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第25話
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「……頼むから部屋に行こう。正直なところ、わからないから……」
シートベルトすら外さず、頑なに車外に出ようとしない雛実。
細川はこれほどまで拒否されたことはなく、段々とタジタジになってきていた。
「わからないって、何がわからないんですか?細川さんはわかってるでしょう?わからないのは私です!」
弱気の細川の態度に、もしかしたら抜け道があるかもしれないと、雛実は強気な姿勢を緩めなかった。
「雛実ちゃん……そんなに、俺が嫌?」
「細川さん!嫌かどうかじゃなくて、倫理的な問題です!お、奥さん、いるんでしょう?お子さんだって、ま、待ってるんじゃないんですか!?お父さんが帰宅するのを。」
”お子さん”と言った時、一瞬細川の顔が捻れたのは見逃さなかった。
「お子さん、がっかりしますよ。お父さんとお母さんが仲良くしている姿が、子供にとってすごく嬉しいことなんですよ。逆に、親が喧嘩していたり、他人行儀な雰囲気だったりっていうのは、子供にとって本当に辛いことなんですよ!」
雛実の両親は、どちらかといえば前者の方だが、少なからず夫婦喧嘩をしていたこともあった。大人になった今となっては、原因が見えてきたり、怒る理由に理解ができるが、それでもやはり、夫婦仲が悪いと嫌な気持ちになる。それが、小さな頃なら尚更だ。
「……子供は、可愛いさ。それは当然だ。だが、嫁とは既に崩壊している。」
「崩壊……?しているんじゃなくて、させたんじゃ……」
そりゃそうだろう。
こんな浮気男の相手するなんて、私でも御免だ。
「いや、それは誤解だ……。少なくとも、俺から仕掛けてはいない。最初に拒否したのは彼女だ。彼女が、嫌がった。やりたくないと。」
え?何?この展開……奥さんの所為にしてる……。
「それで、その日はしなかった。だけど、その後も、またその後も、拒否された。俺は自信を無くした。だけど、いきなり嫁が夜中に俺を襲った。全裸で抱きついてきた。久しぶりだった。俺は嬉しくて、その夜は野獣と化した。」
「ちょ、ちょっと待ってください!他所の夫婦の蜜ごとなど、聞きたくはないです!」
「いや、聞いてほしい。雛実ちゃんには知ってもらいたいんだ……で、その夜の結果が、今いる子供だ。だが、またその後、数回行為に及んだが、妊娠がわかるとパタンとまた性生活は無くなった。生まれた後も、ずっとなかった。」
ずっと、拒否されていたということ?
「つまり、彼女にとって、必要だったのは俺じゃない。俺の子種が欲しかっただけなんだ。」
「子種……そんな、そんなはず、」
「ないと信じたかった。だけど、実際そうなんだ。いきなり俺を襲った日は排卵日だったそうだ。その日以外はするつもりはなかったって言っていた。」
「言っていたって、奥さんが?直々に?」
ヤバイくらい信じられない!
「ああ。妊娠がわかった日に、”狙い通り”って呟いたんだ。手帳を見ながら一生懸命計算していたよ。何を書いているのか覗いたら、自分の体温と、ヤッた回数や体位が記録されてあった。」
やだ、なんか、これ以上聞くのは耐えられない……
「俺は我慢ならなくて、彼女が朝着替える時を狙って押し倒した。びっくりされたけど、意外な事に拒否されなかった……だけと…」
「だけど?」
多分聞いても仕方ない話になるだろうけど。
「……勃たなかった……」
「え?え?な、何?」
「だから、嫁の裸見ても勃たなかったんだよ。いろいろ試したけど、やっと勃ってもいざとなればフニャフニャに萎えたんだ。」
な、なんていう下ネタ……。
これってつまり、細川さんにとって大汚点もので、私が知っていいことなど……。
「だから、もう嫁と5年はしていない。いつから勃たないのか、境目ははっきりわからないが、所謂セックスレスってやつだ。」
シートベルトすら外さず、頑なに車外に出ようとしない雛実。
細川はこれほどまで拒否されたことはなく、段々とタジタジになってきていた。
「わからないって、何がわからないんですか?細川さんはわかってるでしょう?わからないのは私です!」
弱気の細川の態度に、もしかしたら抜け道があるかもしれないと、雛実は強気な姿勢を緩めなかった。
「雛実ちゃん……そんなに、俺が嫌?」
「細川さん!嫌かどうかじゃなくて、倫理的な問題です!お、奥さん、いるんでしょう?お子さんだって、ま、待ってるんじゃないんですか!?お父さんが帰宅するのを。」
”お子さん”と言った時、一瞬細川の顔が捻れたのは見逃さなかった。
「お子さん、がっかりしますよ。お父さんとお母さんが仲良くしている姿が、子供にとってすごく嬉しいことなんですよ。逆に、親が喧嘩していたり、他人行儀な雰囲気だったりっていうのは、子供にとって本当に辛いことなんですよ!」
雛実の両親は、どちらかといえば前者の方だが、少なからず夫婦喧嘩をしていたこともあった。大人になった今となっては、原因が見えてきたり、怒る理由に理解ができるが、それでもやはり、夫婦仲が悪いと嫌な気持ちになる。それが、小さな頃なら尚更だ。
「……子供は、可愛いさ。それは当然だ。だが、嫁とは既に崩壊している。」
「崩壊……?しているんじゃなくて、させたんじゃ……」
そりゃそうだろう。
こんな浮気男の相手するなんて、私でも御免だ。
「いや、それは誤解だ……。少なくとも、俺から仕掛けてはいない。最初に拒否したのは彼女だ。彼女が、嫌がった。やりたくないと。」
え?何?この展開……奥さんの所為にしてる……。
「それで、その日はしなかった。だけど、その後も、またその後も、拒否された。俺は自信を無くした。だけど、いきなり嫁が夜中に俺を襲った。全裸で抱きついてきた。久しぶりだった。俺は嬉しくて、その夜は野獣と化した。」
「ちょ、ちょっと待ってください!他所の夫婦の蜜ごとなど、聞きたくはないです!」
「いや、聞いてほしい。雛実ちゃんには知ってもらいたいんだ……で、その夜の結果が、今いる子供だ。だが、またその後、数回行為に及んだが、妊娠がわかるとパタンとまた性生活は無くなった。生まれた後も、ずっとなかった。」
ずっと、拒否されていたということ?
「つまり、彼女にとって、必要だったのは俺じゃない。俺の子種が欲しかっただけなんだ。」
「子種……そんな、そんなはず、」
「ないと信じたかった。だけど、実際そうなんだ。いきなり俺を襲った日は排卵日だったそうだ。その日以外はするつもりはなかったって言っていた。」
「言っていたって、奥さんが?直々に?」
ヤバイくらい信じられない!
「ああ。妊娠がわかった日に、”狙い通り”って呟いたんだ。手帳を見ながら一生懸命計算していたよ。何を書いているのか覗いたら、自分の体温と、ヤッた回数や体位が記録されてあった。」
やだ、なんか、これ以上聞くのは耐えられない……
「俺は我慢ならなくて、彼女が朝着替える時を狙って押し倒した。びっくりされたけど、意外な事に拒否されなかった……だけと…」
「だけど?」
多分聞いても仕方ない話になるだろうけど。
「……勃たなかった……」
「え?え?な、何?」
「だから、嫁の裸見ても勃たなかったんだよ。いろいろ試したけど、やっと勃ってもいざとなればフニャフニャに萎えたんだ。」
な、なんていう下ネタ……。
これってつまり、細川さんにとって大汚点もので、私が知っていいことなど……。
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