「……用がなければ来てはいけないのか」
「当然でございましょう」
「ん、まあ! エーメ、あなたは婚約者が会いに来ることがいけないというの!」
「そりゃあ、のなら許しますわ。ですがのでは事情が違いますでしょう?」

私の露骨な物言いに、3人はさっと青ざめる。

「何を証拠に……」
「ブレイド様、あなたが『私に会いにいく』と仰って家を出られた日。それはブレイド様のご実家で記録が残されております。御者の記録される馬車運行記録にも時間入りで記録が残されております」
「な、あ……」

ブレイドは青ざめて絶句する。
馬車で移動すれば記録は残される。
それは法で決められていること。
毎月の運行記録で、犯罪による証言と照らし合わせるためだ。

「もちろん、貴族の家に入った日時、私室に入られた時間に出た時間。退室後の部屋の掃除にも記録に残ります。あ、掃除は私たちが食事で部屋を離れる度に行われておりますわよ。朝食、昼食、夕食と部屋で過ごされたあと、玄関までお見送りなされた短時間でも」
「か、監視をしていたというの⁉︎」
「監視だなんて、お姉様。……貴族なら当然のことですわよ。ああ、お母様。お父様がご存命のときから、馬車に乗ってお出かけされてどのお宅で何時から何時までお邪魔されていた、など記録なされておりましたわ。当主サロンでは互いにそれを確認し合って不貞行為を確認しますの。現当主の私もそこでブレイド様とお姉様の密会を確認済みです」
「密会じゃないわ‼︎」
「じゃあ、不貞」

ルベッカもフェスタもそのまま口を閉ざしてしまいました。
下手なことを言えば言質をとられるからでしょうねえ。
それではすまないんですよ、お3人さん。
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