BAR・ターミナル~ケモノ達の交わる場所~

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3話:笑顔は武器

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 華の金曜日。ハルトさんとマスターでお店を回している最中、マリサと楽しく談笑しながらリコは考えていた。このお店はいいお客さんが集まっているし、ハルトもクニシゲも素敵な人だった。マリサも含めて、そういった人たちの何が素敵かを考えたら、それは笑顔だった。
 楽しそうで、嬉しそうで、火の近くにいると温かいように、自分まで燃えてきそうなくらいにまぶしい笑顔。周りの人たちに笑顔の灯をともしてあげられるだけの力がある。マリサ曰く知り合いの占い師が言っていたそうだが、笑顔は武器……いい言葉である。
 いきなりやれと言われても難しいので、リコは家に帰った後、鏡の前で何度か笑顔の練習をした。バーでした話の内容を思い出し、自分がちゃんと笑えているかどうかを確認して週末を過ごす。
 そうして月曜日、リコは意を決して仕事に臨んだ。スマホごしに下った依頼を受けて、電車に乗って依頼人の家、水都区にある10階建てのそこそこな大きさのマンションながら、1LDKという中々の広さを持つお宅に赴く。そこまではいつも通りだけれど、今日は自分を変えると意気込んで、依頼人の家のインターフォンを押し、挨拶をする。
リコ「おはようございます! 家事代行の『楽ラクーン』の春日 古々です! ご依頼いただきありがとうございます!」
 以前より努めて声を張り、笑顔を意識。もちろん、名乗るのは源氏名である。
「どうも。入って」
 せっかく気合い入れたのに、不愛想なお客。……今日ははずれだ、とリコは思った。玄関のドアを開けられ、中に招き入れられたリコは、ごちゃついた部屋の中を見て、やりがいがあるなぁと感じた。ここで嫌な顔をしない、笑顔笑顔。
 部屋主は、水牛人の男性だ。少し太り気味で部屋も体型もだらしないが、玄関に置かれた靴はいい物を使っているし、傘も高級そうだ。家事代行なんてものを頼むくらいだから、裕福なのは間違いないようだ。
リコ「どうも、よろしくお願いします。今日はこちらのお部屋のお掃除が業務内容でよろしいでしょうか?」
「見りゃわかるだろ。高い金払っているんだから、早くやって」
 やっぱり外れだ。リコはそれを顔に出さないように努めて掃除を開始する。
リコ「ソファもテーブルもおしゃれでいいものを使っておられますねぇ……シンプルにまとまってて、部屋もさっぱりしてますし」
「え? あぁ、うん」
リコ「このカップラーメン、好きなんですか? かさばるから、すぐにごみ溜まっちゃいますよね」
「あー……いいから黙って仕事してくれよー」
 依頼人はリコの仕事には全く興味がなく、ずっとスマートフォンをいじっている。あぁ、大外れだ。気合を入れて愛想をよく改善しようと思ったのに、そもそも愛想を必要としない人間だった。仕方ない、こういう人にはもう何を言おうとも響かないし、後ろ話しかければ話しかけるだけ評価がマイナスになる。もくもくと、しっかり仕事をするだけだ。
 ごみを片付け、床を綺麗にし、キッチンも洗面所もシャワーも、隅々まできれいにする。その間、リコも依頼主も一言も話さない。虚無の時間だ。もちろん、話せば話すだけいいというわけでもない。メイド喫茶やキャバクラやデリヘルのように、話すことが目的な業種(デリヘルって話すの?)でもない。
 ただ、せっかく話しかけたのに何も話すことがないというのは少し寂しい。掃除をきっかけに何かを思い出したりすることがあるように、掃除をきっかけに話のタネが広がることもあるし、そもそもこれは捨てていいものなのかとか、気軽に話しかけられるくらいの気さくさは欲しいと思うリコであった。
