21 / 26
三、ごちそうさまの、その後に
4.いってきます
しおりを挟む
ふと肌寒さを感じて目が覚める。
目をつぶったまま布団を手繰り寄せようと手を伸ばしたけれど、そこには冷たい床しかない。仕方なく目を開けてみると、私が眠っていたのはいつものベッドではなく、固い木の床の上だった。
そのことに気付いた瞬間、昨夜の出来事を一気に思い出して、私は慌てて起き上がった。
「ちっ、千歳っ!?」
服を着るより先に辺りを見回したけれど、社殿の中はしんと静まり返っている。そこにあるのは、脱ぎ捨てられた服と、奉納された供物だけだった。
「……ちと、せっ……!」
がくんと、その場に膝をついて泣き崩れる。床板に涙が落ちて、滲んでは消えていった。
やっぱり、千歳は消えてしまった。彼の言っていた通り、秋祭りの夜だけ現れ、そしてまた消えていったのだ。
二度と会えないと思っていた千歳に会えたのだから、それだけでいいと思えばいいのかもしれない。でも、再び触れることのできた温もりが去っていくこともまた、同じくらい辛かった。
「千歳の、ばかっ……! こんな、あっさり消えちゃうなんて……っ、ばかっ、大っ嫌いっ、人でなしっ……!」
「あはっ、ひどい言われようだなぁ。知らなかったよ、そこまで嫌われてたなんて」
頭上から声がして、ぴたりと動きを止める。
ゆっくりと声のした方を見上げると、にやつきながら私を見つめる千歳がそこにいた。
「な……っ、なんで!? なんでいるの!?」
「あれ、いない方が良かった?」
「ちっ、違う! そういうことじゃなくてっ、なんで!? だって、秋祭りの夜だけなんじゃ……!?」
状況が理解できずに混乱する私を後目に、千歳は楽しそうに笑いながら落ちていた服を拾って着せてくれる。すでに自分だけちゃっかり服を着ているところを見ると、どうやら社殿の外に出ていたようだ。
「いやあ、僕も目が覚めて驚いたよ。まだ体はあるし、隣でひかりが寝てるし」
「な……なんで?」
「さあ? 何がなんだかよく分からないし、試しに神世に戻ってみようと思ったんだけど、それがどうしてもできないんだよねぇ」
おかしいなぁ、なんて呟きながら千歳は首を傾げている。千歳自身にも分からないことが起こっているようだが、もちろん私にも理由は分からない。
一緒になって首を傾げていると、千歳は何かを思いついたように声を上げた。
「……あ。もしかして」
「えっ? な、なに? なんか分かった?」
「いや……もしかしたら、だけど。あの言葉の意味は、そういうことだったのかなって」
「は……? あの言葉って?」
千歳は何やら意味深なことを言ったかと思うと、供物の中にあった切り花の菊を一本だけ手に取った。水にもつけずに一晩置きっぱなしになっていたせいか、その菊はしんなりと萎れている。
その菊を手にした千歳は、難しい顔をしてしばしの間押し黙った。声をかけてはいけないような気がして私も黙っていると、一分も経たないうちに千歳は諦めたように嘆息する。
「……駄目だ。やっぱり、そういうことか」
「な……なに? 私、ついていけてないんだけど」
「力が、無くなってるんだよ。神としての力が、これっぽっちも使えないんだ」
真顔でそう言う千歳を、私はぽかんと口を開けたまま見つめる。そんな私を見て彼は笑ったかと思うと、私にも分かるように説明をし始めた。
「この前……えっと、十年前か。ひかりの前から消えたあと、僕はあの口煩い女神に会ったんだ」
「え……あ、あの海辺で会った神様?」
「うん、そう。そして僕が消える直前に、あの神が言ったんだ。二度と神世に戻ってくるな……って」
萎れたままの花を床に置いて、千歳は私を見た。千歳自身も自分が今ここにいることに戸惑っていたようだったけれど、今はもう落ち着きを取り戻している。
「僕はあの時、もう消えるんだから当たり前だろ、としか思わなかった。でも、今になってその言葉の意味が分かったような気がする」
