BAR・ターミナル~ケモノ達の交わる場所~

Ring_chatot

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5話:四面楚歌に晒す

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 その日は月曜日。週の初めに何やら少し離れたところでは馴鹿トナカイ人の平 光一タイラ コウイチは、マスターに変なお願いをしていた。
コウイチ「お願いします、マスター……今週の金曜日、このお店で、マルチの商談を許してください」
 その日のマリサは、仕事でちょっとしたミスをして、嫌なことを忘れたいがために一杯だけ飲んでリセットしようと、ぽけーっとしながとしながら話を聞いていたがコウイチの要求が耳に入ると、何だか興味を引かれて一気に気分が現実に引き戻される。
マスター「はい? いや、このお店……詐欺とか投資の勧誘の話は禁止だよ? いや、投資の話自体はいいけれどさ。この銘柄を買ったとか、売ったとか……でも、『この銘柄は確実にもうかるから買っておきなよ』とか、なんか『ネットビジネスで将来に備えよう!』みたいなのは、ダメだし……」
 当然のことながら、怪しい詐欺話のような話は、このBAR・ターミナルでは禁止である。難色を示すマスターだが、コウイチの表情は真剣なままだ。
コウイチ「それは、わかってます。だけれど、この場所でやりたくて……ここならみんな顔見知りですし。もちろん、お客様を勧誘したりなんてしません。むしろその逆です」
マスター「ふうん……つまり、どういうこと? 他じゃいけない理由があるってこと?」
 気付けばマリサは、コウイチの話の方に夢中になっていた。
コウイチ「……俺の職業、風俗店のボーイなんですが、そこの嬢がですね。詐欺に引っかかっておりまして……なんでも、よくわからない『師匠』とかいう人の親会員から勧誘して、子会員になったみたいな感じらしくて……」
マスター「ふむふむ……あ、すみません。また注文が……」
 そんな話をコウイチとしている間に、別のお客様からの注文が舞い飛ぶ。
コウイチ「あぁ、お気になさらず……はぁ」
 不可抗力とはいえ会話を中断され、コウイチはため息をついて席に座りなおした。月曜日、今日は混む日ではないとはいえ、マスター一人で回している以上、こういうことは当たり前に起こる。
マリサ「コウイチさん、なんなら私が話を聞こっかー? あとで父さんに伝えるからさ」
コウイチ「あぁ、助かる。じゃあ、お言葉に甘えて……えっとね、俺の職場が風俗店なのは知ってるよね? そこの風俗嬢の一人にさ、変なセミナー? だかで騙されて、マルチ商法に引っかかっている子がいるんだ……その子がね、客まで勧誘して客から苦情が来ちゃってさ。何とか辞めさせたいんだけれど、目を覚まさせるのが難しくってさ。それをハシルさんに相談したら、『僕が何とかする』って言ってくれて」
 市川 奔いちかわ はしる。占い師の狐人は、実は占い師界隈ではそれなりの有名人らしく、どこかの企業の社長だとか、いくつもの店を持つオーナーだとか、そういう相手とも親しいらしく、たまに面接の場に同席する、『面接代行』なる業務までやっているのだという。そんな占い師が何でこんな場末のバーに来るのかはよくわからないが、米良さんと同じ理由で困ってる人を放っておけないタイプなのだろうか。
 コウイチはどんな客かといえば、このコウイチという男も、風俗店のオーナーが、新規開店する草食獣専門の風俗店のオープニングスタッフ募集に、ハシルが面接官として同席したときにやとわれた男だと、マリサのメモには書かれている。
 その縁でコウイチもたまにバーに来てくれるのだ。なんでも、ハシルはコウイチのことを見たとき、その目、その仕草が、その口調がいたく気に入ったようで。オーナーに対して『こいつのことはぜひ雇うべき』……と、強く推したのだとか。その時は、ファストファッションで揃えた……悪く言えば、安物の服で固めた若造だったらしい。
コウイチ「それでね、風俗嬢の子は……まぁ、なんていうのかな? こんな言い方はあまりしたくないけれど、頭が悪い子も多いんだ。もちろん、奨学金を返すだとか、親の借金を返すとか、きちんと目的があってお金を稼ぎたい子もいるんだけれど……その、マルチに騙されている子はこう、結構頭が悪い子なの。もうぶっちゃけね、馬鹿なの。