 まぁ、それでも以前の自分はこんな感じで黙々と作業をしていた。いつも通り、やればいいだけだと言い聞かせて、会話は最低限にとどめようと、リコは仕事を続ける
 とにもかくにも、仕事はつつがなく終わった。最後までお客様の前での笑顔は崩さなかったが、心の中ではため息ばかりだ。
 すでに次の仕事は入っている。次こそ、と気分を切り替えるべく、リコはエレベーターではなく、階段を駆け下りてタワーマンションを後にした。その後、リコは駅まで駆け抜ける。
 リコは高校時代、15キロメートルの道のりを毎日自転車で往復していた。そのため彼女は部活もやっておらず、帰宅部のエースを自称するほどだったが、その経験のおかげか運動能力は高かった。毎日の仕事でも大して疲れることのない下地は、高校時代の帰宅と社会人時代のサンドバッグ叩きで作られたものである。

 そうして、次の家に向かったリコ。今度も同じ水都区だが、その中でもタワーマンションの23階にある2LDKという、かなりの上流家庭であることがうかがえるお宅である。甘草の激狭1Kの社員寮に住んでいるリコにはうらやましい限りだ。
リコ「こんにちは! 家事代行の『楽ラクーン』の春日古々です! 本日はご依頼いただきありがとうございます!」
「あ、どうもどうも。お待ちしておりました。いやー、予定より早く来てくれて、こちらこそありがとうございます」
リコ「連絡にすぐ答えていただけたので、少しだけ早いですが来ちゃいました」
 通常、リコが所属する会社、『楽ラクーン』では、時間のピッタリではなく1分前に訪問のインターホンを鳴らす決まりとなっているが、お客様に到着の連絡をして、もう入っても大丈夫とお達しが出た際はその限りではない。
 終わりの時間まで、たった数分ではあるが無料で延長してもらえるので、お得なサービスなのだ。依頼人は犀(サイ)人の女性。どうやらリモートワークができる職種らしく、リコが入ってきてもノートパソコンをカタカタと元気に鳴らしている。
 先ほどの水牛人と同じく、あまり話しかけるのもどうかと思う依頼人ではあるが、愛想に関してはさっきの人よりも断然に良かった。こういう客の方がやる気も出るというものだ。
リコ「お仕事、大変そうですね」
依頼人「えぇ、毎日休む暇がありません」
 話しかけながら、リコは家の様子を見る。明らかに男性ものの食器や靴があることから、男性と同居しているのは間違いない。
リコ「二人暮らしですか? 家事代行を頼むってことは、やっぱり忙しいのでしょうか?」
 逆に子供用の家具、おもちゃといったものは存在しない。なので、あたりをつけてリコは尋ねた。
依頼人「はい。夫婦で暮らしているのですが、二人とも忙しすぎて、時間が合わなくて……家庭内別居みたいな感じで、一緒にいられる時間が少なくて……」
 リコが話しかけたのをきっかけに、依頼人の女性は自分の悩みを少しずつ打ち明け始める。笑顔で話しかけただけで、人の心を開けてしまうのだから、笑顔というのは優れた武器だ。
リコ「共働きですかぁ……私の両親も共働きだったんですよ。ただ、それでもこんないいところには住めませんでしたし、家事代行なんかも頼めませんでしたが」
依頼人「そうだったんですか? 寂しくなかったですか?」
リコ「うーん、どうですかね。家に帰っても親がいないの、小学生だったので、最初は少し寂しかったですが……でも、妹もいますし、繰り返すうちに慣れました。夜は、大体一緒にいますからね」
依頼人「いいわね、うちは旦那とも夜一緒になれない日がよく合って……自分で選んだ道。自分で選んだ人とはいえ、少しね、寂しく思うこともあるの……旦那が原因の日もあれば、私が原因で家に二人いない日もある。日曜日でもよ?