「ど、どういうこと……?」
千歳は納得したように穏やかな笑みを見せたけれど、私にはまだその意味が理解できない。そして千歳は、幼子に教えるように優しく語り始める。
「僕は今、ここにいる。ひかりにも触れられるし、食べ物だって食べることができる」
「う、うん……?」
「でも、僕はもう神世には戻れない。萎れた花を元に戻す力も無い。……これがどういうことか、ひかりなら分かるでしょう?」
さあ考えて、と言わんばかりに千歳は薄く笑ったまま私を見つめた。そんな彼を見つめながら、必死でその言葉の意味を理解しようと考えて、私はある一つの答えに辿り着いた。
「えっ!? まっ、まさかっ……」
「ふふっ、やっと分かった? あーあ、なんだか一杯食わされた気分だよ。まあ、有り難く受け取っておくけど」
千歳はちょっと悔しそうにそう言ってから、まだ混乱している私を抱きしめた。それから私の後頭部に手をやったかと思うと、開いたままの口を塞ぐように深く口づける。そして少ししてから唇を離して、潤んだ私の瞳を見下ろして囁いた。
「……それで? ひかりは僕のこと、大嫌いなんだっけ?」
しれっとそんなことを聞いてくる千歳を見ていたら、胸の底からじわじわと喜びが込み上げてくる。嫌いなわけがない、と言ってやるのはなんだか悔しくて、私は黙って首を振ってから、もう一度千歳の胸に飛び込んだ。
・・・
「えーと、余った食材は冷凍したし、お店の鍵もかけたし、荷物も持ったし! 千歳も準備できたー?」
「うん、たぶん大丈夫だよ」
もう一度お店の鍵がかかっているかを確認して、私はボストンバッグを片手に駅へと向かって歩き出した。隣にはもちろん千歳がいて、左手を差し出すと何も言わずにそっと握ってくれる。
「それにしても、どうして今度の旅は一週間だけなの? もっと長い休みを取ればいいのに」
「そういうわけにはいかないの。再来週は貸切の予約も入ってるし、常連さんたちがお店が開くの待ってくれてるんだから」
「ふうん。大変だねぇ、ひかりは」
「何言ってるの、帰ってきたら千歳にもちゃんと働いてもらうよ? 働かざるもの食うべからず、って言うしね」
「あはっ、怖い怖い。店長殿の言うことには従わないとねぇ」
茶化したように言う千歳に笑ってから、秋の高い空を見上げる。きっとどこかで私たちを見ているであろう神様に向かって、私は心の中で感謝した。それから、隣に立つ元神様にも。
「……ねえ、千歳。遅くなったけど、ありがとう」
「え? それは、何に対してのお礼かな」
「あの時、私を助けてくれたことへのお礼。千歳のおかげで、私は今ここで生きていられるんだよ」
あの屋上から身を乗り出した私の手を掴んでくれた千歳に、私は「ありがとう」と言えずにいた。その時のことを思い出しては涙を流していたけれど、もうその必要はなくなった。それに、たとえ涙が流れてしまったとしても、今はこの愛しい人がそれを拭ってくれるだろう。
目を細めて彼を見つめると、珍しくちょっと照れたようにそっぽを向かれてしまった。でも、「僕もだよ」という小さな呟きが聞こえたから、私は黙って握る手の力を強くする。
そして神社のある森の入り口、真新しい鳥居の前に辿り着くと、私は今日も手を合わせて願った。
これからも千歳と、おいしいものを食べられますように、と。
「……まだやってるの? その願い事」
「そうだよ?」
「本当に、物好きな子だねぇ。こんな寂れた神社に向かって」
そんなひねくれたことを言っておきながら、千歳もまた私と同じように目をつぶって手を合わせた。彼が何を願っているのか気になるけれど、聞いたところできっと教えてくれないだろうから、私は何も言わずにただ黙ってそれを見守る。
そして千歳は目を開けると、再び私の手を取ってから問いかけた。
「……さて、ひかり。今日は何を食べようか?」