 で、俺としてはその子を助けたいんだ。このままじゃ客から苦情が来てクビにせざるを得ないし……そうなったらその子は、マルチの会員費を払わなきゃいけないのに無職になって路頭に迷っちゃう。風俗嬢になるような子だ、守ってやらないとさらにやばい仕事に就くしかなくなる」
マリサ「えー……それって立ちんぼとか? 場合によってはろくな避妊もせずに売春とかして……無計画に妊娠しちゃうとかありえるよね?」
コウイチ「実際あるよ。風俗店だもん、噂はそれなりに回ってくる。その子、全然勧誘が上手くいかなくて焦っているから、『じゃあ俺が話を聞くから、君を勧誘した親会員を連れてきてよ』って、約束したんだ。で、今のところ、話を聞く場所が決まっていなくって……ハシルさん曰く、『ファミレスとかでもいいけれど、できれば周りを全員が顔見知りで固めるのがいい』ってさ……それで、このお店ならいけるかな? って感じで言われました。その風俗嬢、自分をマルチに誘った親会員を連れてくるからさ。このお店、完全なホームで彼女の洗脳を解きたいんです……ファミレスと違ってこの店なら、全員が『その話はおかしい』って説得する状況を作れる」
 ところどころ、話がうまくまとまっていないのか、回りくどい説明や、わかりにくい表現があったものの、とにかく彼がマルチに騙されている風俗嬢を救うためにこの頼みをしていることはわかった。
 うちに来る客を騙すためならともかくだが、そういうつもりでないなら使うのもありだろう。ハシルのことを認知している常連客は多いし、そういうことなら協力してあげてもいいのではないか、とマリサは思う。
マリサ「今日の夜、改めてお父さんに伝えておくよ。あと、私と連絡先も交換しましょう」
コウイチ「ありがとうございます。その嬢、問題行動はありますけれど、愛想がよくてスタッフからも客からも評判のいい嬢なんです……それに、めちゃくちゃ毛並みもよくて抱き心地がいいって、評判な子で……なんとか、協力お願いします……これ、俺の連絡先です」
 コウイチが改めて頭を下げる態度を見て、マリサは黙ってうなずく。もちろん売り上げのためもあるのだろうけれど、この真剣さは純粋に誰かを助けたいという気持ちもあるに違いない。
 なんでだろう、このお店はこういう人が集まる魔力でもあるのだろうか。改めて、お人よしに恵まれた素敵なお店だあぁ、とマリサは微笑んだ。
 その日、営業終了後にマリサはコウイチの話を父へと伝える。マルチの話や宗教の話を店でやられると苦情が来る原因になるが、事情が事情だ。常連さんに話を通して協力してもらえばいいだろう。その代わり、コウイチには協力してくれた人たちに酒を奢るようにと、父はマスターとして、コウイチに伝えた。

 そして金曜日。
マリサ「と、言うわけなんだけれど、リコちゃんはどうする? 今日、目を覚まさせるための説得するんだってさ」
 リコは、今日このお店でマルチの話が繰り広げられると聞いて、一連の話を苦笑しながら聞き終えた。
ハシル「まずは、コウイチさんが詐欺に騙される。そこを、僕が論破します。詐欺の知識はありますので、任せてください」
 ハシルは、今日はひどく地味な服を着ていた。上は赤色無地のパーカーで、下は黒いパンツ。しかもデザインが安っぽく、薄汚れているから部屋着と言っても信じられる。せっかくのイケメンもオーラが台無しだ。
リコ「あの、その恰好は……」
ハシル「この格好の方が、油断するでしょ? 詐欺するなら、馬鹿っぽく見える方がいいよね?」
 よく見ると服にはたばこの焦げ跡がついている。バカっぽくするためにそこまでするか、とリコは口元が緩んだ。
ハシル「そのうえで、僕が『貴方には天罰が下りますよ』とか言って、周りの人がそれにのっかる感じ」
リコ「そんなわざとらしいので……大丈夫なの?」
ハシル「……ふむ。例えばだけれど、リコさんは電化製品とかの仕組みって詳しく説明できる? 説明されたところで理解できる?」
リコ「いや……説明できないし、多分理解できないけれど」