 嫌いじゃあないんだけれど、なんで結婚したんだろうって、たまに思っちゃうわけよ」
 こういう時は、ひたすら肯定してあげるのが吉だ。リコは丁寧にものを片付け、キッチンへと移したのちに、溜まっているお皿洗いを開始する。
リコ「つらいですね……でも、お仕事でお金を稼ぐのは大事ですよ。金で幸せは買えませんが、お金があれば不幸を防げることはあります」
依頼人「そうだね……そう思うようにしてるけれど、お金ってありすぎると使いどころが難しいのよ。300万円で海外旅行すれば、30万円の旅行の10倍幸せってわけでもないでしょう?」
リコ「確かに。好きな人、気の置けない友達と旅行に行くってだけですでに価値がありますし、お金をかければそれだけ幸せというわけでもないか……」
依頼人「そのせいでなんのために頑張ってるのかわからなくなってさ。お仕事も、辞めたいってなるときがよくある」
 あれぇ、これはまずい方向に行っているような気がするぞぉ? と、リコは思わないでもなかったが、こうやって相談するということは、辞めたいんじゃなくて今の自分を肯定してほしいんだと思うことにする。
リコ「それこそ、二人で同じ日にお休みを取って、ゆっくりするのがいいと思いますよ。大切な人と一緒なら、ただ一緒に話すだけでも楽しいですから。お酒を飲むとか、いいんじゃないですかね」
依頼人「そうかなぁ……うん、でも確かに、結婚する前はバーとか、よく行ってたかも……今じゃあの頃の方が、二人の時間がとれていたかもしれないくらいで」
リコ「いいじゃないですか。私もバーは大好きですよ。いい雰囲気の場所でゆったりすれば、また彼を好きと言う気持ちもよみがえってくるかもしれませんし」
依頼人「そうだねー……たまには、誘ってみることにします」
 これまで、シンクに顔を向けて皿を洗っていたリコは、リモートワーク中の犀人の女性を見る。出会ったときは険しい顔でノートパソコンを覗いていたが、今は少しだけ穏やかになった彼女の顔。どうやら雑談は成功したらしい。
リコ「そのための暇は、私が家事代行で作りますから。何なら、一緒にお酒を楽しむためのつまみだって作れますよ」
依頼人「そっか、確か作り置きまで頼めるんだっけ?」
リコ「えぇ、事前に頼んでいただければ、付近のスーパーで食材を買ったり、冷蔵庫にあるもので、色々と」
依頼人「いいですね、次は頼んでみようかな」
リコ「是非、お願いします。リピーターは大歓迎ですよ」
 笑顔、そして会話。今まで最低限のあいさつと、聞かれたら答えるという行動こそしていたが、自分から話しかけるというのが中々できなかったリコには、この会話の流れは新鮮だった。
 本当に言葉通りリピートしてくれるかはわからないが、少し会話を頑張っただけでリピーターを得られるというのならば、これほどうれしいことはない。
 やがて、皿洗いが終了し、掃除機を起動するとうるさくて会話どころではなくなってしまう。依頼人はノイズキャンセル機能付きのヘッドフォンを装着して仕事に集中したが、時折こちらの方を見ては微笑んでくれた。
 その後も、洗面台、お風呂やトイレといった水回りの掃除の段階になると、今度は位置が遠くて会話は出来なくなってしまったが、最後にフローリングの床を、湿った不織布で拭き掃除する段階になると、また世間話がスタートする。
リコ「今の旦那さんとは、あまり一緒にいる時間がないそうですが……どんな出会いだったんですか?」
依頼人「えー……そうですねぇ。お仕事で、別々の会社だったんですが、新商品を開発するにあたって知り合ったんです。あの時は彼がむこうの会社のリーダーで、私は提携していた会社のチームの一員だったんです」
 こうして話していると、依頼人はどうして旦那を好きになったかを思い出しているようで、懐かしむような彼女の顔がだんだんと明るくなっていく。
依頼人「なんか、こんな風に話していると、どんどんあの人と会いたくなってくるなぁ……」
リコ「私のせいですか?」
依頼人「えぇ、責任取ってもらいませんとね」
 気付けば、会ったばかりのリコと依頼人との間に信頼が生まれ、軽口までたたき合う関係となった。少し勇気を出しただけで、随分変わるものだという不思議な気持ち。強い達成感もあったが、今回は運が良かっただけで、さっきみたいな不愛想な客もいるだろう、毎回うまくいくとは思っちゃいけないとも自制する。
