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7 泣いちゃう俺
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ルディがスペースキャットな俺の様子に気づいて、疲れが出たのかと思ったらしく、すぐに部屋の中を案内してくれた。
ナチュラルに姫抱っこされそうになったけど却下却下ー。
日本人的に1番重要なトイレとお風呂が日本と遜色なくて良かった~。
異世界あるあるだと悲惨なものがよくあるから。
もちろん追いだき機能付きお風呂と洗浄付きトイレではないけれど。
そしてルディの部屋の隣が空いていて、そこを使わせてもらうことにした。
案内してくれたルディはお風呂の用意をしてくれるみたいで、ゆっくり休んでてくれと言って出ていった。
ぐるりと部屋を見渡す。
体の大きなこの世界の人にとったら丁度いい?のかもしれないけれど、多分14~15畳位の部屋の広さはあると思う。
おっきい。
俺の部屋なんて4畳半よ?広すぎてソワソワしちゃう。
ベッドは見たこと無いくらい大きいし、1人がけソファとテーブルも置いてある。
オシャレなカーテンにアンティークっぽい照明器具が高級ホテルっぽい。
部屋を見渡していたけれど、なんだかふと緊張の糸が切れた。
怒りやら驚きやらで無自覚に張り詰めていた緊張の糸は、お腹いっぱいになって眠る場所の心配もない事で緩んだのだろう。
1人になった途端一気に体が重くなる。
外を歩き回っていた服でベッドに寝転ぶ事は出来ないので、ソファに腰掛ける。
程よい弾力と柔らかさがとても心地よく、ふぅ…と息を吐いて脱力した。
多分、目が覚めてから数時間くらいしか経ってないと思うけど…目まぐるしかったなぁ…。
目を閉じると走馬灯のように今日の出来事がまぶたの裏に過ぎる。
森で食べ物や飲み水の調達を考えていた時は必死だった。寝る場所のことを考える前に猪に襲われたから頭になかったけれど、ルディと出会わなければ俺は今頃どうなっていた事やら…。
何でここにいるんだろ。そもそも俺は家に帰れるのか?どうやって来たのかもわからないのに…。
嫌な想像が脳裏を過ぎる。
最後の記憶は背中に衝撃を受けたこと。
もしかしたら俺は死んだのかもしれない…なんて…。
死んでなくても行方不明だし。
どんどん気持ちが沈んでいく。
父さんと母さん…心配してるだろうな…。
未だに現実味が薄く、夢の中にいるようだ。
こんなに五感がハッキリしているのに夢も何も無いとは思うけど、自分が信じたくないのかもしれない。
ずるりと体がソファに深く沈む。
もう動きたくない。……違う、考えたくない。
だって悪い方にしか考えられないから…。
知らぬ間に涙が頬を伝う。
一度流れると、堰を切ったようにどんどん溢れてくる。
「ひっ、く…ぐす…ぅうっ…」
嗚咽が漏れる。
『イタル』
「ひぐっ」
扉の向こうからルディの呼ぶ声に驚き、一瞬息が詰まる。
『イタル、開けるよ』
「えっ、や、だめ」
だ!まで言おうとしたのに、ルディは扉を開けてしまった。
「イタル…1人で泣くな」
「…え…」
ズカズカと俺の側まできたルディは、ひょいと俺を持ち上げて入れ替わるようにソファに座ると、向かい合わせになるように俺を膝の上に乗せて少しの隙間もないほど抱き込んだ。
「イタル…泣く時は私の腕の中で泣け。1人で抱え込むな」
「ルディ…?」
ルディは手を伸ばして俺の顔を触るけど、未だに紙袋を被っていたからカサリと紙を撫でた音が響いた。
「イタル、顔を見せて…私にその涙を拭わせてくれ」
「ぁ…っ、なに…」
「そのフェイスマスクはイタルにしか外せないみたいだ」
「え」
驚いて少し涙が引っ込んだ。
「ただの…というのもおかしいけど。紙袋を被っただけなのに…?」
「ん?そのフェイスマスクは防具として最高の装備だと思うが」
装備…んえ??装備??この紙袋って装備だと認識されてたの???