ハシル「そ、仕組みを理解できなくても、人は電化製品を使えるし、買い物だってできるの。だからね、理解できずに詐欺の話に乗っちゃうことだってある。コウイチ君の言う通り、風俗店には頭の弱い女の子が多いから、理解できずに話に乗っちゃうみたいなことはさもありなん、だね。だからね、そういう人たちには、理論やデータで騙すんじゃない。雰囲気でだますんだ。
 陰謀論とか、地球平面説、反ワクチンとかだってそう。特に証拠はないけれど、『世間の人は騙されてる! 私が真実を知ってます』っていう内容を、大真面目に、それっぽく、雰囲気で語れば、馬鹿は騙せる。
 ……そして、そこから目を覚まさせるのも、大事なのは雰囲気だ。幸いなことに、僕は占い師としての知名度はそこそこあるし?」
リコ「なるほど……でも、騙される人を、馬鹿って言い切っちゃうんですね」
 それ、角が立たないのだろうか、とリコは苦笑しながら首をかしげる。
ハシル「こんな言葉は使いたくないけれど、そりゃ言葉を選ぶことで詐欺が減るんなら、もっと丁寧な言葉を使うけれどね。でも、現実はそうじゃない。言葉を選んだところで、馬鹿は騙される。なら、はっきり言っちゃったほうがいいのさ」
リコ「ふむぅ……」
 ハシルがあんまりにもはっきりというもので、リコは違うと思う、の一言を言いたいけれど何も言えない。
ハシル「言いたいことはわからないでもないよ。馬鹿であることがコンプレックスになってる人もいる。でも、傷口には消毒液を塗ったり、ひどいときは縫わなきゃ治らない。目を背けるくらいなら、きちんと消毒して縫ったほうがいいの。
 それに……『馬鹿だから騙しやすい』は、『バカだから騙していい』じゃあないんだよ。だますような奴を許すつもりはないからさ。僕と一緒に、迷える子羊を救ってくれると嬉しいな」
 イケメンが微笑みながらお願いしてくる。服がボロボロでオーラが封じられていても、近距離だとそれも気にならない。相変わらず、見つめられると異種族なのに魅了されてしまいそうだった。
リコ「……それなら、私も協力します」
 こうして、詐欺師撃退の作戦が始まった。

 コウイチは二階の席で、羊駄アルパカ人の風俗嬢、酒井 灯さかい あかりに連れられてきた詐欺師と対峙していた。
 風俗嬢のアカリだが、女児から人気なキャラクターグッズの中でも、少し小悪魔的な黒い色の頭巾が特徴のウサギの女の子モチーフの服や小物で身を固めており、黒と紫と白で統一されたそのカラーリングはいわゆる地雷系だ。全身にぬいぐるみをごちゃごちゃにくっつける中、赤い頭巾のウサギのぬいぐるみが一つだけポツンとあるのも気になるところだ。そこは統一しようよ?

 詐欺師の見た目はと言えば、驢馬ロバ人の男、名前を澄田 紫苑すみた しおん。まず結構ぽっちゃりしてる。太ってるといってもいい。そしてなんか高そうな靴、左腕になんか高そうな腕時計、なんか高そうな上下の服は、骸骨が描かれていて物々しい。そのくせ、シルバーのネックレスは十字架という妙な組み合わせ。右腕のパワーストーンらしき数珠も、非常にダサくて何とも言えない。
 せっかくの綺麗な腕時計と靴なのに、服のセンスが悪すぎるし、室内なのになぜか派手なサングラスなのも無茶苦茶ダサい。どんなに美味しい食材でも、組み合わせが悪ければごみのような料理ができるという見本のような壊滅的なファッションだ。
 何よりダサいのが、右腕の毛を剃って、そこに炎のような入れ墨を入れているところ。街でナンパされたら、思わず交番に逃げ込みたくなるような見た目だ。まぁ、風俗嬢ならばこの程度の男性は毎日見ているのだろうけれど、店の中ならともかく外でこれは……と思わずにはいられない。それがリコの第一印象だ。
 そんな二人にテーブルをはさみ、車で来ているコウイチはウーロン茶を飲みながら、真剣に耳を傾けている。
 手首にはカメラ付きの腕時計。ペンは二本あり、一本はメモに記帳するためのもの。胸にさしているペンはカメラ付きである。
シオン「それでさ、俺の師匠が教えてくれる商売のノウハウがすごくってさ。師匠の言う通りにしたら、儲かって儲かって仕方ないってわけ。師匠はお金に困る人を減らしたいからって、俺やアカリちゃんみたいに、どんどん会員を増やそうとしてくれているんだ。
 すげー人だよね、自分だけじゃなくて、顔も知らない他人のためにお金を儲ける方法を教えてくれるの。そんな師匠のおかげでさ、俺も儲かっちゃって仕方がないわけ。風俗店も行き放題で、人生最高って感じ。お兄さん、風俗店のボーイでしょ? 可愛くてヤレる女の子と一緒に働いているのに、それを見てるだけって辛くない? 男なら抱かなきゃ! 世の中の女。
