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後日談
ふきげんなかみさま 4
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「やだ、あっ、も、う……っ、もうやだっ、ちとせぇっ、もぅっ、もういきたいっ、おねがい、いきたいのっ」
「へえ、イきたいの? 可哀想に……これで何度目のおあずけかな」
ひくひくと膣内が痙攣しはじめる。あと少しで達するというところで、またしても千歳は動きを止めてしまった。
意地悪く笑う千歳を睨みつけるほどの余裕もなく、私はねだるようにただ腰を押し付ける。でも、それさえも千歳は許してくれない。
「こら、自分で動いていいなんて言ってないよ。言うこと聞けないなら、いつまで経ってもイかせられないなぁ」
「や、やぁ……っ、だって、いきたいっ、おねがいっ、ちとせぇっ」
いくら請うても、千歳は「まだだめだよ」と言うだけで私を絶頂まで導いてはくれなかった。焦れに焦れた私の大事な場所はぐしょ濡れで、太腿のあたりまでひんやりとして冷たい。それなのに千歳自身が埋め込まれたままの秘穴は熱く、ちっとも硬さを失わない一物をしっかり咥え込んでいた。
「さて、そろそろ動いてもいいかな。ゆっくり、ね」
「い、やぁっ……ゆっくりじゃ、いやっ、も、はやくぅ……っ」
「あはっ、そんなはしたないおねだりをするの? いつもはゆっくりがいいって言うくせに」
「っ……! ごめん、ってばっ……ああっ、あ、きもちいっ……!」
膣内の痙攣が治まったのを見計らって、千歳がまた律動を再開する。しとどに濡れた蜜穴を千歳の陰茎でゆっくりと犯されて、また新しい蜜が溢れるのが自分でも分かった。
「こんなにぐちゃぐちゃにして……本当に反省してるのかな、ひかりは」
「はあ、あぁっ! あっ、ごめんっ、ちとせ、ごめんなさいぃっ」
「うん。何が?」
「だ、だからっ……、海くんのっ、お嫁さんになるって、言ったこと……っ、ひゃうぅっ!?」
そう口にした瞬間、千歳の目の前にさらけ出されていた両胸の先端を強く押し潰された。それから敏感になった乳首を指先で捏ねられて、その刺激だけで達しそうになる。
「は、ああっ、いくっ、いくぅっ!」
「……おっと、危ない。イかせるところだった」
「はっ、え……っ?」
しかし、無慈悲にも千歳の指はすぐに離れてしまう。ぴんと勃ち上がった乳首は触れられたことで真っ赤になっているのに、彼はそれをただ見つめているだけだ。
「乳首触っただけでイきそうになるなんて、ひかりはいつからそんな淫乱な子になったの?」
「ひっ、ち、ちが……っ、だって、もういきそうなのにっ、いかせてくれないからっ……!」
「ふふっ、そうだね。イきたくてたまらないって顔してる」
かわいい、と艶のある声で囁かれ、それだけでぴくんと体が反応する。過敏に反応する体が憎らしい。
「千歳、おねがいだからぁっ……! なんでっ、なんでいかせてくれないのっ……!?」
「だって、まだ反省してないでしょう? それに言ったよね、泣いて縋っても抱き潰すって」
にっこりと笑った千歳の額にも汗が滲んでいる。その表情にさえ興奮を覚えてしまって、私は無意識のうちにごくりと唾を飲み込んでいた。
イきたい。千歳のもので気持ちいいところを抉ってほしい。いつものように奥まで押し広げて、千歳の熱を感じながら果てたい。
どうしたらイかせてもらえるだろう。快感に支配された頭の中ではもうそれしか考えられなくて、荒く息を乱しながら必死に考える。しかし、そんな状態でまともな思考なんてできるはずもない。結局思いついたのは、「声を我慢して千歳に悟られる前に達してしまおう」という幼稚な考えのみだった。
「ひぁ、んっ……! ん、んんっ、く、んぅっ」
「はぁっ……あれ、どうしたの? 急に大人しくなったね」
「っ……、なん、でもない……っ」