依頼人「あー、最近全然掃除できてなかったけれど、すごいリフレッシュできた」
 すべての作業が終わると、部屋は見違えるほど綺麗になった。
依頼人「また、ひと月くらい経ったらお願いしようかしら。今日は助かったわ。他の人にも紹介しようかしら?」
 荒れていた部屋がきれいになるところを見届けた依頼人はそういってリコに微笑みを投げてくれる。
リコ「ご利用ありがとうございました。是非とも、ごひいきにお願いします」
 そんな依頼人に、リコは今までにないくらいの達成感を感じて深く頭を下げた。帰る際、ターミナルでマリサに出会い、ハルトやリュウキといった話好きの人たちと出会い、コミュニケーション能力を鍛えてよかったと、リコはそれらの面々を思い出しながら感謝し、爆走する。足取りは軽やか、この調子で頑張ろうと、その日は一日ずっと仕事が楽しくて仕方なかった。

 そうして訪れる金曜日。今日は、初日にマリサに奢ってもらった分を返したいからと、リコは彼女を誘ってターミナルに訪れた。
 リコがマリサに「またお店に行こうと思うんだけれど、いつ行ける?」と、メッセージを送れば、マリサは「実家だし、別にいつでもいいよ」との返事が返って来たため、金曜日に行くと約束を取り付け、リコは胸を躍らせながらその日を待った。
リコ「それでね、ここで出会った人たちを真似して、笑顔を武器にして自分から話しかけるようにしたらさ。お客様との会話も弾んでね。指名、貰えるかもしれないんだ」
マリサ「すごいね。そんなに変わるものなの?」
リコ「あれだよ。家事代行を頼むような人って、忙しい人が多いから。仕事とかで、仕事のお話をすることは多くても、きっと普通の世間話をする機会とかに恵まれていなかったんだと思う。もちろん、そういう話を必要としない人もいるし、世間話くらいはできる人もいるのかもしれないけれど、今回はたまたま刺さったんだと思うよ。
 本当に指名が来るかはわからないけれど、高評価でオール5を貰ったのは初めて。今までは接客態度が4が最高だったから。もともと評価が甘い人なんだろうけれど、それでもオール5はなかなかないね」
マリサ「でも、それで二人のお客様からかぁ……たった一週間で、でしょ? こりゃ、この調子で続けたら売れっ子になるんじゃない?」
リコ「そうなったらいいよね……指名をたくさんもらえたら、昇給もあるからさ。エージェントの階級が上がって、依頼料と時給が少しずつ上がってくの」
マリサ「ちゃんとそういう制度があるのはいいね。私も、デザイナーとして人気が出たら会社の給料上がるかなぁ……なんにせよ、やったじゃん? リコちゃんならもっと上を目指せるよ」
 笑顔と会話を頑張る。それだけで劇的に仕事が改善したリコの自慢を聞いていると、マリサも一緒になって喜んでくれる。こういうところがマリサを好きになる理由でもあり、見習うべきところだ。
リコ「ありがとー! そうだよね、この程度で満足なんかしちゃいけないんだ。もっともっと、私はいいエージェントになって……そして夕食のおかずを毎日一品増やせる女になる!」
マリサ「その意気だよ、リコ! 太るぞー!」
リコ「体型維持したまま頑張りますからー!」
 こうして、褒めてもらえる、一緒に喜んでもらえる空間がリコにはとても心地よかった。

 そんな会話をしていると、一階にしかないトイレに行くために、二階から降りてくる客の姿。
リコ「ねぇ、マリサ……あれは……」
 リコの指さす先には、小柄と言うには無理があるほど小さな猫人の女性であった。頭の上半分が灰色のまだら模様、それ以外は真っ白な柄で、緑色の光彩が可愛らしい。可愛らしいけれど、こんな場syにいるのにはふさわしくない年齢に見える。
リコ「いいの? 明らかに子供でしょ!?」
 うまく言葉に出来ず、リコはあいまいな言い方で尋ねる。
マリサ「あー、あれね……本当はこう、ちょっと問題ある感じではあるんだけれど、私たちも昔はあんな感じで子供なのに店にいたから、強くは言えないんだよね。それに、私が成長しちゃったから……第二の女の子枠で、案外人気あるの」
 あんな子供が酒を飲む店にいてもいいのか、という疑問を察したマリサはそう言って難しい顔をする。
リコ「えー、第二のマリサちゃん……? ってことは、集客効果はあるの?」
マリサ「あるよ。ボードゲームをやりたがるお客さんがいるの、米良さんとか」