 そのためにはさ、やとわれの従業員なんてやめてさ、俺と同じ副業で儲けるのが一番ってわけ。だからさ、葉や遅れと一緒に稼げるようになろうぜ」
 うさん臭い。よくまぁこんな男によく騙されるな、と思うリコ。こんなんでも信じてしまうアカリという風俗嬢、よっぽど頭が弱いのだろう。
コウイチ「はぁ、すごく儲かるんですね……いいなぁ、俺もそれくらいお金を使えるようになりたい」
アカリ「そうでしょ、コウイチさん。スミタさんは、普段の生活もすごく派手で……ほら、SNSでも」
 リコのいる場所からはどんな写真なのかは見えなかったが、アカリが見せた画面には豪勢な暮らしが映っていたらしい。
コウイチ「うわ、すげ。これスポーツカー? 高くないんですか」
 コウイチはそれに興味を示した振りをして、席から身を乗り出している。
マリサ「気になってるところ悪いけれど、次はリコの番だよ」
リコ「あ、はい」
 リコはマリサやマイ、ハシルと共にボードゲームの真っ最中。しかし、光一たちの会話に夢中で全然集中出来なかった。草食人が持つ360度に迫る広い視野の端っこに詐欺師を捉え、耳も後ろ側にぴょこんと向けている。
リコ「えーと……」
 全然集中できておらず、リコは適当にカードを置く。
マイ「あらー。いいんですかリコさん、そんなことしちゃって」
 マイに笑われた。あ、これ負けるやつだとリコは悔いるのであった。
シオン「それにさ、今この国の将来ってやばいじゃん? 少子高齢化社会、医療保険制度や年金制度の崩壊、マイナンバーカードの施工に、物価高。おまけに戦争の危険性だってある。将来に備えなきゃ!」
 戦争の時に、金はいくらあっても意味がないのでは? 貴金属とか暗号資産の方がいいのでは? と、リコはあきれる。そしてマイナンバーで何がどうやばくなるのか、具体的な説麻衣が欲しいなとリコは苦笑する。どうせなんかそれっぽい言葉を並べているだけなのだろうというのは予想がつくが、ここまでツッコミどころ満載の勧誘でいいのだろうか。
リコ「こんなんに騙される人、いるんですか?」
 我慢しきれず、リコはハシルに耳打ちする
ハシル「逆だよ。まともな頭の人は、あんな勧誘を聞けば一瞬で去っていく。最高に頭の悪い人を選別するために、あえて頭の悪い勧誘をするんだ」
リコ「なるほど……」
 こんな調子でリコはあっちの話に意識を集中しているから、ボードゲームの結果はボロボロだ。マリサとマイはほぼ話の内容を気にしていないようなので普通に戦えているのだが、驚くことにハシルはボードゲームをやりながらでもちゃんと向こうの話を聞いているようである。マルチタスクの才能の差を感じずにはいられない。
シオン「師匠は一晩でキャバクラで50万を使うようなこともあったりして、マジですごいんだよね。車も1000万円超える外車でさ、運転手もよく雇ってるんだってさ。あの人についていけば何も心配しないよ」
 シオンはとにもかくにも師匠に会えば変わる、師匠はすごい、そればっかり並べ立てて、具体的にどのように儲けているかは一切わからない。けれど、SNSの派手な暮らしを見れば、もしかしたら本当なのかもしれない、と思う人は思ってしまうのだろう。
シオン「つーわけでさ、よければ明日行われるセミナーに参加してみない? コウイチ君はお金が欲しいんでしょ? だったら冒険しなきゃ! リスクを取らずしてリターンを得ずって言うでしょ?」
コウイチ「……いいですね! 俺も儲けたいし、そのセミナーに行ってみます! アカリちゃん、すごいことを教えてくれてありがとう!」
アカリ「あ、はい……」
 コウイチにお礼を言われてアカリは顔を伏せる。
ハシル「へぇ、その話、僕にも聞かせてもらえないかな?」
 そのタイミングを見計らってハシルが立ち上がった。
マイ「あ、行っちゃった……詐欺師、退治するんだっけ?」
マリサ「そうだよ。ごめんね、ゲーム中断させちゃって」
マイ「いいよ、別に。むしろ、ハシルさんの格好いいところ、見てみたいかも」
 マイとマリサは小声で話す。あらかじめ打ち合わせ済みだったマイはさして気にすることなく、むしろハシルの晴れ舞台を楽しみにしているようだった。