「ふふっ、そう。それじゃあ、もう少し奥まで挿れてあげようか」
「えっ……あっ! んんっ、あ、ひああっ!」
胸につきそうになるまで膝を曲げられたかと思うと、千歳のものが勢いをつけてさらに奥深くを穿った。目の前が明滅するほどその衝撃は大きくて、あられもない声が口を突いて出てきてしまう。
「ううっ、あっ! ひ、ぅんっ、ち、とせぇっ……!」
肌と肌のぶつかる卑猥な音が引っ切り無しに響く。普段ならそれが恥ずかしくてたまらないのに、今はただ動きを止めてほしくなくて、絶頂に辿り着くのをただじっと待ち侘びていた。
そして、熱い滾りがぐりっと私の感じる場所を擦った。これでやっとイける、と歓喜さえ感じたその瞬間、私の耳元に千歳が唇を寄せた。
「──だめだよ、ひかり。僕の許可なく勝手に果てたら」
それと同時に、埋め込まれていた千歳自身がずるりと抜き去られてしまった。絶望にも似た気持ちで千歳を見上げたけれど、にこにこと見つめ返されるだけだ。
「な、んで、分かっ……」
「分かるに決まってるよ。何回抱いたと思ってるの?」
黙っていればイかせてもらえると思った。しかし千歳にはそんな私の浅はかな考えはお見通しだったようで、それを責めるかのようにまた首筋に歯を立てられる。
「やぁ、んんっ……!」
「ひかりはね、イきそうになると目をつぶるんだ。それに御陰がきゅうって締まるし、息も荒くなるからすぐに分かるんだよ」
残念だったね、と笑顔で言われて、私の目からぽろぽろと涙が溢れ落ちる。これが何の涙なのかさえもう分からなくて、ただ体の中で燻り続けている熱をどうにかしたくておかしくなりそうだった。
そしてまたゆっくりと陰茎が体内に挿入される。達さない程度にゆるゆると腰を動かされ、耐えきれなくなった私は身も世もなく千歳に泣いて縋った。
「もう、やだぁっ……! はぁっ、いきたいっ、も、おねがいだからっ、ちとせぇっ!」
「あーあ、泣いちゃったね。そうしてると子どもみたいだよ、ひかり」
「いじわる、しないでっ……! あっ、おねがいっ、いきたい、いきたいの……っ!」
「いきたい、じゃないでしょう。何て言うの?」
「ぅ、ああっ……、い、いかせて、ください……っ、いかせてくださいぃっ」
「ふふっ、やーだよ」
また千歳の動きが止まる。みっともなく泣きながら彼を見上げるけれど、それだけで許してくれるほど千歳は甘くなかった。
「……あ、そういえば。ひかりがいつも着けろって言ってるあれ、着けてないよ。こんどーむ、だっけ。いいの?」
「いいっ、そんなのいいから、も、いかせてぇっ……! もうやなのっ、へんになっちゃうっ!」
「ふふっ、そう? もう理性なんてどこかに行っちゃったかな。ほら、気持ちいいところぐりぐりってしてあげるね」
「ひぃっ、ああっ! あっ、ああっ、やあぁっ!」
硬くなった先端で弱い所を押され、悲鳴のような喘ぎ声が漏れ出る。イけそう、と思った瞬間にまたしてもずるりと陰茎を抜かれてしまって、その声は嗚咽に変わった。そんな私を見つめながら、千歳が唆かすように耳元でそっと囁く。
「ねえ、ひかり。ひかりは僕のことだけ見ていればいいんだよ。そうでしょう?」
「ぅ、あ……っ、ひんっ、ち、千歳しか、見てないもんっ……」
「うん、そうそう。僕にイかせてほしいんだよね? いつもみたいに、これでずぽずぽって犯されながら」
言いながら、そそり立ったままの剛直が蜜穴に擦り付けられる。すぐにそれを奥まで突き立ててほしいのに、千歳は焦らすように入り口を弄ぶだけだ。
「ひっ、あ、ほ、ほしいっ……! ほしいっ、はやく入れてぇっ」
「だーめ。我慢できない悪い子にはあげないよ。ひかりは良い子だから、ちゃんと我慢できるよね?」
「んぅっ……! で、でも、ほしいの、千歳のおちんちん、ほしいっ……!」
「おちんちん? あはっ、可愛い言い方だねぇ。可愛いから、少しだけ挿れてあげようかな」