リコ「また米良さんか……」
マリサ「でも、一応21時までには帰ることになってるよ。法的には22時までは大丈夫だし、ここの常連さんが保護者の代わりをやってくれてはいるんだけれど……でも、まだ小学生だしね。だから、警察に補導されないように、21時までにしてる」
リコ「夜更かしはいけないし、防犯の問題とかもあるから、そんなもんかぁ」
マリサ「うん、家はすぐそこだから、毎回うちの常連さんが送ってくれる……米良さんが特に積極的にやってくれる」
リコ「それも米良さんなんだ!? あの人、子供が好きなんだねぇ……それとも、女の子が好きなのかな?」
マリサ「ハルトへの態度を見た限り、子供が好きなんだと思うよ。しかも、イエス・ロリータ。ノータッチ! の原則は守ったうえで……少なくとも私は、おむつ卒業してから裸を見られた記憶はないし。ま、ハルトはどうか知らないけれどね?」
リコ「なんか、ちょっと判断基準が生々しいんだけれど……でも聞く限り、クニシゲさんはものすごい聖人じゃん……」
マリサ「冗談抜きであの人マジで聖人だから、感謝しなきゃだよ」
 マリサの言葉にリコはだよねぇ、とうなずく。バーの経営なんてしていたら子供の面倒なんて見切れないだろう、それでもどうにかこうにかマリサとハルトは、(数回会った限りでは)非常にまともに育っている。むしろ善人と表現してもいいくらいにはまともに育っているのだから。
 もちろんマスターが苦労して育てたことが八割の要因だったとしても、残りの1割でもクニシゲさんだというのならば、他人の子供に対してそこまで熱心になれる人を聖人と呼ばずしてなんというかというレベルである。
 そんなクニシゲさんのことを思いながら、リコはトイレを見つめていた。
マリサ「何、あの子のことが気になるの?」
リコ「まあ、ね。もちろん、あの子自身のことも気になるけれど……その、気になるのは周りのお客さん、かな」
マリサ「と、言うと?」
リコ「以前、一度会った時からこのお店の客たちが、マリサやハルトに対してどんな態度だったか気になっていたのよ……あの女の子は、マリサの二号機と言うか後継者というか、マリサちゃんの二代目みたいなもんでしょ? だから、あの子を通して、マリサちゃんがどんな風に育ったのか。周りの人がどうしてたかを知りたくって……」
 リコがそういうと、マリサは手持ちの酒を口に含んでから笑う。
マリサ「あら、親の顔が見てみたいってやつ?」
リコ「そういうこと。もちろん、いい意味でね? ……まぁ、目の前にいるんだけれど」
 リコはそう言ってマスターを見る。マスターは微笑みながら会釈をしてくれた。無口だけれど、マスターはちゃんと娘のことを見てくれている、そういう人だった。

 猫人の女の子がトイレから出てきたところで、リコはまだグラスに残っているイェーガー・マイスターをぐいっと飲み干し、空のグラスをマスターに預けて二階へと向かう。
マリサ「リコさん、あれで最初は店のドアの前で入るかどうか迷ってたんだよ? たった一ヶ月で人って変わるもんだね」
マスター「お前が変えたんだろ? ほんと、お前はすごいよ」
 リコを見送りながら、マスターとマリサは、店員と客ではなく、親と子としての会話だ。

 さて、二階に上がってみると、たった数分の暇をも無駄にしないようにお客様と会話しているリュウキの姿に加え、先ほどの猫人の女の子と、その相手をしている狐人の男性が最初に目に入る。その狐人の端正な見た目には、思わず目を奪われた。酔いがさめるような、近くに行ったら酒よりも酔わされそうな、そんな見た目。つややかな黄土色の毛並みと、黒曜石のような瞳、ふんふんとかわいらしく動く真っ黒な鼻。どこからどう見ても隙のない美形ぶりに、リコは猫人のことを一瞬忘れてしまう。
リコ「あ、どうも……初めまして、ですね」
狐人「初めまして。見ない顔だね、最近来たお客様かな?」
リコ「はい、リコと申します。ほんの二週間前に来たばかりですが……何だか気に入ってしまって、もう三回目なんです。えっと、お兄さんは……」
ハシル「僕は市川 奔いちかわ はしる。この甘草で占い師をやっています。これ、名刺です」
 そう言って、ハシルは名刺を差し出す。磨き抜かれた爪……マニキュアもしていないのにピカピカだ。
