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本編
18 青い小鳥
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ハクをひと通り堪能すると、ズボッと抜け出したテンはディオーレンに質問をする。
「なんでハクはここに居るの?むしろハクに乗って来た方が速いんじゃない?」
その質問にディオーレンは苦笑する。
「いや、こんなに目立つものがテンの家に来たら騒然とするだろ。ハクはグランデからオルタリア領の実家に戻る時用の交通手段にしか使ってない。空も駆けるからかなり速いぞ」
「ネコ〇スか」
このもふもふがただの交通手段にしか使われないだと!?そんなもの許せるはずが無い!
「ディー、どうにかしてハクともっと触れ合いたいなぁー」
「って言ってもなぁ…」
グランデくらい大きな街であればそんなに目立ちはしないが、サンディでは隠れるところすら無い。
田舎あるあるで不審なものがあればすぐに近所に広まるという面倒な特質があり、隠れて行動するのには骨が折れる。防犯としては心強いが。
「そうだ!ヴィーがげんかく?魔法だったっけ?っていう魔法で変化出来るようになったんだよ!それをハクにかけたらどうかな?」
「ん~…一応これでもフェンリルだからな。その魔法がハクにかかるかもわからねーしなぁ」
いつの間にかハクは地面に寝っ転がって、その上にテンが大の字でもそもそしていた。全身で撫でているらしい。
その様子はフェンリルの威厳のいの字もない。もはやただの犬だ。
まあ、テンもハクも嬉しそうだから問題ないか。とディオーレンもスルーする。
「とりあえず帰りはハクに乗って帰ってみるか?」
「いいの!?乗る!」
「グランデの俺の屋敷になるけど…と待てよ」
ディオーレンが言いかけて、少し止まったあと何やら考え始めた。
ハクはディオーレンの言葉が分かるのか、テンと一緒になって言葉の続きを待っている。
2対の期待に満ちたキラキラした瞳に見つめられ、たじろ……がないディオーレンは「ちょっとヴィズに連絡してみるわ」と言ってポケットから紙を取り出す。
「連絡ってどうするの?」
「ん?テンは初めて見るか?」
「……その紙のこと?」
長方形の御札みたいな紙に、指で何かをなぞっている。なんか陰陽師みたい。カッコイイ。
「この紙に送る相手の名前と差出人名、140字程度の文字を書いて魔力を込めると青い小鳥の形になって相手に届くんだ。便利魔道具だろ」
「………つぶやいたー……」
既視感。めちゃくちゃ既視感ですよ。
「それって最近発明された?」
「んーー……俺たちが生まれる前だけど最近っちゃ最近だな」
「………」
弟の仕業くさい。絶対アングロさんの弟だ。
あの人……人?神か?まあなんでもいいけど、やりたい放題じゃないか?アングロさんに変な知識とか植え付けてそーで怖い。
「遠い所から送れるから重宝するぞ。魔力の込め具合で到着時間も変わるから……俺だと1時間くらいはかかるかもな」
「へぇ、でも4時間の道のりで1時間なら速いよね。おれもやってみたいなー」
短冊っぽくて楽しそう。
ディオーレンはささっと内容を書いて、小鳥となった紙を解き放った。
「テンもヴィズに送ってみるか?あと2枚あるぞ」
……3枚のお札……なんちゃって。
「おれでも出来るかな?」
「大丈夫だ。魔力操作が出来れば誰でもできるからな」
「じゃあおれも書く!……どうやって書く?指でなぞるだけ?」
ハクの上から降りて、ディオーレンの前に行くと紙を1枚渡された。和紙のような手触りの紙に、ディオーレンと同じ様に指先でなぞってみるが何も起こらない。
「指先から少しだけ魔力を出すイメージでなぞってみろ。書くのも魔力操作が必要なんだ」
「わかった」
アングロさんから教わった魔力操作を……おおっ、書ける!
えーと…宛先はヴィジスタ・アレンダール。と。
140字でしょー。どうするかな…。
『ヴィーへ。ディーのフェンリルと帰りたいです。ヴィーのげんかく?魔法でどうにかできる?ハクはもふもふで可愛いです。もしかして、たまも大きくなったり出来るのかな?もし大きくなれるなら是非とももふもふさせて欲しいな(>ω<)テン・ポルタより』
よし!140字余裕だったな。顔文字入れとこ。
「昔は50字だったらしいからな。宛名と差出人書くと内容が全然入らなかったらしい」
………電報か。チチキトクスクカエレ的な。
電報の制限文字数知らないけど…。
「できたよー。で、魔力を込める?」
「ああ、相手に送るイメージで込めてみろ」
ふむふむ。魔法はイメージだもんね。
ヴィーの所へ速く飛んでいけ~。
魔力を込めていると、手の平にあった紙がいつの間にか青い小鳥になっていた。
「よし、それを放り投げて飛ばしてみろ」
「おおっ、ぴーちゃん行っておいでー!」
「ぴーちゃん?」
「なんかぴーちゃんっぽいから」
軽く上に放り投げると、青い小鳥は1度テンの上でホバリングすると、ビューッと凄い勢いで飛び去った。
「わお。なんかすごい速いね?」
「……もしかしたら俺のより早く着くかもな。じゃあ返信待ってる間、この辺の探索でもしてるか」
「探検!する!ハクの上に乗っていい?」
お座りしていたハクはテンの言葉にぺろりと頬を舐めて、テンが乗りやすいように伏せた。
「ありがとうハク。じゃあ出発~!」
「テンの家に納品してる物でも探すか」
「いいねぇ。お土産だ!」
ヴィジスタの返信が来るまで2人と1頭での探検がいま始まる!