「は……っ、ぅあああっ……!」
ずぶずぶと少しずつ千歳の陰茎が挿入される。その快感にうっとりと目を細めたけれど、それは途中で侵入を止めてしまった。もっと、と急かすように腰を揺らしても、千歳の手によってそれすらも止められてしまう。
「やぁっ……、もうやだぁっ! ほしいっ、ちとせぇっ、ちょうだいっ、千歳がほしいのっ!」
「ふふっ、そんなに僕が欲しいの? 昼間のあいつじゃなくて?」
「あい、つ……っ? わかんな、わかんないよぉ……っ! ちとせ、千歳がいいっ、ちとせじゃなきゃやだぁっ!」
「っ……、その言葉、信じるからね」
なぜか切羽詰まったようにそう言うと、千歳は再び私の両脚を抱え上げる。そして、はち切れんばかりに大きくなった滾りを一気に膣内へと押し込んだ。
「ひっ……ぃあああぁっ!!」
ばちん、と脳内に閃光が走ったような気がした。
ひと息に奥まで突き立てられた陰茎によって、私はあられもない声を上げながら絶頂に達した。焦らされて過敏になった膣内に突然強い刺激を与えられ、目をつぶったままはあはあと荒く息をつく。
「はぁ……っ、ふふっ、すごい締め付け。よっぽど気持ちよかったんだね」
「う、あぁっ……あ、ち、とせぇ……っ」
「うん……やっとイけたね。でも、まだまだ足りないでしょう?」
「え……? っ、ああっ! ひぅっ、あ、ああああっ!」
ようやく訪れた絶頂の余韻に浸る間もなく、千歳の一物が最奥を勢いよく突き上げた。そのまま激しく抜き差しを繰り返され、とっくに理性の箍が外れてしまった私は髪を振り乱して喘ぐ。
「ぃあっ、あ、やああっ! やぁっ、ちとせぇっ、いった、いったからぁっ!!」
「はぁっ、うん? イったから何? こんなんじゃ終わらないよ、僕はまだ出してないし」
「ひぃっ……! や、あっ、またっ、またいっちゃうぅっ……!」
容赦ない責めから逃げ出そうと身をよじっても、私より一回り大きな体に覆い被さられてしまう。びくびくと跳ねる腰を掴まれ、熱い杭でうねる膣内を穿たれたらすぐに次の絶頂が訪れた。
「ふ、あぁっ……やぁ、まって、もうだめぇっ……!」
「だめじゃないよ、ひかり。いい? 次にイく時は、僕の目を見ながらイってね」
「や、ああっ、え……っ?」
「その瞳で、ちゃんと僕を見て。自分が今誰に抱かれてるのか、その目に焼き付けるんだよ。分かった?」
思考が覚束ない中、私はただ強すぎる快感から逃れたくて必死に頷いた。それを見た千歳はにっこりと笑みを深めてから、汗がじっとりと滲む私の手を自分のそれと絡めた。
「ひかり……っ、ねえ、僕にはひかりしかいないように、ひかりにも僕しかいないんだよ。ちゃんと、分かってる?」
「あっ、く、ぅん……っ! あっ、そこっ、だめぇっ」
「ん、ここがいいの? ふふっ、じゃあ、ひかりの大好きなおちんちんで可愛がってあげようか」
「あっ、あ──っ!! いっ、いっちゃ、いくぅっ!!」
「あ、こら。目は閉じないで、こっち見て。……見ろ、って言ってるだろ」
その命令に抗えず目を開けると、今までに見たこともないくらい鋭い眼光を放つ千歳の紅い瞳がそこにあった。その視線に射抜かれたかのように、強張っていた全身の力が抜けて私は声もなく果ててしまう。それと同時に、ぷしゃっと陰部から水の迸る音が微かに聞こえた。
「んっ……? もしかしてひかり、潮でも吹いた? 敷布が水浸しだけど」
「ぅあ、あ、ああ……っ、やぁ、ちとせ、ごめ、なさっ……」
「ふふっ、いいよ。許してあげる。その代わり、もっと潮吹くところ見せて?」
「やっ、やだぁっ! ちとせぇ、あっ、ごめ、ごめんっ、なしゃ、あ、あ──っ!」
無意味だと分かっているのに、彼を止めようと両腕を伸ばす。案の定、それは千歳の動きを止める前に彼によって絡め取られ、そのままシーツへと縫い付けられた。そして、一段と激しく淫らな音をさせながら律動が再開される。
「あっ! あっ、や、でちゃ、あ、やあぁっ!」