リコ「占い師で、面接代行業等もやっている……ですか。占い師ってタロットとか、水晶とか使うんですか? それとも手相とか? 私、あんまり信じてないんですけれど、あたるんですか?」
ハシル「うーん、手相とかをあんまり信じていないなら……うん、ぶっちゃけるけれど、タロットも水晶も手相も使うけれど、でも全部当てにはしてないよ」
リコ「は、はい?」
 それならどうやって占うんだろう、とリコは首をかしげる。
ハシル「本当に未来の運勢がわかるんなら、僕は株や競馬で財産を築いてるよ。そんなの出来るわけないでしょ?」
リコ「で、ですね」
 ハシルにぶっちゃけられて、リコは苦笑する。
ハシルぼくの占いはね、観相学っていうのを用いるんだ」
リコ「観相学、ですか」
ハシル「例えばだけれど、スポーツ選手や格闘家の裸を見たら、筋肉の付き方でその人がどういうスポーツをやっているか、なんとなくわかるでしょ? ボクサーはボクサーの筋肉、サッカー選手はサッカーの筋肉、体操選手も水泳選手も、筋肉や骨格には個性が出る。
 そして、それは表情筋にも出る。よく笑う人は、真顔になってもよく笑っていることがわかる顔になる。よく怒る人、よく嫉妬してる人、他人を見下している人、努力してる人、辛い目にあっている人……表情は嘘をつけてもね、表情筋は嘘をつけないんだ」
リコ「ほほー、それはなんだかおもしろそう」
ハシル「今まで言ったのが、観相学の中の面相の部分。観相学では更に広く、喋り方、目線、姿勢、ファッションに至るまで、その人のすべてを見る。見たうえで、これまで見てきた人たちと比べ、その人の未来を予測するんだ。尻尾や耳も見られるから、注意してね。
 ボクサーになって成功する人はどんな筋肉、どんな骨格をしているか? この人の体型や筋肉の質、関節や健の質ならば、ボクサーで成功するだろう、水泳で成功するだろう、はたまた重量挙げで成功するだろう……といった感じで診断するように。
 観相学を学べばね。『この顔、このファッション、この仕草、姿勢ならば……』この人は何をやっても成功するタイプだ。この人は人の上に立つのは苦手なタイプだ、この人は何をやっても失敗するタイプだ、結婚できないタイプだ、ナンバー2が向いているタイプだ、みたいな感じで適性が見えるようになる。
 もちろん、宝くじに当たるとか、地震などの災害や、交通事故に巻き込まれるとか、そういう降って湧いた幸運や不慮の事故に対しては観相学はどうしようもできないけれど、でもね。その人を見れば、大体の運命が見えるようになるんだ。
 1回2回ならば偶然で良くも悪くも事態が変わることもあるだろう。けれど、100も200も回数を重ねれば、事象は収束する。野球やサッカーリーグの順位のようにね」
リコ「それはなんというか、すごいですね。今度占ってもらおうかな……」
ハシル「名刺に書いてある通り、六区通りのお店で占いをやっているから、もしよかったら来てみてね。休日は予約必須だけれど、平日の昼なら空いてるかもだから。……そんなことよりもほら、こっちにも自己紹介がまだなレディがいるんじゃないかな?」
リコ「あ、そうですね。えっと、貴方は……」
マイ「宝条 麻衣ほうじょう まいです。お姉さん、よろしくお願いします」
 マイと名乗った少女は、座ったままちょこんと頭を下げる。可愛らしい子だけれど、いったいこの子、どんな事情でここにいるのかと気になってならない。服はとても可愛らしいワンピースを着用しているが、少し黄ばんでいた。靴はボロボロ……毛並みはそれほど悪くない。歯も、一応綺麗だ。テーブルには、学校の宿題だろうか? ドリルに加えて鉛筆と消しゴムが置かれている。消しゴムも鉛筆も随分ちびになっている。最後まできちんと使うといえば聞こえはいいが、ペンケースには、そのチビになった消しゴムや鉛筆が大量にあった。
 もしかして、ほかの子が捨てたものを再利用していないだろうか……? まるでホームレスが食べ残しを漁るように。
リコ「マイちゃん、ここはバーだけれど……その、未成年だよね?」
マイ「えぇ、まぁ……その、家に帰っても親がいないので、寂しくて。だから、こうしてお店にいさせてもらっているんです」
リコ「すごいね。子供とはいえ、スペースを取る以上お金をとってもいいと思うのに……マスターも心が広いよね……」