目をつぶったまま布団を手繰り寄せようと手を伸ばしたけれど、そこには冷たい床しかない。仕方なく目を開けてみると、私が眠っていたのはいつものベッドではなく、固い木の床の上だった。
そのことに気付いた瞬間、昨夜の出来事を一気に思い出して、私は慌てて起き上がった。
「ちっ、千歳っ!?」
服を着るより先に辺りを見回したけれど、社殿の中はしんと静まり返っている。そこにあるのは、脱ぎ捨てられた服と、奉納された供物だけだった。
「……ちと、せっ……!」
がくんと、その場に膝をついて泣き崩れる。床板に涙が落ちて、滲んでは消えていった。
やっぱり、千歳は消えてしまった。彼の言っていた通り、秋祭りの夜だけ現れ、そしてまた消えていったのだ。
二度と会えないと思っていた千歳に会えたのだから、それだけでいいと思えばいいのかもしれない。でも、再び触れることのできた温もりが去っていくこともまた、同じくらい辛かった。
「千歳の、ばかっ……! こんな、あっさり消えちゃうなんて……っ、ばかっ、大っ嫌いっ、人でなしっ……!」
「あはっ、ひどい言われようだなぁ。知らなかったよ、そこまで嫌われてたなんて」
頭上から声がして、ぴたりと動きを止める。
ゆっくりと声のした方を見上げると、にやつきながら私を見つめる千歳がそこにいた。
「な……っ、なんで!? なんでいるの!?」
「あれ、いない方が良かった?」
「ちっ、違う! そういうことじゃなくてっ、なんで!? だって、秋祭りの夜だけなんじゃ……!?」
状況が理解できずに混乱する私を後目に、千歳は楽しそうに笑いながら落ちていた服を拾って着せてくれる。すでに自分だけちゃっかり服を着ているところを見ると、どうやら社殿の外に出ていたようだ。
「いやあ、僕も目が覚めて驚いたよ。まだ体はあるし、隣でひかりが寝てるし」
「な……なんで?」
「さあ? 何がなんだかよく分からないし、試しに神世に戻ってみようと思ったんだけど、それがどうしてもできないんだよねぇ」
おかしいなぁ、なんて呟きながら千歳は首を傾げている。千歳自身にも分からないことが起こっているようだが、もちろん私にも理由は分からない。
一緒になって首を傾げていると、千歳は何かを思いついたように声を上げた。
「……あ。もしかして」
「えっ? な、なに? なんか分かった?」
「いや……もしかしたら、だけど。あの言葉の意味は、そういうことだったのかなって」
「は……? あの言葉って?」
千歳は何やら意味深なことを言ったかと思うと、供物の中にあった切り花の菊を一本だけ手に取った。水にもつけずに一晩置きっぱなしになっていたせいか、その菊はしんなりと萎れている。
その菊を手にした千歳は、難しい顔をしてしばしの間押し黙った。声をかけてはいけないような気がして私も黙っていると、一分も経たないうちに千歳は諦めたように嘆息する。
「……駄目だ。やっぱり、そういうことか」
「な……なに? 私、ついていけてないんだけど」
「力が、無くなってるんだよ。神としての力が、これっぽっちも使えないんだ」
真顔でそう言う千歳を、私はぽかんと口を開けたまま見つめる。そんな私を見て彼は笑ったかと思うと、私にも分かるように説明をし始めた。
「この前……えっと、十年前か。ひかりの前から消えたあと、僕はあの口煩い女神に会ったんだ」
「え……あ、あの海辺で会った神様?」
「うん、そう。そして僕が消える直前に、あの神が言ったんだ。二度と神世に戻ってくるな……って」
萎れたままの花を床に置いて、千歳は私を見た。千歳自身も自分が今ここにいることに戸惑っていたようだったけれど、今はもう落ち着きを取り戻している。
「僕はあの時、もう消えるんだから当たり前だろ、としか思わなかった。でも、今になってその言葉の意味が分かったような気がする」
「ど、どういうこと……?」