ハシル「すごいね。そこで聞いていたけれど、儲かるんだ。僕にも聞かせてくれない? どれくらい儲かってるの?」
 突然、ハシルに割り込まれてシオンは驚き面食らっているようだ。しかしながら、ハシルのみすぼらしい格好を見て、これならカモにできるかもしれないと、目が吊り上がったいやらしい笑みを浮かべる。
シオン「どれくらいってそりゃあもう、お金を使い切るのが最初は難しかったくらいさ。生活のグレードが一気に上がったからなぁ」
ハシル「へぇ、すごいね。その師匠に弟子入りしたのって、いつぐらいから?」
シオン「半年前だよ。最初の一か月は全然だったけれど、二か月目くらいからかなり軌道に乗ってさぁ」
ハシル「その腕時計、いつもつけてるの?」
シオン「おうよ」
ハシル「さっき、高級車に乗ってるって話だったけれど……」
シオン「お、写真見るか?」
ハシル「あー、見るけれどその前に……鍵は持ってるの?」
シオン「え、あ、いや……鍵は持ってないんだ。家に置いてるから……」
ハシル「車のナンバーは今言える?」
シオン「さぁ? そんなの忘れたよ」
ハシル「そっかー。儲かっているってことは、銀行口座にはたくさんのお金が入っているわけで?」
 ハシルがのらりくらりと質問攻めをしていると、シオンの表情がどんどん不機嫌になっていくのがわかる。
シオン「おいおい、初対面の人間の貯金なんて聞いてどうするつもりだよ。盗むつもりか?」
ハシル「ははは、盗むつもりなら、こんなところで顔なんか会わせずに、夜道で後ろから襲ってますよ。僕はただ、貴方が大金を持っているのなら、貴方のことを信用してもいいかな、って思っているだけで……アカリちゃん、だったっけ。お金って、このセミナーではどういう風に管理されてるの?」
アカリ「えー? なんかねー、アカリたち会員が、新しい会員を連れてきたり、子会員が親会員の商品を刈ったら、親会員からお金がもらえるんだ」
シオン「そうだよ、そういうシステムなんだ」
ハシル「ふーん、そう……ところで、アカリさんはお金、毎月払ったりしておりますか?」
アカリ「はい、毎月30万円……会員になるための会費で、シオンさんに」
シオン「ばか、お前何を言って……」
 ここでアカリの問題発言が飛び出す。月に30万円なんて、普通の人間に払えるはずもなく。おそらくは、風俗嬢だからという理由で吹っ掛けられているんじゃないだろうか、とリコは推測する。
ハシル「あれぇ、会費があることなんて基本中の基本なのに、言っちゃいけないんですか? 子会員からお金を上納するシステムがあるんですね。それは手渡しで? それとも振り込みで?」
シオン「ぬ……なんだよ。手渡しだったらどうだって言うんだ?」
ハシル「いえ、どっちでもいいんですよ……ただまぁ、その場合の金の流れは精査する必要がありますが。ところで、お金持ってるんですよね? それなら奢れますか? 奢れもしない奴のもうけ話ほど信じられないこともないからね」
 ハシルの発言でシオンの表情がわかりやすくゆがむ。
シオン「お、奢られたいだけの奴なんかに教えられることなんてねーよ」
ハシル「ははは、何を言ってるんですか? 投資ですよ。ただ一回奢るだけで、貴方の会員が増える。そんな素晴らしいことありますか? ハイリスクハイリターン。リスクを取らずしてリターンは得ず! ではなくて?」
シオン「そ、そういってタダ酒飲もうっていう魂胆だろ!? 俺は騙されないからな」
ハシル「騙しているのはあなたじゃなくて?」
 ハシルが詰める。シオンは一気に言葉に詰まる。
ハシル「まぁ、奢らないのはいいんです。そんなことよりも、貴方借金はありませんか? 銀行口座にお金は空っぽじゃありませんか?」
シオン「そ、そんなことはねーよ!」
ハシル「じゃ、なんで銀行口座の一つも見せられないんですか? プライベートだから? 個人情報だから? いいじゃあないですか、これまで散々儲かってるアピールしてるんだから、もっと儲かってるアピールしたっていいじゃなあいですか。
 高級車や高級腕時計は写真を撮れるのに、銀行口座は見せることすらできない? おかしな話ですねぇ。さっきから、お金がある振りはしてるけれど、お金を実際に持っている証拠は一つも出せないじゃあないですか」
シオン「うぐ……」