「は……っ、すごい、突く度に吹いてる……ふふっ、やらしいね、ひかり。興奮する」
「ひ、ぃやあっ……! もう、やっ、ゆる、て、ゆるしてぇっ」
「うん、許してあげるってば。でも、まだ僕の腹の虫が収まってないんだ。もうちょっとだけ、めちゃくちゃにさせて?」
汗を滴らせながら、千歳が私に"お願い"した。しかしその"お願い"は、私の返事なんて求めていないただの宣言だ。
そして思った通り、泣きながら首を横に降る私に構うことなく千歳は腰を強く打ち付けた。
「あああっ!! あっ、あっ! ちと、せっ、ちとせぇっ!」
「っ、く、はぁっ……、ねえ、ひかり? きみは無理だって言ったけど、僕はまだ諦めてないよ。ひかりと、ちゃんと夫婦になること」
「ぁ、あ、えっ……? あぁっ、やぁ、やめ、もうやめっ……!」
「あの女神のことだから、戸籍だって何とかしてくれてるかもしれないし。何なら、二人で頼みに行こうか? そう遠くないよ、あの女神のいる社は」
千歳の言葉が頭に入ってはくるものの、きちんとその意味を理解することができない。ただ目を開けて千歳を見つめることだけを考えて、引っ切り無しに襲ってくる快感に喘いでいた。
「婚姻なんて、人間の作った仕来りにこだわるのも可笑しいけど……でも、結んでおけるものはすべて結んでおきたいんだ。僕とひかりが、二度と離れることのないように」
「ん、あ……っ、ちとせ……っ!」
「それに、婚姻してないと何かと面倒だと思うよ? 赤ん坊が産まれたら、ね」
「えっ……? あっ! や、ああっ、も、ちとせっ、だめぇっ──……!!」
ぐちゅん、と千歳のものが最奥に押し付けられた瞬間、熱い白濁が流れ込んでくる。同時に私も何度目か分からない絶頂に達して、だんだんと意識が遠のいていった。
やっと、終わった。やっと許してもらえた。
そのことに安心して、私はようやく目を閉じる。意識を失う直前、「ごめんね」と千歳が困ったように笑う姿が見えた。
「へえ、イきたいの? 可哀想に……これで何度目のおあずけかな」
ひくひくと膣内が痙攣しはじめる。あと少しで達するというところで、またしても千歳は動きを止めてしまった。
意地悪く笑う千歳を睨みつけるほどの余裕もなく、私はねだるようにただ腰を押し付ける。でも、それさえも千歳は許してくれない。
「こら、自分で動いていいなんて言ってないよ。言うこと聞けないなら、いつまで経ってもイかせられないなぁ」
「や、やぁ……っ、だって、いきたいっ、おねがいっ、ちとせぇっ」
いくら請うても、千歳は「まだだめだよ」と言うだけで私を絶頂まで導いてはくれなかった。焦れに焦れた私の大事な場所はぐしょ濡れで、太腿のあたりまでひんやりとして冷たい。それなのに千歳自身が埋め込まれたままの秘穴は熱く、ちっとも硬さを失わない一物をしっかり咥え込んでいた。
「さて、そろそろ動いてもいいかな。ゆっくり、ね」
「い、やぁっ……ゆっくりじゃ、いやっ、も、はやくぅ……っ」
「あはっ、そんなはしたないおねだりをするの? いつもはゆっくりがいいって言うくせに」
「っ……! ごめん、ってばっ……ああっ、あ、きもちいっ……!」
膣内の痙攣が治まったのを見計らって、千歳がまた律動を再開する。しとどに濡れた蜜穴を千歳の陰茎でゆっくりと犯されて、また新しい蜜が溢れるのが自分でも分かった。
「こんなにぐちゃぐちゃにして……本当に反省してるのかな、ひかりは」
「はあ、あぁっ! あっ、ごめんっ、ちとせ、ごめんなさいぃっ」
「うん。何が?」
「だ、だからっ……、海くんのっ、お嫁さんになるって、言ったこと……っ、ひゃうぅっ!?」
そう口にした瞬間、千歳の目の前にさらけ出されていた両胸の先端を強く押し潰された。それから敏感になった乳首を指先で捏ねられて、その刺激だけで達しそうになる。
「は、ああっ、いくっ、いくぅっ!」
「……おっと、危ない。イかせるところだった」