千歳は納得したように穏やかな笑みを見せたけれど、私にはまだその意味が理解できない。そして千歳は、幼子に教えるように優しく語り始める。
「僕は今、ここにいる。ひかりにも触れられるし、食べ物だって食べることができる」
「う、うん……?」
「でも、僕はもう神世には戻れない。萎れた花を元に戻す力も無い。……これがどういうことか、ひかりなら分かるでしょう?」
さあ考えて、と言わんばかりに千歳は薄く笑ったまま私を見つめた。そんな彼を見つめながら、必死でその言葉の意味を理解しようと考えて、私はある一つの答えに辿り着いた。
「えっ!? まっ、まさかっ……」
「ふふっ、やっと分かった? あーあ、なんだか一杯食わされた気分だよ。まあ、有り難く受け取っておくけど」
千歳はちょっと悔しそうにそう言ってから、まだ混乱している私を抱きしめた。それから私の後頭部に手をやったかと思うと、開いたままの口を塞ぐように深く口づける。そして少ししてから唇を離して、潤んだ私の瞳を見下ろして囁いた。
「……それで? ひかりは僕のこと、大嫌いなんだっけ?」
しれっとそんなことを聞いてくる千歳を見ていたら、胸の底からじわじわと喜びが込み上げてくる。嫌いなわけがない、と言ってやるのはなんだか悔しくて、私は黙って首を振ってから、もう一度千歳の胸に飛び込んだ。
・・・
「えーと、余った食材は冷凍したし、お店の鍵もかけたし、荷物も持ったし! 千歳も準備できたー?」
「うん、たぶん大丈夫だよ」
もう一度お店の鍵がかかっているかを確認して、私はボストンバッグを片手に駅へと向かって歩き出した。隣にはもちろん千歳がいて、左手を差し出すと何も言わずにそっと握ってくれる。
「それにしても、どうして今度の旅は一週間だけなの? もっと長い休みを取ればいいのに」
「そういうわけにはいかないの。再来週は貸切の予約も入ってるし、常連さんたちがお店が開くの待ってくれてるんだから」
「ふうん。大変だねぇ、ひかりは」
「何言ってるの、帰ってきたら千歳にもちゃんと働いてもらうよ? 働かざるもの食うべからず、って言うしね」
「あはっ、怖い怖い。店長殿の言うことには従わないとねぇ」
茶化したように言う千歳に笑ってから、秋の高い空を見上げる。きっとどこかで私たちを見ているであろう神様に向かって、私は心の中で感謝した。それから、隣に立つ元神様にも。
「……ねえ、千歳。遅くなったけど、ありがとう」
「え? それは、何に対してのお礼かな」
「あの時、私を助けてくれたことへのお礼。千歳のおかげで、私は今ここで生きていられるんだよ」
あの屋上から身を乗り出した私の手を掴んでくれた千歳に、私は「ありがとう」と言えずにいた。その時のことを思い出しては涙を流していたけれど、もうその必要はなくなった。それに、たとえ涙が流れてしまったとしても、今はこの愛しい人がそれを拭ってくれるだろう。
目を細めて彼を見つめると、珍しくちょっと照れたようにそっぽを向かれてしまった。でも、「僕もだよ」という小さな呟きが聞こえたから、私は黙って握る手の力を強くする。
そして神社のある森の入り口、真新しい鳥居の前に辿り着くと、私は今日も手を合わせて願った。
これからも千歳と、おいしいものを食べられますように、と。
「……まだやってるの? その願い事」
「そうだよ?」
「本当に、物好きな子だねぇ。こんな寂れた神社に向かって」
そんなひねくれたことを言っておきながら、千歳もまた私と同じように目をつぶって手を合わせた。彼が何を願っているのか気になるけれど、聞いたところできっと教えてくれないだろうから、私は何も言わずにただ黙ってそれを見守る。
そして千歳は目を開けると、再び私の手を取ってから問いかけた。
「……さて、ひかり。今日は何を食べようか?」
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる