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しおりを挟む翌日。王城の客間に旦那様と訪れ、「この服に着替えるように。私は先に帰っているからね」と、渡されて、続き部屋へと行ってしまわれた。
旦那様を追いかけ、扉を開けようとしても、鍵がかかって入れない。とうとう諦めて、用意された服に着替える。渡されたお召し物は、何故か、王城のメイド服だった。
結婚する前の閨授業の時に、旦那様以外の練習相手と致したのだから、それを思い出しながら、陛下の言う通りにすれば、きっと大丈夫よね……?
鏡を見ながら、ヘッドドレスを装着し、ヒールなしのパンプスへ履き替えると、目の前には、どこからどう見ても、王城メイドに擬態したわたくしがいた。
緊張して喉が渇いたので、ソファに腰をかけて、用意されていた紅茶をゆっくりと口につけた。
紅茶がなくなった頃、入ってきた扉が、ノックもなしにガチャリと開いた。
そこには、美しい青年である、アルバート・ド・ルーク国王陛下が、いらっしゃった。お肌まで陶器のように透き通っている。
わたくしは、慌てて立ち上がり、片足を後ろへ引き、カーテシーをする。
「国王陛下にご挨拶を申し上げます」
「ウィルソン侯爵夫人。面(おもて)をあげよ」
「恐れ入ります」
顔をあげると、紫水晶の瞳と視線がぶつかる。柔らかげな雰囲気だけれど、上に立つものの独自のオーラがある。
あの綺麗な指が私に触れることになるだなんて……。つい想像し、喉を鳴らしてしまった。
「ウィルソン侯爵夫人。今宵の貴女は、僕のご奉仕メイドだ」
「? ご奉仕メイド、ですか」
「嗚呼、夫人は知らなかったか。性的な奉仕をするメイドの事だよ。よって、主人である僕に逆らってはいけない。貴女のことは、ミアと呼ぶよ」
「はい。陛下」
「今夜だけは、アルバートと」
「あっ、」
唐突に始まる、愛などない、欲を満たすだけのキス。
乱暴と思えるほどに、荒々しく、でも繊細に、下唇を甘噛みし、吸い付く。
「舌を出しなさい」
コクリと頷き、恐る恐る舌を外に出す。「もっとだ」と言われると、もう出しきれないくらい、はしたなく舌を露出する。
「その顔のまま、四つん這いになりなさい」
おずおずと膝をつく。陛下……、アルバート様のお顔を見ると、目に情欲を浮かべながら、微笑んでいた。
「そのまま犬のようにお尻をふってごらん」
「えっ」
それは流石に……。生まれながらにして貴族で、侯爵夫人としての尊厳があるわたくしに対して、愛玩動物のように振る舞うよう、強要され、戸惑う。
しかし有無を言わさぬ目をしている、若き国王陛下に逆らえる訳もなく、ゆっくりと左右にお尻を動かした。……恥ずかしい……、このように辱められている姿を、ましてや、旦那様以外に見られているだなんて……。
一向に止められる気配もなく、舌を出し、お尻をひたすら振る。
すると、何故だか、お腹の奥が疼いてくる。背徳感のあるその行為に、どうしようもなく、発情してきてしまう。
国王陛下とはいえ、年下の青年に、あられのない格好を観察されて……。それに先ほどお茶を飲んだからか、少し尿意が……。どうしようと思ったその時、アルバート様は、目を細めた。
「いい子だ。よく出来たね」
アルバート様は、そういうと、四つん這いになったわたくしの頭をそっと撫でてくださる。やっと終わりかと、ホッとしたのは一瞬だった。
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