「はっ、え……っ?」
しかし、無慈悲にも千歳の指はすぐに離れてしまう。ぴんと勃ち上がった乳首は触れられたことで真っ赤になっているのに、彼はそれをただ見つめているだけだ。
「乳首触っただけでイきそうになるなんて、ひかりはいつからそんな淫乱な子になったの?」
「ひっ、ち、ちが……っ、だって、もういきそうなのにっ、いかせてくれないからっ……!」
「ふふっ、そうだね。イきたくてたまらないって顔してる」
かわいい、と艶のある声で囁かれ、それだけでぴくんと体が反応する。過敏に反応する体が憎らしい。
「千歳、おねがいだからぁっ……! なんでっ、なんでいかせてくれないのっ……!?」
「だって、まだ反省してないでしょう? それに言ったよね、泣いて縋っても抱き潰すって」
にっこりと笑った千歳の額にも汗が滲んでいる。その表情にさえ興奮を覚えてしまって、私は無意識のうちにごくりと唾を飲み込んでいた。
イきたい。千歳のもので気持ちいいところを抉ってほしい。いつものように奥まで押し広げて、千歳の熱を感じながら果てたい。
どうしたらイかせてもらえるだろう。快感に支配された頭の中ではもうそれしか考えられなくて、荒く息を乱しながら必死に考える。しかし、そんな状態でまともな思考なんてできるはずもない。結局思いついたのは、「声を我慢して千歳に悟られる前に達してしまおう」という幼稚な考えのみだった。
「ひぁ、んっ……! ん、んんっ、く、んぅっ」
「はぁっ……あれ、どうしたの? 急に大人しくなったね」
「っ……、なん、でもない……っ」
「ふふっ、そう。それじゃあ、もう少し奥まで挿れてあげようか」
「えっ……あっ! んんっ、あ、ひああっ!」
胸につきそうになるまで膝を曲げられたかと思うと、千歳のものが勢いをつけてさらに奥深くを穿った。目の前が明滅するほどその衝撃は大きくて、あられもない声が口を突いて出てきてしまう。
「ううっ、あっ! ひ、ぅんっ、ち、とせぇっ……!」
肌と肌のぶつかる卑猥な音が引っ切り無しに響く。普段ならそれが恥ずかしくてたまらないのに、今はただ動きを止めてほしくなくて、絶頂に辿り着くのをただじっと待ち侘びていた。
そして、熱い滾りがぐりっと私の感じる場所を擦った。これでやっとイける、と歓喜さえ感じたその瞬間、私の耳元に千歳が唇を寄せた。
「──だめだよ、ひかり。僕の許可なく勝手に果てたら」
それと同時に、埋め込まれていた千歳自身がずるりと抜き去られてしまった。絶望にも似た気持ちで千歳を見上げたけれど、にこにこと見つめ返されるだけだ。
「な、んで、分かっ……」
「分かるに決まってるよ。何回抱いたと思ってるの?」
黙っていればイかせてもらえると思った。しかし千歳にはそんな私の浅はかな考えはお見通しだったようで、それを責めるかのようにまた首筋に歯を立てられる。
「やぁ、んんっ……!」
「ひかりはね、イきそうになると目をつぶるんだ。それに御陰がきゅうって締まるし、息も荒くなるからすぐに分かるんだよ」
残念だったね、と笑顔で言われて、私の目からぽろぽろと涙が溢れ落ちる。これが何の涙なのかさえもう分からなくて、ただ体の中で燻り続けている熱をどうにかしたくておかしくなりそうだった。
そしてまたゆっくりと陰茎が体内に挿入される。達さない程度にゆるゆると腰を動かされ、耐えきれなくなった私は身も世もなく千歳に泣いて縋った。
「もう、やだぁっ……! はぁっ、いきたいっ、も、おねがいだからっ、ちとせぇっ!」
「あーあ、泣いちゃったね。そうしてると子どもみたいだよ、ひかり」
「いじわる、しないでっ……! あっ、おねがいっ、いきたい、いきたいの……っ!」
「いきたい、じゃないでしょう。何て言うの?」
「ぅ、ああっ……、い、いかせて、ください……っ、いかせてくださいぃっ」
「ふふっ、やーだよ」
また千歳の動きが止まる。みっともなく泣きながら彼を見上げるけれど、それだけで許してくれるほど千歳は甘くなかった。