抱っこされたままなのを忘れ、ポカンと口を開けて固まった。
涙は完全に引っ込んだ。
ナチュラルに姫抱っこされそうになったけど却下却下ー。
日本人的に1番重要なトイレとお風呂が日本と遜色なくて良かった~。
異世界あるあるだと悲惨なものがよくあるから。
もちろん追いだき機能付きお風呂と洗浄付きトイレではないけれど。
そしてルディの部屋の隣が空いていて、そこを使わせてもらうことにした。
案内してくれたルディはお風呂の用意をしてくれるみたいで、ゆっくり休んでてくれと言って出ていった。
ぐるりと部屋を見渡す。
体の大きなこの世界の人にとったら丁度いい?のかもしれないけれど、多分14~15畳位の部屋の広さはあると思う。
おっきい。
俺の部屋なんて4畳半よ?広すぎてソワソワしちゃう。
ベッドは見たこと無いくらい大きいし、1人がけソファとテーブルも置いてある。
オシャレなカーテンにアンティークっぽい照明器具が高級ホテルっぽい。
部屋を見渡していたけれど、なんだかふと緊張の糸が切れた。
怒りやら驚きやらで無自覚に張り詰めていた緊張の糸は、お腹いっぱいになって眠る場所の心配もない事で緩んだのだろう。
1人になった途端一気に体が重くなる。
外を歩き回っていた服でベッドに寝転ぶ事は出来ないので、ソファに腰掛ける。
程よい弾力と柔らかさがとても心地よく、ふぅ…と息を吐いて脱力した。
多分、目が覚めてから数時間くらいしか経ってないと思うけど…目まぐるしかったなぁ…。
目を閉じると走馬灯のように今日の出来事がまぶたの裏に過ぎる。
森で食べ物や飲み水の調達を考えていた時は必死だった。寝る場所のことを考える前に猪に襲われたから頭になかったけれど、ルディと出会わなければ俺は今頃どうなっていた事やら…。
何でここにいるんだろ。そもそも俺は家に帰れるのか?どうやって来たのかもわからないのに…。
嫌な想像が脳裏を過ぎる。
最後の記憶は背中に衝撃を受けたこと。
もしかしたら俺は死んだのかもしれない…なんて…。
死んでなくても行方不明だし。
どんどん気持ちが沈んでいく。
父さんと母さん…心配してるだろうな…。
未だに現実味が薄く、夢の中にいるようだ。
こんなに五感がハッキリしているのに夢も何も無いとは思うけど、自分が信じたくないのかもしれない。
ずるりと体がソファに深く沈む。
もう動きたくない。……違う、考えたくない。
だって悪い方にしか考えられないから…。
知らぬ間に涙が頬を伝う。
一度流れると、堰を切ったようにどんどん溢れてくる。
「ひっ、く…ぐす…ぅうっ…」
嗚咽が漏れる。
『イタル』
「ひぐっ」
扉の向こうからルディの呼ぶ声に驚き、一瞬息が詰まる。
『イタル、開けるよ』
「えっ、や、だめ」
だ!まで言おうとしたのに、ルディは扉を開けてしまった。
「イタル…1人で泣くな」
「…え…」
ズカズカと俺の側まできたルディは、ひょいと俺を持ち上げて入れ替わるようにソファに座ると、向かい合わせになるように俺を膝の上に乗せて少しの隙間もないほど抱き込んだ。
「イタル…泣く時は私の腕の中で泣け。1人で抱え込むな」
「ルディ…?」
ルディは手を伸ばして俺の顔を触るけど、未だに紙袋を被っていたからカサリと紙を撫でた音が響いた。
「イタル、顔を見せて…私にその涙を拭わせてくれ」
「ぁ…っ、なに…」
「そのフェイスマスクはイタルにしか外せないみたいだ」
「え」
驚いて少し涙が引っ込んだ。
「ただの…というのもおかしいけど。紙袋を被っただけなのに…?」
「ん?そのフェイスマスクは防具として最高の装備だと思うが」
装備…んえ??装備??この紙袋って装備だと認識されてたの???
抱っこされたままなのを忘れ、ポカンと口を開けて固まった。
涙は完全に引っ込んだ。
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