マイ「お金は払えないけれど、その分お掃除のお手伝いくらいはしてるんですよ? 床掃除とトイレ掃除に、テーブルや椅子。ごみ捨てのお手伝いや、こまごまとした備品のお使いなんかもたまにやってます……あと、ハルトさんから料理を教わってて……今では、代わりに夕食を作ったりもしてるんですよ」
リコ「へー、偉いじゃん。ちゃんと働いているんだ」
マイ「そんな、大したものじゃあないです。子供の私にできることなんてたかが知れているから……」
 マリサやハルトも昔、よくお店で過ごしていたという。母親がろくでなしであったせいというあたりは彼女らと同じだ。二人は大人になった今はもう吹っ切れているようにも見えるが、マイはまだ子供。下手に家庭のことを聞いてしまえば、いつ地雷を踏みぬいてしまうかもしれない。リコは彼女の距離感を探り探りで会話を進めていく。
リコ「私もね、お仕事で掃除はよくしているんだ。家事代行ってお仕事でね……お掃除したり、お洗濯や料理をしたり、アイロンをかけたりね。掃除はもう、それは隅から隅まで掃除するからトイレや床だけじゃない、家具はもちろん、お風呂や洗面台もやるの。
 マイちゃん、まだ小学生なのにお仕事が出来てるんだし、こりゃうちの会社に入ったら即戦力だね」
マイ「大人になってもお掃除なんですか?」
リコ「そうだよ? 忙しくてお掃除する時間もない人は沢山いるから。マイちゃんも頑張っていれば、お掃除で立派なお仕事ができるようにもなるかもね」
マイ「私が出来ることなんて、学校のお掃除とそんなに変わらないけれど、大丈夫なんですかね?」
リコ「心を込めてやれば問題ないんじゃない? お掃除って、そりゃ早く、よりきれいにやろうとすれば技術も必要になってくるけれど、真心が一番大事だからさ」
 マイはリコが話しかけてやると、案外すぐに心を開き、喜んでいろいろと話してくれる。それがうれしくてリコもまたマリサにそうするように会話をする。
マイ「お仕事かぁ……なんか、全然想像できません。お母さんが働いているところ、よく連れてってもらってたけれど、お母さんが働いているところは見せてもらってないので」
リコ「どんなところなの?」
マイ「男の人が女の人とお酒飲むところ。お酒飲むってだけならここと同じだけれど、見せられないんだって言われました」
 どうにも、マイの母親は、スナックなのかホステスなのか、とにもかくにもここ以上に子供にふさわしくない場所で働いているらしい。働く様子を一切見せてもらえていないマイは、寂しげに顔を曇らせる。
リコ「それはちょっと寂しいね……でも、マイちゃんが生活するために働いているんだから、仕方ないね」
マイ「ううん、お母さんが働いているお店、休憩中の人が私と遊んでくれることもあったけれど、お母さんはまじめに働いていないそうです。なんか、職場のみんなに嫌われてるし、私の服もボロボロだからって、おさがりくれたりしてて……。私、かわいそうな子なんだって。職場の人はみんなそう言ってます」
 言ってるうちに、マイの顔が曇っていく。見かねたハシルは顔を近づけ、微笑みかけた。
ハシル「ほら、顔が沈んでるよ。スマイルだよ、マイちゃん。笑顔はコスパ最強のお化粧なんだから、一番かわいい自分でいなきゃ」
マイ「あ、はい。いや、だめですよね! 楽しくお酒を飲むお店でこんな顔をしてちゃ」
 ハシルに笑顔が足りていないことを注意され、マイは顔をたたいて表情を直す。ちょっと笑顔が固かったが、さっきの憂い気な顔よりは可愛い顔をしている。それにしても、ハシルのセリフは、マリサが言っていたセリフそのものだった。知り合いの占い師、どんな胡散臭い奴かと思ったが、うさん臭いというよりは、「たらし」だ。今までこの店で出会った誰よりも。嫌いになれるはずがない奴である。
リコ「それじゃあ、お母さんは好き? それとも嫌い?」
マイ「うーん……わかりません。でも、ここの人たちは好きかな? だからね、私……大きくなったら、ここの人たちみたいな人と、幸せな家族を作りたいなって思ってます……働いて、お金を稼いで、綺麗な服とか、おいしいもの食べて……そんな感じで」
ハシル「立派な夢だよね。僕もつい応援したくなっちゃうよ」
 リコがずっとマイと話しているのを笑顔で見守っていたハシルが口をはさむ。
リコ「夢かぁ……私は小学生の頃は、夢とかそんなの全然なかったな。なんとなく、お父さんみたいな人と結婚して、お母さんみたいになって、私みたいな子供が生まれるんだって思ってて……そっか、それが夢、なのか。なんか、それくらい当たり前だと思ってた」