「……あ、そういえば。ひかりがいつも着けろって言ってるあれ、着けてないよ。こんどーむ、だっけ。いいの?」
「いいっ、そんなのいいから、も、いかせてぇっ……! もうやなのっ、へんになっちゃうっ!」
「ふふっ、そう? もう理性なんてどこかに行っちゃったかな。ほら、気持ちいいところぐりぐりってしてあげるね」
「ひぃっ、ああっ! あっ、ああっ、やあぁっ!」
硬くなった先端で弱い所を押され、悲鳴のような喘ぎ声が漏れ出る。イけそう、と思った瞬間にまたしてもずるりと陰茎を抜かれてしまって、その声は嗚咽に変わった。そんな私を見つめながら、千歳が唆かすように耳元でそっと囁く。
「ねえ、ひかり。ひかりは僕のことだけ見ていればいいんだよ。そうでしょう?」
「ぅ、あ……っ、ひんっ、ち、千歳しか、見てないもんっ……」
「うん、そうそう。僕にイかせてほしいんだよね? いつもみたいに、これでずぽずぽって犯されながら」
言いながら、そそり立ったままの剛直が蜜穴に擦り付けられる。すぐにそれを奥まで突き立ててほしいのに、千歳は焦らすように入り口を弄ぶだけだ。
「ひっ、あ、ほ、ほしいっ……! ほしいっ、はやく入れてぇっ」
「だーめ。我慢できない悪い子にはあげないよ。ひかりは良い子だから、ちゃんと我慢できるよね?」
「んぅっ……! で、でも、ほしいの、千歳のおちんちん、ほしいっ……!」
「おちんちん? あはっ、可愛い言い方だねぇ。可愛いから、少しだけ挿れてあげようかな」
「は……っ、ぅあああっ……!」
ずぶずぶと少しずつ千歳の陰茎が挿入される。その快感にうっとりと目を細めたけれど、それは途中で侵入を止めてしまった。もっと、と急かすように腰を揺らしても、千歳の手によってそれすらも止められてしまう。
「やぁっ……、もうやだぁっ! ほしいっ、ちとせぇっ、ちょうだいっ、千歳がほしいのっ!」
「ふふっ、そんなに僕が欲しいの? 昼間のあいつじゃなくて?」
「あい、つ……っ? わかんな、わかんないよぉ……っ! ちとせ、千歳がいいっ、ちとせじゃなきゃやだぁっ!」
「っ……、その言葉、信じるからね」
なぜか切羽詰まったようにそう言うと、千歳は再び私の両脚を抱え上げる。そして、はち切れんばかりに大きくなった滾りを一気に膣内へと押し込んだ。
「ひっ……ぃあああぁっ!!」
ばちん、と脳内に閃光が走ったような気がした。
ひと息に奥まで突き立てられた陰茎によって、私はあられもない声を上げながら絶頂に達した。焦らされて過敏になった膣内に突然強い刺激を与えられ、目をつぶったままはあはあと荒く息をつく。
「はぁ……っ、ふふっ、すごい締め付け。よっぽど気持ちよかったんだね」
「う、あぁっ……あ、ち、とせぇ……っ」
「うん……やっとイけたね。でも、まだまだ足りないでしょう?」
「え……? っ、ああっ! ひぅっ、あ、ああああっ!」
ようやく訪れた絶頂の余韻に浸る間もなく、千歳の一物が最奥を勢いよく突き上げた。そのまま激しく抜き差しを繰り返され、とっくに理性の箍が外れてしまった私は髪を振り乱して喘ぐ。
「ぃあっ、あ、やああっ! やぁっ、ちとせぇっ、いった、いったからぁっ!!」
「はぁっ、うん? イったから何? こんなんじゃ終わらないよ、僕はまだ出してないし」
「ひぃっ……! や、あっ、またっ、またいっちゃうぅっ……!」
容赦ない責めから逃げ出そうと身をよじっても、私より一回り大きな体に覆い被さられてしまう。びくびくと跳ねる腰を掴まれ、熱い杭でうねる膣内を穿たれたらすぐに次の絶頂が訪れた。
「ふ、あぁっ……やぁ、まって、もうだめぇっ……!」
「だめじゃないよ、ひかり。いい? 次にイく時は、僕の目を見ながらイってね」
「や、ああっ、え……っ?」
「その瞳で、ちゃんと僕を見て。自分が今誰に抱かれてるのか、その目に焼き付けるんだよ。分かった?」