ハシル「は、合理的な説明も出来ないか……がっかりですよ。あー、ところでアカリさん。このひとのSNS見せてくれません?」
アカリ「あ、うん」
 ハシルに言われるままにアカリはSNSを見せる。
ハシル「実はその車、街で適当に見つけた車にそれっぽく決めポーズを取って写真を撮っただけでは? 適当にネット上で拾った画像とかを、SNSに乗せているんじゃありません? あ、ホテルで泊まった時のこの画像、貴方の手じゃないですよね? 爪の色が違う。なんで、他人の写真をSNSに乗せているんですか? この腕時計の写真に至っては、なんか毛の色が違いますね」
シオン「う、うぅ、帰るぞ、アカリ!」
 写真の間違いを指摘され、シオンは歯を食いしばり、言い訳も浮かばない。荷物をまとめ、ロックのテキーラを一気に飲み下し、帰ろうとする。
ハシル「ところで、酒を飲んでいるあたり、車では来ていないんですね。せっかくの高級車は?」
シオン「うるせぇ、今日は飲みてえんだよ! 車で来るわけねえだろ!」
ハシル「おぉ、それじゃあタクシーでお帰りですかね? スマホにタクシー配送アプリは入れてます?」
シオン「入れてるよ! ほら!」
 ハシルに詰められ、シオンは怒りをあらわにしながらスマートフォンのアプリを見せる。
ハシル「ノーマル会員じゃあないですか」
 アプリを見てみると、ノーマル会員であった。見栄のためにごくまれに使用することはあっても、普段のプライベートではろくに使用している様子はなさそうだ。ハシルは失笑する。
シオン「気に入らねぇ! 帰る!」
ハシル「おやぁ、少し旗色が悪くなったら逃げるんですか? それじゃ、自分が詐欺だって言っているようなものじゃあないですか。そうだ、こちらをどうぞ」
 ハシルはそう言って占い師の名刺をシオンに差し出す。
シオン「いらねえよ」
 と、それをはたき落とすが、ハシルはすかさずアカリにターゲットを変えた。
シオン「では、貴方に」
アカリ「あ、はい」
シオン「馬鹿、受け取るなよ!」
 化けの皮が剝がれかかっている。ここが攻め時のように見えるが、ハシルはまだ合図を出さない。
ハシル「アカリさん。このシオンって人、ちょっと指摘しただけでこんなに焦っている。こんな人が、すごい人に見えますか? このシオンって人、本当に儲かってるように見えますか?」
アカリ「えっと……」
ハシル「僕はこの甘草で占い師をしている、市川 奔と申します。見えますよ……貴方たちには破滅の運命が見えます……回避する方法は一つ。詐欺にかかわらないことです。でないと、貴方は天罰が下りますよ。バチが当たって地獄に落ちちゃいますよ? とっても怖くて痛い目にあいますよ」
アカリ「う……」
 天罰、という言葉ではいまいち通じないと思ったのか、ハシルは言い換えながらアカリを説得する。どこまでわかっているのか、それでもこのままだと嫌な目にあうことまではなんとなくわかっているように見える。
シオン「アカリ、帰るぞって言ってるだろ!」
アカリ「で、でも……この人が地獄って……アカリ、知ってるよ。地獄って、悪いことをした人が死んだ後に行くところでしょ?」
シオン「そんなのウソに決まってるだろ!」
 シオンが声を荒げてアカリの手首をつかんで立ち上がる。店中に声が響き渡り、すべての客の視線が注がれる。もちろん、店員のリュウキさんも。
コウイチ「多分、嘘じゃないよ。この人は高名な占い師だ。俺はこの占い師をアカリちゃんの目を覚まさせるために呼んだんだ。今のアカリちゃんは悪いことをしている。だから、悪いことをやめないと、死んだときに天国に行けなくなるよ」
 ここでコウイチがネタばらしだ。彼も立ち上がり、アカリの目をまっすぐに見る。
コウイチ「こうやって乱暴に腕をつかんで来るような人。ちょっと指摘しただけでボロが出る人。こんな人についていって、幸せになれると思う? アカリちゃん……あんた騙されてるんだよ。このままじゃ皆に嫌われちゃうよ? このままじゃ、みんなに怒られるし、風俗店もクビになるよ。
 有名な占い師が言うんだ、間違いないよ」
 コウイチはハシルがニュースサイトに取り上げられた際のページを見せる。こうやって有名な占い師という権威をこれでもかと強調すれば、人はその言葉に説得力を覚える。後光効果というやつだ。占い師なんて肩書は、リコがそうであったように逆にうさん臭く感じる者もいるだろうが、灯みたいなタイプには非常に有効であった。