ハシル「それが当たり前だと思えるのなら、それが幸せってことですよ、リコさん。平凡な人生かもしれないけれど、幸せの軸が自分にあるから、そういう人は幸せになりやすい。他人より上に立ちたいとか、皆に幸せをアピールしたいとか、そういう幸せの軸が他人にあるような夢よりもよっぽど健全だ。リコさん、いい性格をしているんですね、きっと将来幸せになれますよ」
リコ「あ……それは、どうも……そこまで言われたら、なんか幸せになりたくなってきた……じゃあ、そうだね。マイちゃん、今から勉強頑張って、立派に働けるようにならないとね! 将来幸せになるために。私もマイちゃんも、10年後笑って過ごせるようになろう!」
マイ「うん、宿題も8時までに終わらせるつもりです。集中力、大事ですからね!」
ハシル「その意気だよ。それじゃあ、がんばろっか」
 リコが話しかけたせいで勉強は中断してしまっていたが、こうやって一通りの会話を終えたところで、マイは机に向かい始めた。それにしても、こんな子供が店に来てもみんな当たり前のように平然としているし、それどころか当たり前のように勉強の面倒を見ている。店の客層がマリサとハルトのせいで変わってしまったという話は聞いたが、その客層とやらがどんなものか、リコは実感として理解できた。
 二人が立派に大人になっても、こうして子供の面倒を見る客が当たり前にいるのだ、このお店はつくづくおかしな……しかし居心地のいい場所だと、リコは感じた。
  マイの宿題はリコも一緒になってハシルと共に見守った。マイは年相応の頭脳はあるらしく、小学生の算数くらいならば苦も無く解けるらしい。ハシルも、真剣にドリルと向き合うマイの顔を笑顔で見守っているだけで、躓く箇所がなければ口出しはしなかった。
マイ「えーっと……速度を求めるには……どっちでどっちを割るんだっけ」
ハシル「100キロメートルの道のりを2時間でたどり着いたら? 逆に30分で駆け抜けたら?」
マイ「えっと……時速50キロメートルと、200キロメートル……に、なるわけだよね? えっと、じゃあ……15キロメートルを20分ならば……15を3分の1時間で割る。つまり15を3でかけるわけで……時速45キロメートルと……」
ハシル「正解。訳が分からなくなったときは、数を簡略化して考えてみると、計算を思い出せるようになるから、頑張って」
 マイが悩んだときは、こんな風に計算のヒントを出すなどして、公式を思い出させている。リコは、自分も小学生の頃は速度と距離と時間の関係を覚えるのに苦労したものだと思い出して、懐かしい気分になる。気付けばリコまでマイの表情を追いながら、追加で頼んだショットグラスを揺らしていた。会話をしているわけではないが、マリサと話しているときのそれとは違う高揚感があった。
マイ「よし、宿題終わり! 現在、7時23分!」
ハシル「やるね。それじゃ、きちんと宿題を終えられたってことで約束通り……僕のおごりで、なに飲みたい?」
 二人はきちんと宿題を終えられたらソフトドリンクを一杯奢るという約束だったらしい。ハシルはメニュー表をマイに見せる。向き合ったハシルの顔を見て、マイが微笑んでいるのが一瞬見えた。なるほど、これほどの美形男子が相手なのだ、勉強を教わっている家庭教師以上の感情を抱いていてもおかしくはない。幼さを武器にしているとはいえ、そんな男を独り占めにするのは大したものである。
マイ「コーラを……一緒に飲みましょう」
ハシル「一緒に? 照れちゃうなぁ。いいよ、おいしいものは分け合わなきゃね」
 なんという甘いマスクに、心地よい言葉遣い。占いは女性客の方が多いイメージがあるし、その中には占いよりもハシルそのものが目的の女性の一人や二人もいるだろうということが容易に想像できる。
 二人で一杯のコーラを回し飲みしている光景を見て、リコがちょっと羨ましいかも……と、子供相手に情けなく嫉妬していると、それに気づいたハシルはリコに微笑みを投げかける。そもそも種族が全然違うのだ、子供なんて望めない相手と付き合うほど馬鹿ではないリコだが。少しだけ、ほんの少しだけハシルにときめいてしまったのを隠すことはできなかった。
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