思考が覚束ない中、私はただ強すぎる快感から逃れたくて必死に頷いた。それを見た千歳はにっこりと笑みを深めてから、汗がじっとりと滲む私の手を自分のそれと絡めた。
「ひかり……っ、ねえ、僕にはひかりしかいないように、ひかりにも僕しかいないんだよ。ちゃんと、分かってる?」
「あっ、く、ぅん……っ! あっ、そこっ、だめぇっ」
「ん、ここがいいの? ふふっ、じゃあ、ひかりの大好きなおちんちんで可愛がってあげようか」
「あっ、あ──っ!! いっ、いっちゃ、いくぅっ!!」
「あ、こら。目は閉じないで、こっち見て。……見ろ、って言ってるだろ」
その命令に抗えず目を開けると、今までに見たこともないくらい鋭い眼光を放つ千歳の紅い瞳がそこにあった。その視線に射抜かれたかのように、強張っていた全身の力が抜けて私は声もなく果ててしまう。それと同時に、ぷしゃっと陰部から水の迸る音が微かに聞こえた。
「んっ……? もしかしてひかり、潮でも吹いた? 敷布が水浸しだけど」
「ぅあ、あ、ああ……っ、やぁ、ちとせ、ごめ、なさっ……」
「ふふっ、いいよ。許してあげる。その代わり、もっと潮吹くところ見せて?」
「やっ、やだぁっ! ちとせぇ、あっ、ごめ、ごめんっ、なしゃ、あ、あ──っ!」
無意味だと分かっているのに、彼を止めようと両腕を伸ばす。案の定、それは千歳の動きを止める前に彼によって絡め取られ、そのままシーツへと縫い付けられた。そして、一段と激しく淫らな音をさせながら律動が再開される。
「あっ! あっ、や、でちゃ、あ、やあぁっ!」
「は……っ、すごい、突く度に吹いてる……ふふっ、やらしいね、ひかり。興奮する」
「ひ、ぃやあっ……! もう、やっ、ゆる、て、ゆるしてぇっ」
「うん、許してあげるってば。でも、まだ僕の腹の虫が収まってないんだ。もうちょっとだけ、めちゃくちゃにさせて?」
汗を滴らせながら、千歳が私に"お願い"した。しかしその"お願い"は、私の返事なんて求めていないただの宣言だ。
そして思った通り、泣きながら首を横に降る私に構うことなく千歳は腰を強く打ち付けた。
「あああっ!! あっ、あっ! ちと、せっ、ちとせぇっ!」
「っ、く、はぁっ……、ねえ、ひかり? きみは無理だって言ったけど、僕はまだ諦めてないよ。ひかりと、ちゃんと夫婦になること」
「ぁ、あ、えっ……? あぁっ、やぁ、やめ、もうやめっ……!」
「あの女神のことだから、戸籍だって何とかしてくれてるかもしれないし。何なら、二人で頼みに行こうか? そう遠くないよ、あの女神のいる社は」
千歳の言葉が頭に入ってはくるものの、きちんとその意味を理解することができない。ただ目を開けて千歳を見つめることだけを考えて、引っ切り無しに襲ってくる快感に喘いでいた。
「婚姻なんて、人間の作った仕来りにこだわるのも可笑しいけど……でも、結んでおけるものはすべて結んでおきたいんだ。僕とひかりが、二度と離れることのないように」
「ん、あ……っ、ちとせ……っ!」
「それに、婚姻してないと何かと面倒だと思うよ? 赤ん坊が産まれたら、ね」
「えっ……? あっ! や、ああっ、も、ちとせっ、だめぇっ──……!!」
ぐちゅん、と千歳のものが最奥に押し付けられた瞬間、熱い白濁が流れ込んでくる。同時に私も何度目か分からない絶頂に達して、だんだんと意識が遠のいていった。
やっと、終わった。やっと許してもらえた。
そのことに安心して、私はようやく目を閉じる。意識を失う直前、「ごめんね」と千歳が困ったように笑う姿が見えた。
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……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
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