ハシル「あぁ。アカリちゃんのことを、お客さんもボーイさんも、みんな嫌いになっちゃうよ。それでもいいのかい?」
 ハシルが手を上げる。合図だ。
リコ「この人の占い、当たりますからねぇ」
マイ「うん、有名だよね。私も、この人のおかげで素敵な人に出会えたし」
マリサ「ハシルさんが地獄に落ちるっていうとか、怖くない? あのアカリって子、そんなに悪い運勢なのかなぁ」
コウイチ「ほら、みんなこう言ってる。今ならまだ引き返せる、アカリちゃん。同じ店のスタッフとして、お願いだよ……もう、悪い子になるのはやめよう。いい子になろう」
 コウイチが頭を下げる。そして、最後のとどめがクニシゲさんだ。彼はゆっくりと立ち上がると、キスできそうなほどにシオンに顔を近づけた。
クニシゲ「おう、お前の話、聞いてたら儲かるんだってな? 俺は、近くの職場で薬を仕事をしているヤの付くお仕事だ。お前、風俗嬢に手を出して、ただで済むと思ってるのか? それとも本当に儲かるのかよ? だったら俺にも紹介できるよなぁ?」
 ヤクザ(イシ)の米良國重がシオンの肩をつかみ、脅しにかかる。何もうそをついていないのがタチが悪い。
シオン「そ、それは……あの、その」
クニシゲ「儲けられるってことは、お前はアカリちゃんのほかにも後輩がいるんだろ? 俺には師匠だけじゃなく、お前の後輩も紹介してほしいなぁ」
 強面のクニシゲさんに凄まれたシオンはすっかり縮こまってしまう。そうだそうだ、紹介しろ! 紹介しろ! そんなコールが店中に響いた。この雰囲気の中、シオンはこれ以上騙せる雰囲気ではないと悟ったらしい。
シオン「わかった! わーったよ! もうお前の事なんてどうでもいいわ! セミナーから抜けるなりなんなり好きにしろよ! もう連絡してくるんじゃねーぞ!」
コウイチ「ほう、それじゃあ貴方の方からも連絡はしない、と? 神に誓えます?」
ハシル「僕、弁護士の知り合いもいるから、何か言ってきたら出るとこ出ますからね? もしも、この子にいらないちょっかいを出すようなら……地獄に落ちる覚悟をしてくださいね。それを踏まえたうえで、もうこの子にはかかわらないことを誓って下さい」
シオン「くそ、うるせぇ! もう師匠には絶対に会わせてやらないからな! じゃーな、バカ女!」
ハシル「ちなみに、録画してますから、マジでこの子にはもう関わっちゃだめですよ」
 ひどい捨て台詞を吐いてシオンは店から逃げ帰っていく。置いていかれたアカリはぽかんとしながら、しかしひどいことを言われたことだけはわかって、涙目になって机に突っ伏した。まるで、怒られたときの子供のような振る舞いだ。泣きわめかないだけましではあるが、しかしこうなると説教すらまともにできなそうだ。
 何か声をかけてあげたかったコウイチだが、この状況ではしばらく何を言っても聞かなそうなので、ひとまず気が済むまで泣かせてあげることにする。その間に、協力してくれた人たちへのお礼だ。
コウイチ「皆さん。何とかなりそうです。とりあえずこれ、今回のお礼です」
 コウイチはそう言ってマリサに二万円を渡し、その分みんなにタダでお酒を出してください、と言ってくれた。なんでもこの二万円、店のオーナーから出してもらった一万円と、自分のポケットマネーから出した一万円だそうだ。わざわざポケットマネーから出すというのは、何か思うところがあるのだろうか。
マリサ「ねぇ、リコ。これで何頼もっか?」
リコ「悩むねー……私、高い酒とか飲んでもあんまりわかんないんだよねー。イェーガー・マイスターがおいしいことくらいしかわかんないし」
 せっかくだし、お酒よりもつまみでも頼んでみようかな、とリコは考える。ふとマリサの方を見てみると、彼女はメモを開いて新しく何かを書き込んでいるようであった。
リコ「それにしても、占い師って……占うだけが仕事じゃないんだねぇ。詐欺から目を覚まさせるとか……」
マリサ「前に聞いた限りではハシルさんはね。占い師は、未来を占う仕事じゃなくって、未来を導く仕事なんだってさ」
 マリサは、メモ帳を開いてそう笑っている。きっと、ハシルやコウイチのページに、色々と書き加えているのだろう。

