略奪は 奪い取るまでが 楽しいの

エイ

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略奪女を懲らしめたい

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「はあ? アンタには無理! 言い寄られるとすぐ付き合っちゃう節操ナシじゃん! あの麗奈って子に迫られたら圭司は、やっぱ可愛い子にひどいことできないよ~とか言って寝返るに決まってるわ!」

 萌絵が吼える。
 圭司はよく言えばフェミニスト、悪く言えば受け身で主体性がないタイプで、知らない子に告白されても『可愛いと断れないんだよね~』と言ってすぐ付き合ってしまう。
 友人の間では「アイツは女の顔しか見ていない」などと言われたりもしていた。

 要するに、顔の可愛い子に弱いというわけだ。

 麗奈は見た目だけで言えば下手な芸能人よりも可愛らしい。あの子に迫られて圭司が断れるとは思えない。
 だから無理だと一刀両断する萌絵に対し、圭司は笑いをひっこめて真面目な顔で反論してきた。

「その麗奈って女に、俺も個人的に恨みがあるわけよ。ソイツのせいで俺も友達を一人無くしたわけだし、やりたい放題している奴に痛い目見させてやりたいんだ。だから復讐の意味も込めて俺にやらせてほしい」
「あ……そっか。裕太とは部活も一緒で仲良かったもんね」

 裕太は圭司やバレー部の仲間と仲違いしたあと、勢いで部活も辞めてしまいその後二人の仲が戻ることはなかった。圭司はその件でいまだに後悔が残っていると語った。

「その女のしたことって、理沙を破局させただけじゃなくていろんな人に迷惑かけてんだよ。裕太は自業自得だけど、あんなに頑張っていた部活も辞めちまったし、部員だって急にフォーメーション変わって混乱して、立て直すまで大変だった。そういうの全然知りもしないでいまだに略奪とかして楽しんでいるような女、どうしても許せないんだよ」

 そう語る圭司は静かな怒りを湛えていて、普段の明るいキャラの彼とは別人のようだった。流されやすくて節操がないなどと言われるが、彼は人に優しく、自分のことより他人のために怒れる人だったと高校時代を思い出す。

「……そうだね。本当にそのとおり。あの子は自分のしたことの酷さをちゃんと知ったほうがいい。圭司がそう言ってくれるなら、協力をお願いしたい……です」

 ぺこりと頭を下げると、圭司がニカッと笑って右手を差し出してきた。

「おう、任せとけ。俺らでクソ女に思い知らせてやろうぜ」

 がっちりと握手を交わして、三人で乾杯し直しその後は記憶を飛ばすほど飲んで盛り上がった。理沙と萌絵は圭司が来る前から相当飲んでいたので、最後は圭司が二人をタクシーに乗せてくれ、タクシー代も彼が払ってくれたそうだが二人とも全く記憶にない。

 ***

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