倫としましょう

koyumi

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第12話

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 雛実と木浦が着いてから5分後、高垣が息をきらせて現れた。

「っ、こんばんわっ。もう始まってたかしら?」

 疲れたそぶりを見せないようにしたつもりだったが、

「お疲れ様です。高垣さん、まだ始めてませんが、今日はあと1人しか参加できないんです。急いで来ていただいたのに申し訳ありません。」

と、呆気なく労いの言葉をかけられ、また、敬語がやけに目立ち、一気に年をとった気分になった。
(……あと1人?じゃあ、たった4人ってこと?既に木浦君の隣はあの子がいるし……。)
 よくよく見ると、あの子は確かサロンの子で、細川と一緒にいる場面を何度か見たことがあった。
 その時は、あまりにも、幼い感じがして何も思わなかったが、今、こうして木浦の隣に座る姿を見ると何故か胸の内がザワザワする。

「お疲れ様です、高垣さん。高垣さんと飲むの初めてですね。」

 ニッコリと嬉しそうに声をかけてきた雛実に、高垣は自分のテンポを失いそうになる。

「え、ええ、そうね。今日は楽しくなりそうだわ……。」

 貼り付けた笑顔で、ぎこちない動きで、雛実の前の席にそっと腰かけた。

「ーーえぇと、後の1人は誰なのかしら?」

 この2人を前に、4人がけテーブルで席替えすることは難しいと咄嗟に悟った高垣は、残る1名に大いに期待した。

「それが……っ、あ!来ました来ました!」

 名前を言う前に本人がやって来た。
 雛実の声に出入り口の方を振り向いた高垣は、まさかの人物に開いた口が塞がらなかった。

(ほ、細川さんっ!?)


 驚いたのは高垣だけではない。
 最後の1人、期待しながら入店した細川にしても、一気に豆鉄砲をくらったような様に変化した。

(な、何故っ??……木浦?しかも玲香さんまで?)

『お、おいっ、どういうことだ!?』
と、食ってかかりたい気持ちを抑え、

「や、やぁ、木浦、どうしたんだ?いや、今日は雛実ちゃんとミーティングがてら飲もうかという話になって……。まあ、ちょうどいい、食品部門の話も聞きたかったし、それに……た、高垣さんも。」

 ここで細川は気づいた。
 先程高垣に対して『体調不良で即退勤』を訴え、話を中断させていたことを。
 案の定、高垣はなんともいえない顔をしてこちらを見ている。そして、

「あ、ら……。体調不良とか言ってましたよね?細川さん。」

と、呟いた。

「それが、トイレに行ったらスッキリして……今は大丈夫だよ。心配かけて申し訳ない。」

 細川は高垣に要らぬ考えを起こさせぬよう、恥ずかしさはあったがそう答えた。
 高垣は腑に落ちない表情を見せていたが、
「それにしても木浦に雛実ちゃんに玲香さんとは、意外な組み合わせでビックリしてるよ。」
と、細川に久々に”玲香さん”と呼ばれたことにドキっとし、一気にフェロモン放出に向け、足を組み替え気持ちを切り替えた。
 もちろんその様子は細川の知るところで、もしここに雛実がいないなら今日は玲香と一戦願えるかもと要らぬ邪心すら芽生えていた。
 
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