 さて、そのあとコウイチとアカリとハシル店の隅っこの方で、閉店時間ぎりぎりまで話し合っていた。アカリはハシルの説得を半分も理解していなかった。そんな彼女から聞き出せたのは、子会員をたくさん勧誘し、その人たちが会費を払えば、自分も会費の分け前がもらえるとかなんだとか。その程度のおぼろげな理解しかしない状態で儲け話に乗ったということだ。
 アカリは、『子会員を作るだけで沢山儲かるならばそれでいいや』と、軽い気持ちだったが、思惑とは裏腹に自分は子会員を勧誘できず、全然儲からなくて、それで焦っていて、客にまで勧誘してしまったと。
 店の嬢も、客も、ボーイも、みんながマルチなんて辞めた方がいい、良くないよって言っていて、辞めたかった。でも辞めたら、シオンが違約金1000万円払わなきゃいけないだとか、そんなことを言われて怖くなったらしい。
 けれど、弁護士に相談すればそんな違約金を払わなくても大丈夫。コウイチとハシルが二人がかりで説得すると、アカリはようやくやめる決心がついたようだ。
 これから彼女には、風俗店オーナーの顧問弁護士が弁護士を紹介してくれるそうだ。そうして、一件落着したコウイチは、アカリを連れて店を出ようとするのだが、その際にハシルに話しかけられる。
ハシル「ねぇ、コウイチ君」
コウイチ「何ですか?」
ハシル「……君がアカリちゃんを見るときの目が気になってね。君がアカリちゃんに特別な感情を持っているのはわかるんだけれど、でもそれが恋心にはどうしても見えない。
 それが何だったのか……ちょっと気になってね」
コウイチ「……それは。なんというか、搾取されてる人を見過ごせないだけです」
ハシル「それさ、キリがないよ。ダメな人間は何度でも悪い奴らに搾取される。そういうのは福祉の人とか、そういうプロに任せるべきだ。それかいっそのこと彼女と結婚して、お金に関するすべての判断を君にゆだねるくらい依存させた方がいい。
 本気でアカリちゃんのためを思うならね。でも、恋心じゃあないわけだ」
コウイチ「うーん……結婚したいとか、セックスしたいとかは、正直、無いんですよね……」
ハシル「なんにせよそれはいばらの道だよ。やるなら、死ぬ気でね」
 ハシルにアドバイスをされたコウイチは、神妙な顔でこくりとうなずいた。

 ◇

 そうして、コウイチは社用車を走らせアカリを家へと送る。二人きりの車内の雰囲気は重かった。
コウイチ「もう、あんな奴に騙されちゃだめだぞ」
アカリ「うん……」
コウイチ「あいつや、その師匠? ってのが来たら、店長に相談しろよ。弁護士、紹介してくれるから。おまわりさんも呼んであげる」
アカリ「うん……」
コウイチ「……お金なんてさ、変な儲け話に乗らないで、普通に働いて稼げばいいんだ。特に風俗嬢なんてさ、給料はいいんだから、だから、その……もう無理しちゃだめだよ? 大丈夫、あいつの言う儲け話をやらなければ、君はいい子だ。地獄なんかに行かなくていい、天国に行けるよ」
アカリ「うん……」
コウイチ「ああいうやつらの事だからさ。『警察や弁護士を呼んだら殺す』みたいなことをいうかもしれないけれど、それも嘘だから。無視して弁護士や警察に頼っていいからね」
アカリ「うん……」
 コウイチの言葉はどれだけ伝わっているのやら。アカリは先ほどから同じ相槌しか打っていない。というか、アカリはシオンが儲け話の説明をしているときも、何か聞かれたとき以外は喋っていなかった。基本的に、他人の会話を理解するだけのキャパシティがないのだろう。
 わかってはいたが、この調子ではまたろくでもない奴に騙されそうだとコウイチはため息をついた。
アカリ「ねぇ、コウイチさん……あの、今から……ちょっと、ホテルで遊びませんか?」
 そんなアカリは、なんかよくわからないけれど、『コウイチには自分が大変なことになる前に助けてもらったし、これからも助けてくれる、格好いい人』と認識したようで。そんな彼女がコウイチに対して恋心を覚えるのは無理のないことだった。
 そしてそんな彼女の愛情表現の方法は、一つしかないのだが……。
コウイチ「悪いな、店のルールで嬢との交際は禁止されてるし、そもそも……俺は女に興味がないんだ」
 その愛情表現は、コウイチには通じないのだ。


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