………ヴィーからの返信が30分後に来たことは予想外だったが。
「なんでハクはここに居るの?むしろハクに乗って来た方が速いんじゃない?」
その質問にディオーレンは苦笑する。
「いや、こんなに目立つものがテンの家に来たら騒然とするだろ。ハクはグランデからオルタリア領の実家に戻る時用の交通手段にしか使ってない。空も駆けるからかなり速いぞ」
「ネコ〇スか」
このもふもふがただの交通手段にしか使われないだと!?そんなもの許せるはずが無い!
「ディー、どうにかしてハクともっと触れ合いたいなぁー」
「って言ってもなぁ…」
グランデくらい大きな街であればそんなに目立ちはしないが、サンディでは隠れるところすら無い。
田舎あるあるで不審なものがあればすぐに近所に広まるという面倒な特質があり、隠れて行動するのには骨が折れる。防犯としては心強いが。
「そうだ!ヴィーがげんかく?魔法だったっけ?っていう魔法で変化出来るようになったんだよ!それをハクにかけたらどうかな?」
「ん~…一応これでもフェンリルだからな。その魔法がハクにかかるかもわからねーしなぁ」
いつの間にかハクは地面に寝っ転がって、その上にテンが大の字でもそもそしていた。全身で撫でているらしい。
その様子はフェンリルの威厳のいの字もない。もはやただの犬だ。
まあ、テンもハクも嬉しそうだから問題ないか。とディオーレンもスルーする。
「とりあえず帰りはハクに乗って帰ってみるか?」
「いいの!?乗る!」
「グランデの俺の屋敷になるけど…と待てよ」
ディオーレンが言いかけて、少し止まったあと何やら考え始めた。
ハクはディオーレンの言葉が分かるのか、テンと一緒になって言葉の続きを待っている。
2対の期待に満ちたキラキラした瞳に見つめられ、たじろ……がないディオーレンは「ちょっとヴィズに連絡してみるわ」と言ってポケットから紙を取り出す。
「連絡ってどうするの?」
「ん?テンは初めて見るか?」
「……その紙のこと?」
長方形の御札みたいな紙に、指で何かをなぞっている。なんか陰陽師みたい。カッコイイ。
「この紙に送る相手の名前と差出人名、140字程度の文字を書いて魔力を込めると青い小鳥の形になって相手に届くんだ。便利魔道具だろ」
「………つぶやいたー……」
既視感。めちゃくちゃ既視感ですよ。
「それって最近発明された?」
「んーー……俺たちが生まれる前だけど最近っちゃ最近だな」
「………」
弟の仕業くさい。絶対アングロさんの弟だ。
あの人……人?神か?まあなんでもいいけど、やりたい放題じゃないか?アングロさんに変な知識とか植え付けてそーで怖い。
「遠い所から送れるから重宝するぞ。魔力の込め具合で到着時間も変わるから……俺だと1時間くらいはかかるかもな」
「へぇ、でも4時間の道のりで1時間なら速いよね。おれもやってみたいなー」
短冊っぽくて楽しそう。
ディオーレンはささっと内容を書いて、小鳥となった紙を解き放った。
「テンもヴィズに送ってみるか?あと2枚あるぞ」
……3枚のお札……なんちゃって。
「おれでも出来るかな?」
「大丈夫だ。魔力操作が出来れば誰でもできるからな」
「じゃあおれも書く!……どうやって書く?指でなぞるだけ?」
ハクの上から降りて、ディオーレンの前に行くと紙を1枚渡された。和紙のような手触りの紙に、ディオーレンと同じ様に指先でなぞってみるが何も起こらない。
「指先から少しだけ魔力を出すイメージでなぞってみろ。書くのも魔力操作が必要なんだ」
「わかった」
アングロさんから教わった魔力操作を……おおっ、書ける!
えーと…宛先はヴィジスタ・アレンダール。と。
140字でしょー。どうするかな…。
『ヴィーへ。ディーのフェンリルと帰りたいです。ヴィーのげんかく?魔法でどうにかできる?ハクはもふもふで可愛いです。もしかして、たまも大きくなったり出来るのかな?もし大きくなれるなら是非とももふもふさせて欲しいな(>ω<)テン・ポルタより』
よし!140字余裕だったな。顔文字入れとこ。
「昔は50字だったらしいからな。宛名と差出人書くと内容が全然入らなかったらしい」
………電報か。チチキトクスクカエレ的な。
電報の制限文字数知らないけど…。
「できたよー。で、魔力を込める?」
「ああ、相手に送るイメージで込めてみろ」
ふむふむ。魔法はイメージだもんね。
ヴィーの所へ速く飛んでいけ~。
魔力を込めていると、手の平にあった紙がいつの間にか青い小鳥になっていた。
「よし、それを放り投げて飛ばしてみろ」
「おおっ、ぴーちゃん行っておいでー!」
「ぴーちゃん?」
「なんかぴーちゃんっぽいから」
軽く上に放り投げると、青い小鳥は1度テンの上でホバリングすると、ビューッと凄い勢いで飛び去った。
「わお。なんかすごい速いね?」
「……もしかしたら俺のより早く着くかもな。じゃあ返信待ってる間、この辺の探索でもしてるか」
「探検!する!ハクの上に乗っていい?」
お座りしていたハクはテンの言葉にぺろりと頬を舐めて、テンが乗りやすいように伏せた。
「ありがとうハク。じゃあ出発~!」
「テンの家に納品してる物でも探すか」
「いいねぇ。お土産だ!」
ヴィジスタの返信が来るまで2人と1頭での探検がいま始まる!
………ヴィーからの返信が30分後に来たことは予想外だったが。
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